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農林水産省

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指定前の公示(第141号)

更新日:令和5年1月12日
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の名称について、指定前の公示をしたので知らせします。

Korčulansko maslinovo ulje(コルチュランスコ マスリノヴォ ウリエ)


1 指定前の公示の番号  第141号
2 指定をした場合に締約国の名称として公示されることとなる国の名称  欧州連合
3 農林水産物等の区分  第9類 食用油脂類 食用植物油脂(オリーブ油)
4 農林水産物等の名称  Korčulansko maslinovo ulje(コルチュランスコ マスリノヴォ ウリエ)
5 農林水産物等の生産地  クロアチア

コルチュラ島全域、すなわち、土地台帳に記録される以下の自治体。
Vela Luka、Blato、Smokvica、Čara、Račišće、Pupnat、Žrnovo、Korčula及びLumbarda。

西はHvar島から幅15kmのKorčula海峡、北はPelješac半島から幅2.5kmのPelješac海峡、南はLastovo島から幅13kmのLastovo海峡で隔てられている。

6 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1)特性
本産品は、オリーブの実から直接、機械的方法のみによって得られるエキストラバージンオリーブオイルである。市場に出される時点で次の物理的、化学的特性及び官能的特性を有していなければならない。
遊離脂肪酸含量:0.6%以下
過酸化物価:6 mmol O₂ /kg以下
K 232:2.50以下
K 270:0.22以下
色:山吹色から緑色
緑色の果実とオリーブの葉の強い香り(「fruity」(果実系のアロマの度合い)の中央値:2.5以上)
顕著で均質で、中~強程度の苦味と鋭い味が後味として継続して感じられる (「bitterness」(苦味)と「sharpness」(鋭い味)の中央値:3以上)。


(2)生産方法
原材料 
 本産品の基本原料は、在来品種「Lastovka」及び「Drobnica」 のオリーブであり、単独又は互いを組み合わせて、製品の80%以上を構成する。生産地で栽培された他のオリーブ品種の使用については、本産品を生産するために加工された全オリーブの20%以下で、最終製品の品質に大きな影響を及ぼさないものでなければならない。

製造工程
 すべての生産工程(オリーブの栽培・収穫・加工)は、生産地内において行われなければならない。

 製品の切分け、切削、包装
 オイルの貯蔵及びボトリングも、デキャンティング(オイルを別のボトルに移す行為)によって悪影響を受ける可能性のある製品の特定の官能的特性及び品質を維持するために、生産地において行われなければならない。生産地外でのオイルのデキャンティング、又は長距離にわたる海上輸送は、コルチュラ島と本土の間の輸送経路が制限される可能性を踏まえると、最終的にオイルの品質に悪影響を及ぼす可能性がある。これらの理由により、製品は生産地以外でボトリングすることができない。本産品は、1リットル未満の(色の濃い)ガラス容器にボトリングされて販売される。

 ラベル表示
 製品ラベルには収穫年を表示しなければならない。市場に出されるすべての容器は、共通の識別子を備えなければならず、共通の識別子のデザインは下図のとおり;

ラベルデザイン
 原産地名称の明細書に従って製品を市場に出荷するすべての使用者は、同じ条件の下で共通の識別子を使用する権利を有する。


(3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
 自然的要因
 コルチュラ島は、岩を中心としたごつごつした山岳地形で、耕作地はほとんどない。耕作地は岩が取り除かれ、段々畑に変えられてきた。岩を取り除いた土地には、段々畑を囲む乾式石垣が築かれている。この乾式石垣が、段々畑の肥沃な土壌を保持、つまり雨で流されないようにする。その乾式石垣に囲まれた段々畑の肥沃な土壌には、在来種の「Lastovka」と「Drobnica」 を中心としたオリーブが植えられ、畑を成している。耕作地は主に、段々畑のレゴソル土壌と畑のレゴソル土壌の2つのグループに分けられる。レゴソル土壌は、カルシック層カムビソル土壌とテラロッサ土壌からなることが最も多い。
 コルチュラ島は地中海性気候で、冬は温暖で、夏は乾燥して暑い。平均気温が高いのは、日照時間が長いためである。コルチュラ島の年間平均気温は15.6~16.8℃、最も暑い月は7月で平均気温は25.9℃、最も寒い月は2月で平均気温は9.1℃である。日照時間の点から、コルチュラ島はオリーブの栽培に非常に適している。7月の日照時間が最も長く(373.7時間、1日当たり約12時間)、一方最も短いのは12月(125.3時間、1日当たり約4時間)である。年間降水量の点から見ると、コルチュラ島の気候の特徴は、湿度が高いことである。10月から3月の寒い時期に降水量が最も多くなり、月平均降水量は80 ~150 mmで、降水量が最も少ないのは6月から8月で、平均30~45 mmである。

