指定前の公示(第151号)
更新日:令和5年1月12日
担当:輸出・国際局 知的財産課
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の名称について、指定前の公示をしたのでお知らせします。 |
Melocotón de Calanda(メロコトン デ カランダ)
1 | 指定前の公示の番号 | 第151号 |
2 | 指定をした場合に締約国の名称として公示されることとなる国の名称 | 欧州連合 |
3 | 農林水産物等の区分 | 第1類 農産物類 果実類(桃) |
4 | 農林水産物等の名称 | Melocotón de Calanda(メロコトン デ カランダ) |
5 | 農林水産物等の生産地 | スペイン アラゴン(Aragon)自治州の東、テルエル(Teruel)州とサラゴサ(Zaragoza)州の間に位置する次の市町村。 Aguaviva、Albalate del Arzobispo、Alcañiz、Alcorisa、Alloza、Andorra、Arens de Lledó、Ariño、Berge、Calaceite、Calanda、Caspe、 Castelserás、Castelnou、Castellote、 Chiprana、Cretas、Escatrón、Fabara、Fayón、Foz-Calanda、Fuentespalda、Híjar、Jatiel、La Fresneda、La Ginebrosa、La Puebla de Híjar、Lledó、Maella、Más de las Matas、Mazaleón、Mequinenza、Molinos、Nonaspe、Oliete、Parras de Castellote、Samper de Calanda、Sástago、Seno、Torre de Compte、Urrea de Gaén、Valderrobres、Valdeltormo、Valjunquera |
6 | 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 | (1)特性 メロコトン デ カランダは、Prunus persica Sieb.種及びZucc.種で、Amarillo tardío(晩成黄色)として知られる在来の新鮮な果物であり、Jesca種やEvaisa種、Calante種といった伝統的品種と、少なくとも片親が在来種の交配品種から得られ、樹上で果実に袋を被せる伝統的手法を使って得ることができる。 保護品種 本産品は、この地域の在来種Amarillo tardíoのみから得られるものであり、伝統的品種 Jesca種、Evaisa種及びCalanteと、少なくとも片親が在来種の交配品種から得られたものであることが条件である。 産品特性 本産品は、青果にかかるCOMMISSION REGULATION (EC) NO 2200/96、(EC) NO 2201/96及び (EC) NO 1182/2007の施行規則を定めた2007年12月21日付COUNCIL REGULATION (EC) NO 1580/2007に定められた桃の品質基準に規定されているExtraクラス又はIクラスに該当し、また、以下の要件も満たす必要がある。 ・外観 無傷で、健全かつ清潔であり、目に見える異物がなく、湿気がなく、異臭や異味がないこと。樹上で果実に袋を被せなければならない。 ・色 クリームイエローからストローイエロー、場合によっては赤みがかっている。非常に淡いアントシアニンの斑点や縞模様がある場合もある。緑色やオレンジがかった黄色は熟し過ぎていることを示している。 ・サイズ 直径:73 mm以上(品質規格のクラスAAに相当) ・硬度 圧力に対する抵抗力(単位:kg/0.5 cm²):3 kg/0.5 cm²以上 ・糖度 Brix値:12°以上 (2)生産方法 〇 製造工程 全ての生産工程を、生産地で行われなければならない。 〇 製品の切分け、切削、包装 過剰な取り扱いや、適切に準備・包装されていない状態での輸送によって本産品が損なわれることを防ぐために、生産地内で出荷に向けて準備・包装されなければならない。本産品は、袋掛けによって樹上で慎重に手入れされた果実であり、その官能的品質特性が最良となる熟度に達した時点で収穫されるので、輸送又は貯蔵のための追加作業は、定められた外観及び色に悪影響を及ぼす可能性がある。 したがって、産品の特性を維持し、品質を保護するためには、生産地内での包装が必要であり、同時に、最終消費者に出荷されるまで、単一の管理システムを通じて産品のトレーサビリティと原産地を保証することが必要となる。本産品は、果実の完全性が保証されていることを条件に、1層又はそれ以上の層のある容器に入れて販売することができる。容器又はトレイは1回だけしか使用できない。 〇 ラベル表示 適合証明書を取得した生産場・包装工場は、包装のラベルに本名称の文字を記載し、番号を付した二次ラベルとともに表示しなければならない。この二次ラベルは証明書の役割を果たすものであり、販売時に産品を追跡することができる。 (3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由 〇 地理的地域の特性 歴史的要因 本産品の生産に関し認可された品種は、生産地の在来種であり、生産者の介入による自然淘汰によって得られたものである。生産者は、生産地の地理的条件に最も適合するクローンを長い時間をかけて選抜してきた。中世の文献によると、アラゴンでは桃はpresec又はpriscoと呼ばれており、カランダ地方では現在もこの名前で呼ばれている。