このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

(1)担い手と農業経営の動向 ア 認定農業者・集落営農の動向

(認定農業者は約22万経営体)

認定農業者は、5年以降年々増加しており、18年12月末現在で219,374経営体となっている。営農類型別では、準単一複合経営と複合経営で9~18年の間にそれぞれ2倍以上に増加しており、18年には全体の54%を占めるまでになった(図2-19)。

(増加傾向にある認定農業者の経営耕地面積)

認定農業者がいる販売農家では、経営耕地面積、農家戸数ともに増加している一方、認定農業者のいない販売農家では、いずれも減少しており、認定農業者に経営資源が集中していることがうかがわれる(表2-6)。

(意欲のある認定農業者ほど高い規模拡大への意向)

認定農業者のうち、自らを農業技術面での指導的存在や次世代の育成を手がけている存在と考えている者は、規模拡大の意向が強い。逆に、自らを普通の農業者と考えている者は、半数以上が規模拡大に消極的な意向を有している(図2-20)。

このため、認定農業者が自己の経営や地域農業に対する意欲を高め、農業関係機関等もそれを支援していくことが重要である。

認定農業者は増加傾向にあるが、その数は農業経営体の10%にとどまっており、さらなる育成・確保が必要である。農林水産省も都道府県や農業関係団体等と協力し、認定農業者制度の普及・啓発や、認定農業者の育成・確保に向けた取組を進めている。

(集落営農数は12,095)

集落営農は、集落など地縁的にまとまりのある一定の地域内の農家が農業生産を共同して行う営農活動である。農業集落は、担い手農家以外に、兼業農家、高齢農家、小規模農家、非農家等、多様な人々により構成されており、集落営農は、担い手が不足している地域を中心に地域農業の維持・発展に貢献している。

集落営農の数は、12~17年の5年間ではほぼ横ばいであったが、17~19年に東北や九州を中心として約2千増加し、19年2月現在で1万2,095となっている(*1)。

また、特定農業団体(*2)と特定農業法人(*3)の数は、18年12月末現在でそれぞれ1,067団体、446法人と、18年3月末時点よりそれぞれ854団体、101法人増加しており、特定農業団体の増加が顕著である(*4)。このように、品目横断的経営安定対策の19年産からの導入が決まったことが、特定農業団体等を含む集落営農の増加に結び付いていると思われる。

一方、農業集落数別に集落営農をみると、全体の8割を単一集落からなる集落営農が占めているが、19年は12年より複数集落からなる集落営農が増加しており、集落を越えた集落営農の広域化が徐々に進んでいる(*5)。

*1 農林水産省「集落営農実態調査」、「農業構造動態調査地域就業等構造調査」(14年3月公表)。なお、12年に9,961であった集落営農数は、17年時点では10,063とわずかな増加にとどまっている。データ(エクセル:17KB)

*2、3 [用語の解説]を参照。

*4 農林水産省調べ。データ(エクセル:14KB)

*5 農林水産省「集落営農実態調査」(19年3月公表)、「農業構造動態調査地域就業等構造調査」(14年3月公表)データ(エクセル:17KB)

(所得の増加と労働時間の減少につながる集落営農への参加)

図2-21 農家1戸当たり農業所得の比較(17年、水田作経営)
データ(エクセル:19KB)

小規模個別経営と集落営農を比較すると、17年における水田作経営の場合、経営耕地面積が約1haの個別経営では、農家1戸当たりの所得は約4万円、家族労働時間は578時間であった。これに対し、これと同程度の規模の農家が集まった集落営農では、構成農家1戸当たりの所得は約47万円、労働時間は132時間となっている(図2-21)。

このように、小規模農家が集まり共同で営農を行うことにより、経費の大幅な削減、所得の向上、労働時間の減少といった効果がみられる。

(集落営農が地域農業の活性化に寄与)

農業を取り巻く環境は厳しさを増しているが、地域によっては集落営農を中心とした取組により、地域農業の活性化が図られているところもある。

事例:条件不利地域における集落営農による力強い農業経営

キャベツの収穫風景

広島県北広島町

広島県北広島町(きたひろしまちょう)の農事組合法人の代表者は、集落の数少ない野菜専業の農家であったが、高齢化した農家の農地を守るため、7年に農事組合法人を立ち上げた。集落は、山間部にあり通勤可能な兼業先がないため、専業で農業経営を成り立たせる必要があった。幸いにも県立農業大学校を卒業した代表者の息子が就農したのを機に、その友人等農業を志す若者が集まり、現在では、代表者夫妻と代表者の息子・娘を含めた6名の若者が農業に従事している。

現在の経営面積は集落外の借地を含め約30haで、あきたこまちを独自のブランドで販売するほか、キャベツの露地栽培、トマト、パプリカ等のハウス栽培を行っている。今後、デイサービス等の福祉事業への進出のための組織づくりなど、地域の雇用を創出する構想ももっている。

(認定農業者と集落営農間の農地の利用調整の必要性)

集落営農の組織化に当たっては、これまで規模拡大を行ってきた認定農業者等の規模拡大努力にも配慮しつつ、地域の関係者間で十分に話し合いを行うことが重要である。

大分県中津市(なかつし)では、市役所や農業委員会、農協等の関係機関が中心となって、集落の農地を集落営農が耕作する区域と認定農業者が耕作する区域に分け、両者の農地の利用が競合しないよう調整している(*1)。

*1 農林水産省「地域農業の担い手の明確化に関する取組事例」(18年11月公表)において、認定農業者と集落営農の両者間で土地利用調整が行われた事例のうち特に他地域でも参考となる事例を紹介している。

(担い手を志向する集落営農への支援が必要)

集落営農のなかには、高齢化等により耕作者が減少した集落の農地等を守ることを目的に設立されたものもあり、その設立の目的や目指す方向は多様である。

その一方で、担い手が不足している地域においては、集落営農は、法人化により担い手になることが期待されていることから、具体的なメリットを周知してその設立を進めるとともに、地域の担い手になるよう、集落営農への働きかけや支援を行うことが必要である。

(担い手の育成・確保に向けて)

経営感覚に優れた担い手を育成・確保するためには、若者等の農業への興味をはぐくみ、興味をもった者には研修や就農相談等を行うことで就農を支援するとともに、就農後も資金や農地等の相談・支援や創意工夫に基づく意欲的な取組の支援を行うことが重要である。

また、担い手になるまでの道筋は人それぞれであることから、国民に担い手になるまでの流れをわかりやすく示すこと等により、普及・啓発に努めることも重要である。今後、「農業構造の展望」にある効率的かつ安定的な農業経営の目標(*1)に向け、関係機関が連携して担い手の育成・確保に向けた対策を推進していくことが必要である(図2-22)。

*1 「農業構造の展望」では、27年に効率的かつ安定的な経営として、家族農業経営で33~37万程度、集落農業経営で2~4万程度、法人経営で1万程度を見込んでいる。

図2-22 担い手ができるまでの流れ

お問合せ先

大臣官房広報評価課情報分析室
代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883