指定前の公示(第144号)
更新日:令和5年1月12日
担当:輸出・国際局 知的財産課
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の名称について、指定前の公示をしたのでお知らせします。 |
Raclette de Savoie(ラクレット ド サヴォワ)
1 | 指定前の公示の番号 | 第144号 |
2 | 指定をした場合に締約国の名称として公示されることとなる国の名称 | 欧州連合 |
3 | 農林水産物等の区分 | 第6類 畜産加工品類 酪農製品類(チーズ) |
4 | 農林水産物等の名称 | Raclette de Savoie(ラクレット ド サヴォワ) |
5 | 農林水産物等の生産地 | フランス サヴォア(Savoie)県及びオート=サヴォワ県(Haute Savoie)県の2県。 アン(Ain)県及びイゼール(Isère)県の次の自治体。 〇アン県: Anglefort、Béon、Billiat、Ceyzérieu、Chanay、Corbonod、Cressin-Rochefort、Culoz、Flaxieu、Injoux-Génissiat、Favours、Léaz、Massignieu-de-Rives、Parves et Nattages、Polauue、Saint-Martin-de-Bavel、Seyssel、Surjoux-Lhôpital、Talissieu、Valserhône、Villes、Virignin、Vongnes 〇イゼール県: Entre-deux-Guiers、Miribel-les-Échelles、Saint-Christophe-sur-Guiers、Saint-Pierre-de-Chartreuse、Saint-Pierre-d’Entremont |
6 | 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 | (1)特性 本産品は、生乳又は加熱処理された牛乳から作られた、圧縮された非加熱タイプのチーズである。直径28~34 cm、外縁の高さが6~7.5 cmのホイール状である。乾燥抽出物の合計は56%以上であり、脂肪含有量(乾燥物に対する脂肪量の割合) は48~52%である。塩の含有量は1.4~2.2%である。本産品は、pHが5.50以上であり、アンモニア含有量は100 g当たり60 mg以上のチーズである。 〇官能的特性 本産品は、表皮の色は黄色から茶色で、ウォッシュタイプのチーズであり、ペーストは白~ストローイエロー色をしている。多数の穴が開いていることがあり、しっかりとした柔らかな食感を有する。加熱すると、とろけるようなクリーム状になる。加熱しても油分がほとんど出ない。 〇販売形状 本産品は次のような形状で販売されている。 ・ホイール状 ・カットチーズ:くし形に切る ・消費者に販売するために包装された単位で販売するとき:スライスする 包装された状態で消費者に販売することを意図する場合、長さ28~34 cmの立方体形状で、外縁の高さが6~7.5 cmの立方体の形状で製造されることがある。 (2) 生産方法 〇原材料 乳牛の飼料は以下の食品から構成されている。 飼料の基本構成 草、干し草、二番刈り干し草、青刈りトウモロコシ、ソルガム、わら及びアブラナ科の種を除く作物とする。基本飼料の少なくとも50%を、青刈りの牧草をベースとした飼料として、年間少なくとも150日間(連続であってもなくてもよい)与えることが義務づけられている。乳牛に与える粗飼料は100%生産地に由来するものである。 粗飼料 トウモロコシの穂軸及び湿粒トウモロコシ、乾燥飼料、乾燥アルファルファ、乾燥ビートパルプ、飼料用ビート。生産地外からの乾燥飼料、トウモロコシの穂軸、乾燥トウモロコシ粒及び飼料用ビートは、年間を通じて、乳牛1頭当たり1日に与える平均乾物量として4kgまでに制限される。 補助飼料及び添加物 穀類及びこれに由来する製品(ふすま、くず、小麦粉、脱水蒸留粕)、種子、油糧種子及びたんぱく質かす、副産物(アルファルファ濃縮タンパク質、非タンパク質窒素、尿素:補助飼料中の3%未満)、結合剤としての糖蜜及び植物油、ミネラル、ビタミン、微量元素並びに天然植物エキスとする。農場で産生された乳清は、抽出後24時間以内での流通が許容されている。 農場での生産の場合、本産品の製造に使用される牛乳は、Abondance種、Montbeliarde種又はTarentaise種の乳牛を75%以上飼育している牛群から供給される。 加工業者において、本産品の製造に使用される牛乳は、75%以上がAbondance種、Montbeliarde種又はTarentaise種の乳牛から構成されている牛群から得られたものである。 この基準を遵守するため、Abondance種、Montbeliarde種又はTarentaise種の乳牛の割合を増やす以外に、保有する酪農場の構成を変更してはならない。 〇製造工程 乳製品の製造、加工及び熟成は、生産地内で行われる。 生産地における本産品の製造に使用される生乳の生産は、チーズの製造に使用され、チーズにその特徴を与える飼料が、この地域に多く存在することから、正当化される。 〇ラベル表示 本産品のラベルには、以下の事項を記載しなければならない。 —本名称 —生産者、熟成士又は包装業者の名称及び住所 —認証機関の名称 (3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由 ラクレット ド サヴォワと生産地との関連は、その品質に基づいている。 地形学的、地質学的な観点から見ると、ラクレット ド サヴォワの生産地は非常に多様である。地形は標高200~2,500mの間にあり、古い結晶と石灰岩の山塊の両方からできた深層土壌であることが多い。気候は典型的な山岳地帯の気候で、冬は長く厳しいことが多く、夏は暑い。