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農林水産省

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(1)世界の食料事情と農産物貿易交渉 ア 世界の農産物貿易と食料需給

(世界経済の拡大とともに、農産物貿易も拡大)

世界経済は、2007年前半は、中国、インド等での経済成長を受け、堅調な成長を遂げたが、後半は金融市場の不安定な状況を受け、緩やかな成長となった(*1)。こうしたことから、2008年の成長率は、2007年の4.9%から3.7%に低下する見通しである(*2)。

世界経済の拡大とともに世界の貿易額は増大しており、2007年は13兆9,400億ドルと10年前の2倍となっている(*3)。

世界の農産物貿易額も、2005年には過去最高の6,700億ドルを記録し(*4)、また、世界の食料輸入総額は、2007年には前年より21%増加して過去最高額になると予測されている(*5)。
*1 国際通貨基金(IMF)「World Economic Outlook Update January 2008」
*2 国際通貨基金(IMF)「World Economic Outlook April 2008」
*3 世界貿易機関(WTO)「WORLD TRADE 2007, PROSPECTS FOR 2008(April 2008)」輸入額ベース
*4 国連食糧農業機関(FAO)「FAOSTAT」
*5 国連食糧農業機関(FAO)「Food Outlook(November 2007)」

(農産物は貿易率が低く、輸出は特定の国や地域が占有)

農産物貿易は、今後、一層拡大することが見込まれているが、農産物は基本的に生産国内の消費に仕向けられるものであることから、鉱工業品に比べ貿易率が低い傾向にある(図2-1)。また、主な農産物の輸出は、上位1~5位の国・地域で全体の7割以上を占めており、特定の国・地域に集中している(図2-2)。

このため、輸出国での不作や作付けの転換等が国際市場に大きな影響を及ぼす構造となっている。

(穀物の在庫水準は食料危機といわれた1970年代初めと同水準)

世界の穀物の需要量は、人口の増加、所得水準の向上に伴い増加しているが、期末在庫率は、生産量が主要穀物の連年の不作によって減少したことにより、需要量を下回る年が続いたことから、食料危機といわれた1970年代初めの水準まで低下している(図2-3)。


(食料需要の一層の増大が見込まれる一方、生産面では多くの不安定要因が存在)

現在、66億人の世界の人口は(*1)、2050年には92億人に、このうち開発途上国の人口は79億人まで増加すると予測されており(*2)、食料需要の一層の増大が見込まれる。特に、世界の人口の4割を占める中国とインドは、今後、急速な経済成長が見込まれ、両国の食料需要の変化が世界の食料需給に大きな影響を及ぼすと考えられる。また、所得向上による食生活の変化に伴う畜産物・油脂類の需要増加は、飼料穀物や油糧原料の需要増加をもたらし、2050年の世界の穀物需要は、1999~2001年の1.6倍(30億t)に増大すると予測されている(*3)。

今後、増大する食料需要に対応するため、技術革新によるさらなる単収の増加を実現することが課題である。また、世界の食料生産の4割は、世界の全耕地面積の2割のかんがい耕地で生産されていることから(2002年)(*4)、かんがい耕地を拡大させていくことも課題の一つであるが、新しいかんがい耕地の確保には、国際河川や地下水からの取水の面で制約がある。また、人口増加や経済発展により水の工業利用や生活利用の割合が上昇し、農業利用の割合が低下しており、水資源の確保に国際的な関心が高まっている(*5)。さらに、我が国が輸入農産物の多くを依存する米国や豪州をはじめとして、将来的に局地的な水不足が懸念される国・地域が存在している。

このほか、穀物の単収の伸び率の減少や、地球温暖化の進行に伴う異常気象が頻発するなど、生産面では多くの不安定要因が存在している。
*1 米国中央情報局(CIA)「World Fact Book 2007」
*2 国連「World Population Prospects:The 2006 Revision 」
*3 国連食糧農業機関(FAO)「World agriculture:towards 2030/2050」
*4 国際水管理研究所(IWMI)「Water for food, Water for life」
*5 「水問題」については、2008年7月の北海道洞爺湖サミットでも「人間の安全保障」の観点から取り上げられる予定

(バイオ燃料の需要拡大が世界の食料需給に影響を及ぼす懸念)

これらに加えて、近年、原油価格の高騰や地球温暖化対策を背景として、世界的にバイオ燃料の需要が高まっているが、特に、とうもろこしやさとうきびを原料とするバイオエタノール生産は、米国やブラジルを中心に急速に拡大しており(*1)、食料需要との競合が大きな問題となっている。このため、バイオエタノールをはじめとするバイオ燃料の需要拡大が世界の食料需給に影響を及ぼすことが懸念されている。

例えば、米国のとうもろこしの生産に占めるバイオエタノール用の割合は増加傾向にあり、2007年には25%(32億ブッシェル(8,100万t))で(図2-4)、また、2016年には生産量に占める割合が3割になると見通されている(*2)。米国のとうもろこしは、世界の輸出量の6割を占めており(*3)、世界全体の需給に多大な影響を及ぼす可能性がある。
*1 F. O. Licht調べ。世界のバイオエタノール生産量5,132万kl(2006年)のうち、米国が1,985万kl、ブラジルが1,783万kl。
*2 米国農務省(USDA)「Agricultural Projections to 2016」
*3 米国農務省(USDA)「Grain:World Markets and Trade(April 2008)」における2006年の値

(海外では遺伝子組換え作物の栽培面積が増加)

一方、食料需要の増大に対し、生産量を確保するため、遺伝子組換え作物の生産が増大している。海外での遺伝子組換え作物の商業栽培面積は、1996年に170万haであったが、年々増加の一途をたどり、大豆、とうもろこしを中心に、2006年には1億haを超えるまでになっており、穀物では世界の作付面積の15%を占めている(*4)。米国やカナダをはじめ、我が国の主な農産物の輸入先国において、高い割合で遺伝子組換え作物が栽培されている(図2-5)。

非遺伝子組換え作物に対する需要が高い我が国にとっては、今後、その安定的な確保が困難となる可能性も考えられる。
*4 国際アグリバイオ事業団(ISAAA)調べ


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