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農林水産省

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登録の公示(登録番号第128号)

更新日:令和5年3月31日
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の地理的表示について、登録の公示をしたのでお知らせします。

十勝ラクレット

1 登録番号 第128号
2 登録年月日 令和5年3月31日
3 登録の申請の番号 第181号
4 登録の申請の年月日 平成30年7月24日
5 登録生産者団体の名称 十勝品質の会
6 登録生産者団体の住所 北海道帯広市自由が丘6丁目4-12
7 登録生産者団体の代表者の氏名 代表 曽我 彰夫
8 登録生産者団体のウェブサイトのアドレス
9 特定農林水産物等の区分 第6類 畜産加工品類 酪農製品類(ナチュラルチーズ)
10 特定農林水産物等の名称 十勝ラクレット(トカチラクレット)、Tokachi Raclette
十勝(トカチ)ラクレット、Tokachi Raclette十勝(トカチ)ラクレット、Tokachi Raclette十勝ラクレット)
11 特定農林水産物等の生産地 北海道帯広市、河東郡音更町、士幌町、上士幌町、鹿追町、上川郡新得町、清水町、河西郡芽室町、中札内村、更別村、広尾郡大樹町、広尾町、中川郡幕別町、池田町、豊頃町、本別町、足寄郡足寄町、陸別町及び十勝郡浦幌町
12 特定農林水産物等の特性
 「十勝ラクレット」は、全国でも有数の酪農地帯である北海道十勝地域で生産された新鮮な生乳を原料とするプレスタイプのセミハード・ナチュラルチーズである。
 熟成期間中にチーズ表面を塩水で丁寧に磨くため、リネンス菌が十分に生育して、ナッツや干し草のような熟れた芳醇な香りとさわやかなミルクの香りが感じられるようになるが、ヨーロッパの「ラクレット」に比べ特有の刺激臭が抑えられており日本人の嗜好に合うさっぱりとした食味として需要者から高く評価されている。
 また、十勝地域の複数のチーズ工房がつくる「十勝ラクレット」は、1998年に開催された「第1回オールジャパン・ナチュラルチーズコンテスト」で最優秀賞、2010年には「ワールドチャンピオンチーズコンテスト(アメリカ)」のセミハード部門で銀賞を受賞するなど、国内外の様々なコンテストにおいて受賞を重ねて不動の地位を確立している 。

13 特定農林水産物等の生産の方法
(1) 原料
  ア  十勝地域の農場で生産される生乳を原料乳として用いる。
イ  動物由来のレンネット(凝乳酵素)を用いる。
(2) 製造の方法


(3)