全体的に降水量が少ないMaurienneとTarentaiseの渓谷を除き、当該地域の年間降水量は多く、プレアルプス山脈の麓では平均1,000mm、最大で1,500mmにもなる。このような地理的特性は、良好な草の生育に適している。当該地域の土壌組成と降雨量は、良質の牧草を栽培するのに適している。干し草の牧草地も放牧地も、アルプス山脈特有の特徴である豊かで多様な植物相を有している。また、当該地域の西側では、穀物やトウモロコシの生産も可能である。 ラクレット ド サヴォワの歴史はアルプスの歴史と密接に結びついている。これはアルプスにおける畜産とチーズ製造のノウハウの歴史の一部である。ラクレット ド サヴォワの起源は中世にさかのぼり、羊飼いたちは主に夏に「ローストチーズ」、つまり薪火の前に半輪のチーズを置き、それを溶かして食べるのが始まりと言われている。「ラクレット」 という名前が登場したのは20世紀初頭のことで、溶けたチーズの表面を削り取って(racler)皿の上のジャガイモにのせる動作にちなんでいる。ラクレット ド サヴォワは、草原地帯と、飼料と地場品種を十分に活用した家畜管理によって支配されている地域の中心部で発展した。また、当該地域は、チーズ製造ノウハウとそのノウハウに適合した乳生産方式を取り入れた、プレスチーズの製造に長年の伝統がある。その平均的なサイズから、ラクレット ド サヴォワは次第に当該地域の他の種類のチーズを補完するようになっていった。ラクレットチーズは、他の、より大型のチーズに比べて、比較的少量の牛乳でも保存できる方法であった。このような背景と、歴史的に農家が運営する「fruitières」(チーズ製造協同組合の地方名)システムを基盤とするSavoie地方の農業の社会経済的組織とが相まって、農家とチーズ製造業者が共有するチーズ製造文化の発達を可能にした。 ラクレット ド サヴォワは、1960年代から1970年代にかけての冬季観光の到来や、水力発電の普及によるラクレットマシンの誕生など、アルプスの産業史からも恩恵を受けている。ラクレット ド サヴォワの出発は、このように、1975年にSavoieでRippoz社とTefal社の提携によって開発されたラクレットマシンにつながっているのである。薪火で溶かす代わりにアルミニウムにテフロンを接着する技術を習得したことで、ケータリング業界初の電気機械が登場し、個別の皿で加熱することができる本産品の新しい食べ方が誕生した。1970年代には、ウインタースポーツのマスツーリズムが盛んになり、このようなレジャー需要に応えるためにリゾートが建設され、ラクレット ド サヴォワはこのような機会に楽しむ典型的なチーズとしての評判を高めた。 ラクレット ド サヴォワの製造に使用される牛乳の生産は、当該地域の牧草が豊富にあることと、伝統的な品種であるAbondance種、Montbeliarde種又はTarentaise種といった伝統的品種の飼育が続けられていることが基盤となっている。これらの品種は、傾斜のある牧草地での放牧に適応した体型、耐暑性、夏の放牧と冬の乾燥飼料など、環境の物理的・気候的制約に適応する能力を実証している。さらに、 ラクレット ド サヴォワの製造に用いられる技術は、上記の牛乳の特性に適応している。チーズ職人はこれらの特性を最大限に活用し、ラクレット ド サヴォワの特性を得るために、全ての製造パラメータを調整する方法を熟知しているのである。脂肪分のコントロールは重要な出発点であり、チーズ職人は時々生乳を一部脱脂することもある。牛乳への菌付けも重要な役割を果たし、特に好熱性細菌叢の選択と管理が重要である。乳糖の除去と圧搾も製造工程中において重要な工程であり、pH値の制御に寄与する。チーズのタンパク質分解を促進するために、伝統的に木製の板の上で8週間以上熟成される。 ラクレット ド サヴォワの形状・サイズは、中型から大型のホイール状まであり、クリーミーな味わいと、冷えたときの硬さが特徴である。ラクレット ド サヴォワは、非常にのびがよく、加熱してもあまり油が出ないという特徴がある。さらに他のラクレットに比べて、溶ける性質が非常に高いことも特徴である。口溶けは特にクリーミーで、べたつく感じが無い。 ラクレット ド サヴォワの特徴は、当該地域の牛乳とチーズの製造に関する専門技術にある。 当該地域での牛乳生産は、先祖代々の慣行に沿った放牧資源の最適な利用と伝統的な品種から得られる牛乳の利用を促進している。特定の飼料により大量に生産されるこの牛乳は、同一条件で育成された他の品種よりも本産品の生産に適しており、レンネットを添加した後の凝乳はより硬く、チーズの収量も高いため、ラクレット ド サヴォワ特有の製法に特に適している。さらに、ラクレット ド サヴォワの製造におけるチーズ製造の専門知識は、製品のあらゆる特性に一定の影響を与える。ラクレット ド サヴォワの温めたときの弾力性、伸びやすさ、油の滲み出しの少なさは、脂肪分調整に対する熟練の技が直接的に影響している。その顕著な融解性は、主に好熱性培養と乳糖除去の特異性による乳酸菌の割合の低さにも関連している。タンパク質の分解を高次元で促進する熟成工程は、ラクレット ド サヴォワの冷めたときの柔らかさの特徴に反映されている。 |
7 | 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 | |
(1)商標権者の氏名又は名称 | - | |
(2)登録商標 | - | |
(3)指定商品又は指定役務 | - | |
(4)商標登録の登録番号 | - | |
(5)商標権の設定の登録の年月日 | - | |
(6)専用使用権者の氏名又は名称 | - | |
(7)商標権者等の承諾の年月日 | - | |
8 | 公示の年月日 | 令和5年1月12日 |
9※ | 意見書提出期間 (公示開始日から3か月間) |
令和5年4月12日まで |
お問合せ先
輸出・国際局知的財産課
担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234
FAX番号:03-3502-5301