 人的要因
 コルチュラ島の景観の形成に主に寄与してきたのは、島の人々である。オリーブ生産者は、岩だらけの山岳地帯を耕地に変え、石垣に囲まれたオリーブの木の栽培に適応させてきた。丘の段々畑はアクセスが難しく、大型機械は使用できないため、収穫は手作業と手動の道具を使って行われる。
 コルチュラ島は先史時代から支配者が定期的に変わり、様々な歴史的出来事が島の生活や換金作物の発達に影響を及ぼしてきた。古代ギリシャの植民地時代から、ローマやベネチアの支配下で、オリーブの栽培とオリーブオイルの生産が行われていたことは、豊富な歴史的証拠によって証明されている。コルチュラがべネチアの支配下に置かれた時の文献には、「べネチア政府は非常に安い価格でオイルを買い上げたため、島の住民はオイルの密輸を始めざるを得なくなった。厳しい罰則が導入されたが、データは、コルチュラ島のオイルはTriesteまで運ばれていたことを示している」とある(S.Dokoza、Iz gospodarske i društvene povijesti Blata do XVIII.st.、Zbornik radova、Blato、2003)。

 製品特性
 本産品の特徴は、コルチュラ島のオリーブの80%を占める在来のオリーブ品種「Lastovka」と「Drobnica」を使っていることである。Pavle Bakarić の論文 (Elajografja otoka Korčule (1995))によると、在来のオリーブ栽培品種「Lastovka」と「Drobnica」は、形態学的、生物学的及び商業的特性の点で コルチュラ島の他の品種(「Velika Lastovka」、「Vrtušćica」及び「Oblica」)とは異なり、また、これら2つの品種の生オリーブは、他の品種の生オリーブに比べて、油分の割合が高い(16.40~24%)とされている。
 本産品の特徴は、感覚的特性、すなわち苦みとシャープさの要因となる総フェノール類の割合の高さに起因するその香り(緑の果実やオリーブの葉を連想させる)と味 (均質な中~強程度の苦味とシャープさ) に由来するものである。このことは、研究(M. Žanetić, D. Škevin, E. Vitanović, M. Jukić Špika and S. Perica, Ispitivanje fenolnih spojeva i senzorski profil dalmatinskih djevičanskih maslinovih ulja, Pomologia croatica vol. 17, 2011)において、他の品種(「Oblica」と「Levantinka」)のオリーブオイルの総フェノール量が161.15 mg/kgであることと比較して、「Lastovka」と「Drobnica」のオリーブオイルは、高い総フェノール(350 mg/kg以上)を含むことにより証明されている。また、分析した品種の中で、「Lastovka」種が最もヒドロキシチロソールの含有量が高く(214.32 mg/kg)、チロソールの含有量が最も高いのは「Drobnica」種であった(84.37 mg/kg)。「Lastovka」と「Drobnica」のオイルに含まれるフェノール化合物によって、高い酸化安定性と長期間の保存が可能となっている。フェノール化合物の高い比率は、コルチュランスコ マスリノヴォ ウリエの苦味とシャープさに影響を与えており(苦味とシャープさの中央値:3以上)、この2つの属性のバランスは、上述のオリーブオイルを生産する 「Drobnica」と「Lastovka」 品種で最もよく現れている。
 現在コルチュラ島では、約1,000の農業所有地と10つの工場が、オリーブ栽培とオリーブオイル生産に従事している。オリーブの栽培は島の重要な経済活動であり、コルチュランスコ マスリノヴォ ウリエという名前は今日でも日常会話や市場で使われている(delivery and shipping note, Presa d.o.o., Zlokić d.o.o., 2014)。

 因果関係
 本産品の特性は、コルチュラ島特有の地形・気候条件と人間活動によって作られたものである。
 地元住民は、岩だらけの山岳地形を耕すために、岩壁で囲まれた段々畑に変えたのである。この段々畑には、主に「Lastovka」種と「Drobnica」種のオリーブが植えられている。オリーブの木に囲まれた段々畑は、島の原風景を形作っている。
 生産者は、当該地域の地形・気候条件に最も適した品種として、「Lastovka」種と「Drobnica」種を選んだ。コルチュラ島で栽培されているオリーブの80%はこれら2つの品種である。
コルチュラ島はその地理的条件から、日中の気温が非常に高く、日照時間が非常に長いのが特徴である。これらの条件はオリーブの栽培と成長に適しており、特に「Lastovka」種と「Drobnica」種は 乾燥に非常に強く、収穫期間も10月から2月初めまでと特に長いのが特徴である。
 オリーブを手摘みすることで、地元の生産者はオリーブの理想的な収穫時期を設定できる。その結果、オリーブはフェノール含量が高くなりコルチュランスコ マスリノヴォ ウリエの味に中~強程度の苦味とシャープさを与えている。
 日照時間が長く、夏季の降水量が少ないというコルチュラ島特有の気候条件も、「Lastovka」種及び 「Drobnica」種の木からとれるオリーブオイルのフェノール含有量の増加に直接つながっている。分析によると、この含量は分析した他の品種よりも多く、本産品に独特の個性を与えていることが判明した。

7 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -
8 公示の年月日  令和5年1月12日
9※ 意見書提出期間
(公示開始日から3か月間)
 令和5年4月12日まで
※縦覧及び意見書提出についてはこちら

お問合せ先

輸出・国際局知的財産課

担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234
FAX番号:03-3502-5301