更新日:令和2年4月23日
担当:輸出・国際局 知的財産課
登録の公示(登録番号第5号)
下記の地理的表示について、登録の公示をしたのでお知らせします。 |
八女伝統本玉露
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登録番号 |
第5号 |
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登録年月日 |
平成27年12月22日 |
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登録の申請の番号 |
第12号 |
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登録の申請の年月日 |
平成27年6月1日 |
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登録生産者団体の名称 |
八女伝統本玉露推進協議会 |
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登録生産者団体の住所 |
福岡県八女市本村420-1 |
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登録生産者団体の代表者の氏名 |
会長 江島一信 |
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登録生産者団体のウェブサイトのアドレス |
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特定農林水産物等の区分 |
第32類 酒類以外の飲料等類 茶葉(生のものを除く。) |
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特定農林水産物等の名称 |
八女伝統本玉露(ヤメデントウホンギョクロ)、Traditional Authentic YAME GYOKURO |
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特定農林水産物等の生産地 |
福岡県内 |
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特定農林水産物等の特性 |
*「八女伝統本玉露」の特長(一般的な玉露との比較)
(1)生葉外観:稲わらやすまき*1等の天然資材による被覆は、化学繊維資材による被覆に比べ、被覆内の温湿度環境が茶芽の生育に好適であり、かつ、自然仕立て*2により茶芽の一つ一つに十分な養分が送られるため、鮮緑色かつ艶が生まれる。また、「手摘み」にすることで、新芽の柔らかい部分のみを均等に収穫することができ、新芽の大きさが均一化されている。
(2)荒茶*3及び仕上げ茶*4 1)外観:鮮緑色で艶があり、細くよれ、繊細かつ上品さを醸し出している。 2)香気:「覆い香*5」を呈する香気成分Dimethy1 sulfideの含有量が高く、非常に香り豊かである。 *伝統本玉露の香気成分Dimethy1 sulfideの含有量は、同産地の煎茶、玉露と比べ非常に多く、煎茶の5倍以上、玉露の約2倍であった(添付資料1(PDF:1,870KB))。
3)味:うま味成分であるテアニン等のアミノ酸を多く含み、渋味を呈する成分であるカテキン類の含有量が抑制される。そのため、浸出液の味は濃厚、「まろやか」で「こく」がある。 *伝統本玉露のアミノ酸含有量は、同産地の煎茶と比べ約4割多く、玉露と比べても約1割多かった。一方、伝統本玉露のカテキン類は、同産地の煎茶と比べ3割程度少なく、玉露と比べ1割程度少なかった(添付資料1(PDF:1,870KB))。
(3)社会的評価 八女伝統本玉露の「品質の高さ」は全国レベルで証明されているところであり、全国茶品評会の「玉露」部門において最高位である農林水産大臣賞を、平成25年を除いて平成13年から26年まで連続受賞している。さらに、産地賞は平成26年まで14年連続で受賞している。
【語句説明】 *1すまき:稲わら、葦等を粗く編んだ物 *2自然仕立て:自然の樹姿を生かした仕立て法。一般的な玉露は、収穫面を弧状にする弧状仕立て(機械で収穫を行う茶園の樹姿)を行う *3荒茶:産地の製茶工場で生葉が加工された一次産品の茶。仕上げ加工前の原料茶 *4仕上げ茶:荒茶を再製加工し、外観や香味を整えて商品として完成した茶 *5覆い香:被覆してつくった玉露などに特有の青海苔様の香り
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特定農林水産物等の生産の方法 |
〇八女市及び周辺市町の中山間地域(みやま市:大草、小田、長田、広瀬、本吉、立山、原町、甲田、重富、北関、真弓、河原内、筑後市:前津、欠塚、広川町:長延、水原、吉常、六田、小椎尾、うきは市:妹川、小塩、田篭、新川)において、下記(1)に沿って生産された生葉を、生葉生産地域内の荒茶加工場で下記(2)に沿って荒茶加工し、下記(3)に沿って福岡県内で仕上げ加工する。
(1)生葉生産方法
- 仕立て法:自然仕立て
- 被覆方法:棚施設を用いた間接被覆
- 被覆資材(天幕):稲わら、すまき等の天然資材(すまき:稲わら、葦等を粗く編んだ物)
- 遮 光 率:最終遮光率90~98%程度
- 被覆期間:16日以上(概ね20日間)
- 被覆開始時期:新芽1.5~2葉期
- 摘採方法:新芽のやわらかい部分のみを均等に収穫する「手摘み」とする
- その他:堆肥等の有機物資材を施用し、土作りを十分に行う
(2)荒茶加工方法
- 上記(1)で生産された生葉(八女伝統本玉露生葉)を原料とし、生葉生産地域内の荒茶加工場に搬入して、1)蒸熱(じょうねつ)、2)粗揉(そじゅう)、3)揉捻(じゅうねん)、4)中揉(ちゅうじゅう)、5)精揉(せいじゅう)、6)乾燥の工程を経て製茶する*6。
【語句説明】 *6 1)蒸熱:蒸気を生葉に当て、生葉内の酸化酵素の働きを止める工程 2)粗揉:蒸熱後の茶葉に熱風を当てながら揉み込み、茶葉の水分を減らす工程 3)揉捻:粗揉後の茶葉に錘をかけ、葉部や茎部の水分を均一にする工程 4)中揉:揉捻後の茶葉をほぐしつつ、熱風をあてながら乾燥させていく工程 5)精揉:中揉後の茶葉を、錘と熱をかけて針のように伸ばし、乾燥させる工程 6)乾燥:精揉後の茶葉に熱風を当てて、茶葉水分を4~5%程度に減らす工程
