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農林水産省

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生食用野菜の微生物の汚染状況調査

作成日:平成29年4月7日

2.1.1. ほ場・生産施設

2.1.1.1. 生食用野菜の微生物の汚染状況調査(平成19・20年度)

収穫直後の生食用野菜の有害微生物による汚染状況とほ場での栽培・衛生管理の状況を把握するために、次の調査を行いました。
・ ほ場から採取したレタス、キャベツ、ねぎ、トマト及びきゅうりを対象とした腸管出血性大腸菌(O157及びO26)、サルモネラ及びふん便汚染の指標である大腸菌の調査
・ 野菜が栽培されているほ場の土壌及び農薬の希釈に使用する水を対象とした大腸菌の調査
・ 生産者を対象としたほ場での栽培・衛生管理状況のアンケート調査

その結果、いずれの野菜からも腸管出血性大腸菌(O157及びO26)及びサルモネラは検出されませんでしたが、野菜、土壌及び水の一部から大腸菌が検出されました。また、統計学的な検定の結果、野菜からの大腸菌の検出と、野生のシカの侵入、家畜ふん堆肥の使用等との間に関連が示唆されました。ただし、あくまでも統計学的な検定の結果であり、これらの間で直接の因果関係が証明されたものではありません。


 

(1) 目的

収穫直後の生食用野菜の、有害微生物(腸管出血性大腸菌(O157及びO26)(3.1.1.)及びサルモネラ(3.1.2.))やふん便汚染の指標である大腸菌(3.2.1.)による汚染状況を把握する。また、ほ場での栽培・衛生管理状況を把握し、野菜の汚染との関連性を確認する。

(2) 調査対象の野菜

年間出荷量が多い葉菜類及び果菜類のうち、生食されるレタス、キャベツ、トマト、きゅうり、栽培中に可食部が土と接触しているねぎを対象としました。

(3) 試料採取・アンケート

初夏から秋を試料採取の期間とし、この時期に、それぞれの野菜について複数の産地(合計の出荷量が全国の出荷量の6割を占める)から、任意でほ場を選定し、以下のとおり試料を採取しました。

✓ レタスは6個を試料1点とし、1ほ場につき2点。
✓ キャベツ、ねぎ、トマト及びきゅうりは、5個または5本を試料1点とし、1ほ場につき1点。
✓ 野菜を採取した日に、野菜を収穫した場所の周辺5箇所から、5 gずつ土壌を採取して混合したものを試料1点とし、1ほ場につき1点。
✓ 野菜を採取した日に、同じほ場で農薬の希釈に使う水を採取して試料1点とし、1ほ場につき1点。

また、各ほ場の生産者を対象に生産段階における栽培方法や衛生管理の実態を把握するため、野生動物の侵入状況、家畜ふん堆肥の使用、農業用水の使用、収穫・調整器具の洗浄等の栽培・衛生管理状況に関するアンケートを行いました。

(4) 微生物試験

レタス、キャベツ、ねぎ、トマト及びきゅうりについて腸管出血性大腸菌(O157及びO26)の定性試験(4.1.1.1.(1)(2))、トマト及びきゅうりについてサルモネラの定性試験(4.2.1.1.)を行いました。また、大腸菌をふん便汚染の指標として、レタス、キャベツ、ねぎ、トマト、きゅうり及び土壌について定量試験(4.1.2.1.)、水について定性試験(4.1.1.2.(1))を行いました。

(5) 結果

生食用野菜からの腸管出血性大腸菌、サルモネラ及び大腸菌の検出状況

腸管出血性大腸菌(O157及びO26)は、レタス、キャベツ、ねぎ、トマト及びきゅうりのいずれからも検出されず、サルモネラは、トマト及びきゅうりのいずれからも検出されませんでした。ふん便汚染の指標である大腸菌は、一部のレタス、キャベツ、ねぎ、トマト及びきゅうりから検出されました(表2)。

表2:有害微生物及び大腸菌の生食用野菜からの検出状況
品目   調査時期    試料点数   検出点数(括弧内は検出率(%))    
腸管出血性大腸菌  サルモネラ   大腸菌  
 O157 O26 
レタス  H19.8-9  840  0  0  - 28(3.3) 
キャベツ  H19.8-10  425  0  0  -  1(0.2)
ねぎ   H20.5-11   480(緑)  0  0  -  1(0.2)
 480(白)  0  0  -  7(1.5)
トマト  H20.6-11  499  0  0  0  3(0.6)
きゅうり  H20.5-10  683  0  0  0  27(4.0)
(注)ねぎの可食部は、緑色部位と白色部位に分けて使用。


 

