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農林水産省

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指定前の公示(第125号)

更新日:令和3年12月22日
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の名称について、指定前の公示をしたのでお知らせします。

Pembrokeshire Earlies / Pembrokeshire Early Potatoes(ペンブルックシャー アーリーズ /ペンブルックシャー アーリー ポテト)


1 指定前の公示の番号  第125号
2 指定をした場合に締約国の名称として公示されることとなる国の名称  グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国)
3 農林水産物等の区分  第1類 農産品類(馬鈴しょ)
4 農林水産物等の名称  Pembrokeshire Earlies / Pembrokeshire Early Potatoes(ペンブルックシャー アーリーズ /ペンブルックシャー アーリー ポテト)
5 農林水産物等の生産地  イギリス

 ウェスト ウェールズ、ペンブルックシャー州
6 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1) 特性
  「ペンブルックシャー アーリー/ペンブルックシャー アーリーポテト」は、ナス科ナス属の馬鈴薯種の若いジャガイモである。
  収穫時点で若いジャガイモであるため、直径15~70mmと小ぶりである。丸型又は楕円形をしており、皮がやわらかく、土っぽいナッツの風味と香りが特徴的で、クリーミーな食感である。ジャガイモ全体の色は白から明るい黄色である。
  本産品は、EU加盟国の品種登録簿(national registers of varieties of the Member States of the EU)に登録されている基本的な種イモ品種から栽培されている。本産品は、イギリス全土のスーパーマーケット及びジャガイモ卸売業者で販売されている。また本産品は、顧客の要求に応じてバラ売り又はトレイや袋に入れて量り売りで販売される。5月に収穫される初物は、ジャガイモの柔らかい皮を保護するために、土をつけたまま販売される。季節が進むにつれて、ジャガイモの皮は十分に硬くなり、洗えるようになる。本産品の収穫は、5月初旬に始まり7月末まで続く。この期間より後に収穫したジャガイモは、メインクロップポテト(main crop potatoes)と呼ばれる。
  本産品は、生産地内で求められる期間設定に従って植え付け、栽培、及び収穫されていなければならない。

(2) 生産方法
  「ペンブルックシャー アーリー/ペンブルックシャー アーリーポテト」の栽培には、以下の2つの植付け前の準備がある。

 〇土壌の準備
  秋以降に、土を耕して土壌の準備を始める。その後は、天候により表面の土壌が分解されるようにする。
  ジャガイモが傷つかないように大きい石を取り除くことがあるが、小さい石は土壌の温度上昇を助けるためそのままにしておく。
  土の温度が10℃に近づいたら(通常は2月の最後の2週間だが、霜が降りない海岸付近の土地では1月の場合もある)、畑を耕して土をさらに分解し、できるだけ細かく水はけの良い土壌を作る。これで、土壌は植付けの準備が整う。

 〇種イモの準備
  本産品は、種子分類スキーム(Seed Classification Scheme)又は同等のものに登録された種イモから栽培される。
  種イモは、前年の秋に農場に配達される。種イモは、日光を当てて「生理学的熟成」と呼ばれるプロセスで芽出しを促進するため、芽出しハウス(ガラス張りの納屋)に保存される。このプロセス中では、それぞれの種イモに光が届くように、種イモは重ねずに一列の箱に入れられる。
  病気のリスクを最小限に抑え、芽出しハウス内の温度が5℃以上に上昇しないように、芽出しハウスは十分な換気を行う。寒い季節には、必要に応じて、換気を閉じたり、ガス又はディーゼル式の暖房器具で温めたりして、芽出しハウス内の気温を1℃以上に保つ。
  1月の半ばまでには芽出しが終わり、種イモに25mm程の強い芽ができる。

 〇植え付け
  土壌に浅い植え溝を掘り、イモを手作業又は機械により植え付ける。
  成長を促すため、種イモは土壌の約75mmの深さに植え、その下にも同量の土を敷く。溝を浅くすることで、土が温まりやすくなり、すぐに芽が出る。収穫時の本産品のサイズを小さくするには、溝を浅くする必要がある。

 〇植え付け後の管理
  3月中旬には発芽する。5月の始めから7月の終わりまでの間、イモが枯れないよう約10日おきに水をやる。浅い植え溝に植えた植物は乾燥しやすいため、土壌の水分レベルにも細心の注意を払い、可能な場合はかんがいを行う。

 〇収穫
  試験掘りに続いて、ジャガイモの収穫は5月上旬から7月末まで行われる。
  最初に、植物の「緑色の上部」を機械式トッパーで切り落とす。機械式リフターで土から持ち上げて引き出すか、手作業で取り出すか、リフティング装置が組み込まれた機械で収穫する。
  本産品を険しい傾斜地で栽培している場合や、ジャガイモの皮がまだ非常に柔らかい収穫期の最初の2週間は、手作業で掘る必要がある。手掘りすれば、ジャガイモの損傷を最低限に抑えながら収穫することができる。季節が進むとジャガイモの皮が十分に硬くなり、注意深く機械で収穫することが可能になる。ジャガイモが若くて柔らかい場合、機械での収穫には常に細心の注意を払わなければならない。
  本産品は、イギリス全土のスーパーマーケット及びジャガイモ卸売業者で販売される。また、顧客の要求に応じてバラ売り又はトレイや袋に入れて量り売りで販売される。本産品は、できるだけ新鮮なジャガイモを届けるため、可能な限り迅速に、通常は収穫してから48時間以内に出荷される。
  1トン箱単位から更に小分けする場合、各小分け形態には、もともとジャガイモが入っていた1トン箱を参照できるよう別の派生番号が割り当てられる。
  トレーサビリティを含む、農場出荷後の保証については、英国小売業協会の定める国際食品安全基準又はそれに相当する基準に準拠する。このシステムでは、加工から市場流通までの全工程で製品ロットを特定し、追跡できるようになっており、トレーサビリティを容易にするため、顧客の手に渡った農産物が適切にラベル付けされているか、又は識別できることが保証される。
  このシステムにより、原料ロット番号から製品コードまで辿ることが可能となり、原料の特定のバッチについてリコールする必要がある場合に、製品を特定することができる。この トレーサビリティシステムは、食品と直接接触する一次包装、印刷された外包装材等その他の梱包材、加工助剤も対象とする。

