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農林水産省

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議事録(午前の部)

 

1開会

2情報提供

3 対談・意見交換

4 閉会

・議事録(午前の部、印刷用)(PDF:405KB)


1 開会

司会(消費者庁・山中)

皆さま、こんにちは。時間となりましたので、始めさせていただきたいと思います。本日は、「食品中の放射性物質に対する取組について~子どもの食事への不安を考える~」にご来場いただきまして、ありがとうございます。

私は、本日司会を務めます消費者庁の山中と申します。よろしくお願いいたします。

東京電力福島第一原子力発電所の事故から、間もなく4年がたとうとしています。食品中の放射性物質に関する取り組みについては、生産者の方々を初めとした関係者のご努力などによって、食品中の放射性物質は軽減がされてきておりますけれども、まだまだ不安を抱える方々もたくさんいらっしゃいます。

食品安全にかかわる関係省庁では、これまで全国で食品中の放射性物質に関するリスクコミュニケーションに取り組んできました。今年も、この福島県での開催で6回目となります。これまでは、比較的大規模な会が中心だったのですけれども、本日は、お越しいただいている皆さま方のお話を聞きながら進めていきたいというふうに考えまして、少人数での開催としております。このように、皆さんのお声が聞けたらということで円卓にしております。皆さんお一人お一人にご発言いただく時間も設けておりますので、ぜひ先生方に聞きたいこと、不安、疑問に思われていることや関心、今の思いを聞かせていただければと思います。

また、一方的な情報提供にならないようにという先生からのアドバイスもありましたので、本日はスクリーンは使わずに、皆さまと一緒に配付資料を見ながら進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

2時間という短い時間ではありますけれども、本日はどうぞよろしくお願いいたします。それでは、まず初めに、配付資料の確認をさせていただきます。配付資料はお手元の次第に記載されておりますので、ご覧ください。

まず議事次第、資料1といたしまして、佐藤先生の資料「放射線の基礎知識と食品中の放射性物質の現状について」、資料2といたしまして「内部被ばく調査からみる福島県の現状について」、その他参考資料といたしまして「農林水産現場における対応について」、「食品と放射能Q&A」、食品安全委員会ホームページのご案内、そしてアンケート用紙です。足りない資料はございますでしょうか。足りないものがあるという方は手を挙げてお知らせください。

続いて、本日のプログラムについて、次第をご覧ください。本日は、会場の皆さんがどのような思いで、どんな目的で、どんなことが知りたくてお越しいただいているか、お話を伺いながら進めていきたいと思っています。そこで、会の冒頭で、皆さんから簡単な自己紹介と、今関心があること、不安や疑問に思っていること、また、こういう目的で参加したというお気持ちなど、簡単で構わないので、一言ずついただきたいと思っています。もちろん発言は強制ではないので、私はいいわという方はそのようにおっしゃっていただければと思います。本日は少人数の会となりますので、ぜひざっくばらんに今感じていることをご意見いただけるとうれしいです。

皆さんから一言ずついただいた後に、お二人の先生から情報提供いただきたいと思います。まず、福島県立医科大学放射線腫瘍学講座・災害医療センター助教・佐藤久志先生から「放射線の基礎知識と食品中の放射性物質の現状について」、15分ほど情報提供いただきます。次に、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授・早野龍五先生から「内部被ばく調査からみる福島県の現状について」、15分ほど情報提供いただきます。

10分の休憩を挟んで、いわき市食育委員会の委員・門馬麻衣子さんにコーディネーターをお願いして、会場の皆さんと意見交換・対談を行っていきたいと思います。意見交換の場でも2回目のご発言を皆さまからいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

閉会は12時30分を予定しています。本日は午後の部も予定しておりますので、閉会は定刻のお時間とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

また、本日の情報提供と意見交換の内容は、広く情報を提供するために議事録としてまとめまして、後日、関係省庁のホームページで公開します。皆さまにご発言をいただく時間もありますけれども、お名前やご所属が議事録に載るのはちょっと困るわという方は、皆さまのお手元のネームプレートのどこでも構わないので、×を書いていただければ、お名前、ご所属は議事録に載せないようにいたします。よろしくお願いします。

また、本日の様子は、農林水産省の情報コーナー「消費者の部屋」においてポスター展示することを予定しています。意見交換の様子などを撮影いたしますので、お顔などが写ることに不都合な方がいらっしゃいましたら、その旨おっしゃってください。また報道関係者も何名か来ておりまして、顔は写らないと思いますが、カメラ撮影があることをご了承いただければと思います。

それでは、早速ですけれども、皆さまからご発言をいただきたいと思います。いきなりで、どうしようと思う方もいらっしゃるかと思いますが、ざっくばらんで構わないので、簡単な自己紹介と、今日どういう思いで来られたのか、先生方にどういうことを聞きたいのか、一言で構いませんので、お願いいたします。

ご発言くださいと言っておきながら大変失礼なのですが、時間の都合もありますので、時間は1分とさせていただきたいと思います。1分たちましたらチーンとベルを鳴らせていただきますので、目安にしていただければと思います。その後も皆さんのご発言の時間を設けていますので、あり余る思いは、その後にしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。


会場(野田氏)

野田正行と申します。今は生活協同組合で食品の検査を行っております。参加の目的なんですが、検査センターに見学に来られる方に、放射能のリスクについて、よりわかりやすく説明できないかなというふうな思いで参加させていただきました。

会場(圷氏)

金谷幼稚園の圷有加と申します。当園では、小さなお子さんをお預かりしておりまして、園のしおりの方でも、放射能の取り組みとして載せております。そういうところから、子どもたちが安全に過ごしていくために、原発事故から4年を迎えるということで、今後どのように、ちょっとお聞きしたいなというところもございますので、よろしくお願いいたします。

会場(草野氏)

常磐病院ときわ会グループ、カンガルー保育園の草野と申します。放射能という言葉はずっと聞いてはいるんですけれども、実際に何が危険で何がだめなのかというのがやっぱり見てはわからないので、具体的にわかるようなお話が聞ければいいなと思います。

会場(斉藤氏)

公益社団法人福島県栄養士会のいわき支部の斉藤マサエと申します。今日参加した理由なんですが、私たちの支部は、栄養士会として被災者支援事業に携わっておりまして、食育とか、仮設住宅に入っておられる方の健康相談とかをやっているんですが、その中で、食品中の放射性物質はどうなっているのかなというのをたまに聞かれるんですね。それで、詳しく知りたいなと思いまして、今日参加しました。

会場(高萩氏)

同じく公益社団法人福島県栄養士会の栄養士をしております高荻と申します。こちら斉藤と一緒に、被災者支援の栄養の相談、離乳食教室など、そういうようなものの活動をしておりまして、お食事に対するちょっと不安な方というのは、なかなか口にも出されない方がすごく多くて、実際参加されている方たちが不安に思って参加されているのか、それもわからない状況でお話をさせていただく状況でおりますので、毎回毎回参加させていただいているんですが、どのような感じで、皆さまにこのようなお話をされているのかなということを勉強しに参りました。

会場(山田氏)

福島県相双保健福祉事務所いわき出張所の保健師の山田です。私の事務所は、相双地域から避難している、いわき地域にお住まいの方の健康支援を行っているんですが、お子さんから高齢者まで家庭訪問を行う機会がありまして、その中でも乳幼児をお持ちのお母さんから、食品に関するちょっと不安が聞かれたという事例がありまして、より安心で正確な情報を少しでも伝えて、不安の軽減とかを図れたらいいなと思って、今回参加させていただきました。

会場(鈴木さおり氏)

子どもたちの安心・安全を考えるいわきママの会の鈴木さおりと申します。その名のとおり、私たちは、子どもたちの安心・安全を考える活動をしているのですが、特に食に関して行っています。なので、今日もいろいろと勉強させていただきに参りました。

会場(千葉氏)

いわき母笑みネットワークの千葉由美と申します。「母笑み」というのは、お母さんが笑うと書くんですけれども、こういった震災を受けて、かなりお母さんたちが不安に陥っていまして、不安な余り子どもたちに対する対応が本末転倒な感じになってしまうことを避けたいなということで、お母さんが笑顔になるような活動を中心に行っています。

毎日いろいろなメールとか電話とか、不安に思っているお母さん方から届くんですけれども、リスクコミュニケーションとか、安全を促す、安心を促すということが行われば行われるほど、逆に本当はどうなんだろうか、基準を緩めるということが余計不安になってしまったりとか、だんだんもう測る人も減っているよみたいな現場の声を聞いたりすると、より不安が増すような気がしますので、その辺のところを今日は詳しく伺いたいなと思って参りました。

会場(山崎氏)

東京の葛飾区役所から参りました山崎と申します。葛飾区は東京の中でも少々汚染があるところでございまして、そこで放射線対策担当ということでやっておりまして、参りました。ふだんは皆さんにお伝えする役目を担っているんですけれども、このような形式は私は初めてだったので、興味がありまして、参加させていただきました。

会場(新井氏)

県の健康教育課で学校給食を担当しております新井里美と申します。こういった形の会というのはちょっと存じ上げなかったので、正直戸惑っているんですが、安全であるということをお母様方の安心のレベルとイコールにするためにはどうしたらいいんだろうという、もうそろそろそういうレベルじゃないのかなというところで、次の一手は何をしていけばいいんだろうというところで参加させていただいております。

会場(田村氏)

同じく県の教育庁健康教育課で、私は栄養士なんですけれども、学校給食を担当しております田村と申します。今、新井主任の方から話がありましたが、一緒に活動しております。先ほど千葉さんからもお話があったように、私どもも本末転倒は避けたいというふうに考えております。いろいろなお母様からご相談とかいただいたりするんですけれども、国と県とか学会とか、まとまって大勢の専門家が議論をして議論をして議論を重ねて出された見解よりも、不安に思われているお母様たち、ご家族の方というのは、たったお一人の声の大きい研究者の方の発言を鵜呑みにされて、そちらの方が信憑性が高いと。その信憑性が高いハードルというのが、我々から見ていると、議論されて議論された最終的な結果の方が正しいんじゃないかと思っているんですが、相談に来られるご家族の方にはそれがなかなかわかっていただけないというところで、そこを一步打開するためには何かいい手だてがあるのかなというところでお話を聞きに参りました。

会場(松本晃典氏)

同じく福島県の健康教育課の松本と申します。私も同じくなんですけれども、福島県の方で、学校給食の関係の放射線の検査とかの担当をしておりますので、今日は仕事に役立てるようなお話を聞かせていただきたいというところで参加させていただいております。

会場(安島氏)

安島と申します。特に所属があるわけではないのですけれども、いわき市の保育園の食品測定に携わっていたこともあって、放射能のことに関しての質問とかされることが多いので、情報として、データとか科学的なものとかは最新なものを自分の中に取り入れておきたいなという思いで、今回参加しています。

会場(鈴木洋子氏)

公益社団法人福島県栄養士会いわき支部の方で営農活動をしております鈴木洋子と申します。前に行政の方でお仕事した関係もありまして、行政からいただくお仕事もあるんですが、退職後楽しくお仕事していく中で、お料理教室なんかも踏まえて、お母さんたち、お子さんたちとお食事会なんかもするんですが、そのときに放射性物質に対する質問なんかありまして、国などのいろいろな研修会とか相談申し上げたり、栄養士会とか県の方からの通達とかを見たりして、その旨、逐次、そういう教室においては報告しているんですが、熱心なお母さん方はネットでいろいろな情報を取り寄せたりして、我々にはまた想像のつかないような現状も把握しているような部分があるので、ぜひ今日のこの機会に新しい情報をいただいていきたい、そしてその活動に生かしていきたいなと思って参加させていただきました。

会場(佐久間氏)

佐久間と申します。カトリック仙台教区サポートセンター福島デスクというところで働いております。私自身は、いろいろなデータの積み重ねというか、早野先生のとかで、もう安心のレベルに来ていると思いますが、ボランティアをしている方とか県外に避難していらっしゃる方とかと接する機会が多くて、今鈴木さんがおっしゃったように、どこからこういう情報を得ているのかなとか、随分偏っていると思われるような情報を得て、特に県外にいらっしゃる方ですと、福島県にいればいろいろな情報も入るけれども、県外でもしかしたら孤立しているんじゃないかとか、とても心配のあるケースもあって、そういう方たちと接するためにというか、よりよい伝え方であるとか、まず私自身のことと、そういう伝えるためですか、あとボランティアをしている方も、善意ではあるけれども、かなり忙しくなってしまって、自分自身をブラッシュアップする時間がないんじゃないかと思われるような方もいるので、そういうことのために、今日やってまいりました。

会場(野上氏)

佐久間と同じ福島デスクにおります野上でございます。私の場合は、彼女が言ったのと同時に、ステーションは東京都品川でございまして、そして今、有機農業の方たちの支援を兼ねながら、賢い消費者を育てるために、ツアーとか農業体験をしながら有機農業のお野菜の販売も考えて始めているんですけれども、そのときに、どういうふうにきちんと正しい情報を消費者の方たちに、それから学生たちが来る場合に、保護者の方たちが正しく、福島における放射能についておわかりいただいてない方が多いものでして、そのあたりを私自身もきちんと学んで、正しくお伝えできるようなことを目的として、今日参加させていただきました。

