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農林水産省

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指定前の公示(第150号)

更新日:令和5年1月12日
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の名称について、指定前の公示をしたのでお知らせします。

Arzúa-Ulloa(アルスア ウジョア)


1 指定前の公示の番号  第150号
2 指定をした場合に締約国の名称として公示されることとなる国の名称  欧州連合
3 農林水産物等の区分  第6類 畜産加工品類 酪農製品類(チーズ)
4 農林水産物等の名称  Arzúa-Ulloa(アルスア ウジョア)
5 農林水産物等の生産地  スペイン

 以下の自治体から構成される。
 -A Coruña県:Arzúa、Boimorto、Pino (O)、Touro、Curtis、Vilasantar、Melide、Santiso、Sobrado、Toques、Frades、Mesía、Ordes、Oroso、Boqueixón、Vedra
 -Lugo県:Antas de Ulla、Monterroso、Palas de Rei、Carballedo、Chantada、Taboada、Friol、Guntín、 Portomarín
 -Pontevedra県:Agolada、Dozón、Lalín、Rodeiro、Silleda、Vila de Cruces、Estrada (A)
6 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1)特性
牛の生乳又は低温殺菌乳を原料とするチーズであり、凝固、凝乳の切断及び洗浄、成型、圧搾、塩漬け及び熟成の各工程を経て製造されたもので、次のような特性を持つ。

 ・アルスア ウジョア
熟成期間は少なくとも6日間を要する。形状は、凸形又は円筒形で、縁は丸く、直径は100~260mm、高さは50~120 mm。ただしチーズの高さは、チーズの半径の長さ以上であってはならない。重量は0.5~3.5 kgである。表皮は薄く弾力性があり、色は中程度の黄色~濃い黄色で、光沢があり、きれいで滑らかである。アルスア ウジョアは、無色透明の抗菌剤をつけて販売されることがある。ペーストの色は一様で、象牙色~淡黄色まである。光沢があり、ひび割れは無いが、角張っているか丸みを帯びた小さなチーズアイが不規則に分布していることがある。

その香りはミルクのようで、バターやヨーグルトの香りを思い起こさせ、バニラやクリーム、ヘーゼルナッツの香りもわずかに感じられる。味は基本的に牛乳の風味で、わずかに塩味があり、酸味は低~中程度である。食感については、キメが細かく、ややしっとりしており、硬すぎず、中程度の弾力がある。

最終製品の分析特性は次のとおりである。脂肪含有量:乾燥抽出物の45%以上、タンパク質:乾燥抽出物の35%以上、pH:5.0~5.5、乾燥抽出物:45%以上、水分含有量 (除脂肪):68%以上73%以下

 ・農場製造のアルスア ウジョア
チーズを製造している農場の牛から搾乳された牛乳のみを原料とする。その物理的・分析的特性は、上記に記載されているものと同じである。

 ・熟成アルスア ウジョア
熟成期間は少なくとも6ヶ月を要する。形状は凸面又は円筒形で、上面は凹面、直径は120~200 mm、高さは20~100 mm。重量は0.5~2kgである。表皮は区別されず、外観は濃い黄色で、光沢があり、油っぽい。無色透明の抗菌剤を付けてもよい。ペーストの色は濃い黄色で、中心に向かって薄くなり、いくつかの非常に小さいチーズアイがある場合もある。

香りは非常に強く、乳白色で、やや腐ったようなバターの匂いが強く、刺激的で鋭い匂いがする。味は塩辛く、酸味はあまりなく、低~中程度の苦味を感じる。バターを彷彿とさせる香りが強めで、バニラとナッツのほのかな香りがするが、中心部と外側の間でその香りは異なる場合がある。圧倒的な鋭さを感じさせる。後味は苦く、バターとバニラの香りがする。質感は硬く、切るのが難しく、また、より乾燥している端の方にかけて亀裂がある。手触りは均一で、非常に身が詰まっている。脂肪分が多く、水分が少ない。

最終製品の分析特性は次のとおりである。脂肪含有量:乾燥抽出物の50%以上、pH:5.1~5.4、乾燥抽出物:65%以上

(2)生産方法
本産品は、原産地呼称保護の登録簿に記載されている農場で飼育されているRubia Gallega、Pardo Alpina、Friesian種又は3種の交雑種の生乳のみを使用している。家畜の飼料は、主に当該農場で生産された物を使用し、天候が許す限り放牧で飼育する。農場外から入手する植物性の濃厚飼料は、家畜のエネルギー補給をするためにのみ使用され、可能な限り、生産地内から調達されなければならない。

牛乳には初乳も防腐剤も含まれず、関連法規の定める要件を一般的に満たさなければならない。牛乳はいかなる種類の調整も行わず、微生物の発生を防ぐために、4℃以下の温度で保存されなければならない。