 (検査機関)
 SAI Global UK Assurance Services Limited

 
(3) 農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
  「ペンブルックシャー アーリー/ペンブルックシャー アーリーポテト」が一年の早い時期に成長して収穫できるのは、ペンブルックシャーの穏やかな気候によるものである。栽培期間が短く新鮮であるため、過去も現在も、その独特な味により人気が高くなっている。ペンブルックシャーは、ウェールズ内で最も早く、最も長い生育期間を持つ地域である。
  本産品が、うまく成長するには、暖かい気候が必要である。ペンブルックシャーは、ウェールズの最西端に位置し、イギリスの西海岸にある。三方向を海に囲まれ(メキシコ湾海流に続く)北大西洋海流で温められた海の恩恵を受けることができる特別な場所である。メキシコ湾流は、フロリダの先端から始まる、力強く、温かく、流れの速い北大西洋の海流で、この海流によりイギリスの西海岸は東側より2度ほど温度が高くなる。このため、ペンブルックシャーは内陸部に比べ夏は海が冷たく、冬は温かい傾向にあるため、内陸部よりも均等で穏やかな気候になっている。海からの温暖化効果により、この地方の土壌はイギリス国内の他のどの地域よりも早くから温かく、ジャガイモの成長が促される。また、発芽したジャガイモを傷める霜のリスクも少なくなる。ペンブルックシャーは、ウェールズ内で最も早く成長シーズンを迎える。気候が温暖で均一であることは、植物の成長にとって多大なる恵みとなる。
  ブライアン・ジョン博士は、著書『ペンブルックシャーの地質学(Geology of Pembrokeshire)』において、ペンブルックシャーの地質の特徴として非常に古い石でできていることについて述べており、これらの太古からの石と、それから生み出される独特の土壌が、本産品の独自性に大きく影響している。本産品の大半は、海岸線に近い南向きの赤色砂岩の土地で栽培されている。この土地は、もともと肥沃で、作業や排水を必要としない。土はすぐに乾き、春には早く温まるため、ペンブルックシャーは、ウェールズ内陸にある他の場所と比べ霜のリスクが少ない。
  ペンブルックシャーで栽培されたジャガイモ、及び、この州と関連のある本産品の歴史的な重要性を解説する参考文献は多数ある。
  第二次世界大戦と、それに伴う市場及び政治的圧力により、ペンブルックシャーで栽培されるジャガイモの作付け面積が広がり、大部分がサウスウェールズとミッドランズの人口の多い中心地の市場へと販売された。
  1950年代から1970年代の期間にアーリーポテトの栽培が増加したが、この間、ペンブルックシャーの農家は、増え続ける消費者の需要を満たすために、大部分のアーリーポテトをミッドランズとイングランド北部の市場に出荷した。
  1980年代初期には、30軒の栽培者が集まってジャガイモ販売促進団体(Potato Marketing Group)を結成し、より確実に高品質のジャガイモだけが市場に供給されるようになった。1995年後半には、ペンブルックシャーに加工工場が建設され、複数の市場向けにジャガイモが等級分けされて処理されるようになった。
  全ての本産品生産者が、地元の特性に関する知識を備えている。生産者は、最大の収穫量を得るための植え付け時期を考えなければならない。考慮すべき因子としては、土壌の温度、土壌の状態、天候を挙げることができるが、植え付けに最高のタイミングを判断するには、これらすべての情報を理解することと、「感性」を持つことも重要になる。このような能力は、本産品の栽培に付随する特殊技能であり、この地域で長い年月をかけて培われ、何世代にもわたって受け継がれてきたものである。土壌の準備は最重要事項で、温度上昇を抑えるために土壌には小さな石を残す。一連の作業工程の中で、植え付けの最適なタイミングに芽出ししたジャガイモを入手することは非常に重要となる。
  本産品は、食品業界で広く認知され、高い評価を受けている。一流品として、多くの有名シェフや食通達に愛用されており、食材として頻繁にメニューに登場している。多くの有名レストランや農産食品企業もまた、このジャガイモを愛用していることは周知の事実である。
  2009年には、本産品は複数の「トゥルー テイスト賞」を獲得した。
7 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -
8 公示の年月日  令和3年12月22日
9※ 意見書提出期間
(公示開始日から3か月間)
 令和4年3月22日まで
※縦覧及び意見書提出についてはこちら

お問合せ先

輸出・国際局知的財産課

担当者:地理的表示保護制度担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234
FAX番号:03-3502-5301