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農林水産省

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第86回 コーデックス連絡協議会

資料・議事概要

消費者庁、厚生労働省及び農林水産省は、平成31年4月19日(金曜日)に、「第86回 コーデックス連絡協議会」を中央合同庁舎4号館において開催しました。主な質疑応答事項及び意見は以下のとおりです。

 ・資料(PDF : 1,266KB)
 ・概要(PDF : 197KB)

1.経緯

(1) 消費者庁、厚生労働省及び農林水産省は、コーデックス委員会の活動及び同委員会での我が国の活動状況を、消費者をはじめとする関係者に対して情報提供するとともに、検討議題に関する意見交換を行うためコーデックス連絡協議会を開催しています。

(2) 今回は、平成31年2月に開催された第26回油脂部会(CCFO)及び平成31年3月に開催された第31回一般原則部会(CCGP)の報告を行うとともに、平成31年4月に開催される第13回食品汚染物質部会(CCCF)及び令和元年5月に開催される第45回食品表示部会(CCFL)の主な検討議題の説明及び意見交換を行いました。


2.質疑応答及び意見交換の主な内容

(1) 第26回油脂部会(CCFO)

議題4「オリーブ油及びオリーブ粕油規格(CXS 33-1981)の改訂原案:3章、8章及び付属書の改訂(ステップ4)」について、Refined olive oilの定義に関し、EUが精製方法に言及しない案を支持した理由について質問がありました。これについて、提案されている精製方法では官能的特性について言及されており、EUとしては製品の定義に官能的特性を含めるべきではないとの考えである旨回答しました。

議題5「5.2 バージン・パーム油における酸価の遊離脂肪酸への置き換えと粗パーム核油における遊離脂肪酸の追加(ステップ4)」について、なぜ遊離脂肪酸で品質を評価できるのか質問がありました。これについて、パーム油の保存状況によっては、トリグリセリドから脂肪酸が遊離するため、遊離脂肪酸の測定により品質を評価することができる旨の回答をしました。

議題5「5.3 ひまわり油の必須成分の改訂(ステップ4)」について、従来型ひまわり油であっても、温暖な気象条件下で栽培された原料から生産された場合、中オレイン酸ひまわり油と同程度のオレイン酸を含むことがあるのであれば、従来型ひまわり油のオレイン酸の含有量の上限を上回る可能性があるのではないか質問がありました。これについて、温暖な気象条件下での従来型ひまわり油のオレイン酸含有量についてはデータが示されておらず、特に議論とならなかった旨回答しました。

議題6「許容される前荷のリスト(CXC 36-1987付属書II)の見直し」について、FAO/WHOに評価を依頼している23物質について、どのように評価を実施するのか質問がありました。これについて、第24回CCFOにおいて、前荷からの油脂への移行性、評価対象物質の毒性及びアレルゲン性並びに油脂との反応による毒性物質の生成の可能性について評価が必要と同意された旨回答しました。

同じく議題6について、国際植物防疫条約(IPPC)でも同様に前荷のリストを策定しており、IPPCでの前荷のリストについて言及はなかったのか、質問がありました。これについて、CCFOで言及されたことはない旨回答しました。これに対し、IPPCの内容も参考にしてみてはどうかとのご意見をいただきました。
 

(2) 第31回一般原則部会(CCGP)

議題3「電子的なコミュニケーションのみによる部会(Committee working by correspondence)の手続きガイダンスに関する討議文書」について、今後の議論において、試験的なCommittee on Standards Advancement(CCSA)の実施を検討する際には、途上国の負担等を踏まえつつ、日本として議論に貢献してほしいとのご意見をいただきました。

同じく議題3について、物理的作業部会(PWG)の位置づけについて質問がありました。これについて、電子的作業部会(EWG)と同じく、各部会の下に設置されている作業グループであり、作業結果を部会に報告するが、作業結果に基づいて何かを決定する権限はない旨回答しました。また、以前、電子的なコミュニケーションのみによる部会として活動していた乳・乳製品部会(CCMMP)において、プロセスチーズ規格が検討されていた際、PWGが開催されたが、そのPWGも同じ位置づけのものだったのか質問がありました。これについて、位置づけは同じだったが、CCMMPのように、物理的な会議を開催しない電子的なコミュニケーションのみによる部会においてもEWGやPWGが設置され、本来は部会で決定されるはずの事項がどこで決定しているのか不明確になっていたことが本件を議論することになった要因の一つである旨回答しました。

議題5「CCGPの作業に関連するFAO及びWHOの活動に関する情報」について、日本で世界食品安全デーに関連する取組を行う予定はあるのか質問がありました。これについて、現時点では予定していないが、今後何か行うことになった場合はコーデックス連絡協議会でも紹介させていただく旨回答しました。
 
同じく議題5について、食品安全に関する科学的助言のための資金は十分確保されるようになったのか質問がありました。これについて、資金はまだ十分ではなく継続的な資金確保は引き続き課題となっているが、リスク評価機関によるリスク評価がないと基準策定作業が進まないため、日本としても任意拠出の増額に努めている旨回答しました。