1895年、植物学者のJ.Pardo Sastrónは、当該地域に桃の木が豊富にあることと、1867年のパリ万博にCalandaからOrejones (天日干しされた桃の薄切り) が送られたことを記録した重要な著書を出版した。1933年版「Enciclopedia Universal Ilustrada (Espasa-Calpe)」 の 「Calanda」 という項目でも、Teruelのこの地域における桃の木の重要性とOrejonesの生産について言及されている。1953年の公式統計によると、カランダの缶詰工場は地元の桃を4,000箱分、シロップ漬けの桃に加工している。 歴史的な記録によると、メロコトン デ カランダという名前が定着し始めたのは1940年代のことで、作物の重要性が増し、地中海ミバエ (Ceratitis capitata)対策が問題になると、生産者たちは果物を害虫から守るために袋掛けを始めたとされている。1960年代の果樹業界の出版物にメロコトン デ カランダが掲載されるようになり、1970年代にはLéridaで開催された 全国農業博覧会で数々の賞を立て続けに受賞した。1980年の初めには、メロコトン デ カランダの名称を原産地呼称として保護することが初めて提案され、MercamadridやMercabarna等主要な国内市場の統計では、メロコトン デ カランダは地理的名称で識別されるようになった。 自然的要因 メロコトン デ カランダが生産されている地域は、イベリア山脈の麓から流れ出るMartín川、Guadalope川及びMatarraña川の河谷を占め、これらの河川はアラゴン州下部地域を流れてEbro川に注いでいる。そのため、この地域はEbro窪地の南東部に位置している。 土地は平坦でわずかに起伏が有り、標高はCaspeで122m、Alcañizで325m、Calandaで466mである。地形は主に平板状であり、河川網によってさまざまな大きさに分断されている。土壌は石灰質で炭酸塩層と石膏層があり、中新世の高温で乾燥した気候の中で湖が堆積して形成された特徴的なものである。年間平均降水量は、Caspeの327.9mmから、Albalate del Arzobispoの361.1 mm、Alcañizの367.9mmまでと幅がある。5月と10月が最も雨の多い月であり、季節ごとの降水量の分布は春27%、夏20%、秋34%、冬19%である。年間平均気温はAlbalate del ArzobispoとAlcañizで約14.3℃、Caspeで15℃で、これらはEbro渓谷中央部の最高気温である。平均最高気温はAlcañizで19.9℃, Albalate del Arzobispoで20.1℃、Caspeで20.6℃、一方、平均最低気温はそれぞれ8.8℃、8.5℃、9. 3℃である。平均気温が最も高いのは7月で、Alcañizで24.2 ℃、 Caspeで25.1℃である。一方、最低気温は1月で、Alcañizで5.6 ℃、 Albalate del Arzobispoで6.7 ℃である。これらのデータから、年間平均気温の振幅は18℃以上と大きく、大陸性の気温条件であることが分かるが、これは基本的に当該地域がEbro窪地の中心に位置していることに起因する。3月から10月にかけて最高気温が25℃を超えることがあるが、とりわけ5月は月の半分で25℃超えし、10月には5~10日程度25℃に達することが多い。夏の日中気温は25℃以上で、平均最高気温は35℃を超える (7月にはAlbalateとAlcañizで37.2 ℃、Caspeでは38.3 ℃まで上がる)。 また、この地域の気候のもう一つの特徴として、逆転層(温度の逆転)が挙げられる。高気圧に覆われる冬には、寒気が下層に沈みこみ最高気温が6℃以下で冷たい霧が長く続くが、霧のない高地では最高気温が15℃以上に達する。 〇 産品特性 栽培条件 植物新品種保護国際連合 (UPOV) の定める基準による形態学的及び品種識別の特性は、 Amarillo tardío個体群に属する全ての品種で非常に類似している。しかし、健康状態、生産性及び果実の大きさや形に関して差異があり、1980年にはこれらの特性を改善するためクローン選抜が行われた。これらの品種の他の特徴としては、熟す時期が8月中旬から11月上旬と遅く、色が黄色で、果肉が硬いことが挙げられる。 生理学的には、Amarillo tardío個体群は、冬の休眠を破るために年間1,000時間以上という長時間の低温を必要とする品種で構成されている。また、熟成周期が非常に長いため、完熟には長い夏を必要とする。 UPOVのガイドラインによると、形態学的特徴は次のとおりである; ・樹種 樹勢が強く直立性で、 Red Haven 系の強い枝を持つ。花芽は他の品種とは異なり、勢いのある混合枝ではなく、小枝上の弱い新芽に形成されるため、この品種は他とは別の剪定を行う必要がある。 ・葉 大型で、葉柄に連珠状の蜜腺がある。葉は晩秋に落葉し、特徴的な黄金色で、樹上に長く留まる。 ・花 開花はやや遅く、 Red Haven よりやや遅いが、3月末までには開花する。蕾の密度は高く、開花は12~18日ほど続く。花弁は大きく丸みを帯び、淡いピンク色をしている。雌しべの柱頭は雄しべの葯の高さと同じである。 ・果実 サイズ:直径73 mm以上、重さ200 g以上の大玉から超大玉。 色:クリームイエローからストローイエローで、果実に被せる紙袋によって保護されて育つため完全に均一であるが、わずかなアントシアニン色素の着色が見られることもある。果実には淡い軟毛があり、果肉は非常に堅く、完全なる黄色で、アントシアニンの着色はなく、種に接している部分にも付着はない。