会場(佐久間氏)

一言、忘れたんですけれども、南相馬でつくられた冊子で、早野先生もかかわっていらっしゃるものもいつも持って歩いて、相手の反応次第ではあるんですけれども、私はとても説明できないので、こういうような方法もあるかなと思って、活用しております。

会場(佐藤氏)

こんにちは。福島県消費生活センターで食品安全相談員をしております佐藤と申します。消費生活センターで、NAIシンチレーションによる簡易検査が始まった2011年の11月から予約を始め、12月から検査が始まったんですが、その当時から私も対応させていただいておりまして、まずその予約のときの電話の皆さまの生の声というか、そういったものが今でも時々思い起こされることもあります。

ところが、最近になりまして、これは幸いなのか、皆さまが現状でしようがないと諦めなのか、それともいろいろな情報によって安心を得たのか、検査数、相談数ともに大変減っております。そういったところはよいことなのかと思う反面、中には大変受けとめ方が重たい方もまだまだいらっしゃいますので、そういった方にどのように真摯に対応していけばいいかを、今回のような場所をかりてお勉強させていただきたいと思います。

会場(A氏)

退職しましたので、皆さんのように職はもうないんですが、ただ一般市民として参加しました。

参加した理由は、孫がおりますので、孫の食品の安全性ということで、今日は本当に的確なテーマだなと思いまして。本来なら親が来るところでしたが、職がありますので、私が代理のような形で出たわけです。

もう皆さんご存じだと思いますが、私自身の疑問としては、食品の放射性の基準値以下という表現がよくされます。基準値という定めがされているわけですけれども、その基準値で、非常に基準値に近い場合と基準値と離れている場合があると思うんですけれども、そういうところをしっかり数値であらわしてくれた方が私たちは安心できるかなと。基準値といってもゼロではないんだということですね。その辺の捉えが、私たち、かえって逆に不安をあおるのではないかなと思います。

空中の線量にしても、かなり低くなっても以前には戻ってないんですね。そういう点も疑問。将来の子どもたちのことを考えると大変不安な部分かなと。将来がわからないわけですね。現時点ではこうだよということで、かつてない出来事ですので、チェルノブイリとの比較にもならない部分がありますから、そういう点のお話を聞きたいと思います。

会場(諸澄氏)

諸澄邦彦と申します。日本診療放射線技師会に勤めております。本会のホームページの方で、放射線被ばく相談というコーナーを設けているんですが、今までは、CTの被ばくだとかあるいは歯の写真を撮った後妊娠とわかったのでという、そういった医療被ばくに関する質問が多かったんですが、福島県の第一原子力発電所事故以降、環境からの被ばくについての相談もあります。そうすると、私としては、ガラスバッジをつけたりD-シャトルを使ったり、そういった意味で精度についてはお答えできるんですが、お話の中で、内部被ばく、食品についての内容も来ます。そのときは消費者庁さんのホームページを見てくださいとか、お住まいの市町村のホームページを見てくださいというお話はするんですが、繰り返し繰り返しの中で、ある程度の知識、1人じゃないので、複数の人間が同じような回答をするための情報収集、またお話を伺いたいと思って参加しました。

会場(石川氏)

先ほど何人かおりましたけれども、公益社団法人の栄養士の会員の石川といいます。

私が参加したのは、孫もおりますし、東京にたびたび行くと、東京で福島のことをいろいろなことを聞きますと、何か不安になるので、最新の情報を聞きながら的確に答えられたらいいのかなと思いまして、この会に参加させていただきました。

また、いろいろな活動をしているときに、質問されたときにきちんと答えられる自分になりたいと思いましたので、よろしくお願いいたします。

会場(松本静江氏)

いわき市保健所地域保健課の栄養士の松本と申します。皆さんからも声が上がりましたが、実際に4年たってみて、お母様方の声なんかも大分聞く機会が少なく、原発、食品中の放射線について声が上がってくる機会というのは大分減ったような感じがいたします。食品を選ぶ際についても、スーパーなんか行っても、地場産物のコーナーなんか見ると、割と手を伸ばす方も増えているような状況が感じられます。

ただその中で、現状ということで先生からもいろいろ、今日新しい情報として伺えるかと思うんですけれども、今後というような視点で、直近からずっと先までいろいろあるとは思うんですけれども、そういった部分で、やっぱり先の不安というところが市民の方も多いと思います。そういった部分も少しお伺いすることができたらと思っております。

会場(小野氏)

市内の保育所に勤めている保育者の小野浩一郎といいます。私は、基本的に0歳から6歳までの子どもたちの発達保障というところで働いている者なので、今の、生産者視点のいろいろな食品に対する考え方というのが消費者目線ではないんじゃないか、どのくらい入っているかということに対しても。それをすごく私は違和感を感じています。

あとは、今日の会もそうですけれども、行政が行う会というのは、どうしても安全という方のコーディネーターの方たちだけで来ていて、そうじゃない、例えば私なんか小出裕章さんの本なんかを読むんですけれども、放射能についてはわからないことがたくさんある。それならば、消費者として、安全と言う人と安全じゃないと言う人の両方を調べなきゃいけないんですけれども、税金を払って、税金を使ってやるこういう会というのは、安全という方たちだけを呼んでこの4年間やっていることに対して、それについて専門家の人たちはどういうふうに考えているのかということをちょっと聞けたらなと思います。 


司会(消費者庁・山中)

皆さまからいろいろなご意見をいただきました。ここで、意見交換の場で行政の立場として参加をします食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省、そして消費者庁からも自己紹介をさせていただきます。

野口(内閣府食品安全委員会)

食品安全委員会事務局の野口と申します。

食品安全委員会というのはあまりなじみながないというか、聞いたことがないかもしれませんけれども、内閣府にありまして、食品安全委員会自体は科学者の方々の集まりです。食品中にありますいろいろなリスク、この食品に対するリスクがどの程度のものなのかということを、科学的に客観的に判断するというようなことをやっております。私はそこの、サポートする側の事務局の一員でございます。

飯塚(厚生労働省)

厚生労働省の飯塚と申します。

厚生労働省では、今回の食品中の放射性物質の基準値の作成をいたしまして、検査についても管轄しております。放射性物質に限らないんですけれども、その他いろいろな食品中の基準値を設定したり、そういうふうなこともやっております。

今日は、皆さま方の生の声を聞けたらなと思っております。

道野(農林水産省)

農林水産省の消費者情報官の道野と申します。

私は、23年の事故当初からずっと食品の問題に、途中でポジションはかわっているんですけれども、かかわってきました。もちろん消費者の方や生産者の方、いろいろな方のお話を伺ってきたんですけれども、4年経過して、また地域の方々のいろいろな声を今日はぜひ勉強させていただきたいと思って参りました。

実際に担当している仕事は、こういうリスクコミュニケーションのほかに、食育関係の仕事も今やっております。

石川(消費者庁)

消費者庁の石川です。今日の司会の山中とともに、消費者安全課におります。

今日皆さんのお手元に配られている「食品と放射能Q&A」は、事故発災直後の平成23年5月に第1版を作成し、消費者に正確な情報提供を行っています。本日のこうしたリスクコミュニケーションについても、関係省庁の事務の調整を担い、開催しております。

司会(消費者庁・山中)

皆さまありがとうございました。

お話を伺っていて、例えば栄養士さんの立場、お母さんの立場、おじいさん、おばあさんの立場、消費者の立場、先生やボランティアの立場、さまざまな方がお越しいただいていることがわかりまして、本当にありがとうございます。

こういう会は初めてなので戸惑っているというようなご意見もいただきました。私たちも、こういう円卓という会は実は初めてでして、平成23年の事故以降、いろいろなリスクコミュニケーションを実施してきましたけれども、やはり課題があって、どういうふうに取組んでいったら、より意見交換がしっかりできるのかということをこれまで試行錯誤してきて、これが1つの新たな試みということになっています。

せっかくの少人数の会ですので、ぜひざっくばらんな意見交換をしていただければと思いますので、よろしくお願いします。それでは、情報提供に入らせていただきます。

「放射線の基礎知識と食品中の放射性物質の現状について」、福島県立医科大学・佐藤久志先生から情報提供いただきます。


2 情報提供

(1)放射線の基礎知識と食品中の放射性物質の現状について

佐藤氏(福島県立医科大学)

皆さん、こんにちは。こういう機会がありまして、今日はお話をさせていただきます。まず最初に、福島県の事故について少し復習してみたいと思います。

〔スライド2〕

2番目のスライドなんですが、これは原発の模式図で、そこに書いてある灰色の線が外の四角い建屋です。その中に宇宙船みたいな原子炉格納容器があって、その真ん中に一番大事な圧力容器というのがあります。燃料は圧力容器の中にあって、核分裂でエネルギーを取り出しているというのが原発です。

今回は震災で震度5以上の地震が起きましたので、緊急炉心停止といって、制御棒が燃料棒の間に入ってきて、運転は終了しました。つまり核分裂は終わっています。ただし、電源を全部失っていますので、燃料を冷やす作業が全くできないということで、燃料が自分でどんどんどんどん熱を上げて真っ赤っかになって溶けて下に流れ落ちるというメルトダウンが起きております。

この真ん中の圧力容器の中には水がありますので、燃料が溶けるぐらいの熱でどんどん沸騰して、水が沸騰すると、この中身は水蒸気でどんどん圧力が上がってきます。そのままほうっておくと、どんどんどんどん上がって、いつか限界が来てどかーんと爆発してしまう。これは水蒸気爆発といって一番避けなければいけない事象になります。

幸いにして、そういうことを避けるために、ベントといって、その圧力を、本当は出してはいけない大気中にぼんと出します。そうすると、爆散という事態は回避できているんですけれども、ぷうーと出したベントというものが空気に出されますので、この空気の中にたくさんの放射性物質が入っていて、これが空気に沿っていろいろなところに配達されていったというのが今回の放射性物質の原因となっています。

〔スライド3〕

次のスライド3番目は、福島県内の事故後の空間線量の推移を示したものです。最初赤丸で一番前にピークがあるのが南相馬市の空間線量で、図に描いてあるように原発から赤い煙、これはプルームといって放射性物質を含んだ空気になります。これが風に運ばれて、南相馬市は3月12日に空間線量が20マイクロぐらいまで上がっています。その後急激に下がって低いところで安定している。これは空中を通っていったんですが、そのまま素通りして仙台のほうの原発の近くまで流れていった、雲になります。幸いにして、乾性降灰といって、あまり下に落ちないまま素通りしていったために空間線量のみ上がって、その後線量が下がるということが観察されました。

その次の黒丸のいわき、ここも同じような経過をたどっております。いわき市は3月15日の早朝にこの上をぐっと通っていって空間線量は上がっております。その後すっと下がって、平常よりは高いんですが、ピークより測なり低い値で移行しております。これは夜中の2時ぐらいでしたので、みんな寝ているときでしたから、あまりみんな吸わないで空中をたどっていって、そのまま東京のほうに移動して降下したプルームになります。

問題なのは、赤い線で示した飯舘なんですけれども、ここの特徴は、3月15日夕方なんですが、雪が降った。そうすると、空気で来たものが雪で地面にたたきつけられて、放射性物質が空中のものが地面に全部落ちてきてしまった。これは湿性降灰といって、その後の変化のグラフを見ていただくと、すっと下がらないで、半減期12日のカーブを描いてゆっくり下がっていった。これは地上にそういう物質が落ちてきて、その半減期で落ちていくというカーブ。

実は福島市は緑で描いてあるんですけれども、今回は消えたんですが、福島市も20マイクロまで上がっているんですけれども、その後半減期12日のカーブで下がっておりますので、いわき市、南相馬市、福島で比べると、いまだに福島の線量が高いというのは、そういう湿性降灰といって湿ったものが落ちてきて高いということが観察されております。

〔スライド4〕

では、何が飛んできたかという話になると、その下のスライドですね。原発の中ではウランに熱中性子が反応して不安定となり、核分裂が起きます。このときに大きなエネルギーを出しますので、これを発電に利用しております。2つにぷりんと分かれます。この分かれ方はたくさんの種類があります。決まった分かれ方ではなくて何百種類の組み合わせがあって、その隣の白いグラフは、その組み合わせでできたものをプロットしたグラフになります。上の凸の部分にたくさんできるものがプロットされていますから、赤丸で描いてあるようなストロンチウム、セシウム、ヨウ素というのがある程度の数、生成されて、そのほかにも放射性物質がたくさんできているというのが現場では起きています。

