このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

指定前の公示(第130号)

更新日:令和3年12月22日
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の名称について、指定前の公示をしたのでお知らせします。

Stornoway Black Pudding(ストーノウェイ ブラック プディング)


1 指定前の公示の番号  第130号
2 指定をした場合に締約国の名称として公示されることとなる国の名称  グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国)
3 農林水産物等の区分  第6類 畜産加工品類 食肉製品類(ブラッドソーセージ)
4 農林水産物等の名称  Stornoway Black Pudding(ストーノウェイ ブラック プディング)
5 農林水産物等の生産地  イギリス
 ルイス島のストーノウェイ町及び以下の教区を含む「ストーノウェイ トラスト」地域(詳細は別添のとおり別添(PDF : 84KB)
6 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1) 特性
  「ストーノウェイ ブラック プディング」は、スコットランドのアウターヘブリディーズ諸島にあるルイス島の首都、ストーノウェイ特産のブラックプディング(血のソーセージ)である。調理前は深い赤茶色から濃い茶色を帯びている。この色は、各生産者のレシピにより異なる。
  それぞれの慣習や伝統によって製造レシピには個人差があるが、本産品の製造には次の原材料が使用される。
 〇牛のスエット(牛脂)
 〇オーツ麦
 〇タマネギ
 〇羊、牛又は豚の血のいずれか
 〇水(乾燥血液を使用する場合)
 〇塩
 〇コショウ
 〇皮又はケーシング

  本産品の製造において、上記以外の調味料は使用できない。また、人工着色料、香料、増量剤及び防腐剤の使用もできない。
  原型は、直径52~72mmの円筒形「ソーセージ型」のプディングとして製造され、長さは150~500mm、重さは0.5~1.36kgで、皮に包まれている。しかし、顧客の要件に合わせて、異なるサイズや形状(例えば、輪状又はスライス状)で製造することも可能である。
  しっとりとしていて、歯ごたえのある食感で、小さい脂肪の粒が見て取れる。本産品に使用されるスコットランド産オーツ麦が、程よくザラっとした食感を出す。皮付き、皮無しで調理することができ、火を通してもその形状が崩れることはない。調理後は、黒に近い色になり、簡単にカットできるが、バラバラになることはない。しっとりとしていて、コクがあり、風味豊かで、味がしっかりしているが、辛くも油っぽくもなく、心地よい口当たりで、後味はすっきりしている。

(2) 生産方法
  「ストーノウェイ ブラック プディング」の製造には、以下の原材料のみを使用し、各原材料の量(割合)は、以下に示す範囲内でなければならない。
 〇牛のスエット(牛脂)(37%以上50%以下)
 〇オーツ麦(16%以上20%以下)
 〇タマネギ(15%以上18%以下)
 〇羊、牛又は豚の血のいずれか(12%以上26%以下)
 〇塩(0.6%以上2%以下)
 〇コショウ(0.4%以上2%以下)
 〇人工又は天然の皮(直径:52~72mm、長さ:150~500mm)

