更新日:令和2年5月14日
担当:消費・安全局食品安全政策課
透明性の規定の実施
透明性確保のための規定
人や動植物の健康を保護するために、各国は様々なSPS措置をとっています。ある国に食品や動植物を輸出しようとする国や、現に輸出している国は、その国がどういうSPS措置をとるかによって影響を受けます。どの国が、どんなSPS措置を行っているのか、どうすれば知ることができるでしょうか?
SPS 協定には、透明性を確保するための規定があり、その内容は以下の3つです。(SPS協定第7条及び附属書B)
SPS措置を制定・改廃した時には公表(規制の公表)
各国は、SPS措置を新しく制定したり変更する場合には、影響を受けるかもしれない他の国が知ることができるように、速やかに公表しなければなりません。
自国のSPS措置について他国からの照会に応じる窓口を設置(照会所の設置)
各国は、他の国からの情報請求に対応するための窓口(「照会所」と呼ばれます)を1箇所設置しなければなりません。日本の照会所は、外務省経済局国際貿易課です。
SPS措置を導入する前に、その規制案を他の国に通知(SPS通報)
各国は、SPS措置を新しく制定したり変更する場合に、それが他国の貿易に大きな影響を及ぼすおそれがあり、関連する国際基準(注)が存在しないか、 その規制の内容が国際基準と異なる場合には、その規制案の内容を他国に事前に知らせなければなりません。 これはSPS通報と呼ばれ、各国の政府からWTO事務局を通じて他のWTO加盟国に配布されます。その際には、一定期間他国からの意見提出の機会を与えることになっています。
(注)国際基準:食品の安全については食品規格委員会(Codex)、動物の健康及び人獣共通伝染病については国際獣疫事務局(OIE)、植物の健康については国際植物防疫条約事務局(IPPC)が策定したものをいいます。
SPS委員会における議論
SPS委員会では、議題「透明性の規定の実施」の中で、SPS通報の対象(どういう措置を通報するべきか)、照会所を運用していく上での問題、各国がSPS通報を行う際の具体的な手続きや留意点、特に途上国におけるSPS通報体制の充実の必要性などについて議論されています。
これまでにSPS委員会で検討・作成した透明性の規定を実施する際のガイドラインは、以下からダウンロードできます。
- Recommended procedures for implementing the transparency obligations of the SPS agreement (Article7)(G/SPS/7/Rev.4, 4 June 2018)(PDF : 389KB)(英語)
- Procedural step-by-step manual for SPS national notification authorities and SPS national enquiry points (February 2011)(PDF : 3,741KB) (英語)
【分割版】その1(PDF : 2,015KB)、その2(PDF : 1,907KB)
WTO事務局による透明性の規定の実施状況の分析
WTO事務局は、これまでの透明性の規定の実施状況をSPS通報を中心に分析し、まとめています。
なお、このWTO事務局がまとめた資料は、以下からダウンロードできます。
SPS通報数の推移
SPS協定が発効した1995年から2019年までの間に、計25,742件の通報が行われています(2020年1月現在)。年ごとの通報数(総数)の推移は下図の通りです。
※農林水産省作成(データはSPS-IMSから入手)
どのような国が通報しているか
WTO加盟国164ヶ国のうち、1回以上の通報を行ったことがある国は、128カ国(78%)です(2019年9月時点)。このためSPS委員会でも、開発途上国/後発開発途上国といったこれまで通報を行っていない国が適切な通報を行うことができるように、途上国向けのマニュアルの作成、ワークショップの開催などを行っています。また、2008年より、加盟国間で通報のやり方や受け取った通報の扱い方のアドバイスを行うメンタリングシステムも始まりました。
農林水産省の取り組み状況
SPS通報を見ることで、どんな国がどのような措置を導入しようとしているのか、措置が実施される前に把握することができ、これらの情報はWTOのホームページからいつでも入手できます。農林水産省消費・安全局では、WTO事務局から配布されるSPS通報を一元的にとりまとめ、農林水産省内の関係部局に配布し、検討する体制を整備しています。この取組により、各国のSPS措置の影響を受ける可能性のある産業界と関係部局との連携がますます発展していけば、日本産農産物等の輸出促進にもつながると考えています。
また、SPS通報のアラートシステムであるePingを使用すれば、諸外国のSPS通報を容易に閲覧することが可能ですので、ご活用ください。
参考:SPS通報の入手方法
SPS通報については、諸外国のSPS通報(食品安全及び動植物衛生措置情報)についてをご参照下さい。
ePingは、国連経済社会局(UNDESA)、WTO及び国際貿易センター(ITC)により作成されたシステムで、過去3年分の通報が検索できるほか、ユーザー登録すると、関心分野の通報を定期的に自動受信(「毎日」、「毎週」、「受信しない」から選択)できるようになります。詳細な機能、使用方法等についてはePingウェブサイト、ユーザーガイドを参照してください。
ePing(外部リンク、英語)
ePingユーザーガイド(PDF : 4,321KB)【分割版】その1(PDF : 1,934KB)、その2(PDF : 1,988KB)
お問合せ先
消費・安全局食品安全政策課
代表:03-3502-8111(内線4470)
ダイヤルイン:03-5512-2291
FAX:03-3507-4232