この物質は非常に不安定で、放射線をエネルギーでぴゅっと出すと安定化して普通の物質に戻りますので、1回放射線を出すと普通の物質に戻るという性質を持っております。

〔スライド5〕

では、いっぱいできるのに、何で今福島で問題になっているのは数種類ぐらいなんですかという話になると、現場からここまで少なくとも10km、20kmという距離が離れておりますので、そこからこっちまで飛んでこれる能力を持っていなければいけない。基本的に気化するとか昇華する、気体になって飛んでこれないと、途中でぽとぽと落ちてしまいますので、ここまで到達できません。そうすると、まず軽いもの、気化するもの、昇華するものというフィルターが入って、その中で半減期、半減期というのは半分になる時間なんですけれども、要は放射線を出すスピードだと思ってもらえばいいんですが、半減期が0.1秒のものは、びゅんびゅん放射線を出して、こっちに飛んでくるまでにはもうノーマル、普通の物質になってしまって、あまり人体に被ばくすることはありません。逆に1億年の半減期のものは1億年に1発ぴゅんと出て終わりになりますから、僕らの生きている間にたまたま当たる人が何人かいるぐらいで、絶対量が多くなければあまり関係がないということになります。

そうすると、軽くて半減期が数日から数十年というものが、ある程度のスピードで放射線が出ていますので、僕らの体に影響がある。というと、この3つ、セシウム、ストロンチウム、ヨウ素などというのが今問題になっていると考えてください。

〔スライド6〕

その下が、この事故の前に自然放射線として浴びていたものの図式になります。上から降ってくるものが宇宙線で、水色のものが空気中にある浮遊物質に入っている放射性物質。ラドン、三重水素(トリチウム)、この部屋の中にも今も入っていると思います。それを僕らは吸ったり吐いたりしています。あとは地面ですね。これは地球ができたときにある程度組成されている組み合わせになりますので、下から上がってくるものが大地からで0.4ミリシーベルト。

もう1つ大事なのが、僕らは生まれたときからお母さんから附属としてカリウム40とか炭素14という放射性物質を体内に持ちながら生まれてきます。成人男性になると体重が増えてきますので、大体全体で7000ベクレルぐらい持っているものだということをご理解ください。

10ベクレル/kgの野菜を食べたときに7000が7010に増えます。0が10に増えるのであれば大問題なんですが、7000が7010に増えるという感覚を養っていただければいいと思います。

この中でずっと慢性低線量被ばくを受けながら人類というのは進化してきたんだということも事実だと思います。

〔スライド7〕

次のスライドは、僕は医者ですので、病院でどういうことをしているかというと、患者さんの検査をします。そうすると、医療被ばくの問題もたくさんあるんですが、では、こういう被ばくが初めてなのかいというと、実は病院でこれ以上の被ばくを皆さま受けていると思います。ここにいる年齢の方だったら、まず1回は何らかの形で検査を受けていると、単位は全てミリですから、この3年間で原発から追加被ばくでもらったよりも1回の検査が高いなんてことはざらにあるんですね。日本は機械がたくさんありますので、年間で3.9ミリシーベルトの医療被ばくがあるというふうに言われています。これは他国に比べても高い。ただこれはお子さんには当てはまりません。

僕は治療医ですから、患者さんにどのくらい当てているかというと、これのさらに1000倍です。ミリもついてない、60シーベルトとか浴びていますから、そういう単位の放射線を当ててがんを治している現場にいるので、私の目盛りは、皆さまが考えているよりもちょっと緩い目盛りになります。

〔スライド8、9、10〕

次に8、9、10なんですけれども、これはアルファ、ベータ、ガンマという3つの放射線が外から人体に入ったときにどのくらいの深さまで入ってくるかというのを図示したものです。

8番はアルファ線なんですけれども、アルファ線というのは非常に大きな粒になるので、何かに当たったときにそれ以上あまり奥に入ってこれませんで、皮膚の顕微鏡で見た写真の緑の部分だけ入ってくるというふうに理解いただくと、赤の部分でとまってしまいます。赤の部分には核がないので、ここはがんになれない、ただの物質なので、あまり外部被ばくの原因になるというのは考えづらい。

ベータ線は皮膚から1cmぐらい入ります。黒いところに緑でちょびちょびとひげみたいなのがあると思いますが、これは皮膚面から1cmぐらいです。

その下がいわゆるガンマ線というものになります。これは体の奥まで進んで、あるものは曲がってどこかに行ったり吸収されたり、向こうまで突き抜けていってしまうものがある。

そうすると、アルファ、ベータというのは外部被ばくの原因というよりは、食べたときに中でエネルギーを全部出し切るということになりますから、内部被ばくの主原因と考えていただいていいと思います。ガンマ線というのは外から来るものが人体の中まで入るということで、これは外部被ばくの主原因というふうに考えていただくといいと思います。

今、空間線量を測っていますが、それはガンマ線を測って、この辺はこのぐらい出ていますよ、人体にこのぐらい当たりますよという指標にしているというふうに考えてください。

〔スライド11〕

続いて、シーベルトと健康影響の関係なんですが、ちょっとわかりづらい日本語ですね、確定的影響と確率的影響。何が違うのという話になると、上の確定的影響というのは、これが放射線の悪いところだと思ってください。髪の毛が抜ける、皮膚が焼ける、白血球が減るというような放射線の具体的な悪いイメージの症状だと思ってください。こういうものはある一定の放射線量までは出ません。例えば僕らが自然被ばくで浴びているようなものでは絶対出ない。

では、どういう線量で出るかというと、私が治療で使っているような1シーベルト、1000ミリシーベルトぐらいを超えるあたりから出てきますので、今回の震災では、このしきい値には全然届いていないということがわかっていますから、この確定的影響を心配するのは少し心配し過ぎかなというふうには思います。

問題なのは次の確率的影響ですね。少ないながら、それに応じてリスクが上がるのではないか。特に発がんとか発がんによる死亡リスクの話になってくる。現在定説では、今までの過去のデータでは100ミリシーベルトから自然発生に及ぼすような影響が出るというふうに言われていて、その下はわからない。統計学的には不明、わからないということになっていますので、100ミリ以下のところは直線で補完をして、その線量に合ったリスクということで考えているというのがこの確率的影響の考え方になると思います。

〔スライド12〕

では、放射線が細胞に当たった場合どういうふうな変化を起こすのかというのが次のスライドで、私が放射線で、皆さまが細胞のDNAだとします。私がここからダーツをぴゅーんと投げたときに皆さまにぐさっと刺さる可能性が、直接当たる可能性と大まかに考えていただいていい。多分ほとんど外れると思うんですね。そうすると、当たったものは直接本人に被害が出ますので、直接反応といってDNAを直接攻撃します。逆に外れたものはどうするかというと、細胞の周りにある水を電離します。そうすると、フリーラジカルという非常に活性の高い分子になって、いろいろなところに悪さをします。老化もこのフリーラジカルが悪さをしているということになりますから、フリーラジカルができて直接切るものとフリーラジカルが一緒に悪さをしてDNAを損傷します。DNAが損傷されるとどうなるかというと、機能を停止します。ところが、私たちは生まれたときから放射線に囲まれていますので、ほっておけませんから、これを修理します。修理をすると上の段に行って、正常に戻ります。ところが線量が増えてくれば注文が増えてきますから、そうすると、一遍に修理ができなくなると、不完全で修理ができなかった細胞が2段目にでき上がる。これは普通は、私はもう周りに迷惑かけないように自殺しますと、死んでいきます。これがアポトーシスといって、あまり周りに迷惑をかけない死に方になります。これが増えてくると、髪の毛が抜けたり皮膚が焼けたりということになってくると考えてください。

それだけであれば今回は問題ないんですが、誤った修復の中で、完全には戻ってないんだけど死にもしないという中途半端なのが当然出てきます。そうすると、変異という形でずっと、分裂もしないで細胞としてひたすらただ淡々と生きているのですが、長年の人生の間に別の刺激が加わることによってがん化をしていくというのが放射線の影響によるがん化というふうに言われています。

ですから、実はこのフリーラジカルというほうが、放射線を浴びたときに9割生成されるということを考えると、放射線独特の反応というよりは、老化の現象を少し進めるような影響と理解していただけるとわかりやすいと思います。

〔スライド13〕

では、どのくらいのリスクかというのが次のページです。これは皆さまよくご存じだと思うんですが、今、日本人は長生きするので、3割の人はがんで死にます。これは避けられない事実で、がん以外の病気は少し治るようになってきたんですね。そうすると、がんによって死亡する確率が30%。ところが、過去のデータから、100ミリシーベルト浴びるとこれが将来30.05%になりますよというのが、今のリスクの考え方になります。

網のところはレッドゾーンになりますから、ここは住んではいけないというのが、実は震災前に引かれている線なんですが、それはひどいだろうということで50になって、20になって、1になってと、どんどんどんどんゼロのほうに、どれが正しいのかというのがなかなか今難しい状況になっております。

では、この0.5%というのが子どもさんによって大きなリスクかというと、これから生活を少し工夫することによって逆転できる数字だと思ってください。

少し野菜を多く食べるとか、たばこを将来吸うなよとか、あまり酒ばかり飲んでいるんじゃないよとか、早く結婚しろよなんてことで、このリスクは十分逆転できるということになりますから、あまり今の状況を深く悩み過ぎるよりは、将来を見て活動するというのも1つかなと思います。

〔スライド14〕

世界にはもっと高いところがたくさんあるという事実も、資料14で確認ください。

〔スライド15〕

資料15は、日本の中でどうかというと、日本の中でも大地から来るものにかなり差があります。北海道が低くて西日本が高いというのは、土壌の影響も大きいと思います。では、北海道の人が今長寿ナンバーワンかというと、そんなことはございませんし、高い県がビリかというと、そんなこともございません。もっとほかの要素が寿命というものに関係してきますから、北海道にいたから放射線がなくて長生きというのは、ちょっとそれは、いろいろな総合的なリスクから言うと、1個のリスクを見ているにすぎないということになります。

〔スライド16〕

内部被ばくを見る装置としてさまざまなWBC(ホールボディカウンター)がありますが、これは早野先生が専門ですので、この後に譲りますが、ここにBABYSCANといって、赤ちゃんを測るようなものが今回新しく追加されています。

〔スライド17〕

体から出てくるガンマ線を測って、体の中にどのぐらい放射性物質があるのかというのを調べて、それを被ばく線量、シーベルトに戻す作業が、この預託実効線量というものになります。これは測定日、例えば今日測ったらこのぐらい放射線がありましたよと、真ん中のブルーの放射線量が出てきました。ただし、これは多分3年前の震災のときに食ったやつだから、3年前まで計算してもっと高かったよというところも入れて、僕これから50年生きるよという話になるので、今後50年下がっていく分を計算して、この青いブロックを1列に並べて隣の1年分という形にしたものが預託実効線量。つまり一生分を1年で浴びたというような計算が、この預託実効線量というものになります。

ただし、この計算は、急性被ばくといって、ぱくっと食べるとか、すっと飲んで、そのときどうだったかという計算法なので、現在の福島県ではあまり、これを知っていたからといって生活が変わるということはございません。どっちかというとホールボディカウンターで、食べてない、増えてないというのを見ていくほうが正解かなと思います。

〔スライド18〕

その下にセシウムを食べた場合、体からどのぐらいのスピードで消えていくかというグラフを示したものです。上のグラフは1回で1万食べたときにどのくらいのスピードで体から消えていくかというグラフになります。幸いにして赤ちゃんが一番高くて、大人の方が一番遅い。これは神様がそうつくってくれたのかなと思うんですが、若年のほうが排泄が速いですから、急性期で見ると、若い人のおしっこのほうにたくさんセシウムが出ているということがわかると思います。

下は今の状況ですね。毎日少しずつ食べているんだ、貯金と一緒です、食べているんだという場合には、出るスピードの差がありますので、おしっこに出るのと食べる量が平行になると横に真っすぐになってきて、赤ちゃんは30、子どもは50というふうに、大人の人が一番残りやすいですね。ですから、今ホールボディカウンターで出る人というのは高齢の方で、俺食ってんだという人で、後、早野先生からお話がありますけれども、小さいころは外に出ているということになります。

〔スライド19〕

ベクレルとシーベルトは何が違うのとよく質問されるんですが、ベクレルというのは物質の量だと思っていただければいいと思います。見えないんだけれども、これを測るとこのぐらい入ってそうだというのがわかるのがベクレルだと思ってください。そのベクレルを測って、このぐらいありそうだから体にどのぐらい影響が出るというのを計算で出したものがシーベルトになります。

内部被ばくが危険で外部被ばくは安全だというふうによく本には書かれているんですが、一応物差しをつくって内部被ばくと外部被ばくを合算できるように、1ミリシーベルトはどちらであっても同じ影響というふうに考えるのが一般的です。

〔スライド20〕

その下に、では、この辺でつくっているもので、とったりしているもので、セシウムはどうなんですかというと、17都道府県で農林水産省が測っているのが、平成23年から平成26年までずっと統計が出してありますが、上から米、麦、野菜、果実、お茶、下のほうにいくと肉、キノコ、水産物。この中で目立って高いのは、キノコ、山菜類と水産物だったんですが、さすがにどんどんどんどん今下がってきて、両方とも1%ぐらいまで現実は下がってきています。