  生産者の多くは、不要な部位も全て含めて、生のままの状態で牛のスエットを受け取る。必要なスエットを掻き出して洗浄した後、15~20cmの断片に切るか、切り刻む。下処理したスエットは、ボウルカッターと呼ばれる機械を使って、約1~5mmの一定した大きさの断片にカットされる。この工程には、精肉店の熟練した目と専門知識による、高度な技術を要する。
  豚、牛又は羊の血は、新鮮な状態、冷蔵又は乾燥した状態で使用され、各バッチには1種類の動物の血液のみが使用される。血液は、動物の血液を収集する屠殺場から直接仕入れている食肉卸売業者から購入される。乾燥血液を使用する場合は、水を加えて血液を元に戻す。この方法は、大量のプディングを製造する際、大容量の液体血液を調達することができない場合に使用される。
  水を加える前に、乾燥した材料を手作業又は機械で混ぜ合わせる。製品の一貫性を維持するために、全ての原材料は全工程を通して慎重に計量される。この時点で、まだかき混ぜることができるが、力を込める必要があるような、ねっとりとした粥状になっていなければならない。材料を細かく刻むレシピもあれば、粗く刻むレシピもあるため、生産者個々人のレシピによって外観や食感に微妙な違いが出る。
  次に、混合物をケーシングに充填するためにソーセージ充填機に移す。手作業により、ソーセージの皮を機械のノズルに被せて充填する。肉の充填速度の調整も手作業で行う。その後、紐を使って端を手で結ぶか、機械で閉じる。
  続いて、プディングを86~70℃の温度で、最大2.5時間ほど煮沸又は蒸す。調理後、プディングをラックに個別で吊るし、12℃の周囲温度で徐々に冷ます。これには、2.5~4時間かかる場合がある。その後、冷蔵庫に入れ、2℃の温度で保存する。
  本産品の賞味期限は約1ヶ月である。生産者自身の店の店頭で、皮付きのまま、ブラックプディングのフルサイズ、4分の3のサイズ、ハーフサイズ、輪状又はスライス状などで販売される。また、イギリス全土の個人及び取引業者に向けて、梱包のうえ、郵便や宅配便で出荷している。
  各製造者はトレーサビリティ記録を保管する必要がある。原材料が敷地内に到着すると、製造者は納入日付、数量、バッチ番号と一緒に、供給業者情報を記録する。 製造する日に、本製品にバッチ番号が割り当てられ、日付番号と原材料のバッチ番号に連携している。製造者は、店頭で顧客に直接販売するか、卸先に販売するか、通信販売で製品を販売する。後者の場合、顧客からの注文は注文票で管理され、請求書や納品書には全ての顧客、仕向地、製品、数量等の詳細が記載される。バッチ番号と賞味期限は、請求書や納品書、又は製品のパッケージに記載される。

 (検査機関)
 Comhairle Nan Eilean Siar, Consumer & Environmental Services Department

(3) 農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
 〇独自性
  他の地域のブラックプディングとは異なり、牛のスエット(牛の腰の腎臓付近の脂)が本産品の主要原材料となっている。融点が45~50℃と低いため、プディングを作る際は固形で使いやすいが、蒸したり煮たりすると溶ける。スエットそのものにはほとんど味がないが、他の材料の風味を高め、プディングの食感も軽やかにしてくれる。ヘブリディーズ諸島などの寒冷地では、高カロリーのスエットは冬の理想的な食材となる。
  スコットランドで栽培されているオーツ麦は、本産品に程よくザラっとした食感を与える。
  ほとんどの地域のブラックプディングは、豚の血を使って作られている。一方で本産品は、羊、牛又は豚の血を使用しているが、その血は島にある屠殺場から調達される。法令改正と、屠殺場が季節限定で運営規模を縮小したため、新鮮な血液の需要を満たすには十分ではない。このような変化に対応するためにレシピが変わり、精肉店は現在、乾燥血液を含む血液を地域外から供給するようになっている。

