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農林水産省

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第3節 子供や若者及びその保護者に対する食育推進


子供や若者の食生活の状況として、朝食の欠食率は小学生に比べて中学生で高い傾向です(図表-46)。また、20歳代から30歳代の若い世代では、朝食欠食率が他の世代に比べて高い状況にあり(図表-47)、特に中学、高校生の頃から朝食欠食が習慣化している人が2割程度存在しています(図表-48)。

平成27(2015)年11月の「子ども・若者育成支援強調月間」(内閣府、関係省庁、地方公共団体、その他関係諸団体が実施主体)で、その実施要綱中、取り組むべき課題の重点事項の一つとして、「生活習慣の見直しと家庭への支援」を掲げ、食育の推進、生活時間の改善等により、子供の生活習慣の見直しに取り組むこととするなど、国民運動の一環として全ての子供・若者に対して食育の推進が図られ、それぞれの年代に応じた生活習慣の改善や、食生活の自立に向けた取組が各地で行われています。

また、特に貧困の状況にある子供たちに対して、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」(平成25年法律第64号)に基づく「子供の貧困対策に関する大綱」(平成26(2014)年8月29日閣議決定)において、子供の生活支援として、「食育の推進に関する支援」が明記されています。

さらに、ひとり親家庭の子供に対して、学習支援や食事の提供等を行うことが可能な居場所づくりを行うほか、官公民の連携・協働プロジェクトとして平成27(2015)年に開始した「子供の未来応援国民運動」において、民間資金による基金の活用等を通じて、貧困の状況にある子供たちに食事の提供等を行う団体等に対する支援等を行い、それらの中で、食育の観点も踏まえ、民間活動等の一層の促進を図っていきます。



図表-46 朝食を欠食する小学校6年生及び中学校3年生の割合
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図表-47 朝食を欠食する若い世代の割合
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図表-48 朝食欠食が始まった時期(20歳以上)
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事例:「一緒につくって一緒に食べる」子供に向けた、さりげない支援の形

てぃーだこども食堂運営委員会

てぃーだこども食堂(沖縄県浦添市)では、給食以外にご飯を食べられない子供や孤食になりがちな子供に、自尊心を傷つけることのない、さりげない支援の必要性を認識したことから、こども食堂の運営を始めるに至りました。自己肯定感を高め、共に未来を築いていく居場所を考える上で、学校以外に子供が警戒することなく出入りでき、設備があり、すぐに活動を始められる場所が、浦添市においては児童センターや、地域の自治会であったため、そこを拠点に活動しています。

活動における一番の特徴は、地域の大人と子供が一緒になって食事をつくるという点です。献立は、ごはん、味噌汁、常備菜を基本にしており、毎回、食堂に来る子供は食材や栄養のこと、調理の段取りを学ぶことができます。時には、地元料理の沖縄そばや、ナン・ピザを粉から手づくりすることもあり、手でこねる作業が楽しいと人気を集めています。これらの調理体験は食に関する知識や経験だけでなく、チームワークや協調性など、子供たちのコミュニケーション能力を高めることも狙いの一つとしています。

さらに月に一度、季節に根差したイベントも開催しています。夏は流しソーメンやカレーパーティー、秋は親子でのバーベキューやシークワーサー狩り、冬はクリスマス料理やおせち料理への挑戦など、子供たちの心に残る思い出づくりにも力を注いでいます。

運営は当初、小学校のPTA会員や民生委員、てだこ市民大学の学生、地域住民及び大学生から成る、見守りボランティアの21名から始まりました。活動を始めてまもなく報道に取り上げられたことをきっかけに、地域の6自治会の協力、近隣地域の個人的な協力が得られるようになりました。

食材については、地域住民からの寄付や寄贈、さらに食品メーカー3社からの提供支援により、現在は備蓄できるまでの状況になっています。

活動を通じた子供達の反応は“お母さんが体調不良の時にご飯を作ってあげると喜んでくれていたのが嬉しかった”、また地域の大人たちも、“自分の子や孫が通っている学校にもそういう子がいるんだ”と身近な問題として感じるようになり、“自分にもできることを…”と地域の協力者が増えてきています。

今後は、この活動がどの校区内でも地域と連携してできるものとし、沖縄県内各地に広がりつつあるこども食堂との情報共有や連携を深めていく予定です。


地域住民からいただいた野菜を使い、みんなで作った料理をみんなで食べる風景。
地域住民からいただいた野菜を使い、
みんなで作った料理をみんなで食べる風景。
地元の料理である沖縄そばを手作り。こねる作業は子供たちから楽しいと評判。
地元の料理である沖縄そばを手作り。
こねる作業は子供たちから楽しいと評判。
 