米、麦は、福島県産については、17都道府県でもゼロと出ていますので、出ているのは大豆が少し、それ以外は出てないということになります。

下のキノコとか水産物は、高いものは今流通に回っておりませんので、これ食っている可能性があるんじゃないのということはありませんので、心配しないでください。

〔スライド21〕

見えてきた傾向としては、今出ているのは大体、山菜、野生キノコ、野生動物。僕らが食わなくても生きていけそうなものが今出ています。あと、海水魚の底のほうにすんでいる魚の一部。ただこれも徐々に海水のセシウムが下がっていくのと一緒で、下がってきています。川魚も出ますが、やはり下がってきているというのが見えています。

自家栽培であってもほとんど出ないんですが、地域によっては、測り方の問題もあるのかもしれませんけれども、散発的に出る場合があります。測っているということで、そういうものは避けてもらえばいいと思います。

〔スライド22〕

あとは、厚生労働省で陰膳検査ですね。いろいろな県で、食べているものを1食余計につくって、本当に食っているのかどうか、入るほうの検査をしております。

〔スライド23〕

いろいろな県でした結果が次のページの棒グラフになって、実は福島県よりもお隣の県のほうがセシウムによる内部被ばくが多いという結果が出ています。これは決して隣の県が危ないよという意味ではなくて、福島県が意外とコントロールできていますよという結果と受けとめてください。どんなに離れた県でもセシウムは食べています。

〔スライド25〕

この量から受ける内部被ばく量を、もともと僕らが持っているカリウム40という放射性物質による被ばく量と比べたものが、24を飛ばして25の棒グラフになります。赤い棒グラフがカリウム40による1年分の内部被ばく量、赤い横棒が今回測って検出されたセシウムによる内部被ばく量。比べていただくと、1%ぐらいになりますから、もともと僕らが浴びていた量に比べて十分小さいのではないかというふうに考えます。

〔スライド29〕

時間がないので、最後の食品の汚染状況に移ります。セシウムによる被ばく量は非常に少ないということがわかってきています。もともとカリウム40の放射線は安全でセシウムは危ないなんて言う人もいますが、細胞にとったらどっちも放射線で、それを見きわめる能力はございません。全体的に被ばく量が増えるわけではないということがわかっています。汚染されていそうとか検出されそうなものもわかってきています。

ストロンチウムというのも骨に沈着して危ないよというんですが、これもチェルノブイリと違って、今回の福島ではほとんど検出されていない。以前の大気中核実験のときと同じぐらいのベクレル数が出ているということがわかっています。なので、内部被ばくが外部被ばくよりも大きくなるということはないだろうというのが今の現状だと思ってください。以上でございます。

司会(消費者庁・山中)

佐藤先生、ありがとうございました。

佐藤先生の資料の中に一部文字が消えてしまっていたりとか見づらいところがあって申しわけございません。修正した資料を各省のホームページに後日掲載いたしますので、そちらもあわせてご覧いただければ思います。

続きまして、「内部被ばく調査からみる福島県の現状について」、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻・早野龍五先生から情報提供いただきます。

 


 

(2)内部被ばく調査からみる福島県の現状について

早野氏(東京大学)

〔スライド1〕

今日は学校、保育園、給食の方々、大勢来ておられますが、現在、国の委託事業で福島県内の市町村の給食をゲルマニウム半導体検出器で測っている、一番最初にそれをやりましょうよということを文科省に申し上げて、それが予算化されるそのきっかけをつくったのは私です。その後2011年の秋ぐらいから、福島県内のお医者さん、それからNPOの方々などと一緒に、ホールボディカウンターによる内部被ばくの検査にずっと携わってまいりました。英語でもその結果を論文にして発信していまして、国連の科学委員会(UNSCEAR)の報告書にそれが引用されています。

後でお話ししますが、小さなお子さんの内部被ばくを測るための特別な装置、BABYSCANというのを2013年につくり、去年3台稼働しまして、昨年2000人のデータが集まっています。

それらのことについて、最近糸井重里さんと、「知ろうとすること。」という本を10月に出しました。よろしければお読みください。

〔スライド2〕

2枚目。内部被ばくを知るさまざまな方法があります。まずは食べ物を測ること。これは厚労省などがやっておられる陰膳検査あるいはマーケットバスケット調査。陰膳検査は、その日食べた食事、1日分の食事にどれだけ入っていましたかということを調べる検査ですね。検出限界は大体1日1ベクレルから2ベクレルぐらいです。それを食べ続けていて、もし本当に放射性セシウムが入っていると、先ほどの佐藤先生のお示しになったグラフにもありましたが、体の中にセシウムがだんだん蓄積され、セシウムが壊れるときにガンマ線を出して、それが体を突き抜けて外へ出てきますので、それを測る、これがホールボディカウンター検査です。

陰膳検査は、その日の食事がどうだったかということがわかるだけなんですが、ホールボディカウンター検査というのは、過去何日間かどんな食事をしていたかというものの通信簿みたいなものでありまして、検査をした日のスナップショット、その日に体の中に何ベクレルありましたかということがわかる、そういう検査です。

それから、本当に毎日割とコンスタントに汚染された食べ物を食べていますと、どこかで、食べている量とおしっこから出る量が釣り合ってきます。そうすると、おしっこを測ると、大体どのくらい食べていたかということがわかるわけでありまして、実はおしっこを測るというのと食べているものを測るというのとは、検査の意味はあまり変わりません。尿の検査も、普通にやると大体1日1ベクレルか2ベクレルぐらいが検出限界。どの検査でやっても、大体1日数ベクレル食べていると確実にわかるけれども、意味合いは少しずつ違います。

〔スライド3〕

3枚目。これは先ほどの佐藤先生と同じグラフです。一番上が大人です。この家族が1年ぐらいずっと3ベクレル仮に食べ続けているとすると、大人の場合はいずれ400~500ベクレルぐらいで平らになってきます。つまり、食べている量とおしっこから出ている量が釣り合って来るのです。

真ん中に「FASTSCAN検出限界」と書いてあります。FASTSCANというのは、今福島県内で一番普及している、2分間立って測るホールボディカウンターですが、それの検出限界は、大体このあたりにあります。2、3ベクレル食べていると、大人の場合は検出限界を超えますので、ああ、何か食べていますねというのがわかります。

ところが、同じ家族のお子さんを測りますと、検出限界の下に来てしまいます。ですので、お子さんだけ測っていると、数ベクレル食べていてもわからないということが生じます。こういうことが起きないようにというので、私がつくったBABYSCANは検出限界をはるかに下げてありまして、全身で50ベクレルぐらい、1日に食べている量にするとどんな年齢でも2ベクレルぐらい食べていると確実にわかるという装置です、

〔スライド4〕

4番はBABYSCANの写真ですが、いわきのときわ会にも1台入っています。現在、福島県内で3台動いていまして、いわきと南相馬の市立病院と、ひらた中央病院という郡山の近くにある病院にあって、去年2000人ぐらい測っています。今日現在もまだ測っています。実は、先ほどお話したような厳しい検出限界で測っても、2000人の中にセシウムが検出された方は1人もおられませんでした。その中には、井戸水、地元の米、地元の野菜などを食べている方も多数おられました。というのが次のページにあります。5ページをご覧ください。

〔スライド5〕

三春町では、2011年の冬から、4年連続で町内の小中学生全員約1500人の内部被ばく検査をやっています。福島県内でこういう取り組みをしているのは三春だけです。2011年は数十名セシウムの検出者があったんですが、2012年以来3年続けてセシウム検出者は1人もおられませんでした。特に2014年、去年の秋は、身長130cm以下はBABYSCANで測っても1人も検出者はありませんでした。

その下にある棒グラフは何かというと、保護者の方に、お宅ではどういう水を飲んで、何を食べていますかというのを問診票に書いていただいたものの内訳です。

三春では、4分の3ぐらいの家庭で、水道水や井戸水を飲んでおられます。米は、自宅・地元の米と、スーパーで産地を気にせずに福島産でも買うという方が、合わせると8割ぐらいです。それから野菜も同じように8割ぐらいの方が地元のものを食べておられる。未検査で、検査しないで食べてるという方も10%ぐらいおられるんですけれども、こういう方がおられても、三春で、昨年1人もセシウムを検出しておりません。

〔スライド6〕

参考までに6ページ目です。同じことを、南相馬といわきでBABYSCANを受けた方の保護者に聞きました。右側は南相馬なんですけれども、ペットボトルの水しか飲まない、8割、福島産の米は絶対買わない、8割、福島産の野菜は絶対に買わない、これも約8割ということです。南相馬は小中学生も全員ホールボディカウンターを受けに来ていて、問診票をとっているんですが、やはり同じくらい、大体4分の3ぐらいのご家庭で、水はペットボトル、野菜も米も福島産は買わないと答えておられます。

いわきは全員検査しているわけではなくて、BABYSCANに来られた方だけのものなので、少し心配されている方のバイアスがかかっているデータだと思いますが、約半数の方がやはりペットボトルの水、福島産の米と野菜は食べない、そういう答えをしておられます。

しかし、ポイントは、何を食べていても、実は子どもからはセシウムが出てないということです。

〔スライド7〕

それから7ページ目、これは私が提案し始まった、今でも国の委託事業として続いている給食の完成品の検査です。ゲルマニウム半導体検出器を使って検査をしています。上が福島市、下がいわき市の検査結果で、2012年からずっと続いています。大体1ベクレル/kgのところにずっと点があるのですが、これは毎回の測定の検出限界を示しています。

福島市では2度だけ、セシウム137が有限値で報告されていますが、それも大体1ベクレル/kgぐらいです。ほかの市町村でも同様な結果で、給食からセシウムが出ているという報告はほとんどありません。

重要なのは、福島市は2013年の1月から福島市産のお米に変えました。かなりの反対もあったと聞いていますけれども、このグラフをご覧になっておわかりのように、地元産の米に切りかえたからといって、セシウムが増えているという兆候は全くありません。

いわきは、ご存じのように去年の12月からいわき産のお米に切りかわりました。まだデータはあまりありませんけれども、この後もデータをとり続けていかれると思いますので、増えていないことが確認できると思います。少なくとも現在は増えていないということが確認できています。

〔スライド8〕

それから国の検査だけではなくて、民間の検査もありまして、コープふくしまがやっている陰膳検査、一番早いのは2011年の冬からやっています。ここにあるのは2011年の冬。これは先ほど佐藤先生がお示しになったのと同じように、カリウム40とセシウム137と134を測っています。大体カリウム40が50ベクレル/kgぐらいあって、それに対して一番セシウムが含まれていた食事でも数ベクレルぐらいですね。それを1年間継続したときの線量は大体0.14ミリシーベルトで、これはカリウム40による内部被ばく量よりは少ない。ほかのご家庭はほとんど検出されていない。これが2011年の秋、500ベクレル/kgの暫定規制値の時点でこういう状況でした。

〔スライド9〕

9ページ。これは県内にお住まいの方は皆さんご存じだと思いますが、福島県外ではあまり知られていない米の全量全袋検査の結果です。2012年から毎年1000万袋以上のお米を検査し続けている。2012年、平成24年度は1000万袋以上測って、基準値を超えたのは71袋。平成25年度はそれが28袋に減りました。それから昨年度、平成26年度、まだ検査は若干現在も続いていますが、基準値超えがゼロでした。というわけで、お米は非常に安全であるということが確認をされています。

〔スライド10〕

10ページ。現在の内部被ばくは、過去1964年代より低いということがわかっています。1964年、東京オリンピックの年ですが、日本人の成人男性の体内には大体体重1kg当たり10ベクレル近い放射性セシウム137があったということがデータとして残っています。現在10ベクレル/kgのお子さんは、福島県内に恐らく1人もおられません。大人でも、2012年の段階でこういう方は人口の1%未満でした。その後さらに下がっていますので、現在はもっと少ないと思います。

〔スライド11〕

11ページ。これは佐藤先生の資料にもありましたが、厚労省だけではなくて、福島県も日常食の検査でストロンチウムとプルトニウムも測っています。11ページの左下のグラフがストロンチウムの過去のデータとの比較になっています。1964年ぐらいにはストロンチウムを1日当たり1人3ベクレルぐらい食べていたということがわかります。現在の福島の検査は右端の赤い点ですので、はるかに低いということがわかっています。

プルトニウムは検出限界未満。これに対して我々はアルファ線による内部被ばく、ポロニウム210などのアルファ線を出す天然放射線源が食品中、特に海産物の中に含まれていて、我々はそれを食べることによって、毎年0.8ミリシーベルトぐらいアルファ線の内部被ばくをしています。それに対してプルトニウムはほぼ無視できる状況であるということがわかっています。

