このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

指定前の公示(第75号)

更新日:令和2年7月7日
担当:食料産業局 知的財産課
下記の名称について、指定前の公示をしたのでお知らせします。

Baranjski kulen(バラニュスキ クレン) 


1 指定前の公示の番号  第75号
2 指定をした場合に締約国の名称として公示されることとなる国の名称  欧州連合
3 農林水産物等の区分  第6類 畜産加工品類 食肉製品類(ソーセージ類)
4 農林水産物等の名称  Baranjski kulen(バラニュスキ クレン) 
5 農林水産物等の生産地  クロアチア

 バラニャ(Baranja)
 クロアチア北東部にある地域で、ドラヴァ(Drava)川下流と同河川がドナウ(Danube)川と合流する地点の北側にある。ドラヴァ(Drava)川は南側のスラヴォニア(Slavonia)地域との自然境界線であり、そしてドナウ(Danube)川によって東側にあるセルビアとクロアチアが分かれている。バラニャ(Baranja)の北と北西はハンガリーと隣接している。
 バラニャ(Baranja)には都市が一つと(Beli Manastir)と8つの行政区画がある(Bilje、Čeminac、Darda、Draž、Jagodnjak、Kneževi Vinogradi、Petlovac、Popovac)。

6 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1) 特性
 バラニュスキ クレンは、圧搾された豚肉をパプリカ粉、ニンニク、胡椒で味付けをし、豚の大腸(バラニャ地域では通称「katica」と呼ばれる盲腸)に一杯に充填し発酵させた保存ソーセージである。
 バラニュスキ クレンは、楕円形で歯ごたえがあり、表面に目で確認できる傷や染みがなく、かつ、ケーシングに過度なカビの跡がない。形状はケーシングによって決まり、ケーシングには具を一杯に詰めなければならない。最終製品の重量は0.80kg以上である。具に8mmで挽いた肉を全て使用するため、横断面は均一的な見た目となる。具に使用する材料が全て均一に混ぜられ、詰められるため、横断面には穴や割れ目が見えない。
 外側は薄茶色からこげ茶色をしており、横断面は、パプリカと挽肉の影響により薄い色合いから濃い色合いの赤色である。香りは、冷燻法で燻製した肉製品特有のスモークの香りが顕著に感じられる。風味は若干ピリッとしているが、これはパプリカ粉を加えていることと、燻製発酵させた肉の特徴的な香りをニンニクと胡椒が補完していることによるものである。

◯ 化学組成
 熟成工程終了時点におけるバラニュスキ クレンの化学組成は次の通りである。
 水:40%以下
 タンパク質:29%以上
 脂肪:25%以下

(2) 生産方法
◯ 原料
 バラニュスキ クレンの原料(肉と脂肪の比率は9対1)は、成熟した雌豚(カテゴリーK)と重い最終体重まで飼育された子豚(カテゴリーT2)から得る。
 具に使用する肉の80%以上は、カテゴリー1のもも肉および腰肉の筋肉から骨を取り除いて確保し、残りの20%は、カテゴリー2の肩から得る。カテゴリー3の肉は使用できない。それらの全ての肉の皮と皮下脂肪、軟骨部、大血管、神経、筋ばった腱、柔らかい内臓脂肪、残留血液を取り除く。
 使用する豚肉と脂肪、香辛料・調味料は、生産地で生産してもよいが、必ずしもそうする必要はない。

◯ 生産工程
 原料の温度調整工程、具の準備、ケーシングへの充填、仕上げ、発酵、熟成の全生産工程を生産地内で行う。

(3) 農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
 バラニュスキ クレンの保護はその評価が土台になっている。
 バラニャ(Baranja)のクレンに触れている最も古い文書は、『Hrvatski narodni običaji, pjesme i pripovijetke iz Pečuha i okolice』(1986年、p.53、p.57)など、クロアチアの民俗学者で作家のNikola Tordinac(1858-1888)による作品に遡る。1880年代の同氏の作品に、バラニャ(Baranja)出身のクロアチア人と彼らの伝承に関して非常に広範な説明があり、クレンにも特別に紙面が割かれている。
 バラニャ(Baranja)に住むクロアチア人の古くからの民族的伝統はまた、ブドウ栽培、ワイン作り、そしてバラニュスキ クレンの生産とも深い関わりがある。これについては、民俗学者のĐuro Franković of Pécsの作品に多くが書かれている。バラニャ(Baranja)に住むクロアチア人の民族的伝統に関する同氏の説明に、昔ながらのクレン作りの伝統とバラニャ(Baranja)のブドウ畑でのブドウの豊作を願う儀式でのその役割が書かれている(Đuro Franković『Sveti Vinko (22. siječnja)』、Hrvatski glasnik - ハンガリーにおけるクロアチア人コミュニティの週刊紙、2007年1月18日、p.9)