製造は、製造行程に基づき、必ず以下の行程管理を実施する。
ア  十勝地域で取水された水によって加水し乳糖濃度を低下させる。
イ  熟成期間中の磨き工程には、塩とリネンス菌を十勝地域で取水された水に溶かした磨き液を用いる。
ウ  熟成期間は、熟成庫の温度と湿度や磨きの程度で調整を行い8週間以上とする。
出荷規格
ア  大きさは、高さ7cm程度、カット前のものは直径26cmから30cm程度で円柱状の形状とする。
イ  熟成中に上昇するpHは5.2以上とする。
ウ  塩分は1.8%程度とする。
(4) 最終製品としての形態
  「十勝ラクレット」の最終製品としての形態は、セミハードタイプのナチュラルチーズである。
14 農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
 「十勝ラクレット」の生産地である北海道十勝地域は、冷涼な気候と降雪が少ないことから稲作には適さないものの、その大地の多くが火山灰由来の水はけの良い黒ボク土で覆われているため、古くから大豆や小豆等の豆類、ジャガイモの栽培が盛んに行われており、飼料用とうもろこしなどの良質な飼料作物も得られることから、広大な農地面積を活かすことができる酪農経営が地域に根付き、現在では乳用牛飼養戸数、飼養頭数、受託乳量ともに全国一を誇っている。
 また、十勝地域は、北海道の入植以来、冷涼な気候であるため冷蔵設備の普及していない時代から乳製品の加工に取り組んでおり、多くの大手乳業メーカーのチーズ工場の創業地となっている。
 昭和54年に乳価の安定等を図るため、初めて生乳の計画生産実施が決定し、十勝地域では、昭和54年と昭和61年の2度に渡り生乳生産過剰による生乳の廃棄が実施されたため、これを契機として地域で生乳を加工して消費する機運が高まり、ヨーグルトやチーズの手造り講習会や消費拡大に向けたイベントが始まった。
 昭和59年頃から、十勝地域の酪農家の間で収益向上のために、新鮮な自家生乳を原料とし地域の気候や風土にあったチーズの一貫生産と付加価値を付けた販売の気運が高まり、平成2年には当時のフランス・チーズ原産地呼称証明協会会長のジャン・ユベール氏を招いて、フランスにおける地理的表示の現状や地域の気象や食文化に根ざすチーズ作りの技術にかかる知識の教授を受け、平成3年には、チーズ生産者らが生産振興を目的として「十勝ナチュラルチーズ振興会」を設立し、度々フランスに技術者を派遣しては、ラクレットを含むチーズの製造方法を学んでおり、チーズ工房が連携して切磋琢磨しながら地域独自のチーズ生産に取り組んだ。
 「ラクレット」という名前は、フランス語で削るという意味の「racler(ラクレ)」が由来と言われており、一般的な特性は、過熟成させないようにプレス前の乳糖濃度を加水によりコントロールすることと、熟成期間における塩水とリネンス菌での表面の磨き工程によって発現されるが、ヨーロッパの生産方法では加水や磨きに用いる水が「硬水」であることでリネンス菌の香りや風味が強く発現される。
 しかし、「十勝ラクレット」は、十勝地域で取水される良質な「軟水」を用いて標準化された加水調製や磨き工程等の生産方法により、独特の香りの発生を抑制し、過度な熟成が抑えられるため、日本人の嗜好に合うマイルドな味わいと穏やかな風味を持つ独特のラクレットの生産を可能にしている。
 また、チーズ生産者らで組織する十勝品質の会チーズ部会では、年に一度、各工房で生産した「十勝ラクレット」を持ち寄り、官能評価表を用いて相互に品質チェックを行い、「十勝ラクレット」の特性や品質の維持と向上に努めている。

15 特定農林水産物等の特性が確立したものであることの理由
 平成4年に、初めて新得町の共働学舎新得農場が「ラクレット」を上市してからは、平成5年に池田町で「ラクレット」を含めたナチュラルチーズを食べる「池田チーズの会」が結成されるなど、地元での認知が進むとともに、十勝地域に広く「ラクレット」が普及しており、断面をヒーターで加熱し、柔らかく溶けた「ラクレット」を掻き取って、茹でたジャガイモ等の温野菜やパン等にかけて食べる定番のチーズ料理の他に、様々な食べ方が提案され、外気温の低い十勝地域で好まれる新たな食文化の形成を担っている。
 「十勝ラクレット」を安定して販売する工房は、平成30年現在8か所であり、生産行程を遵守しつつも、各工房での独自の技術によって「十勝ラクレット」が提供され、平成4年に120玉であった生産量は、平成30年には約7万2千玉に至っている。
16 法第13条第1項第4号ロ該当の有無 該当しない
商標権者の氏名又は名称
登録商標
指定商品又は指定役務
商標登録の登録番号
商標権の設定の登録及び存続期間の満了の年月日(当該商標権の存続期間の更新登録があったときは、当該商標権の存続期間の更新登録及びその存続期間の満了の年月日を含む。)
専用使用権者の氏名又は名称
商標権者等の承諾の年月日
17 (11から13までに掲げる事項と明細書に定めた法第7条第1項第4号から第6号までに掲げる事項とが異なる場合)その内容
18 特定農林水産物等の写真 [128_十勝ラクレット]産品画像

お問合せ先

輸出・国際局 知的財産課

担当者:地理的表示保護制度担当
代表:03-3502-8111(内線4284)
ダイヤルイン:03-6744-2062
FAX:03-3502-5301

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