〔スライド12〕

12ページですが、平成23年度には確かに牛肉からもセシウムが出たし、お米からも出たし、ホウレンソウからもブロッコリーからも出たんですけれども、去年の4月から現在までに出たものは、実はこれしかないんですね。3万4000件検査をして、イノシシ、ツキノワグマ、シロメバル……。ふだん皆さんが普通に食べるもので出ているものは、大豆ぐらいだと思います。もちろん、あんぽ柿大好きとかそういう方もおられると思いますが、これら全て非流通品ですので、流通しているもので100ベクレル/kgを超えるようなものは、今は全く見かけなくなりました。セシウムが含まれている品目も、事故当初とは非常に変わっています。

〔スライド13〕

13ページ。お魚も、事故当初は福島県のお魚を測ると、53%ぐらいが100ベクレル/kg以上でしたが、去年の暮れには0.4%ぐらいになりました。これは水産庁のホームページに載っているものをそのまま貼りつけてあります。

〔スライド14〕

ということで、結論その1ですが、お子さんの放射性セシウムの摂取量というのは、BABYSCANで2000人見た感じでは、1ベクレル超える摂取者はいないと思っています。

今の100ベクレル/kgという基準値を決めたときの目標が年に1ミリシーベルト内部被ばくしないようにということだったのですが、年に1ミリシーベルトというのは、非常に丸い数字でいうと、1年に5万ベクレル食べるということなんです。米にも含まれていない、水にも含まれていなくて、年間に5万ベクレル食べるというのは、福島県内ではほぼ不可能です。2012年のホールボディーカウンター検査では非常にまれに1ミリシーベルト近い方がおられました。その後2年間データを見ていますけれども、そういう方は今はおられないと思います。天然放射性物質に対して、事故由来の放射性物質によるリスクというのは、ストロンチウムもプルトニウムも含めて無視できるほど小さいと断言できます。

それから、BABYSCANの結果でもお示ししましたが、何を食べ、何を飲んでいるかによって、セシウムが出たり出なかったりという状況では今ありません。先ほどお示ししたように、井戸水飲んで、自分のお宅のお米を食べて、自分のところの野菜を食べておられるお子さんでもセシウムは出ていません。ましてや流通品に関しては安全性は十分に確保されていると思っています。

〔スライド15〕

最後のページですが、食品検査、内部被ばくのデータというのは、もう4年近くなりまして、非常にたくさんあって、全て公表されています。隠蔽されているとかおっしゃる方もおられますが、発表の仕方が下手であるというのは認めるとして、とにかくデータとしてはあり過ぎるくらいたくさん公表されています。

ただ、先ほど問診票の結果でお見せしたとおり、子育て世代の家庭では、水道水、県産のお米、野菜を避ける傾向というのは、地域差はありますけれども、かなり強いと思われます。その多くは、多分、ご存じないから食べないわけではなくて、わかっていて、それでもやっぱり避けておられるという方がほとんどではないかと思います。

コミュニケーションというのはなかなか難しいですね。安全ですというデータを幾らお示ししても、なるほどと言ってやっぱりお食べにならない方はお食べにならないと思うんですが、でもやっぱりそれをやっていって、徐々に平常の、事故前のような生活が取り戻せるようにということを思って、私たちもデータを公表しています。

それから、データを見るといっても、他人のデータは、見ていてもなかなか、ふーんという感じなんですが、自分のデータあるいは自分のお子さんのデータは、皆さん非常に真剣にご覧になります。BABYSCANはいわきにありますので、もし非常に心配であるということであれば、そこへ行って測っていただきたい。BABYSCANの結果は郵送ではなくてその場でお伝えしていますので、そこで疑問点などお聞きになって、納得に少しでもつなげていただければということを思っています。

 

(情報提供は、午後の部と同内容であるため、午後の部の議事録の再掲としています。)

―休憩―

 

3 対談・意見交換

司会(消費者庁・山中)

それでは、時間となりましたので、再開いたします。ここからは、皆さんと佐藤先生、早野先生との意見交換、皆さまのご意見を受けての対談をしていきたいと思います。

まず初めに、皆さまにご発言いただく時間をもう一度設けたいと思います。先ほどの先生方の情報提供を受けて浮かんだ質問や、もともとこれまでの日常生活の中で疑問に思っていたこと、不安に思っていたこと、何でも構いませんので、一言ずつご発言をいただければと思います。ここでも、時間の都合上、お一人1分の発言とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

また、ここからの進行は、いわき市の食育委員を務めておられますコーディネーターの門馬麻衣子さんにお願いしたいと思います。

まずは、門馬さんの取り組みや思うところについてご紹介いただいた後に、皆さまお一人お一人にご発言をいただきたいと思います。

 

門馬氏(コーディネーター)

門馬と申します。食育委員会の方をさせていただいているんですけれども、基本的には、今回こちらに来たのは、子どもを持っている母親だと思っていただければと思っております。

震災以降、原発事故が起こりまして、当時子どもが0歳と2歳と、とても小さかったこともありまして、私ももともと、とても放射能に対しては大きな不安を感じておりました。そして結果的には自主避難をしたんですけれども、自主避難をしながら考えていたことがいろいろありました。まず、最初は偏った情報ばかりを信じていた。自分自身が不安であるので、その不安を大きくするような情報の方が自分の気持ちに寄り添っているように感じたということが、多分一番大きかったと思います。

ですけれども、そこの中で行き詰まってしまったことがありまして、勉強しなきゃいけないと思ったきっかけは何度かあるんですけれども、まず、自主避難しているときは福島県のものは一切食べない、西日本産のものしか食べないという生活を送っていました。その中で、そういうことをしている身内の者なんですけれども、時々いわき市に予防接種かなんかで子どもを連れて帰っていくことがあったんですけれども、そういうことを受けまして、本当に福島は危ないのに連れて行っていいのかということを言われたわけです。それに返す言葉がなくて黙って聞いていますと、子どもが例えば病気になったら大変だしねとか、うちは女の子もいるんですけれども、女の子が将来不妊になったら困るから連れて行かない方がいいんじゃないの、そういうことを言われまして、当時の私は、そのことに返す言葉が全くありませんでした。

そういうところから、やはりちゃんと勉強はしなきゃいけないなということで、当時は安全だとか危険というような言葉を用いていろいろ語られていたんですけれども、まず安全とか危険という考え方は一旦脇に置いてしまおうと。そしてデータの方はきちんと見ていこうということで、勉強させてもらいました。

その中で、今日おいでになっている早野先生のデータですとかそうしたところから、事実だけを淡々と伝えるものをきちんと見ていこうという形で、私は勉強していきました。

そういう中で、放射能に対するリスクというものがどういうものか、危険な情報に躍らされずに、それは量的にどんなものかということをきちんと見ていく、そういう習慣をつけていったことで、私の放射能に対する不安というものが消えたということがあります。

自主避難に関しましては、仙台の方だったんですけれども、これは私の地元なんです。2年間自主避難をしまして、そこからまたいわきに戻ってまいりました。

縁あって食育委員会ということで委員にさせてもらっているんですけれども、食育委員会として特に活動しているということはございません。ただ、いわきに帰ってきてから、例えば生産者のところに直接伺って、放射性物質を軽減する取り組みはどういうことをされているかということを自分で知りに行こうと思って、そういう活動はさせてもらっております。

ということで、1巡目で皆さんから聞いた不安についてのお話ですとか、そこもすごくよくわかります。なので、そうした形でいろいろ皆さんの実際のお話をもっと深く伺いながらやっていきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。

では、先生のお話を伺って、わからないこととか、もっと聞いてみたいことがありましたら、野田さんの方からお願いいたします。

 

会場(野田氏)

貴重な情報、ありがとうございました。早野先生の資料でちょっとお伺いしたいことがあるんですが、3番目ですね、毎日3ベクレル食べ続けた、これは3ベクレル/kg。

早野氏(東京大学)

いや、仮に1日3ベクレル食べたという意味ですね。

会場(野田氏)

話を聞いていて、わかりやすい、いい資料だなというふうなことですね。特に早野先生の10番目の「現在の内部被ばくは……」、これはよく放射能を怖がる人に伝えるんですけれども、この当時は粉ミルクに100ベクレル/kg、200ベクレル/kgのセシウムが入っていて珍しくない時代でしたから、人の体にもこれぐらいは蓄積していたんだというふうなことで、今から考えると、おっ、すごいなというふうな感じを受けました。

この資料を活用させていただいて、現在のレベルではそれほど心配する必要はないんだよというふうな印象を受けました。

会場(圷氏)

いろいろとご意見を聞かせていただいて、安心する部分もあったんですけれども、私の意見より皆さんの意見を聞いてみようと思いますので、次に回させていただきます。

会場(草野氏)

お話をお聞きしまして、実際は大丈夫なんでしょうけれども、やっぱり不安が先になってしまって、それが取り除けないというのが現状かなと思います。

あと、食育という面から、保育園とかでは、本当は何かを栽培してそれを子どもたちに食べさせたいという思いもあるんですけれども、それは実際可能なのか。ここの福島の土で育てたものを食べさせても大丈夫なのかというのは、どうなんでしょうか。

早野氏(東京大学)

大丈夫かという意味では大丈夫だと思うんですけれども、それを保護者の方々が同意していただけるかというのを見ると、現状ではなかなか難しい方もおられるのではないかなと思います。逆にその辺どうなんでしょう。

会場(小野氏)

保育園の方では検査ができないというのがあると思います。私も保育園なんで、例えばジャガイモとかトマトをつくったときに、それを検査したらなくなっちゃいますものね。

早野氏(東京大学)

最近、丸ごと検査できる装置も、いわきも入りました。

会場(小野氏)

もし丸ごと検査できれば、潰さないでそのままできると……。

早野氏(東京大学)

潰さないで検査できるようになりました、最近。だから、それで検査して、皆さん納得していただけるのであれば、非常によいと思います。多分検出限界以上の数値は出ないと思います。三春の例なんか見ても本当に出なくなりましたので、大丈夫だと思います。

会場(斎藤氏)

先ほどの早野先生と佐藤先生、とてもわかりやすい説明で、本当に安心したというか、今後私たち、仕事を進めていく上でも、自信を持って説明できる部分が非常に多かったと思うんですね。

1つペットボトルの問題なんですが、やはり今ペットボトルで水を飲んでいる方が非常に多い、水道水を飲まないという方、それから井戸水のところがありますね。当初私、施設に勤めていたんですが、水が足りないから、井戸水があるからということで井戸水を使わせてもらったんですが、当初のことちょっと心配になりましたね。山の方なので、多分出ていたんじゃないかなと思いますので、その辺はまだわからないですものね、当初のことは。

佐藤氏(福島県立医科大学)

結構当初も測って、セシウムは空中から土におりてくると、かなり土とかっちりくっついてしまうんです。そうすると、地下水にしみていくまでに、多分何億年という時間がかかって、そのころには僕らはもう生きていないでしょうし、半減期も過ぎていますから。

実際は、地下水でいろいろなところを測っても出てないというデータは多いです。あのころ水道がだめで地下水を飲んでいた方結構いたと思うんです。そういう方で何人か測らせてもらった人もいるんですけれども、やっぱり出てない方が多いですね。

会場(斎藤氏)

そのころはみんな夢中でしたので。

佐藤氏(福島県立医科大学)

生きていくために必要だったことで、命のためにやっていたので、そのころは放射線よりも命の方が大事だったということだと思います。

会場(斎藤氏)

早野先生の結論のところも、安心して今後進めていきたいなと思います。ありがとうございました。

会場(高萩氏)

今言ったような、早野先生の資料のスライド5番目のペットボトル、それからお米は福島産は避ける、野菜も福島産は避ける、これは口に出して言えるような環境のお母さんたちはおっしゃっていると思いますけれども、大部分の、いわきあるいは福島県の市民の皆さんは、もしかしたら、口には出して言わないけれども、それとなく避けるというような現象がこの結果になっているんじゃないかと思うんですね。

これを全部、安心だから食べなさいというわけにもいかず、それをするんだったら、ちゃんとバランスのとれた食事を、これからのことを考えた体づくりのための食事をするということの方が大事かなと思って、私はそういうような形で、強制はしないけどという形でお話をさせていただいたりはしているんですけれども、ただこれを、自分のいただいた時間の中で皆さんにお伝えするようなときがあったとしても、自分からはそういうようなことは言わない感じがしますし、だからといって、これからも取り組んでいくという気持ちはあるかなと、お話を伺って思いました。

早野氏(東京大学)

今言われたことを我々も経験していまして、紙に書いていただくと、今日ご覧いただいたような結果なんですけれども、その直後に直接お話を伺って、心配ですかと聞くと、大体の方は心配ないとお答えになります。だから、口にはなかなかお出しにならないけれども、実は心配しておられるんだなということを感じることが多いです。

会場(山田氏)

説明、いろいろとありがとうございました。今話にも出たように、実際口では心配ないと言っているけれども、乳幼児の健診とかの協力に行く機会があるんですけれども、そこでお水はどうしていますかというアンケートをとっているんですね。そこで、水道水を飲んでいるとかペットボトルを飲んでいるとか印をつけるところがあるんですけれども、実際お母さんたちは、私が見る目ではペットボトルが断然多くて、やっぱり心の中では心配に思っているところがまだまだあるんだなというふうにいつも感じています。