議題6.2.「持続可能な開発目標(SDGs)の文脈でのコーデックスの結果のモニタリング」について、SDGsは世界全体として取組むものであり、自国の優先事項に従って使用するための自主的な取組とする反対意見はおかしいのではないかとのご意見をいただきました。
 
議題6.3.「食品偽装/食品の清廉性(Integrity)/信憑性(authenticity)」について、CCGPでの作業は行われないことになったとあるが、重要な問題であり、CCGPで議論してもよいのではないかとのご意見をいただきました。これについて、現時点では食品輸出入検査・認証制度部会(CCFICS)において、作業を行うかどうかの検討が始まったところであり、今次部会ではCCGPでの議論を支持する意見はなかった旨回答しました。

議題6.4.「消費者情報」について、CCGPでは議論しないことに関し、今後食品表示部会(CCFL)においてどのような作業が行われるのか質問がありました。これについて、5月に開催される第45回CCFLにおいて、新しい技術の利用可能性等に関し、今後作業を開始するかどうか議論される予定である旨回答しました。


(3) 第13回食品汚染物質部会(CCCF)

仮議題2「コーデックス総会及びその他の部会からの付託事項」について、魚類中のメチル水銀のサンプリングプランに関する対処方針において、「最大基準値(ML)の適用部位と整合を図り、サンプリングの段階でも「内臓を除く」旨を明記すべき」とあるが、魚の内臓にメチル水銀の基準値はあるのか質問がありました。これについて、魚の内臓のメチル水銀の基準値はない旨回答しました。

仮議題5「食品及び飼料中の汚染物質及び毒素に関する一般規格(GSCTFF)(CXS 193-1995)の中の特定の品目中の鉛の最大基準値の原案(ステップ4)」について、「日本はワインのデータを提出」とあるが、日本がワインのデータを選んだ理由について質問がありました。これについて、日本は、コーデックスにおける議論に貢献する観点から、従来からワインに限らず各種品目中の鉛の実態調査データを提出しており、最近実施したワイン中の鉛の実態調査により得られたデータについても提出した旨回答しました。なお、今次会合で議論される食用内臓について、日本では消費量が少ないため、実態調査を行っておらず、データを提出していない旨説明しました。

同じく仮議題5について、ぶどうジュースの鉛のMLの設定作業の状況について質問がありました。これについて、ぶどうジュース中の鉛のMLは、昨年見直し作業が終了し、従来よりも低いMLに改訂された旨回答しました。

同じく仮議題5について、ワイン作りに使用したぶどうの皮等の残渣がエコフィードと称して飼料に使用されているので、そのような飼料の使用による畜産物への影響を確認してほしい旨ご意見をいただきました。

同じく仮議題5について、家畜の内臓のML原案は高いのか質問がありました。これについて、鉛については、他の食品でも0.15 mg/kg程度のMLが設定されており、内臓のML原案は、他の食品のMLと比較して特別高くも低くもない旨回答しました。また、どのような食品でも低濃度の鉛汚染があるため、現在、MLがない食品にも新たにMLを設定するべきという議論が仮議題11において行われる旨説明しました。

仮議題6「チョコレート及びカカオ由来製品中のカドミウムの最大基準値原案(ステップ4)」について、日本は火山国なので食品中のカドミウムや鉛の濃度が高いと聞くが実情はどうか質問がありました。これについて、日本は食品中の鉛の濃度が高いということはないが、水稲などの農産物中のカドミウムやヒ素の濃度はやや高い状況にあることから、農林水産省では栽培管理により低減する取組を推進している旨回答しました。

仮議題10「規制値又は確立されたリスク管理の枠組みがない食品汚染物質の事例におけるリスクアナリシスに関するガイドライン案(ステップ7)」について、想定外の化学物質が検出されないということは言い切れないのではないか質問がありました。これについて、ノンターゲット分析等で、未知の物質のピークが検出されることはあり得るが、これはあくまでスクリーニングを目的とした場合であり、規制のための分析の場合はターゲットを絞った分析を行うため想定外の化学物質が検出される可能性は低い旨回答しました。

同じく仮議題10について、「低濃度」と「意図せず」の定義について質問がありました。これまでの議論の中で、これらの用語を定義することが難しいことから別の用語を使用することに合意しており、現在のガイドライン案ではこれらの用語は使用されていない旨回答しました。また、カットオフ値1 ㎍/kgの設定根拠について質問がありました。これについて、毒性学的懸念の閾値を用いて、十分保守的な値として計算されている旨回答しました。さらに、対処方針にあるとおり、ガイドラインであるためカットオフ値が明記されることがないよう対応してもらいたい旨ご意見をいただきました。