- これらの荒茶加工工程は、荒茶加工技術の基礎となる「手もみ」で技術研鑽を行った加工者が製茶機械操作を担当することにより、生葉の品質を維持した高品質な荒茶が生産される。
(3)仕上げ加工方法
- 上記(2)より製茶された荒茶(八女伝統本玉露荒茶)のみを原料として、福岡県内の仕上げ加工機械を有する加工場で仕上げ加工する。
(4)最終製品としての形態
- 「八女伝統本玉露」の最終製品としての形態は、仕上げ茶(玉露)である。
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特定農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由 |
- 「八女伝統本玉露」の生葉生産茶園は、八女市及び周辺市町の中山間地域(みやま市:大草、小田、長田、広瀬、本吉、立山、原町、甲田、重富、北関、真弓、河原内、筑後市:前津、欠塚、広川町:長延、水原、吉常、六田、小椎尾、うきは市:妹川、小塩、田篭、新川)に存在する。年平均気温15.2℃、年間降水量2,019mm(気象庁アメダス黒木観測地点平年値気象データ引用)であり、立地条件がもたらす朝夕の気温差は、経験則的に高品質茶生産の適地とされる「朝霧の発生」を促している。なお、気温差が大きいほど、夜間の植物の呼吸が抑えられ、うま味成分であるアミノ酸等の養分が多く蓄えられるため、高品質な茶が生産される。
- 当該地域は稲作・麦作も盛んであり、被覆資材の原料となる「わら」の供給体制が整っている。
- 「すまき」(稲わら、葦等を粗く編んだ物)等の天然資材の編み手や製造機械は、当該地域にわずかに残るだけで、八女伝統本玉露に用いる資材は他産地では入手困難であり、資材の供給体制が整っている状況が、「覆い香」など香り豊かな「八女伝統本玉露」生産を支えている。
- 加えて、畜産業も多く営まれており、窒素、りん酸、カリ等の養分供給や茶園土壌の保肥力・排水性を高めるために必要な「堆肥」の生産・供給体制も整備されている。
- 荒茶加工技術の研鑽も、世代を問わず、常に行われている。特に、荒茶加工技術の基礎となる「手もみ」は、若手後継者を中心に毎年競技会・研修会を開催し、技術の継承と蓄積が行われ、このことが外観の良さ(鮮緑色で艶がある、細よれ等)をもたらしている。
- このように、立地条件や生産環境、担い手の育成と技術の継承が、全国有数の「玉露」生産を支えており、「八女伝統本玉露」の特性は、その生産地域に帰せられるものである。
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特定農林水産物等がその生産地において生産されてきた実績 |
- 1423年に栄林周瑞禅師が(旧)筑後国鹿子尾(現:福岡県八女市黒木町笠原)に霊巌寺を開山し、明国から持ち帰ったお茶の種子を播いてお茶の製法を伝えたのが八女茶のはじまりと言われている。その後、八女茶の生産は、1820~1840年頃に山間部全域に広がった。なお、八女茶発祥時の茶種は「煎茶」が主流であったが、当該地域が玉露生産に適していることが判明し、玉露生産に取り組むこととなった。
- 「八女伝統本玉露」の生産は、明治時代の福岡県南部が発祥とされ、その本格的生産は明治37年(1904年)から(旧)八女郡星野村(現:八女市星野村)においてはじまり、その後、周辺中山間地域に波及した。
- 昭和後半から平成にかけて、化学繊維資材での被覆や収穫作業の機械化など、全国的に玉露栽培の省力化が図られ、昔ながらの伝統的手法で生産される玉露は減少傾向にあった。そこで、平成6年度に省力的に生産される玉露の中で、一般的な玉露と区別して高付加価値化を図るため、市場(JA全農ふくれん茶取引センター)の取引の茶種区分に新たに「伝統本玉露」を設定した。
- このような過程を経て、天然資材による被覆や自然仕立て、手摘み作業といった「八女伝統本玉露」の生産方法を、本格生産から現在に至る110年間以上、守り受け継いでいる。
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法第13条第1項第4号ロ該当の有無 |
該当しない |
商標権者の氏名又は名称 |
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登録商標 |
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指定商品又は指定役務 |
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商標登録の登録番号 |
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商標権の設定の登録(更新登録があったときは、更新登録も含む。)の年月日 |
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専用使用権者の氏名又は名称 |
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商標権者等の承諾の年月日 |
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(11から13までに掲げる事項と明細書に定めた法第7条第1項第4号から第6号までに掲げる事項とが異なる場合)その内容 |
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特定農林水産物等の写真 |
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お問合せ先
輸出・国際局知的財産課
担当者:地理的表示保護制度担当
代表:03-3502-8111(内線4284)
ダイヤルイン:03-6744-2062
FAX番号:03-3502-5301
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