それで、説明にもあったように、いろいろなところで放射線の値とかを出していて、見る機会もあって、お母さんたちももちろん調べる能力があって、問題がないとか検出されていないというのはわかってはいると思うんですけれども、実際、震災前の生活に全く戻すというのは難しいのかなというふうにいつも感じていますので、リスクコミュニケーションは、すごく大変なところになってくると思うんですけれども、私、保健師の立場としていろいろお母さんとよくコミュニケーションをとって、お母さんなりに解決していくというか、そういうふうな能力を引き出していけるようにかかわっていきたいなというふうに思いました。

会場(鈴木さおり氏)

お話、ありがとうございました。あちこちでお話を聞くんですが、大体、がんにならなければ大丈夫とか、白内障にならなければ大丈夫とか、目立つような症状がよく話題にされるんですが、私たち母親は、それだけじゃなくて、集中力がなくなる、根気がなくなる、体がだるい、疲れがとれなくなる、そういう日常の細かいことも子どもには起きてほしくない現象なんですね。

あちらの方が高いから、こちらの方が低いから大丈夫とかそういう高い低いの問題ではなくて、あるかないか。放射能に限らず、農薬でも添加物でも、子どもにそういうものを与えたくないので、ふだんから気をつけているんです。農薬があるものとないものと比べたら、ないものを食べさせているんです。なので、放射能も不検出だから大丈夫とは言い切れない部分があると思いまして、ただ危険なのは、やっぱり偏るのはいけないと思います。

だから、今の現状をずっと続けていって大丈夫かというのはまだ誰もわからないことなので、今判断すべきではないと私は思っています。無理に判断する必要はない。だったら、より安全な方をとっておけばまあ大丈夫かもしれない、特に子どもに関しては。なので、大丈夫と判断する必要はないし、危険と判断する必要もない。ただできることをやって、比べられるときは安全な方をとろうという姿勢でいます。

なので、あまり大丈夫大丈夫という、こういうリスクコミュニケーションされると、なおさらちょっと不安感が増すというか、今そういう結論を出すときではないんじゃないかなというふうに考えています。やっぱり子どもには安全をとる方がいいと私は考えています。

会場(千葉氏)

私も同じように、わからないことはまだまだあるというところに立っている。やはり母親というのはそういうものなのかなというふうに思っておりまして、戻れるものなら本当に元の生活に戻りたいと全員が一致して思っていると思います。

そして母親として、どんな状況にあっても、子どもには伸び伸びと成長してほしい、豊かにたくさんの経験を積んでほしいという思いが、強い思いとして根底にある、それがベースにあります。

しかしながら、原発事故というものは起こってしまいました。その起こってしまった事態を受けて、どんな行動をとったのか、初期の行動をみんなが悔やんでいます。私たちにできることといえば、選択する中でどちらを選ぶのかとか、過去のことを悔やんでもしようがないというふうにおっしゃるのはそのとおりで、これからどういうふうに生きていったらいいのかということは、日々選択を強いられているという状況です

原発は今も収束はしていないし、どのようになるのかもわからないという現実もあります。なので、その議論が子どもの未来のためなのか、果たして経済とか流通のためなのかというところを見つめていきたいと思っております。

会場(山崎氏)

早野先生、自分のデータを見ることの重要性ということで言われましたけれども、私の葛飾区でも、測定器の貸し出しを平成24年の1月からやっていまして、その当時は毎日50台貸し出していたんですけれども、フル活動していまして、ただ、今は、1月のデータでわずか2件というような状況になっています。これは私どものPR不足も、もしかしたらあるかもしれませんけれども、自分で測って納得されたということもあるのかなというふうに思っています。

それから、消費庁さんから食品検査の機械を借りていまして、そちらの方でも持ち込み食品の検査をやっているんですけれども、1月は1件だけあったんですね。これも、自分たちで測って納得されたのかなとは思っております。

ただ、今持ち込むものとしてお米を持ってくる方が多くて、その中でも特に、福島県産のお米を心配してお持ちになる方が多い、そういう状況にあります。

会場(新井氏)

1点伺いたいところがあるんですが、確かに原発事故の現状というのは、日本では今回が初めてだと思うんですけれども、日常に放射性物質があるというのは今回が初めてなのか。経験したことがないことだからわからないということをよく聞くんですけれども、核実験を行っていたときと今というのは何か違う、だから初めてなんですというところがちょっと私の中ではわからなくて、そこはどうなんでしょうか。

門馬氏(コーディネーター)

大気圏内核実験時代は、かなり放射性物質があったと思います。データをいろいろ勉強したときに、私は震災以前のデータの方をよく活用させていただきまして、先ほどの陰膳検査のお話、早野先生からもありましたけれども、検査してわかっている限りでは、今1ベクレル/kg食べている人はいないですね。ただ、1960年代は、先ほどのグラフは、大気圏内核実験の結果であのようなデータになっているということがわかっています。当然2倍、3倍ぐらいは通常とっていたということはわかっていることです。

早野氏(東京大学)

私の資料の11ページに、過去のストロンチウムというのがあります。1964年、1日1人当たり3ベクレル/kgのストロンチウム90を食べていた時代がある。一番右側に今回調査というのがあって、それは福島県がなさった陰膳調査の結果ですが、赤で書いてある。はるかに低いんですよ。

会場(新井氏)

そういうデータは当然知っていて、どうしてそういうことが発信されないのかなというのを非常に疑問に思っているところなんです。

飯塚(厚生労働省)

今の資料で、「厚生労働省の検査でも」と書かれておりまして、厚生労働省でも陰膳調査はやっております。こちらは、結果を出すときには報道発表、いわゆるプレス発表をしておりまして、それと同時に、厚生労働省のホームページにもわかりやすく表で掲載してございます。一応そういう形では皆さまにお知らせはしております。

早野氏(東京大学)

でも、過去との比較というのが……

飯塚(厚生労働省)

過去との比較というのは、表現としまして、ストロンチウム90が一部の試料で検出されたものがあったんですけれども、福島原発事故以前の範囲の中におさまっていますという表現で出しております。

会場(新井氏)

そこが多分一般の住民の方に届いていないので、不安がなかなか消えていかない。そこがわかる、わからないってすごく大きいんじゃないのかなと個人的には思っているところなので、その情報の提供の仕方というか、もっと発信をしていただくわけにはいかないのかなと。佐藤先生も過去からずっと測定をされていてというところがあって、そういったデータがもっと出てこないのかなと。

佐藤氏(福島県立医科大学)

今、皆さまの情報検索能力が高いと思うんですね。スマホでもパソコンでも、調べようと思えば調べられるんですけれども、多分調べていくと変な方向に曲がっていって、いわゆる情報混乱みたいなところがあって、ちょっと置いてあるデータはさわらないということも多分あると思う。僕らがこういう場所でそういうのを引っ張ってきて提供するというふうなことが繰り返されている。またあの話聞いたみたいなことになるので、そういうのを比べるような、自分の判断能力をつくっていかないと、多分調べてもそこにたどり着かないことも多いと思うので、そこは、出している方は出しているよ、でも見えないという、その繰り返しになってしまいますから。そういうのがもっとわかりやすく閲覧できるようなサイトがあればいいのかなと思います。

早野氏(東京大学)

あと報道も、正常であることは報道してくれない、異常なときだけ報道なさるので、うなずいている方があそこ(報道関係者席)におられますけれども、特に中央のメディアはその傾向が強いと思うんです。ですから、なかなかそういうことは伝わらないということはあると思います。

道野(農林水産省)

日常食のモニタリングデータ、もとは文科省がやっていたんですけれども、途中で平成10年代の後半にやめて、その後事故の前までは厚生労働科学研究費で細々と続いていた。ちょっとそういう、やるところが変わったりとかということもあって、ずっと並べてデータを見るという機会がなかなかないというのもあるんだろうと思います。

佐藤氏(福島県立医科大学)

実は資料をつくってきたのを見てもらったときに、先生この資料もう古いですと、だめ出しされました。それはなぜかというと、アップデートどんどんされていって、新しい情報にどんどん書きかわっていくんですね。僕は去年のデータを使っていて、先生これ古いですと言われて、こんなのでは住民の方は納得しませんという話ですから、アップデートしていくというのも大事かなと思います。

会場(田村氏)

今のお話で思い出したんですが、このデータは環境省にある、このデータは文科省にある、このデータは農水省にあるということで、消費者にとってはすごくわかりにくくて、我々は今回の事故で初めて放射能と向い合ったようなんだけれども、実際は1960年代から向かい合っていて、それと比べれば全然大丈夫なんだよという情報は何を見てもわからない。今佐藤先生がおっしゃいましたけれども、個人のスキルに限られているんですよね。でも、ちょっと1つのことにひっかかってそっちを調べていくと、本来こっちを調べていたのが飛んでしまったりということが、それは2年も3年も前、直後から言われていて、そのことに関しては、消費者庁さんの方で、消費者目線でわかりやすいチラシをつくりますよということで、この前段の研修会で、2年前か3年前おっしゃっていたような気がするんですが、楽しみに待っているんですけれども、まだそれが出てこないというところで、引き続き待っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

石川氏(消費者庁)

これ「食品と放射能Q&A」、結構大ぶりになってきているので、これをもっと簡素化してわかりやすいパンフレットをつくって、今2稿が上がってきている段階です。必ずお出しできますので、できたらお知らせいたします。

会場(田村氏)

よろしくお願いいたします。あとは、今日は時間がないかもしれないんですが、早野先生と佐藤先生にお願いしたいなと思っていたことは、申込書にも書いたんですけれども、先ほどお母さん方から、大丈夫というふうに先生方のご講演が聞こえたということで、行政の方でも、データだけは出して、大丈夫か大丈夫でないかは保護者の方の判断に任せるという視点で情報だけ出しているんですけれども、ただ、保護者の方のお話を聞いたりしていると、先ほど、隠しているデータはないというお話も早野先生からありましたけれども、隠しているデータがないどころか、あり過ぎて整理ができない状況になってきているんですね。

先ほど、参加者の方から、行政がメンバーを集めると、佐藤先生とか早野先生みたいに、国に賛成の人しか集まらないじゃないかというお話がありましたけれども、ありとあらゆるデータを集めて、全てのデータから判断すると、国の意見に賛成だという結果になるというのは、それは国に賛成しているからではなくて、自分で納得して判断した結果そういうふうな話になってしまうということなんだと思うんですね。それを判断する、正しく考えるという方法が、このデータが過剰な時代、そして教育もあるんだと思うんですけれども、難しいんだと思います。ちゃんと調べてみましょうとか、ちゃんと比べてみましょうと、子どもたちの授業ってそうなんですね。グループワークして、ちょっとこれについて考えてみようと言うとしーんとしちゃうんです。でも先生が一言、ちょっと図書館に行って調べてみようかとか、ちょっとこれとこれと同じようだけど違うよね、比べてみようかと言うと、子どもたちはワーワーワーワーにぎやかに活動が始まるんです。

保護者の方も同じような形だと思うので、佐藤先生のご講演を聞いたときには、お子さんが小さいので福島に住もうか住むまいかすごく悩んで、データを集めて、これとこれとこのデータから、うちの子どもを残しても大丈夫だと判断した。早野先生も「知ろうとすること。」の中で、ご自分が学生時代に体験したこと、それから大人になって治療で体験したことを入れながら、自分がどういう情報でどういうふうに判断したのか、考えたのかという考え方を示していただいたので、そういったところも必要なのかなというふうに思いました。

会場(松本晃典氏)

今日は貴重なお話ありがとうございました。

私の方もちょっと勉強不足で非常に恐縮なんですけれども、早野先生の資料の中で興味深かったのが、10ページのところで、原発事故よりも、核実験を多分地上とかでやっていたんじゃないかなと思うんですけれども、1960年代の方が放射性物質がかなり検出されていたというところで、こういうデータがありますというところで見せていただいて、ありがとうございました。

というところで、原発事故が起きて、今までいろいろデータとか皆さんとっていただいて積み上げてきたものがあるかと思うんですけれども、もう少し長いスパンでデータをとり続けて、長い間データを蓄積することによって見えてくるものもあるんじゃないかなと思います。原発がまだ収束し切れてないところかとは思うんですけれども、少し落ちついたところからもまだ引き続きデータをとり続けていくことが大事なことではないかということを1つ思いました。

会場(安島氏)

早野先生にはちょくちょくお会いしています。こういう講演会とかいろいろ参加させていただいているので。お母さんたちの声は、ほかの皆さんがいろいろ話しているのを聞いているので、大体同じかなと思うので、そこはあえて置いておいて。

