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農林水産省

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更新日:令和3年12月24日
訂正:令和4年3月3日
担当:農林水産省

令和2年 農業総産出額及び生産農業所得(全国)

統計結果の概要

  1. 農業総産出額は、近年、米、野菜、肉用牛等における需要に応じた生産の取組が進められてきたこと等を主たる要因として増加傾向で推移してきた。
    令和2年は、米において主食用米の需要減少に見合った作付面積の削減が進まなかったことや、肉用牛において新型コロナウイルス感染症拡大の影響により需要減退したこと等から価格が低下した一方で、野菜や豚において天候不順や巣ごもり需要により価格が上昇したこと等から、前年に比べ432億円増加し、8兆9,370億円(対前年増減率0.5%増加 )となった。
  2. 生産農業所得は、近年、農業総産出額の増加等を主たる要因として増加傾向で推移してきた。
    令和2年は、農業総産出額の増加等により、前年に比べ218億円増加し、3兆3,433億円(同0.7%増加)となった。

図1 農業総産出額及び生産農業所得の推移

 
統計結果の主な利活用

  

農業総産出額の対前年増減率と部門別寄与度の推移

 

関連データ

主要農産物の輸出額の推移

 

統計結果

1  農業総産出額
(1) 米
  近年、主食用米の需要の減少が加速化する中で、主食用米からそれ以外の作物への転換等、産地・生産者が中心となった需要に応じた米生産の定着に向けた取組が進められてきたこと等から主食用米の価格が回復してきており、平成27年以降、米の産出額は5年連続で増加してきた。
  令和2年は、前年に比べ995億円減少し、1兆6,431億円(同5.7%減少)となった。
  これは、北海道、東北及び北陸地方で作柄が良好となった一方で、東海以西で害虫や台風等の影響により作柄が悪化し、全国の生産量は前年並みとなったものの、主食用米の需要減少に見合った作付面積の削減が進まなかったことや、新型コロナウイルス感染症(以下「コロナ感染症」という。)の影響により中食・外食向け需要が減少したこと等から民間在庫量が増加し、主食用米の取引価格が前年に比べ低下したこと等によるものと考えられる。

表1 米の産出額の推移

米の収穫量及び主食用米の相対取引価格の推移



(2) いも類
  ばれいしょ及びかんしょの作付面積が減少傾向で推移する中、ばれいしょにおいてポテトチップスやサラダ用等の加工食品向けに国産品を求める実需者ニーズが高まってきたことや、かんしょにおいて焼き芋としての需要が堅調なことにより、平成25年以降、いも類の産出額は2,000億円前後で推移してきた。
  令和2年は、前年に比べ378億円増加し、2,370億円(同19.0%増加)となった。
  これは、ばれいしょにおいて北海道での日照不足や干ばつ等の影響により生産量が減少し価格が上昇したことや、かんしょにおいて夏季の長雨・日照不足等に加え、鹿児島県や宮崎県を中心にサツマイモ基腐病拡大の影響により生産量が減少し価格が高く推移したこと等が寄与したものと考えられる。

いも類の産出額の推移

いも類の生産量及び価格指数の推移



(3) 野菜
  近年、食の外部化の進展や加工食品に対する原料原産地表示の義務付けの拡充を背景に、加工・業務用への国産野菜を求める実需者ニーズが高まってきており、平成27年以降、野菜の産出額は2兆円台半ばで推移してきた。
  令和2年は、前年に比べ1,005億円増加し、2兆2,520億円(同4.7%増加)となった。
  これは、春先の低温や夏季の長雨・日照不足等の影響により、トマト、ねぎ、ごぼう等の多くの品目において生産量が減少したことに加え、コロナ感染症拡大の影響に伴う巣ごもり需要から保存性の高い冷凍野菜や簡便志向によるカット野菜、野菜惣菜の需要が増加したことを背景に多くの品目で価格が上昇したこと等が寄与したものと考えられる。

表3 野菜の産出額の推移

野菜についての関連データ


(4) 果実
  農家の高齢化や離農により、みかん等の栽培面積が減少傾向で推移する中、ぶどうを中心に簡便化志向等の消費者ニーズに対応した優良品目・品種への転換等による高品質果実の生産による堅調な価格推移の結果として、平成24年以降、果実の産出額は増加傾向で推移してきた。
  令和2年は、前年に比べ342億円増加し、8,741億円(同4.1%増加)となった。
  これは、みかん及びりんごにおいて好天により生産量が増加し価格が低下した一方で、天候不順により日本なし、ぶどう及びももにおいて生産量が減少し価格が上昇したこと等が寄与したものと考えられる。

果実の産出額の推移

果実に関する価格指数の推移

(5) 花き
  花きの栽培面積が長期的に減少傾向で推移する中、近年、国内外での需要に応じた品目・品種、仕立てへの対応等により切り枝等の産出額が増加してきており、平成25年以降、花きの産出額は3,400億円前後で推移してきた。
  令和2年は、前年に比べ184億円減少し、3,080億円(同5.6%減少)となった。
  これは、コロナ感染症拡大の影響により、自宅用を中心とした観葉植物の需要が増加したものの、切り花において冠婚葬祭等のイベント自粛から需要が減少し価格が低下したことや、生産者の高齢化等により生産規模の縮小があったこと等を背景に花きの出荷量が減少したこと等が影響したものと考えられる。