チーズの製造は、以下の手順で行われる。

 ・凝固
品質マニュアルで認可された動物性レンネット又は他の凝固酵素を使用し、30~35°Cの温度で、牛乳の状態や凝固工程に応じて30~75分かけて凝固を促す。

 ・凝乳の切断及び洗浄
凝乳はトウモロコシ粒大 (直径5~10mm) に切断する必要がある。次いで、製造された製品のpHが定められた値以上になるように、凝乳の酸性度を低下させるために飲料水で洗浄を行う。

 ・成型
本産品は円筒形に成型され、その大きさは定められた重量及び寸法に適合しなければならない。

 ・圧搾
圧搾時間は、加える圧力とチーズの大きさによって異なる。

 ・塩漬け
塩漬けはタンクの中で凝乳の上で行うか、塩水に浸して行うが、その両方を行う場合もある。塩水に浸す場合、微生物学による好ましくない変化を避けるため冷蔵保存しなければならない。チーズを塩水に浸して置く時間は、24時間を超えてはならない。

 ・熟成
この工程では、相対湿度が75~90%、温度が15°C未満の施設内で行う必要がある。

熟成期間は、圧搾が終了してから6日間、塩漬けの場合は塩漬けから6日間でなければならない。熟成品の場合、熟成期間は最低6ヶ月を要する。熟成期間中、チーズは本産品としての特徴を得るために、必要に応じて裏返され、洗浄されなければならない。

製品の品質とトレーサビリティを保護するために、本産品は一般的に認可された包装に入れられたホールチーズとして販売される。ただし、製品の原産地、品質及び完全な保管を保証し、混同の可能性を回避する適切なモニタリングシステムが確立されている場合に限り、販売時のカットを含む、ポーションタイプでの販売を許可することも可能である。

〇 原産地の証明
明細書及び品質マニュアルの要求事項が遵守されているか否かを確認するために、管理機関は、畜産農場、第一購入者 (畜産農場とチーズ乳業会社の間の仲介者) 、チーズ乳業会社、チーズ熟成施設が保持する記録に依拠することができる。アルスア ウジョアの製造には、関連登録簿に登録された農家から入手した牛乳のみ使用することができる。同様に、関連登録簿に記載された乳業会社及び熟成施設で製造・熟成されたチーズのみが、本産品として保護を受けることができる。

本産品として使用の要件を満たしていることを確認するため、関連登録簿に記載された資産を保有する全ての自然人又は法人、並びに施設及びその製品は、この検査を受けることとなる。検査は、農場や施設の検査、書類の精査、原材料やチーズの分析に基づいて行われる。原料又はチーズが明細書の要件に従って入手されたものでないことが判明した場合、又は明細書との間に重大な欠陥又は不一致がある場合、本産品の名称を用いて販売することができない。本産品の対象となるチーズには、品質マニュアルに定められた規則に従って検査機関がチェックした番号付きの二次ラベルが付される。

(検査機関)
Instituto Galego da Calidade Alimentaria (INGACAL)

〇 ラベル表示
本名称で販売されるチーズは、明細書及び関連規則に適合していることが証明された後、連続した英数字コード及び原産地呼称の公式ロゴとともに、検査機関により承認・発行されたラベルを貼り付けなければならない。

ラベルには、チーズの製造に生乳か低温殺菌乳のどちらを使用したかを明記しなければならない。本産品が「de Granja」及び「curado」タイプである場合、ラベルにその旨を表示することができる。

(3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
〇 歴史的要因
本産品はGalicia地方で最も有名なチーズの一つで、Galicia地方中央部で作られているが、元々はA Coruña南東部、Lugo西部、Pontevedra wit北東部に属する自治体で作られており、地域や時代に応じて、異なる名称(例:Arzúa、Ulla、A Ulloa、Curtis、Chantada、Friol、Lugo等)が付けられていた。

1996年に農業・漁業・食糧省が発行した 「Inventario Español de Productos Tradicionales(スペイン伝統的生産物目録)」のチーズの章では、Arzúaチーズについて、その製造方法と用途等詳細な情報が掲載されている。

また、1973年の 「catalogo de quesos espanoles(スペイン産チーズのカタログ)」 や1993年の 「Alimentos de Espana-Denominaciones de Origen y de Calidad(スペイン産食品 - 原産地呼称と品質表示)」等、同省の出版物で本産品について言及されている。

〇 自然的要因
本産品の生産地の土壌と気象の条件は、自然の草地と飼料用作物の栽培に適しており、伝統的にこれら作物を栽培し、牛を飼育してきた。現在では、基本的に牛乳生産と、少量ではあるが牛肉生産を目的としている。