この前、共立病院主催で、坪倉先生を呼んでの内部被ばくの話があったときに、多分参加者の皆さんはほとんど共立病院の関係者の皆さんだったんですけれども、一般の方で参加された、お孫さんがいる年代の方、先ほど皆さんがホームページが、ホームページがとおっしゃっていたんですけれども、こういう講演会とか放射能に関する話を聞いたのが初めてだと。パソコンを開けない年代の方々にこういう情報が伝わらない。4年たっても放射能の話がゼロから始まっている人たちがいるということも事実であって、今日の主催者側の人たちに対して、そういうところはどう埋めたらいいのかなと。

佐藤氏(福島県立医科大学)

僕も講演会をずっと3年間やっているんですけれども、人数がばらばらになってきちゃって、目的を決めて集まらないと、多分情報がうまく伝わらないんです。事故って何の事故だったのと言っている人もたくさんいるし、えっ、そんな事故だったのというリアクションもあるし、食っていいのかという話を知りたい人もいて、多分僕らも向こうもばらばらなんです。だから、そこはまとめてやっていかないと。なるべくならこのぐらいの人数でやっていかないと厳しいか、マスメディアさんで、初心者コース、中級者コースと言うと失礼ですけれども、テーマを絞って、みんなで見えるとかということを考えていかないといけないかなと思います。

会場(安島氏)

やっぱりネットを見られない人たちで不安を抱いている人に対してのケアが行き届いていないのかなというところはちょいちょい感じるところなので。情報があり余って混乱している人もいると思うんですけれども、その辺の対応もしていただけたらなと思っています。

会場(鈴木洋子氏)

何回か栄養士会の方でも消費者庁の先生にご講演いただいたり、考えさせられること、理解できたこともあったんですが、今日の早野先生、佐藤先生のお話をまとめていただいて、その中で、ああ、こんないいお話が、子どもたちの不安を考えているお母さんたち、おばあちゃんたち、そこにかかわる我々に、我々もそういう研修会とかに出られないメンバーもいるんですけれども、マスメディアを通したりとか、この内容をもっともっと伝えられるものがないのかなというように日ごろ思っています。

私も、現職のときには厚労省の担当者の方とお話をしたり、保健所の方でも機会があるので、機会あるごとに担当の職員に聞いたりもするんですけれども、やはり子どもさんを持っているお母さん職員は、自分でいろいろ情報をとっています。こんなにできるのねと言うくらいとって、私も情報もらったりしているんですが、そこまで考えて、お母さんたち、パソコンをいろいろ駆使して、グループでお勉強会なんかしている方もいらっしゃるんですけれども、やはりわかっていても、情報がいっぱい入っていても、避けているというか、そういう方はたくさんいらっしゃいますね。最近、全体に原発のことが少しなれてきちゃって、どうしていいのかという宙ぶらりんのお母さんたち、我々の仲間たちもいるので、そこら辺もう少し刺激というか、もっと強い情報をいただける方法ってないのかなと。せっかくのいい内容だったので、そこをちょっと考えてみたいなと思っていたんですが。

会場(佐久間氏)

門馬さんがお話ししてくださった中で、とてもわかったことがあって、偏っていると思われるような情報が自分の心に寄り添う、あと、何かいろいろな意見に対して返す言葉がないというような、そういう経験を私もしています。早野先生、結論のところでおっしゃったコミュニケーション、そこの問題があるかなと思いました。

1つの例として、いわきと南相馬の水とか食品、どこのを使っているかと。いわきのことはよくわからないんですけれども、南相馬に行くと、あそこは平成の大合併で合併した町なので、小高では、原町では、鹿島ではと、たびたびそんな話が出てきて、地域性というかそういうことが、科学的な正しいところに行き着くのを妨げているような印象を受けるんですね。別なところに行くと、特に全国放送のテレビだと、人口が少ない村で半分しか帰還してない、病院はない、何もないみたいな話。でも、実際に人々に会うと落ちついて暮らしているような印象を受ける。帰還した人の方が安心しているような感じ、そんなようなことを感じます。

会場(野上氏)

ありがとうございました。説明いただいたのが非常に心にすとんと落ちました。わかっていたことをもう一度きちんと整理してくださって、すっと落ちたような印象を受けました。

ただ、それでもやはり不安のある方たちにどう説明したらいいかというのはわからないんですけれども、かつて、原発事故が起こったときに一番大きな問題は、信というのが崩れてしまったんだというお話を伺ったことがあるんです。それを、データだけではなくて、どうやってその信を取り戻していくのかというのを、非常に私もずっと悩み続けています。

それともう1つは、これは私の無知と、それからわからないことなんですが、低線量被ばくの体験は世界でどこにもなかったというお話、これは本当なのかどうなのか。そういうふうに聞いているんですが、核実験をずっとしてきて、ああいう中で、私も小さいときに言われました、傘差して歩けとか黒い雨が降ってくるとか。そういう中でお魚も食べていましたので、そこが本当なのかどうかということを教えてください。

佐藤氏(福島県立医科大学)

ある意味、人間は低線量被ばくの中で生きていますので、それが少し増えたというふうに理解した方がいいと思います。ゼロがちょっと低いので出ているというよりは、もともと浴びて沈下してきたところにちょっと出てきて、それ以上かかっている地域もあるという考えでいいと思います。

会場(佐藤氏)

大変わかりやすい説明ありがとうございました。リスコミなどにも何回も出席はしているんですが、やはり大人数の中で聞くのとこのような場面で聞くのでは、またちょっと入り方が違ったのかなと思います。

私も、以前からの核実験による影響とかそういったものも、自分なりにいろいろネットで調べました。いまだに北海道の方の研究所なんかでも、そういった食品とか調べているような結果も見たりもするんですが、さっきもあったように、情報があったとしても、そこにたどり着ける人は限られているということ、それと、先ほどもあったように、消費者の中でいまだにこんなことで悩んでいるのというようなのがたまに相談で来ることがあり、報道やそういったところから、この人の心にはどうしてそれが入らなかったのかなと。だから、人それぞれ悩みのもとというのは、そのレベルが違うということはすごく感じます。

ただ私が言いたいのは、やはり高齢者の方が多いこの時代ですので、何か本当にわかりやすい発信ということはいろいろと考えていただきたいということ、あとはホームページに頼らない発信。

会場(A氏)

食品の安全性については、データにより理解できたんですけれども、素朴な質問ですけれども、セシウムとかストロンチウムは半減期が30年、29年という段階で、落ちた場合、粘土質に吸着されると。そういう状況で今この状態であるんですけれども、なぜ線量が下がったのか。ベクレルとかが下がった理由についてわかれば、もっと僕は信頼が増えるかなと思います。

早野氏(東京大学)

セシウムについてはよくわかってきていて、佐藤先生も先ほどちょっとおっしゃったことですが、土にくっついている。それは、粘土の中に含まれている、バーミキュライトと言う雲母の結晶にセシウムがくっつくと、水に再び溶け出さないということがよくわかっている。幸いなことに福島はそういう土質のところが多く、特に田んぼはそうですよね。

それと、カリウムの施肥をすると、植物がセシウムを取り込みにくい。カリウムは必須元素ですので、植物は一生懸命それをとろうとするわけですが、カリウムとセシウムは化学的な性質が似ているので、もしカリウムが足りないと、一生懸命植物がカリウムを土の中からとろうとするときに一緒にセシウムも吸ってしまうということが起きます。そこでカリウムを十分にまいて、カリウムとセシウムの比率を上げておくと、一緒に間違って入ってくるセシウムが相対的に減ります。農家の方々も大変な努力をされ、対策をしたことによって、米などの作物に取り込まれるセシウムは非常に減ったということが学術的にもよくわかっています。

ですので、そういう方面の専門家のご努力と農家の方々のご努力によって今保たれているということで、もちろん除染してない山の中へ入っていって何か食べると、いまだに1万ベクレル/kgのイノシシとかいますので、福島県内の全てのものが食べて大丈夫というわけではなくて、ちゃんと管理してつくられているものに関しては、検査もされているし、それから、なぜ高かったかということがちゃんとわかって、それを下げる努力がなされた結果、今下がっていると我々は理解しています。

佐藤氏(福島県立医科大学)

全く問題ないと思います。

道野(農林水産省)

米とか大豆とかは、まさに先生おっしゃっているとおりです。果樹なんかは、むしろ樹体にくっついたものが転流して実に行ったり、お茶の場合には新芽に行ったりするということもわかってきたので、樹体の線量を下げるために、粗皮をはいだりとか高圧洗浄したりとか、要はどういうふうに管理すれば食べるものに移らないかということがかなりわかってきた。米だけではなくていろいろなものでそういうことがわかってきて、対策がとられていれば安全が担保できるようになってきたということがあるわけですね。

会場(諸澄氏)

わかりやすいご講演、ありがとうございました。

同じ医療従事者として、佐藤先生のスライドの中で、医療被ばくが高いというのは確かにわかるんです。私自身も専門職として学術・教育を担当しているんですが、おなかの痛いお子さんを診たときに、腹部を単純に撮る、血液検査もやる、もちろんエコーもやる、でもCT撮ったりするわけですね。そういった意味で正当化というか、お母さんにとっても、必要だからと理解できるわけです。ですから、線量が低いから大丈夫だという対比として、医療被ばくはこんなに高いんだという説明で、放射線の影響はこんなに少ないんだよというのは、私自身はあまり納得できないんですね。低い高いではなくて、こちらはまさに正当化の判断で行った医療被ばくであって、高所被ばく、今の環境被ばくは、益のない被ばくだということを言われます。

佐藤氏(福島県立医科大学)

それは全くそのとおりだと私も思います。ただ、こういう被ばくは初めてかというと、病院ではもう既に被ばくしているんだよという、未知の世界ではないという例えですね。

僕は治療医なので、多分物差しが緩いんです。マイクロの世界じゃないですから。その10万倍で患者さんを治療して物差しがちょっと緩いので、僕は今回の線量を聞いたときに、ああ、このぐらいだったら何とかなりそうかなというのが最初の印象ですし。

会場(諸澄氏)

確かに悪い放射線、いい放射線があるわけじゃないですから、影響は同じ、それはわかります。でも対比のスケールとして出されるのが1点。

それからもう1つ、放医研のホームページに載っている、スライド13番のものですけれども、3割の方ががんで亡くなる。100ミリシーベルト、それは0.5%ですけれども、では1000人で5人、1万人で50人、私はそのうちの1人じゃないかという考え方もあるんですね、宝くじの理論ですけれども。ちょっとこれも気になるところです。

佐藤氏(福島県立医科大学)

多分それは、団体で見るとこうですけれども、個人で見たら1か0ですので。それはあると思います。

会場(石川氏)

お話ありがとうございました。

早野先生の資料のところで、いわきと南相馬のお水とお米と野菜というデータがすごく気になりまして。いわきの場合でも、お子さんに対するお母さんの気持ちで、このようにペットボトルとかそういうのを使っているんだろうと思いますけれども、これが果たしていつまで続くのかしらというふうに、お母さんたちがどのように考えて、どのように持っていって、放射能は結局結果論だからというふうになったら、お母さんたちこれからずっと不安の中で生活していくのかなというふうに考えてみました。

それから、その人たちにもしそういうふうな質問を受けたときに、私はどういうふうな説明をすればいいのかなというふうに考えましたので、この資料をもう一度自分でよく考えて、これからお母さんたちに接するときにどのように接していったらいいか、今日の講習会で考えてみたいと思います。ありがとうございました。

門馬氏(コーディネーター)

石川さんだけではないのですけれども、いろいろ話を聞いていて思いました。信頼感を失うということが1つあったと思います。信頼感ですけれども、皆さん、情報がわからないという方、私の目から見てですが、待ちの姿勢に見えるんです。信頼を失ったときに、これは与えてもらうものなんでしょうかということをちょっと皆さんに考えてもらいたいなと思います。自分たちで主体的に情報を取りに行くことは難しいでしょうか。

例えば、今、幼稚園、保育園、農園の体験をさせるかどうか迷っているというふうにおっしゃっていました。実際に心配されているのは親御さんが多いんだと思うんです。1つ仕組みを変えてもらいたいなと、提案させてもらいたいんですけれども、例えば学校現場で、生徒さんですとか農園関係の体験させるような社会見学とか社会体験があると思いますけれども、親御さんも一緒に参加させるということは難しいのかなということを最近考えているんですね。お子さんだけが、学校の方でも教育ということをやっていると思うんですけれども、お母さんとお子さんが一緒にやっていくということ、それで家族の中で話し合えるということも1つやっていったらいいんじゃないかなというふうに思います。

皆さんおっしゃっているんですけれども、不安はあるんだけれども口にしない、そういう行き詰まり感があるんだと思うんです。風化というふうに言われたりすると思うんですけれども、本当に風化なのかどうか。話し合える場所実はないんじゃないだろうか。皆さん手詰まり感、一步打開したいというふうにおっしゃっている。ホームページから情報を見て、たくさん情報があり過ぎてわからない。だったら自分の足で動いてみたらどうかなということを1つ提案してみたいと思います。

会場(松本静江氏)