ほ場の土壌及び水からの大腸菌の検出状況

ふん便汚染の指標である大腸菌は、野菜を採取したほ場の土壌及び農薬の希釈に使われる一部の水から検出されました(表3)。ただし、ほ場の土壌や水からの大腸菌検出と野菜からの大腸菌検出(表2)の間に統計学的な関連は見られませんでした(カイ二乗検定(5%水準))。

表3:ほ場の土壌及び水における大腸菌の検出状況
品目  土壌  水 
試料点数 大腸菌検出点数(括弧内は検出率(%)) 試料点数 大腸菌検出点数(括弧内は検出率(%))
レタス 420 11(3) - -
キャベツ 425 19(5) - -
ねぎ 480 71(15) 478 21( 4)
トマト 499 29(6) 499 99(20)
きゅうり 682 59(9) 683 100(15)

 

ほ場における栽培・衛生管理状況と野菜からの大腸菌の検出との関係

ほ場における栽培・衛生管理状況に関するアンケートの結果について、野菜からの大腸菌の検出との統計学的な関連を検定しました。その結果、アンケートを行った項目のうち、大腸菌の検出との関連が示唆されたものは以下の項目でした(表4~表7)。ただし、この結果はあくまでも統計学的な検定の結果であり、ほ場での栽培・衛生管理と野菜の大腸菌検出の直接の因果関係が証明されたものではありません。

【大腸菌の検出状況との関連が示唆された項目】

✓ 野生のシカがほ場に侵入すると回答したほ場で採取されたレタスから大腸菌が検出される傾向が見られた(カイ二乗検定(1%水準))(表4)。
✓ 家畜ふんを原料とする堆肥を使用していると回答したほ場で採取されたきゅうりから大腸菌が検出される傾向が見られた(カイ二乗検定(5%水準))(表5)。
✓ 自家製の堆肥を使用していると回答したほ場で採取されたきゅうりから大腸菌が検出される傾向が見られた(カイ二乗検定(1%水準))(表6)。
✓ 収穫・調製時に手袋を着用していないと回答したほ場で採取されたきゅうりから大腸菌が検出される傾向が見られた(カイ二乗検定(5%水準))(表7)。

 

表4:野生のシカの侵入とレタスの大腸菌検出
  レタスの大腸菌検出有 レタスの大腸菌検出無
野生のシカの侵入有 12 134
野生のシカの侵入無 5 238
(注)数値はほ場数。カイ二乗値は8.285(P<0.01)であり、統計学的に関連がある。

 

表5:家畜ふんを原料とする堆肥の使用ときゅうりの大腸菌検出
  きゅうりの大腸菌検出有 きゅうりの大腸菌検出無
家畜ふん堆肥の使用有 16 330
家畜ふん堆肥の使用無 4 255
(注)数値はほ場数。カイ二乗値は4.396(P<0.05)であり、統計学的に関連がある。

 

表6:家畜ふんを原料とする堆肥の入手先ときゅうりの大腸菌検出
  きゅうりの大腸菌検出有 きゅうりの大腸菌検出無
自家製の堆肥を使用 4 21
畜産農家または業者・貸費センターから入手した堆肥のみ使用 12 305
(注)数値はほ場数。カイ二乗値は7.752(P<0.01)であり、統計学的に関連がある。

 

表7:収穫・調製時の手袋着用ときゅうりの大腸菌検出
  きゅうりの大腸菌検出有 きゅうりの大腸菌検出無
手袋の着用有 15 516
手袋の着用無 6 62
      (注)数値はほ場数。カイ二乗値は6.412(P<0.05)であり、統計学的に関連がある。



指導者・事業者の皆様へ

今回の調査では、収穫直後のレタス、キャベツ、ねぎ、トマト及びきゅうりから、腸管出血性大腸菌(O157及びO26)及びサルモネラは検出されませんでした。また、野菜の0.2~4.0%から、ふん便汚染の指標である大腸菌が検出されました。
これらの結果は、生産段階において、野菜が、これらの有害微生物に汚染される可能性が低いものの、ふん便又はふん便に汚染されたものに接触する可能性があることを示しています。
安全な野菜を生産するためには、農薬の適正使用、環境中の汚染物質などによる汚染の防止だけでなく、有害微生物に汚染されないよう、衛生管理に取り組むことも必要です。栽培に使用する水、家畜ふん堆肥、ほ場や栽培施設の管理など、衛生上の注意すべき点をまとめた野菜の衛生管理指針をご覧いただき、実践していただければ幸いです。

 

お問合せ先

消費・安全局農産安全管理課

担当者:安全企画班
代表:03-3502-8111(内線4521)
ダイヤルイン:03-3502-7569
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