(1)付加価値の向上や知的財産の創造・保護・活用の取組 ア 高付加価値化の取組
(消費者のニーズに対応した取組による競争力の強化)
我が国では、近年、インターネット等で銘柄米、高級牛肉をはじめとする、品質の高い農産物を購入するいわゆる「お取り寄せ」が人気を集めるなど、消費者の美食志向が高まっている。我が国農業ではこのような消費者のニーズに対応して、高い栽培技術を利用した高付加価値化を行うなど、競争力の強化を目指した取組が行われている(図2-61)。
(消費者は「安全」を志向)
消費者が食品購入時に必要と考える情報としては、例えば野菜の場合では8割以上が産地名、出荷日に加え、安全性に関する認証についての情報が必要と回答しており、消費者は食品に対し「安全」を志向していると考えられる(図2-62)。
また、消費者への調査によると「同じ品質の商品であれば、トレーサビリティによって得られる安心感や情報内容と値段の違いを考慮して購入する」ことに8割の消費者が同意している(*1)。
食品の安全を確保することは食品関連業者の責務であるが、このような消費者のニーズに対応することも生産者の重要な取組である。
*1 農林水産省「平成16年度食料消費モニター第4回定期調査」(18年2月公表)。全国主要都市に在住する食料品消費モニター1,021名を対象として実施したアンケート調査(回収率97.4%)。データ(エクセル:15KB)
(多角化による農家経営の安定と競争力強化が重要)
我が国の農業総産出額は減少傾向にあり、製造・加工や流通、飲食店でのサービスの提供等に積極的に取り組み、農家経営の安定と競争力の強化に取り組むことが重要である。
例えば、北海道十勝(とかち)地域の農家では、4人に1人が多角化に前向きであり(*1)、そうした農家は直売に加え、手作り加工品や農家民宿といった多角化への意欲をもっている(図2-63)。農家が起業に際して必要とする支援としては、施設・設備への支援に加えて税務・財務管理や宣伝、マーケティングといったソフト面への希望があり、こうした分野への支援を行い、起業による多角化の促進を図ることが重要である。
*1 十勝圏複合事務組合「農村地域マーケティングリサーチ事業報告書」(15年3月公表)データ(エクセル:14KB)
(多角化による農業の六次産業化は地域経済の活性化にも貢献)
全国では、農作物の生産という一次産業にとどまらず、加工(二次産業)や販売、農家レストランの経営(三次産業)等を総合的に行う農業の六次産業化(*2)に周辺の農家とともに取り組む例もみられ、近隣の食品加工業者等との連携により地域経済の活性化にも貢献している。
*2 [用語の解説]を参照。
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