今日はありがとうございました。

私も、早野先生の資料の中のいわきと南相馬と三春と、地場産物をとっている比率が大分異なるというところで、いわきでもまだまだこんなに実際に避けて食事を選んでいる方が多いんだなというふうに感じたところです。

逆に、福島県以外の方が、福島のものがあったらそれを選ぶのか選ばないのかというようなところは実際どうなのかなと思うところです。

私たちはいわきにずっと住み続けるわけですけれども、その中で、こういった先生方のお話なんかも聞きながら、そういった情報で、ああ、大丈夫なんだなというような、私はその気持ちに沿って自分で食べ物を選んでいるつもりですけれども、これが一步出たときに、私たちが外に出たときに、ほかの人からは、あっ、福島の人なんだというような、どんな見られ方をするのかなということを考えたところです。

会場(小野氏)

私の感想ですと、先ほどから早野さんとか佐藤さんがコミュニケーションの問題とおっしゃっているんですけれども、福島にいる人たちは、行政とか政府を信用してないという前提は考えないとだめかなと私は思っています。

というのは、安倍首相がオリンピック誘致のときに、福島に対して、要するに放射能の問題は過去も現在も未来もないんだというああいう発言をすれば、私は個人としても怒りしかないですね。あの段階では言うべきじゃないことを言ってしまったというのから始まって、すごく不信があるというのを前提として考えなきゃいけないかと私は思っています。

その上で、ではどうしたらいいかといった場合に、例えば小出裕章さんみたいな、皆さんとは全然違うような立場の人と皆さんが私たちの前で討議をする、それを市民が陪審員制度みたいな形ですね。要するに、それに対して知識がない方がそれを判断する場合に、賛成、反対両方を見て判断するというような姿勢があれば、すごく私は変わってくると思うんですよ。行政に対しても信頼も出るし。それが4年間全然なされてない。これは不信を与えるのかなというので、そこは避けたいと思うので、その辺を行政の方たちとか科学者の人たちがどういうふうに考えているかというのを知りたいと思います。

佐藤氏(福島県立医科大学)

前にも一度、僕が講演したときに同じような話をされましたね。僕らの同じ業界にいる人が全く逆のことを言っているから目の前で闘ってくれという話があって、恐らくディベートみたいな形になりますので、そのベースが科学的なのをベースにしてやっていけばいいんですけれども、多分個人の主観とかそういうところが入ってくるので、それを聞いた市民の方が納得できるか、余計混乱してしまう危険性も十分あるかなとは思います。

会場(小野氏)

私は、混乱ではなくて、それを判断するのは、そういう場所を提供することが必要だと思います。混乱するかどうかというのは市民1人1人が感じることなので。

佐藤氏(福島県立医科大学)

こんな形の会があって、そうでない形の会があって、その中で考えられるということはないですかね。

会場(小野氏)

私は1つ、そこで陪審員制度というのは、今の民主主義の中ですごい制度だと思う。

佐藤氏(福島県立医科大学)

そうすると、ゼロか100かの測りにかけられて、こっちしかない、こっちしかないみたいになってしまうと思う。

会場(小野氏)

それがやっぱり必要だと思います。というのは、今の労働時間を見た場合に、8時間労働して──8時間以上ですよね、そのほかに例えば何かについて自己責任で調べなさいというのは、非常に難しいと思うんですよ。だから、先生方みたいにオーケーの方を聞いたら、そう流れちゃう。でも反対の人を聞いたらそっちに流れちゃう。これが普通の市民の動きだと思うんです。それをどうにかするといった場合には、ここで両方の意見が闘う、そのことを私たちが見て考える、その場が1回でもあればよかったと思うんですけれども、一切なされてないですから。税金を使って。ここは市民レベルで見てないと私は思っています。

門馬氏(コーディネーター)

行政が一切なされてない、例えば具体的にはどんなことでしょうか。

会場(小野氏)

具体的に言いますと、私が知る限りでは、4年間、例えば小出さんとかそのほかの、皆さんと反対意見の人と、皆さん、要するに行政が考えている人たちをあわせての、こういう会議というのは一切なかったですね。私はそれは市にも要求してきているし、県にも要求はしてきましたけれども、一切なされてない。もしそれを行政でやっているならば、それを見せてもらいたいですね。

門馬氏(コーディネーター)

まずイデオロギーというものは一旦外して考えるということはできないでしょうか。

会場(小野氏)

当然です。それは科学者同士ですから。小出さんも科学者、皆さんも科学者、科学者同士のことです。放射能についての専門的なことを持っている科学者同士の討議を見るということですね。

門馬氏(コーディネーター)

見た中で自分の判断がどのように変わっていくかということは、どういうふうに想像していらっしゃいますか。

会場(小野氏)

例えば1つの問題で言いますと、医療被ばくの問題。佐藤さんおっしゃいましたけれども、先ほどの人も言ったんですけれども、医療被ばくに対しての問題点というのはたくさんあるという方もいらっしゃいますよね、高木学校から始まって。そのことを全然おっしゃらないで、聞いただけでは、医療被ばくがあるので大丈夫なんですよみたいな。でも、ここで医療被ばくについて知っている人が2人いれば、ああ、そうか、医療被ばくについて佐藤さんはオーケーみたいなことを言っているけれども、そうじゃない意見もあるんだなと。そこでどういうようなことが問題なのかというのが、2人が討論すればわかりますよね、市民として。そこが難しいので、こっち聞いたらこっちに流れる、こっち聞いたらこっちに流れるというのはすごく私はあると思います。

門馬氏(コーディネーター)

2つに分けなければいけない必要はありますか。

会場(小野氏)

中間でもいいんじゃないですか。ただ1つ寄りのことがずっとなされているのはどうなのかなと思うんですよ。それじゃなくてもネットで私たちは調べることができるので、皆さんとは反対意見の人たちも講演には福島にはたくさん来ているので、知らず知らずにみんな入ってきますから。それが行政ではなぜか、オーケーの人たちとか安全の人たちをこうやって出してくるというのは私はどうなのかなと。税金を私も払っているので。

石川(消費者庁)

リスコミの事務の調整をしている消費者庁から申します。ディベートという考えもあるでしょうけれども、およそ科学の世界では、学説、再現性、検証、データが全てだと思います。その場での意見の上手な伝え方とか多数決で決していくということはないと思います。ですので、およそリスク評価の部分は科学、アカデミックな部分ですから、ディベートにはちょっとなじまないと思います。

ただ、おっしゃったように評価を受けてから行う管理の仕方については、社会的な合意形成も必要になってくることから、管理の部分については、そういった手法もあるかなと思っています。

今日はリスコミの会ですので、およそ通説と言われている学説、アカデミックな部分に沿ってこの会は進行させていただいているという現状があります。

司会(消費者庁・山中)

まだまだご発言いただきたいところですけれども、間もなく時間となります。門馬さん、最後にまとめで何かありますでしょうか。

門馬氏(コーディネーター)

口では心配ないと言うけれども、実際にはみんな心の中で不安感を感じているのではないかというような皆さんの声を直接聞いて、私自身もふだんの生活の中で感じるので、やはりそうだなと思いました。

では、せっかく早野先生と佐藤先生、いらっしゃっていますから、心の中の不安感をどうしたらいいか、それぞれ立場はあるかと思うんですけれども、そのことを最後に聞いてみたいと思います。

早野氏(東京大学)

まず、私は、恐らく震災以来、日本で一番大勢の内部被ばくデータを自分の目で見た人間だと思っています。ですので、私としては、データは淡々と出して、時々それをまとめて英語の論文にして公表しているわけですので、科学的な部分としては、そういう土俵で、もしそれに対して別の立場の方がおられれば、そうでないというデータに基づいて論文をお出しになって、その上で科学的に世の中の専門家が判断なさればよいことであると、私はずっとそういう立場をとってまいりました。

ただし、今日もお話ししたように、科学の問題ではないんですよね。ペットボトルしか飲まないとか。BABYSCANを始めて一番最初に驚いたのは、最初にある質問が、水道の水飲んでもいいんですかという、それが一番多い質問だったんですよね。そのことが僕にとっては、やっぱりそうかというのと、かなりの驚きであった。それが事故から3年目ぐらいなんですけれども、とにかく来る人来る人、水は大丈夫かということをご質問になる。これはなかなか根が深いなということを思っています。

この問題というのは、我々、それからここに並んでおられる方ばかりではなくて、実際に現場でお母様方と接している方々が恐らく肌で感じておられる問題だろうということも、今日お話を伺って確認できました。

データとしては大丈夫なんだけれども、だからといって、あなた食べなさいとは言えないということもよくわかっているので、長期的に、どうやると、もともとあった生活を取り戻せるのかというのは、依然として僕にとっても大きな課題で、それについて皆さんと今日こうしてお話ができたこと、それからいろいろなご意見を伺えたことは大変に参考になりましたし、また次に何か考える上でそれを生かしていきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

佐藤氏(福島県立医科大学)

私は、多分、県内で患者さんに一番放射線をぶち当てている張本人と自負しておりますが、その中で、私が外来で診ている方はほとんどがんの患者さんです。今の状況は、がんを宣告された患者さんに似ているのかなというのを少し思っています。

治療法をどうしようというときに、ネットではこっちがいい、でも医者はこっちを勧める、どっちにしよう、で、両方に行って話を聞いて自分が信じた方を選んで治療を受けて結果を受け入れていくという作業が入ってくる。どっちが正解かというのは、結果が全てですから、結果がよく出なければ失敗だったとなるし、ただ、道を選ぶときに一生懸命調べて自分で自信を持って選べば、結果が悪くても信じていけるという感じが、何となく今の福島の感じと似ているのかなというのはちょっと思っています。

そのときに、今患者さんが一番苦しんでいるのは情報です。先生はどっちがいいんですかと聞くんだけれども、僕らはスイッチは準備できるんですけれども、押すのは患者さんなんですね。僕は、こういうデータを信じてこういうふうにやるとこのぐらいよくなるからどうですかというスイッチを用意するし、民間療法のスイッチもあるし、逃げるほうのスイッチもあります。それを最終的に押すのは当事者なんですね。皆さまなんで、ではスイッチを押したときに信じてくれれば納得できるんですけれども、いや、あのときあっちを押しておけばよかったみたいにぶれるとまた後悔したりというのがあって、何となく今それと似ているのかなというのをちょっと感じておりますから、最終的には自分で自信を持って選んでいくしかないのかなと思っています。

危険という立場で選んでいくのも1つでしょうし、いや、そうでもないんだなというのも1つの道でしょうし、それぞれでアクションを起こしていただいていいと思いますし、僕らも全員に安全だなんて意見を押しつけようとは全く思っていません。僕らが知っているデータをこういうところで見てどう感じますかというスタンスでやっていければいいかなと思いますので、本当にいろいろな人がいます。

放射線治療で最初に僕の外来に来たときの患者さんは全て落ち込んでいます。先生、放射線かけろと言われたんだ、もう俺だめかと言って落ち込んでいる。僕の最初の仕事は、肩をもんで、そんなに心配するな、治ったらいいべしさという話から入っていくわけですから、やっぱり患者さんもいろいろ予習してくるんですね、放射線治療について。髪の毛抜けるのかい、皮膚焼けるのかい、体だるくなって食えなくなるのかいと言うんだけど、受けてみな、全然起きないからと言うと、実際1回受けてもらって何も起きないと、本当だ、先生の言ったとおりだと。ちょっと未来を予想してあげて、そのとおりいくと信頼関係ができて、治療がうまくいくということですから、そういうのと近いのかなというふうに思っています。

ただ、もっと人口も大きいし、根が深い話だし、がんと違って、被ばくというのは受けない方がいいわけですから、少し状況が変わっても、何となくそういうのを今日感じたので、今後僕もまたいろいろなこういう話の場で、ちょっと自分の方向性というのをつくってみたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

 


4.閉会

司会(消費者庁・山中)

では、ここで、情報提供・意見交換のコーディネーターをしていただきました門馬さんと佐藤先生、早野先生に拍手をお願いいたします。(拍手)

まだまだ意見交換を続けていきたいところですけれども、時間となりましたので、これで終了とさせていただきます。

本日、皆さま方からたくさんのご発言、ご意見をいただきました。リスコミで大丈夫、大丈夫と言われるけれども、今ここで判断しなければいけないのか、それが逆に不安なんだというご意見もいただきました。

私どもはリスコミを全国で開催しておりますけれども、それで、例えばペットボトルの水ではないものを飲んでくださいと言っているわけではもちろんなくて、判断する1つの材料にしていっていただければと思っています。これからもリスクコミュニケーションを続けてまいりたいと思いますので、ぜひご興味、ご関心ある方はご参加いただいて、また率直な意見をいただければと思っております。

それでは、本日の意見交換会、終了させていただきたいと思います。最後に、アンケート用紙にご意見をご記入いただきまして、お帰りの際受付の方にご提出をお願いいたします。

本日はありがとうございました。

お問合せ先

消費・安全局消費者情報官
 担当者:リスクコミュニケーション推進班
 代表:03-3502-8111

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