 保存用の肉製品の組織的な生産の始まりは、18世紀末まで遡ることができる。バラニャ(Baranja)のカラナック(Karanac)(当時はハンガリー南部)にあるGeza Barnasという精肉店の店主が豚肉によるさまざまな珍味の生産を始めた。GezaはJovan Berisavljevićと長兄のLajos Gajerという2人の肉職人を他にも雇った。同氏が作った産品の中でも特に人気を集めたのが「Pannonski kulin」であった。これが、この地域で今日一般的になっているバラニュスキ クレンの原形である(Davorin Taslidžić and Andrija Bognar『Poveznice obzorja (povijest u doticaju)』2009、p.160)

 第二次世界大戦以降、バラニュスキ クレンのほとんどが、Beli ManastirにあるPZ Baranjka農業協同組合のBelje食肉加工工場にて生産されてきた(『Objektiv 25』Belje - 農業・産業事業協同組合の会報、1977年3月31日、p.5)。当時、バラニュスキ クレンの製法は営業秘密だと考えられ、生産は熟練の肉職人であるRadivoj Vukovićが管理していたと、同氏の息子であり同氏の跡を継ぎ自身が引退するまで伝統を守ったMiroslav Vuković博士は述べている。Radivoj Vukovićは、Beli Manastirの食肉処理場で働いていた時に当時のカラナック(Karanac)出身のソーセージを製造していた肉職人から「Pannonski kulin」の製法を聞き出した。Radivoj Vukovićは同じ製法を続けたが、当時、同地域における他の生産者が「バラニュスキ クレン」とよく呼んでいたため、名称を「バラニュスキ クレン」に変えた。よって、元来の名称である「Pannonski kulin」は使われなくなった。現代まで語り継がれている逸話によると、バラニャ(Baranja)の全生産者が各々のクレンを実は全く同じ方法で生産していたことに気付くまでRadivoj Vukovićはその製法を施錠して保管していたと言われている(公証人が署名・認証する、獣医のMiroslav Vukovićによる2010年の証言)。

 バラニャ(Baranja)のクレン生産者らは、ハンガリー南部のサラミソーセージの生産者による影響から胡椒を使用するようになった。サラミソーセージ生産者の技術とノウハウについて、クレン生産者らは馴染みがあり、それらを自分たちのクレンの製法に採り入れた。当時、バラニャ(Baranja)の経済は農産物が中心であり、それら農産物はオーストリア・ハンガリーの貴族階級(ハプスブルク家)が所有し、広範な交易網を利用していた。当時の欧州市場へのアクセスがきっかけで、バラニャ(Baranja)のクレン生産者らは胡椒を容易に入手できるようになった。これがおそらく、バラニュスキ クレンで胡椒が使用されてきた理由である。

 バラニュスキ クレンは1980年代、クロアチア東部でのクレン生産者、いわゆる「kulenijade」らの間での品評会の始まりにより特に人気を集め、品評会は今日も盛大に催されている。バラニャ(Baranja)のクレン生産者は頻繁にそれらのイベントで最も高い評価を受けている(『Tražimo najbolje proizvođače kulena』Vinkovačke novosti、1981年2月13日、p.8/『Kulen – još uvijek najbolji u tradicionalnoj tehnologiji』Vinkovačke novosti、1981年7月3日、p.12)。農工業の複合企業である旧Belje(現在のBelje d.d.)は国際見本市に(伝統的な製法を用いて作り、昔の名称で販売していた)この産品を出品し、メダルを受賞している(『Bitka za tržište i plasman』Belje - 農業・産業事業協同組合の会報、1988年4月30日、p.7)。

 バラニュスキ クレンを食べた多くの人が、その特性はバラニャ(Baranja)地域に関係していると考えている。これは、1,000人が回答した調査によって証明されている。同調査では、バラニュスキ クレンを食べた回答者の77%もの人が、同産品をその発祥の地であるバラニャ(Baranja)と結び付けた回答をした(Ipsos plusによるバラニュスキ クレンの特性とその発祥地との繋がりに関する調査、2011年)。

 以上を踏まえると、バラニャ(Baranja)の人々がバラニュスキ クレンを単なる伝統的な食品以上のものだと考えていることは疑いない。彼らはバラニュスキ クレンを自分たちの文化的・歴史的遺産の一部だと捉えており、これがその評判を高めている。

7 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -
8 公示の年月日  令和2年7月7日
9※ 意見書提出期間
(公示開始日から3か月間)
 令和2年10月7日まで
※意見書提出についてはこちら

お問合せ先

食料産業局知的財産課

担当者:地理的表示保護制度担当
代表:03-3502-8111(内線4284)
ダイヤルイン:03-6744-2062
FAX番号:03-3502-5301