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農林水産省

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(2)農協改革の推進

(農協は農村部を中心に総合的に事業を展開)

我が国の農業・農村は、水田を中心とした家族経営を主として、農村資源の共同利用等を通じて各戸が地縁的に結び付いた農業集落を基礎に社会生活が営まれてきた。

このようななか、農協は、農業者の相互扶助を基本理念とした民間協同組織として、指導事業を中心に経済、信用、共済といった各種事業を農村部を中心に総合的に展開している。

JAグループ(農協系統)は、総合農協を会員とする都道府県や全国段階の連合会、グループの代表機能をもつ中央会等により構成されている(図2-63)。

図2-63 JAグループの主な組織と事業

(JAグループは農村部を中心に医療・福祉サービスを提供)

JAグループは、農村地域での安全な暮らしの実現に向けた活動も行ってきた。例えば「公的医療機関(*1)の開設者」の指定を受けている全国厚生農業協同組合連合会(JA厚生連)は、農村部を中心に医療・福祉サービスを提供しており、他の公的医療機関よりも人口の少ない地域に多く設置されている(図2-64)。

また、2007年12月にはJA厚生連による特別養護老人ホームの設置・運営を可能とする「老人福祉法の一部を改正する法律」が成立し、農村部における高齢者福祉の充実の途が新たに開かれた。
*1 医療法第31条で規定される公的性格を有する医療機関


(農協の事業総利益は依然減少傾向)

JAグループはこれまで、総合農協の合併、地方組織と全国組織の統合、人員の削減といった改革により事業利益が近年若干改善しているが、事業取扱高の減少により、事業総利益は依然として減少傾向にある(図2-65)。


(総合農協における各事業別収支の推移)

また、農協の経営は、経済事業の赤字を信用事業、共済事業の収益に依存するという構造からの脱却が進んでおらず、事業ごとの収支の確立が必要となっている(*1)(図2-66)。

経済事業の収支均衡に当たっては、流通コストの縮減や事業の見直し等により担い手をはじめとする生産者の利用の拡大を図る必要がある。また、多岐にわたる事業を展開する生活事業について、真に農協が行う必要のある事業に特化するなど、事業の選択と集中を行う必要がある。
*1 全国農業協同組合中央会「組合の組織、事業及び経営の指導に関する基本方針」(2007年3月)


(JAグループ全体で抜本的な経済事業改革を実施中)

全国農業協同組合連合会(JA全農)は、農林水産省の業務改善命令(2005年10月)に基づき策定された改善計画(2005年12月)(*1)を「新生プラン」として位置付け、農薬、肥料等の生産資材手数料や米の流通コストの削減等のほか、2007年から5年間で240億円の担い手対策に取り組んでいる(図2-67)。

また、JAグループにおいても、「経済事業改革の徹底と全農『新生プラン』の実践」(2006年10月のJA全国大会での決議)に基づき、グループ全体で抜本的な改革に取り組んでいる。

JA全農が改善計画に取り組んでから2年が経過しており、計画通り進捗している取組もみられるが、担い手をはじめとする生産者に改革の成果を実感されるまでには至っていない。

このため、改革の取組や成果について、情報発信を強化し、担い手に実感されるよう、農協の現場段階まで一体となった改革の加速化が課題である。
*1 改善計画の進捗状況は、四半期ごとに農林水産省へ報告することとされており、農林水産省では、継続的に監視、指導を行っている。

図2-67 全農改革の取組

(求められる担い手への対応強化)

農家の米販売の5割で農協が利用されるなど、農家が農協に依存する部分は大きく、経済事業改革の推進に当たっては、組合員、特に担い手が実感できる形で改革の成果を還元することが重要である。また、女性や若者の組合員への加入促進といった取組は、今後の農協運営を考えるうえで重要である。

全国農業協同組合中央会(JA全中)の調査によると、農業生産法人の農協の各種事業に対する満足度には増加がみられるものの、指導・経済事業に関しては依然として3割程度と低い水準になっている(図2-68)。特に、売上高の高い法人ほど農協利用率(*1)が低い水準にある(図2-69)。

担い手への対応強化を図っていくためには、農協自らが担い手のもとに出向いて個別にニーズを把握し、各種事業を個別に提供することが重要である。これにより、担い手の農協利用が拡大し、農協経済事業の収支改善に寄与するとともに、低価格資材の供給等を通じて担い手の所得向上につながることも期待される。
*1 農協利用率とは、農産物販売において農協の販売事業を通じて販売された金額の割合


(経済事業改革は食料供給コストの縮減に寄与)

経済事業改革により、農協が生産者に提供する生産資材の価格が低下すること等によって農産物の生産コストの低減が図られることは、食料供給コストの縮減に一定程度寄与するものと期待される。

このように、経済事業改革は、組合員のみならず、国民全体にも関連するものであり、JAグループとしても、そのことを十分に自覚し、改革の内容の透明性を確保しつつ、外部からの声にも積極的に耳を傾けるなど、国民全体から理解と支持が得られるような改革を断行していくことが求められる。

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