このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

指定前の公示(第152号)

更新日:令和5年1月12日
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の名称について、指定前の公示をしたのでお知らせします。

Queso de Valdeón(ケソ デ バルデオン)


1 指定前の公示の番号  第152号
2 指定をした場合に締約国の名称として公示されることとなる国の名称  欧州連合
3 農林水産物等の区分  第6類 畜産加工品類 酪農製品類(チーズ)
4 農林水産物等の名称  Queso de Valdeón(ケソ デ バルデオン)
5 農林水産物等の生産地  スペイン
 
 Posada de Valdeón(León県)の自治体
6 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1)特性
ケソ デ バルデオンは、生乳又は低温殺菌された牛乳、あるいは牛乳と羊乳・山羊乳両方との混合乳、もしくは牛乳と羊乳か山羊乳のどちらかとの混合乳を原料として、乳酸と酵素凝固法で作られる全脂肪のブルーチーズである。生乳から作られたチーズは少なくとも2ヶ月熟成され、低温殺菌された乳から作られたチーズは1ヶ月間熟成される。市販されているのは、ホールタイプ又はクリームタイプである。

〇 ホールチーズの特徴
形態的特性
円柱状で、上面と下面がわずかに凹んでいる。
最大高さ:15 cm、最大直径:25 cm。
重量:0.2 kg~3 kg。
ポーションタイプで販売することも可能である。

物理的・化学的特性
脂肪含有量:乾物量の45%以上
最小含水率:30%以上
塩分:3.5%以下

官能的特性
表皮は自然の状態で、薄く、軟らかく、黄色がかった灰色をしている。切り口は滑らかで、大小の不規則なチーズアイが均等に多数あり、緑がかった青色の外観を呈する。チーズ本体は象牙色からクリーム色を呈しており、熟成度に応じてかすかな光輪が見られる。弾力性は低く、脆く、硬度は低く、柔軟性は中程度で、口溶けが良く、溶解性があり、粘着性は低い。チーズが半熟の時は、ほんのりと酸味や乳酸を感じ、独特のカビの香りが感じられる。熟成が進むと、乳酸の香りは消え、香りはより持続的で強くなり、カビの香りは残るものの、スパイシーでフルーティー、そして芳醇な香りが広がる。風味は強く、塩辛く、ピリッとしていて、軽い情熱的な刺激があり、熟成が進むにつれて、さらには山羊や羊の乳を使用した場合、その傾向はより顕著になる。この風味は特に熟成したチーズでは顕著に持続する。

〇 クリームチーズの特徴
形態的特性
正味量20 gから6 kgで容器に入れて販売される。
正味量が1.5 kgから6 kgの場合は、飲食店、小売チェーン店及び工場のみを対象とする。
クリームタイプのチーズは完全に均質で、表皮は含まれていない。

物理的・化学的特性
脂肪含有量:乾物量の45%以上
最小含水率:30%以上
塩分:3.5%以下

官能的特性
クリームはアイボリーホワイトに緑がかった青色の色調を呈しており、光沢はあまりない。クリームは粘着性があり、温かくなるにつれますますその傾向は強まり、バターのような中程度の粘度となる。香りは弱酸性又は乳酸性で、強く、持続的なカビの香りがする。クリームは口溶けが良く、溶解性があり、中程度の粘着性をもつ。風味は強く、ピリッとしていて、山羊や羊の乳を使うと風味がより強くなる。軽い情熱的な刺激感を伴う強い塩味がある。その味が口の中に長く残る。

(2)生産方法
〇 原材料
異なる種類の乳を混合する場合、凝固槽における最小分析値は以下のとおりである。
 ・脂肪: 3.5%
 ・タンパク質: 3.1%
 ・乾物量: 12.0%

生乳から作られたチーズでは最低2ヶ月、低温殺菌された乳から作られたチーズでは最低1ヶ月熟成される。

〇 製造工程
熟成を含むチーズの製造工程は、生産地内で行われなければならない。
 ・本産品は、検査の対象となる登録されたチーズ乳製品工場及び熟成工場で製造されたものでなければならない。
 ・チーズ乳製品工場及び熟成工場は、登録前に初期評価が行われ、また、その後も定期的に評価を行い、登録の要件を満たしていることを確認しなければならない。
 ・本産品は、生産方法に従って製造されたものでなければならない。
 ・所定の全ての検査に合格したチーズのみが、地理的表示を特定するラベルにより認証された原産地保証とともに販売される。
 ・定期的な検査及び評価には、凝固槽に入れた時の乳の分析、製造方法の検査、書類の検査、在庫の検査、製品のサンプリング及び検査を含まなければならない。
 ・全ての事業者は、以下を特定できなければならない。
(a) 受け取った全ての乳の供給者、数量及び原産地;
(b) ラベル付きの全てのチーズの受取人、数量、仕向地;
(c) (a)で定める受け取った乳と(b)で定めるラベル付きチーズの各まとまりとの関連性。

〇 ラベル表示
ケソ デ バルデオンは、包装され、かつその原産地が特定できることを条件に、ホールタイプ、ポーションタイプ又はクリームタイプで販売することができる。本産品の販売に使用される販売用ラベルには、本産品の名称及びロゴを付さなければならない。