仮議題13「食品中の鉛汚染の防止及び低減に関する実施規範(CXC 56-2004)の改訂に関する討議文書」について、家畜の鉛暴露防止のための対策とあるが、家畜の鉛暴露源にはどのようなものがあるのか、また対策としてどのような議論があるのか質問がありました。これについて、農場には畜舎の塗装(ペンキ)、バッテリー、放棄された車、土など鉛を含むものは様々あり、これらのものが汚染源となり得る旨回答しました。また、対策として、バッテリーや廃車等を家畜のいる場所に放置しないこと、飼料として規制当局が設定した鉛の基準値を満たしていることが確認できたものを与えることなどが提案されている旨回答しました。

同じく仮議題13について、家畜の鉛暴露防止のための対策として、塗装(ペンキ)が挙げられたが、鉛含量が多いペンキの色を明示すべきとのご意見をいただきました。これについて、ペンキには重金属を含む成分の色を利用しているものがあるため、色により鉛の汚染リスクが異なる場合には、今後の作業部会の議論の中で提案したい旨回答をしました。

同じく仮議題13について、家畜の鉛暴露防止のための対策とあるが、飼料の鉛汚染の管理は原料の段階で行われるのか、製品の段階で行われるのか質問がありました。これについて、飼料については、配合飼料等の製品に基準値が設けられているが、製造事業者では原料規格を設けて原料の確認も行っている旨回答しました。

同じく仮議題13について、家畜の糞尿中の鉛の分析は行われているのか質問がありました。これについて、堆肥等の特殊肥料については鉛の基準値は設けられていないが、一部の普通肥料については公定規格において鉛の基準値が設定されている旨回答しました。

仮議題15「追加の魚種中のメチル水銀の最大基準値の設定に関する討議文書」について、輸出入量だけではなく、魚の生態や地域間で食される魚種のバラつきも考慮すべきであり、何でもかんでもMLを設定するべきではないと考える旨のご意見をいただきました。これについて、特定の地域限定で食されるものでも消費者保護の観点からコーデックスで基準値を議論すべきという意見がある一方、貿易量が少ない魚種にまでコーデックス基準を作ることには懸念がある旨回答しました。また、日本では食用に供することは禁止されているアブラソコムツなど、大量に食べた場合に安全性に懸念をもたらす特定の成分を含む魚種がMLの設定候補に含まれている旨説明しました。

同じく仮議題15について、天然魚と養殖魚でメチル水銀のMLに区別はあるのか質問がありました。これについて、魚類のメチル水銀のMLについて天然と養殖で区別はしてない旨回答しました。

同じく仮議題15について、その他の魚種へのML設定を検討とあるが、食品及び飼料中の汚染物質及び毒素に関する一般規格(GSCTFF)のML設定の規準に基づいて提案されているのか、別途、新たに規準を設定するのか質問がありました。これについて、現在、電子作業部会からはメチル水銀濃度と平均漁獲生産量を規準に魚種が提案されているが、我が国としてはGSCTFFの基準に基づいて魚種が選定されるよう対処したい旨回答しました。また、メチル水銀の濃度がMLを超えた魚について、コーデックスではどう取り扱われるのか質問がありました。これについて、汚染物質のMLを超えた食品の具体的な取扱いについての規定はないと考えられる旨回答しました。
 

 (4) 第45回食品表示部会(CCFL)

仮議題5「卸売用食品の容器の表示に関するガイダンス原案(ステップ4)」について、業者間における加工品の取引の段階での包装表示を対象にしている文書なのか質問がありました。これについて、認識のとおりであり、最終消費者に直接販売される食品表示は対象外であり、製品の情報や保管に係る情報の扱いに関する業者間での情報伝達に着目した文書である旨回答しました。

仮議題7「インターネット販売/e-コマース (討議文書)」について、日本に議論を先導してもらいたい旨ご意見をいただきました。

仮議題8「アレルゲン表示(討議文書)」について、討議文書中の「3.6 アレルゲンの可能性や助言についての表示」のa~fの例示と日本の食品表示基準が同じものとして扱われないようにしてもらいたいとのご意見をいただきました。また、アレルゲンは汚染物質ではないことから、「コンタミネーション(混入)」ではなく「クロスコンタクト(交差接触)」の用語を使用してほしい旨ご意見をいただきました。

同じく仮議題8について、ほとんどの国でmay containが使用されているが、mayを使用する場合と使用しない場合で意味合いが異なることを数値化して反対すべきであり、日本の食品表示基準がよいものであると戦略的に説明すべきである旨ご意見をいただきました。これについて、precautionaryは限定的に使用すべきであると食品衛生部会(CCFH)の「食品事業者向け食品アレルゲン管理に関する実施規範原案」にも掲載されており、made on a line which also handles等とmay contain等が同じものとして扱われる恐れがある場合は日本の食品表示基準に合うよう対応したい旨回答しました。

仮議題11「脂質・糖類・ナトリウムの「高含有」表示(討議文書)」について、日本でも高糖質に関する教育に取組んでほしい旨ご意見をいただきました。

新規作業提案について、時間がないことを理由に拙速な議論とならないよう注意して対応してほしい旨ご意見をいただきました。

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課国際基準室

代表:03-3502-8111(内線4471)
ダイヤルイン:03-3502-8732

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