 



事例:調理体験を通じて、子供たちの「環境に配慮した食の自立」、
「五感の育成」を推進

東京ガス株式会社

東京ガスでは、子供の食の知識の低下と、生活習慣病の低年齢化に危機感を抱いたことから、まだ食育という言葉が一般には流布していない平成4(1992)年より、小学生及び親子を対象とした料理教室「キッズ イン ザ キッチン」を開始しました。また、世間に環境への意識の高まりが見え始めた平成7(1995)年からは、食生活を入口に環境にやさしい生活を考える「エコ・クッキング」の普及活動を開始し、「キッズ イン ザ キッチン」の中にもその要素を取り入れて、エネルギーや環境問題について考えるきっかけを提供しています。

「キッズ イン ザ キッチン」では、「環境に配慮した食の自立」と「五感の育成」の2つを柱に、食を通して「生きる力」を身に付けてもらうことを目的に、経験豊かな講師が、旬の素材を使ったバランスの良いメニューを教えています。4歳~小学2年生の親子を対象にした親子クラスでは、加熱前と加熱後で見た目の変化を感じるなど、料理の楽しさや、食材がおいしく変化していくことを親子一緒に五感で学ぶ体験を提供しています。小学3年生から6年生を対象にした子供クラスでは、包丁やコンロの使い方などの調理技術の他に、食材や行事食などの食文化にも興味を広げ、子供たちだけで料理を学び体験する機会を提供しています。また同時に、各回のレシピの中には、火力調節や、鍋にふたをするといった「エコ・クッキング」のアイデアを効果的に盛り込み、「買い物・調理・食事・片づけ」という一連の食の体験の中でできる環境への配慮の仕方についても伝えています。

「キッズ イン ザ キッチン」は年間約1万人の子供が参加しており、好評です。子供からは“楽しかった”、“嫌いなものが食べられた”、“ぐつぐつという音が面白かった”などの声が、また保護者からは、“子供が食や調理、五感に興味を持つようになった”、“手伝いをするようになった”などの意見が聞かれ、子供の食への意識が高まるとともに、食卓でも話題に上がり家庭にも浸透している様子がうかがえます。

今後もこれまで同様、食とエネルギーが台所で結びついて生まれる「炎の調理」を核に、幅広い食育活動を展開していく予定です。

「エコ・クッキング」、「キッズ イン ザ キッチン」は東京ガスの登録商標です。


子供たち同士で協力しながら、真剣な眼差しで調理をする。
子供たち同士で協力しながら、
真剣な眼差しで調理をする。
エコ・クッキングの一例。
エコ・クッキングの一例。
(左)鍋底の水滴を拭きとってから火にかける
(中)鍋底から炎がはみ出さないようにする
(右)鍋を火にかける時はふたをする
 
 



コラム:「生きる力を育む、『食』のぬくもり」
~映画「はなちゃんのみそ汁」とのタイアップ~

映画のポスター(農林水産省タイアップ版)
映画のポスター(農林水産省タイアップ版)

農林水産省では、平成27(2015)年12月から公開された映画「はなちゃんのみそ汁」とのタイアップを行い、地方農政局等や関係団体を通じて、タイアップ版のポスター・チラシを配布することにより、映画の周知を行いました。

この映画は実話を元にしており、病魔に襲われ残り少ない命を覚悟した母親が、当時4歳の娘の「はな」に、鰹節を削り、出汁をとるところから始めるみそ汁づくりや、自家製のみそづくりなど料理や家事を教えることを通じて、生きる力を伝えていく、という物語です。映画のテーマは「食べることは生きること」であり、映画全体から食べることの大切さが伝わってくる内容となっており、食を通して家族のあたたかい時間が記憶に刻まれていく様子が描かれています。

食育基本法においても、子供たちが豊かな人間性を育み、生きる力を身に付けていくためには何よりも「食」が重要であること、また、子供たちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性を育んでいく基礎となるものであることがうたわれています。

本映画を見た感想として「家族みなが、健康で元気に笑顔で過ごすことができるよう、食生活に気をつけて、子どもの成長を見守っていきたい」、「健康を意識して自分で和食を作ることができるようになることが大変重要と改心し、具だくさんのみそ汁を作ることから始めました」などが寄せられており、本映画が、食について考える一つのきっかけとなることが期待されます。