種は卵形で、果実に比べて小さい。 〇 地理的地域と製品の品質又は特性との間の関連性 木質系作物の場合、気候条件が果実の品質に及ぼす影響はよく知られている (Terroir(テロワール)の概念) 。特定の地域における気象パターンや、同じ場所での対照的な年差は、気候が収穫物の品質を決定する上で非常に重要な役割を担っていることを示している。 果実の主要な官能的要因の程度を決定するのは主に温度である。桃の栽培面積の大部分(95%)は灌漑されているため、極端な条件を除けば、降水量 (水不足) よりも気温の方が桃の生産に大きな影響を与える。アラゴン下部地域における在来種の晩生桃品種の開発とその後の栽培を促進した主な気候要因は、生産地の冬の気温であり、これらの非常に要求の厳しい品種に対し、休眠(落葉時期から開花直前まで)を打破するために必要な低温時間(CH)を与えている。生理学的には、Amarillo tardío個体群品種は、冬の休眠を破るために年間最低1,000時間という長時間の低温を必要とする品種である。アラゴン下部地域においては、11月から、12月及び1月の間に蓄積される低温時間が、作物が要求する最大要件を十分に満たしているのである:当該地域の低温時間は950時間を超えている。 さらに、開花時や結実時の気温は、果実の数と花芽の正常な発達のために0℃以下になり過ぎてはならず、したがって、果実の潜在的な大きさは、開花後の気温、より具体的には満開 (F2) からF2+40日までの気温に直接関係する。最高/最低温度が9 /3℃から25/15℃に上昇すると、細胞の増殖は8倍になることが明確に証明されている(Warringon et al., 1999)。しかし、寒冷な気候になると、細胞の数は減り、小さくなってしまうため、最終的な果実の大きさが制限されることになる。 もう一つの重要な要因は、これらの品種の生長と生殖の発達を完了させるために、サイクル全体、特に9月と10月に適切な温度を保つことである。アラゴン下部地域では、3月から10月にかけて最高気温が25℃を超えるが、これは25℃を超える日が半分以上ある5月から、5~10日ほどとなる10月までの間に多くみられる。夏の日中気温は25℃以上で、平均最高気温は35℃以上である (7月にはAlbalateとAlcañizで37.2 ℃、Caspeでは38.3 ℃まで上がる)。 この地理的条件下での年間を通じての気温のおかげで、長いサイクルを持つ桃の Tardío amarillo de Calandaは生長と生殖の発達を完了させることができる。 したがって、冬の気温は休眠打破に必要な低温時間を与える一方で、成長サイクル(3月~11月)の間は温暖な気候が長く続くため、これらの品種は非常に高品質の果実を生産することができるのである。 Alcañizにあるアラゴン政府の試験農場で行われた、個体群品種Tardíos amarillos de Calanda(Jesca、Calante及び Evaisa)のクローン選抜の評価試験の結果、原産地では、 4年間(2000~2004年)にわたり、Brix14°以上で、大きくてしっかりした果実が生産され、これがこの桃の最も優れた特性となっている。メロコトン デ カランダの生産が認可されている品種は、Tardío amarilloに属する。この個体群は生産地固有のもので、最初は最も優れた農業的特性を持つ樹木の果実の種から成長した樹木を何世紀にもわたって自然淘汰によって得られたものである。その後、長い時間をかけて、生産者が当該地域の土壌や気候条件に最も適したものを繁殖させ、本物の「個体群品種」を作り上げた。 1980年、アラゴン政府の農業研究・普及局は、本産品として販売されている製品の品質向上と標準化を目指し、Tardío amarillo個体群のクローン選抜及び衛生的選抜を開始した。そのため、本産品の生産地では、研究者はTardíos amarilloの個体群品種をよく代表し、最も優れた農業特性を有し、最高品質の果実を生産するクローンを探し出した(Espada et al., 1991)。この初期選抜の結果、次の品種がスペイン植物品種局 (Ministry of Agriculture) に登録された;Jesca(登録番号1989/2450)、Calante (登録番号1989/2447)、 Evaisa(登録番号1989/2449) である。これらは現在、メロコトン デ カランダ生産の基礎となっている。 〇 結論 伝統的品種であるJesca、Evaisa及びCalanteと、在来種を少なくとも片方の親とする交配種を用いて栽培される個体群品種 Tardíos amarillos de Calandaは、その起源である当該地域の環境に適応した賜物なのである。 |
7 | 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 | |
(1)商標権者の氏名又は名称 | - | |
(2)登録商標 | - | |
(3)指定商品又は指定役務 | - | |
(4)商標登録の登録番号 | - | |
(5)商標権の設定の登録の年月日 | - | |
(6)専用使用権者の氏名又は名称 | - | |
(7)商標権者等の承諾の年月日 | - | |
8 | 公示の年月日 | 令和5年1月12日 |
9※ | 意見書提出期間 (公示開始日から3か月間) |
令和5年4月12日まで |
お問合せ先
輸出・国際局知的財産課
担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234
FAX番号:03-3502-5301