ホールタイプ又はクリームタイプで市販されるチーズには、それぞれ独自のシリアル番号が付いた二次ラベルを貼付しなければならない。この二次ラベルには、本産品の名称及びロゴを表示しなければならない。

ポーションタイプで販売されるチーズのラベルには、チーズの原産地を特定する参照事項とともに、本産品の名称及びロゴを表示しなければならない。

ラベル及び二次ラベルは、市販される前にチーズ及びクリームチーズの容器に貼付しなければならない。

本産品のロゴは次のとおりとする。

ケソ デ バルデオンラベル画像

(検査機関)
Instituto Tecnológico Agrario de Castilla y León (Castile and Leon農業技術研究所)

(3)農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
生産地と本産品の関係は、当該地域の気候特性や、伝統的な製造方法、本産品の評判等、様々な要素に基づいている。

ケソ デ バルデオンという名称は、Picos de Europa国立公園内に位置するPosada de Valdeónという自治体に由来している。当該地域は、自然の障壁に囲まれており、明確に地域を定義している。Panderruedas Pass(1,450m)やPontón Pass(1,311m)、Pandetrave Pass(1,562m)がその具体例である。高山の間には平均標高650mの深い窪地が広がっている。当該地域の気候は、山岳気候として分類される。冬は長く寒く、頻繁に霜が降り (11月から4月の間に100日以上)、降水量は多く、しばしば雪となる。夏は短く涼しい(最低平均気温約5~6℃、最高気温18℃)。降水量は多いが、その期間は1年のうち降水の無い期間よりは短い。夏は霧が発生するため、相対湿度は高く保たれる。年平均降水量は渓谷で1,100mm、山頂で1,800mmである。

歴史的に見ると、これらの要因は、当該地域にある洞窟の存在と相まって、チーズの熟成に関連するある特別な特徴を生み出す結果となった。これらの特徴は、山岳地帯であることから得られる原料に由来する。当該地域の特異的な微気候と伝統的な製造方法は、本産品の特徴である微生物叢の発達を促すのである。

本産品の特性は最初から明らかである。ブルーチーズであるため、当該地域で生産されている他のチーズとは異なる外観をしているが、この特徴は、チーズをカットした時の切り口において特に顕著で、大きさの異なる緑がかった青色のチーズアイが見られる。本産品は当該地域の熟成庫である洞窟の条件を再現して、低温・高湿の中で熟成される。このことは、目に見えるカビの存在や、チーズの香りと風味にあらわれている。19世紀から20世紀初頭の様々な文献において、このような生産条件のもとで本産品が職人の手によって生産されていたことが証明されている。Valdeon渓谷では現在、何世紀にもわたって使われてきた製造方法と同様の製造方法と、新しい技術を取り入れた製造方法の両方で製造している。ただし、ここで言及されている証言で述べられている製造工程の基本原則は、今でも明確に適用されている。

Valdeon渓谷でのチーズの生産は、ローマ時代以前に遡り、その当時は山羊の乳が原料として使われていた。Valdeon渓谷でのチーズ生産に関する最初の文献は、19世紀半ばに遡る。Pascual Madozは、彼のDiccionario (1845-1859) の中で、チーズの生産とValdeon渓谷の村々におけるチーズの生産と山羊の生息数に言及している。19世紀後半には、Valdeon渓谷ではチーズの生産が重要な活動となっていた。夏の間に家畜が高台の牧草地で放牧されると、その乳は羊飼いの小屋で直接チーズにされたり、谷に運び下されたりした。Saint-Saud伯は1892年に次のように証言している。
「バルデオンのたくましい若い女性たちは、朝夕、靴底に3つの木のブロックを取り付けた木靴(クロッグ)を履いて、山羊皮でできた袋を携帯する。そのぶどう酒を入れるための皮袋には、登る時には食料を、下る時には、山の上でとれた羊の乳をいっぱいに入れて運んでいる。」

20世紀初頭から、Valdeon渓谷でブルーチーズを製造し、地方市場で販売することが重要な活動であったことを示す証言は数多くある。その中でも、Marmeta Perez Marcosの次の証言は特に重要である。
「私の家族全員がCaín出身で、私も1922年にCaínで生まれた。私の両親は先祖からその製法を受け継ぎ、つい最近まで私も同じようにやっていた。仔山羊のレンネットを加えて1日50~60リットルの乳を凝固させ、1kg強のチーズを作るのである。それをロバで、50km以上離れたPuente Almuheyの市場まで運んでいた。戦争直後は、チーズは1kgあたり36ペセタで売れていた。戦争が終わってから、Arenas de Cabralesにチーズを売りに行くようになった。チーズは山羊と羊の乳に少量の牛乳を加え、さらにレンネットを添加し、凝乳が形成されたら、arno(チーズの型) に入れ、duerna(桶)に入れ、数日かけてホエー(乳清)を出す。それから、それを取り出し、農作業小屋の板の上に置いて乾燥させると、15日ほどで完成する。しかし、良質なブルーチーズを手に入れるためには、洞窟に持ち込む必要があり、1ヶ月後、チーズは素晴らしいものとなった。」

7 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -
8 公示の年月日  令和5年1月12日
9※ 意見書提出期間
(公示開始日から3か月間)
 令和5年4月12日まで
※縦覧及び意見書提出についてはこちら

お問合せ先

輸出・国際局知的財産課

担当者:地理的表示保護担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-0234
FAX番号:03-3502-5301