本農業分野における高い生産性の結果、飼料や牛肉・乳製品の製造を専門とする重要な農産業部門が設立され、その中でもチーズは主製品である。

当該地域の土壌と気象条件は、自然の草地と飼料用作物の栽培に理想的で、伝統的にかなりの数の牛を飼育してきた(現在では基本的に牛乳生産が目的である。)

〇 地理的環境とチーズの特性との関係性
本産品の生産地は、山々に囲まれた多くの開けた渓谷が特徴で、牧草地や放牧地が景観の重要な部分を形成している。当該地域はGalicia中央部に位置し、そのほとんどが海抜300m以上に位置しているため、標高の高い地域となっている。Galicia地方中央部では、平均気温は12°Cをわずかに下回る程度で、年間降雨量は約1,200~1,700 mmで、本生産地域は、総じて、恒久的な草地、牧草地、及び豊富な雨量を必要とする家畜の食事に不可欠な様々な作物に理想的な環境である。

この独自の環境が、様々な形で本産品の特徴に寄与している。
(a) まず、当該地域の湿潤で温暖な条件に適した在来種の牧草(Timothy grass、creeping soft grass、fescue grass、ray grass)と豆類(lotus、clover、medick)からなる豊富な高品質飼料の生育に有利な環境である。

(b) さらに、牛乳は、小規模な家族経営農場において、伝統的な家畜管理方法を用いて生産されている。現在でも在来種が大きな割合を占めており、飼料は主に農場で生産される飼料で、天候が良ければ放牧でも補われる。

濃厚飼料は、通常の飼料が不足した場合に限り、牛のエネルギー需要を補うために購入される。このように、可能な限り、飼料は生産地から供給されている。外部から購入するものを最小限に抑えるという伝統的モデルによって、小規模家族経営農場の経済的な存続が支えられている。

これらの農場の特徴は、チーズ作りに最適な牛乳を生産していることである。牛が牧草を食べれば食べるほど、栄養学的に有益な脂肪の含有量が増加し、チーズの品質に影響を与えるため、このようなより自然的な生産システムと牛の飼育方法は、CLA (共役リノール酸)含有量とその脂質中のオメガ3脂肪酸の含有量を増加させることによって、牛乳の栄養品質を向上させるということが科学的に証明されている。

(c) 最後に、当該地域の農家は、本産品を製造する長い伝統を受け継いでおり、本産品がもつ独自の特徴は、地元の市場以外でもすぐにそれと識別することができ、消費者の間で十分な名声を得るのに役立っている。本産品は、地域のコミュニティにおいて、当該地域に豊富にありながら寿命の短い食料である牛乳を保存する必要性から生まれたものである。その保存の目的には2つあり、1つには自給自足である。もう1つには、より長持ちし、輸送しやすい価値のある製品を作ることで、家族に収入をもたらすということである。他のチーズ生産地とは異なり、Galicia地方中央部近郷は飼料栽培に理想的であり、牛乳の生産量は1年を通して保証されており、供給が不足する時期が長くなることはない。それが、チーズの製法が約1週間という短い熟成期間を基本とする傾向となった理由である。これは、本産品が市場に輸送されるために必要な硬さの表皮を作り出すために必要な時間であり、クリーミーさ、高い水分量、ミルクの芳香と風味といった最高の品質を享受するためには、製造後3~4週間以内に消費しなければならないことを意味した。これらの特徴は、凝乳を5~10mmと非常に小さくカットし、あまり強く水切りしないようにする製造工程に関係している。この技術では、ペーストの乳成分含有量が高いために、非常に酸味の強いチーズになりかねない。しかし、地域で生まれた機転により、近隣のチーズ生産地域では前例のない、凝乳を洗浄するという方法でこの問題を解決し、さらにチーズを腐らせてしまう望ましくない二次発酵を避けることができるようになった。

また、牛乳生産の季節性を克服した。即ち、夏場の牛乳不足やチーズ製造の品質低下の問題を解決するために、秋から冬にかけて余った牛乳で本産品を作り、6ヶ月以上の長期熟成を行うという工夫が考え出されたのである。これにより、農村地域に住む人々は、畑仕事で体力を消耗する夏場に、エネルギー価の高い栄養食品を食べることができるようになり、大変喜ばれた。

このように生産地は、その場所とその時代の状況に非常に適した種類のチーズの生産に特化していた。農家は毎日の余った牛乳からチーズを作り、地元の定期市で毎週、隔週、又は毎月販売していた。
7 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -
8 公示の年月日  令和5年1月12日
9※ 意見書提出期間
(公示開始日から3か月間)
 令和5年4月12日まで
※縦覧及び意見書提出についてはこちら

お問合せ先

輸出・国際局知的財産課

担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234
FAX番号:03-3502-5301