 〇歴史
  ブラックプディングの歴史は古代に遡る。最も初期の文献は、おそらく紀元前750年代半ばに書かれたホメーロスの『オデュッセイア』である(第18歌、行43~45)。
 「よく聞け、大胆な求婚者たちよ!ヤギの腸が火の上で調理されている。それは、脂と血をたっぷり詰め込んである」
  ブラックプディングは、様々な侵略者たちによってイギリスに持ち込まれた。
  クロフティングとは、スコットランド特有の小作制度であり、これは何百年もの間、ルイス島の生活の中心となってきた。過去40年ほどの間に、クロフター(小作農家)は他の仕事にも就くようになり、兼業クロフトになった。クロフティングは自給自足経済であるため、少数の羊・豚・牛を飼育しているストーノウェイのクロフターは、家畜のあらゆる部分を最大限に活用しなければならなかった。家畜を屠る時はクロフター同士で仕事を分担し、冷蔵庫がない時代には、肉を近所の人たちに分け、別の機会にはその人から肉を貰うなどして、長い冬の間に確実に肉を確保していた。
  スコットランドのゲール語では、ブラックプディングは「マラグ ドゥブ(Marag Dubh)」と呼ばれる。ドゥブは「黒」を意味する。ブラックプディングを作るために、家畜が屠られた時の血液を集めて保存しておく。腸を取り除き、海の塩水の中できれいに洗う。その後、腸を持ち帰り、裏返しにしてシンクの冷水に入れ、海水と塩を加えて24時間漬け置きする。冷水で洗い流してから熱湯で消毒する。この手間をかける事で、腸の内壁が柔らかくなり、表面をこすり落とせば、真っ白できれいな腸にすることができる。完全な腸からは、少なくともマラグ ドゥブ5つ分の皮(Deasainn(rumen)、Brog(Boot)、Curachd an Righ(King’s Crown)そして、回腸でカットして結んだ長いプディング用2つ分)を取ることができる。
  電気が無い時代には、プディングをオーツ麦の箱に入れて乾燥させ、涼しい場所に置き、できるだけ長く日持ちさせた。クロフターは肉を無駄にすることができなかったので、食べ終わるまで毎日同じものを食べていた。プディングは鉄分を豊富に含んでおり、クロフターの食生活で非常に重要な役割を果たしていた。そしてこのことは、今でもストーノウェイの人々に受け継がれている。
  本産品の基本的なレシピは何年も前から変わらず、牛のスエット、オーツ麦、タマネギ、血液、塩及びコショウのみを使用しているが、衛生面での規制が強化され、プディングの需要が増加したため、製造方法は改変をせざるを得なかった。本産品は、今やクロフターの家庭料理として生産されるのみならず、島民やイギリス全土の個人及び取引業者向けなど、より大規模に生産されている。
  現在では、家畜はクロフターではなく屠畜場で屠殺されている。クロフターは、自分たちの所有地で個人消費のために家畜を屠殺することができ、多くの人が今でも自分たちの台所でブラックプディングを作っている。ストーノウェイの屠殺場では屠殺サービスを提供しているが、現在はパートタイムの季節限定(8月中旬から1月末まで)で運営されており、血液や腸の需要を満たすには十分ではない。そのため精肉業者は、生産ニーズを満たすために、本土の屠殺場やプラスチック製プディング用の皮のサプライヤーに頼っている。

 〇評判
  「ストーノウェイ ブラック プディング生産者協会」を結成しているストーノウェイの精肉業者の中には、1931年からプディングを製造・販売している人もいて、本産品は、当時からこの名称で販売されている。精肉業者は、「ストーノウェイ ブラック プディング」の名称を協同で使用しており、生産において高い水準を維持し、ヘブリディーズ諸島の伝統との繋がりを維持しようと努めてきた。その結果、その味と品質の高さでますます国際的な評価を集め、今ではイギリス屈指のプディングとして知られるようになった。この製品は、伝統的には「クロフティング料理」の定番として知られていたものであったが、今日では世界的に有名な珍味としての位置を確立している。
  本産品は、この地域の観光とも密接に結びついている。製品名には世界的な認知度があり、産地としてストーノウェイとも繋がっている。例えば、スコットランドのガイドブックのほとんどには、マラグ ドゥブとルイス島の繋がりが記載されている。Googleの検索結果でも、その繋がりが数百件ほど確認できる。現在、観光目的のほか、里帰りや休暇を過ごすなどの目的でヘブリディーズ諸島を訪れる人は増加しており、彼らの多くがこの「島の味」を同僚や友人などにお土産として配っている。有名シェフや王室にもファンが多く、彼らの間でもしばしば話題にのぼっている。
7 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -
8 公示の年月日  令和3年12月22日
9※ 意見書提出期間
(公示開始日から3か月間)
 令和4年3月22日まで
※縦覧及び意見書提出についてはこちら

お問合せ先

輸出・国際局知的財産課

担当者:地理的表示保護制度担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234
FAX番号:03-3502-5301