花きの産出額の推移

花に関する価格指数の推移

(6) 茶
  国内ではリーフ茶の長期的な需要の減少を背景に栽培面積が減少傾向で推移する中、ペットボトル緑茶飲料の家計消費が増加傾向にあることや、海外での日本食ブームや健康志向の高まりにより、茶の輸出は年々増加し、特にてん茶(抹茶の原料)の生産量が増加傾向で推移してきており、平成25年以降、茶の産出額は600億円前後で推移してきた。
  令和2年は、前年に比べ113億円減少し、409億円(同21.6%減少)となった。
  これは、春先の低温や少雨により一番茶の収量が低下したことや、コロナ感染症拡大に伴い、観光需要及び業務用需要が大幅に減少したことにより一番茶価格が下落したことを受け、二番茶以降の摘採を中止し、価格も低迷したこと等が影響したものと考えられる。

茶の産出額の推移

茶に関する価格指数の推移

(7) 生乳
  近年、健康機能が広く消費者に理解された牛乳、はっ酵乳及びチーズの消費量が増加傾向にあること等から総合乳価が毎年上昇するとともに、畜産クラスター等の事業により生産基盤の強化が推進されてきており、平成26年以降、生乳の産出額は増加傾向で推移してきた。
  令和2年は、前年に比べ169億円増加し、7,797億円(同2.2%増加)となった。
  これは、コロナ感染症拡大の影響により業務用需要が減少したものの、巣ごもり需要等から牛乳・乳製品の消費が堅調に推移する中、引き続き、生乳生産量が増加したこと等が寄与したものと考えられる。

生乳の産出額の推移

牛乳に関する価格指数の推移

(8) 肉用牛
  近年、和牛改良の進展や飼養管理技術の向上等により高品質な牛肉の割合が増加してきたことや、畜産クラスター等の事業により生産基盤の強化が推進されてきており、平成24年以降、肉用牛の産出額は増加傾向で推移してきた。
  令和2年は、前年に比べ495億円減少し、7,385億円(同6.3%減少)となった。
  これは、生産基盤の強化に伴い、引き続き和牛の生産頭数が増加し、コロナ感染症拡大の影響による巣ごもり需要が増加した一方で、外食需要やインバウンド需要の減少から価格が低下したこと等が影響したものと考えられる。

肉用牛の産出額の推移

肉用牛に関する価格指数の推移

(9) 豚
  全国で蔓延したPED(豚流行性下痢)の影響等により一時的に減少していた豚の出荷頭数は、畜産クラスター等の事業により生産者の大規模化の進展を背景に出荷頭数が増加に転じるとともに、伸びる家計消費を背景に豚肉価格も安定して推移してきており、平成26年以降、豚の産出額は6,000億円台で推移してきた。
  令和2年は、前年に比べ555億円増加し、6,619億円(同9.2%増加)となった。
  これは、大規模化の進展により生産頭数が増加したことや、コロナ感染症拡大の影響から巣ごもり需要が旺盛となったことに加え、節約志向ニーズから豚肉の引き合いが強くなったことから価格が高く推移したこと等が寄与したものと考えられる。

豚の産出額の推移

豚に関する価格指数の推移

(10) 鶏卵
  近年、他の食品に比べて相対的に割安感があること等から、鶏卵の消費量が増加傾向にある中で、経営の大規模化の進展に伴い生産量が拡大し、特に平成29年以降は毎年、260万トンを超える生産量で推移しており、平成26年以降、鶏卵の産出額は5,000億円前後で推移してきた。
  令和2年は、前年に比べ3億円減少し、4,546億円(同0.1%減少)となった。
  これは、コロナ感染症拡大の影響により業務用需要が減少したことに加え、鳥インフルエンザの発生により生産量が減少したこと等が影響したものと考えられる。

鶏卵の産出額の推移

鶏卵に関する価格指数の推移

(11) ブロイラー
  近年、消費者の低価格志向や根強い国産志向等により、鶏肉の家計消費量が年々増加するとともに、健康志向と簡便性を求める消費者ニーズに対応したむね肉の加工品(サラダチキン)等の需要が堅調であることから、平成25年以降、ブロイラーの産出額は増加傾向で推移してきた。
  令和2年は、前年に比べ111億円増加し、3,621億円(同3.2%増加)となった。
  これは、依然として旺盛な鶏肉需要を背景に、ブロイラーの国内生産量が、過去最高を更新した前年よりさらに増加したことや、コロナ感染症拡大の影響による巣ごもり需要の増加から、もも肉、むね肉ともに価格が前年を上回ったこと等が寄与したものと考えられる。

ブロイラーの産出額の推移

ブロイラーに関する価格指数の推移

 

2  生産農業所得
  近年、米、野菜、肉用牛等において需要に応じた生産の取組が進められてきたこと等から、平成27年以降、農業総産出額の増加傾向に応じて生産農業所得は3兆円台で推移してきた。
  令和2年は、前年に比べ218億円増加し、3兆3,433億円(同0.7%増加)となった。
  これは、米において主食用米の需要減少に見合った作付面積の削減が進まなかったことや、肉用牛においてコロナ感染症拡大の影響により需要減退したこと等から価格が低下した一方で、野菜や豚において天候不順や巣ごもり需要により価格が上昇し農業総産出額が増加したこと等が寄与したものと考えられる。

表12 生産農業所得の推移

お問合せ先

大臣官房統計部経営・構造統計課

担当者:分析班
代表:03-3502-8111(内線3635)
ダイヤルイン:03-6744-2042
FAX:03-5511-8772