 
 



事例:スポーツ栄養のプロフェッショナルが企画・運営するジュニアアスリートの保護者・指導者への食育
~未来のトップアスリートのための体感型スポーツ栄養セミナー~

公益社団法人 日本栄養士会

日本栄養士会では、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会で活躍が期待されるジュニアアスリートの年代の保護者と指導者を対象に、スポーツ栄養のプロフェッショナルである公認スポーツ栄養士(※)がチームを組み、「体感型スポーツ栄養セミナー」を企画・運営しています。平成27(2015)年度の東京での開催を皮切りに、平成28(2016)年度より全国で展開し、4年後には5,000名の修了者を輩出する予定です。

発育発達期であるジュニアアスリートは、栄養・運動・休養をバランスよく保つことが大切です。最近では、社会環境の変化により、このバランスを保つために、正しい、あるいは、適切な知識を習得し、生活の中に取り入れることが必要となっています。そこで、今回のセミナーでは、ジュニアアスリートの健やかな発育発達を促すとともに競技力向上のためのスポーツ栄養の基礎知識と、その知識が家庭やスポーツの現場で活用・実践できるように、体感型の教育を行うことを目的にプログラム内容を組み立てました。


~プログラム~

1時間目「食の基礎知識-競技力向上のベースとなる心とからだづくり-」


身体活動と身体づくりの関係、毎食バランスよく食べなくてはいけない理由、バランスの良い食事とは、たんぱく質や糖質の摂取の考え方、睡眠と朝食のかかわりについて講義。


2時間目「アスリートの食事-食べる!喜ぶ!アスリートメニュー・レシピ」


バランスよく食べるために、食事構成(主食・主菜・副菜)、献立、レシピ、料理、食材に分け、それぞれの考え方と実践するために必要なスキル、食べる量について詳しく解説。


3時間目「毎日の食卓に、スポーツ栄養を」


昼食に提供されたアスリート弁当
昼食に提供されたアスリート弁当
レバーが苦手な子供のための
「スポーツ栄養ハンバーグ」や
「鶏レバーとおつまみナッツの炒め和え」など
献立一つひとつにテーマを持たせた
「アスリート弁当(アス弁)」を味わって体感

昼食での献立を例に、献立の組み立て方、レシピ、調理上のスキルや留意点について説明するとともに、デモンストレーションを実施。

レバーの下処理や手が痒くならない山芋の摺り方、大麦の戻し方などを実演。

 

4時間目「実践!試合前・中・-勝利に近づくために-」


食事が試合期の大切なコンディショニング要因のひとつであることから、試合前・当日・後の食生活について具体的に、注意点や留意点を含めて解説。


5時間目「熱中症の予防-リスクを回避する、正しい水分補給法を学ぶ-」


体内の水分代謝のメカニズム、脱水とは、熱中症の症状と予防法、水分補給の必要性とその方法について解説。その際、スポーツ飲料の内容を確認するための表示の見方などを、実際にスポーツ飲料を手にした実習。

 

修了式では、受講者に修了証を授与し、6時間に及ぶセミナーを終了しました。

今回の公認スポーツ栄養士が企画・運営したセミナーを通して受講者に伝えたことは、「ジュニアアスリートの健やかな発育発達のために保護者や指導者が正確な知識を持ち、それを活用することの大切さと、家庭やスポーツ現場での知識の活用がアスリートへの教育につながり、それが食習慣となって一生にわたる財産となる」ことです。2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、子供たちがスポーツの楽しみや喜びを感じ、競技力向上への興味を育む絶好の機会となります。この機会を利用して、スポーツ栄養から子供たちへの食育の重要性を普及・啓発する発信元として、公益社団法人日本栄養士会はこのセミナーを継続して実施していきます。


公認スポーツ栄養士は、アスリート、スポーツ愛好家、健康の保持・増進のために運動を行っている人に対して栄養サポートや栄養管理を専門に行う管理栄養士であり、公益社団法人 日本栄養士会と公益財団法人 日本体育協会が共同で認定している資格です。



東京で開催したセミナーでは151名に修了証が授与されました
東京で開催したセミナーでは151名に修了証が授与されました
受講者に授与した修了証
受講者に授与した修了証
 




お問合せ先

消費・安全局
消費者行政・食育課
担当者:食育計画班
代表:03-3502-8111(内線4576)
ダイヤルイン:03-6744-1971
FAX番号:03-6744-1974