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農林水産省

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(4)需要に応じた生産の展開

(実需者ニーズを満たしていない麦生産)

近年、国内産麦の生産は増加傾向にある。2008年産の国内産麦(小麦、二条大麦、六条大麦、裸麦)の作付面積は前年より1,530ha増加し26万5千ha、生産量は前年並みの110万tであった(図1-35)。小麦の生産量は88万2千tで、2015年度の生産努力目標である86万tに達しているが、大麦・裸麦は21万7千tと生産努力目標である35万tの6割にとどまっている。
他方、国内産麦の需要は、外国産麦価格の上昇を受けて高まっているが、1.パン用品種が少ない、2.外国産麦と比べて品質のばらつきが大きく、品質面で実需者ニーズを満たしていない、3.大麦・裸麦の生産量が需要量に対応できていないなどの課題がある(図1-36)。

(国内産麦については品質改善とともに実需に応じた生産が課題)

今後、小麦について実需者ニーズを満たしていくため、1.パン用品種を含めた良質な新品種小麦への計画的な転換、2.小麦産地における品質管理の徹底によるさらなる品質の向上、3.2015年度に生産コストを3割削減する目標へ向けた、さらなる経営規模拡大といった取組が必要である。
また、大麦・裸麦は、生産性向上や良質かつ収量性に優れた新品種の導入、排水対策等の基本技術の徹底のほか、小麦から大麦・裸麦への麦種転換の誘導といった課題にも対応する必要がある。
事例:衛星を利用した効率的な小麦収穫作業

衛星を利用した効率的な小麦収穫作業
北海道十勝地方(とかちちほう)では、人工衛星に搭載されているセンサーが収集する地上のデータを利用した小麦の効率的な収穫作業を行っている。収穫期の小麦の生育度合をほ場ごとに推定し、地図上に色分けして示すことで、コンバインの運行計画の作成に役立てているとともに、乾燥調整施設の効率的な稼働や小麦の高品質化にも貢献している。
このような人工衛星からのデータの利用技術は、小麦のほか、水稲の品質評価や大陸からのウンカ類の飛来予測等にも活用・普及が進められている。
 

(国産大豆は品質が評価され、食品用に供給)

国産大豆は、用途に応じた品質の向上、均質化、大ロット化とともに、生産量や価格の安定を実需者から求められている。しかし、国内の大豆生産は、は種期と梅雨時が重なること等、安定生産を行ううえで制約があることから生産量が不安定で、近年の国産需要の高まりに対応できていない状況にある。大豆の年間需要量402万tのうち、7割は油糧用であり、豆腐や納豆、みそ・しょうゆに仕向けられる食品用は3割となっている。2008年産国産大豆は、作付面積が前年より9千ha増加して14万7千ha、単収が10a当たり178kg、生産量は26万2,100tであった(図1-37)。実需者から味の良さ等が評価され、ほぼ全量が食品用に供給されており、2006年度は6割が豆腐・油揚げ用、1割が煮豆・そう菜用となっている(図1-38)。

(安定生産に向け、新技術の導入を推進)

大豆は、生育初期の湿害やその後の乾燥害が収量の低下を招いている(図1-39)。このため、安定生産に向けて、地域ごとの気象条件や土壌に応じて開発された大豆300A技術(収量300kg/10aと高品質を実現するもの)や、ほ場の地下水位を一定・均一に保つことで湿害と乾燥害を防止するシステム(FOEAS(フォアス))の普及が図られている(図1-40)。また、国産大豆の優位性を活かした実需者との安定的な取引関係の構築に向け、産地改革を着実に進めることが求められている。

(中国産野菜の輸入量が前年同期比2割減)

野菜の需要量は1,540万t(2007年度)と近年減少傾向で推移しているが、食の外部化の進展等により加工・業務用需要はふえている(*1)。生産量(2007年度)は前年度より0.5%増加して1,242万tとなった。また、輸入量は2005年に過去最高の252万tとなったのちに低下傾向で、特に中国産の2008年の輸入量は前年同期比で2割減少している(図1-41)。
一方、果実の生産量(2007年度)は前年度より8.6%増加して349万t、輸入量は同0.6%増加して516万tとなった。果実の需要量は近年850万t前後で推移しているが、国内生産の減少や果実加工品の輸入増加等により自給率は低下傾向にある(図1-42)。
*1 農林水産省「食料需給表」(2007年は概算値)

(加工・業務用野菜の需要に対応するため、安定供給システム確立を推進)

加工・業務用に仕向けられる国産野菜の割合は68%(2005年)と15年前(1990年)より20%減少している(*2)。しかし、食品製造事業者等の8割が、今後国産野菜の使用量を増加させたいとの意向を有している(*3)。このようななか、産地と食品製造業者等をつなぐ「中間事業者」の育成強化、加工用はすそ物であるという意識の改革のほか、産地リレーによる定時定量供給や一次加工等多様な実需者ニーズに対応できる産地体制を整備するなど、国産原材料の安定供給システムの確立が推進されている(図1-43)。
*2 農林水産政策研究所「野菜の用途別需要の動向と国内産地の対応課題」
*3 農林水産省「加工・業務用野菜の取扱いに関する意識・意向調査」

図1-43 中間事業者を核とした新たな安定供給システムのイメージ

(野菜の安定供給のため需給調整対策等を実施)

野菜の作付面積や生産量が減少傾向であることから、消費者等のニーズに的確に対応した生産を行う担い手の育成・確保と、担い手を中心とした安定的な野菜の生産・出荷体制の確立を図る必要がある。このため、2007年から1.契約取引、2.需給調整の的確な実施、3.担い手を中心とした産地への重点支援が推進されている。
気象条件等によって野菜の供給量が増減し、価格が著しく変動した場合、農業経営の安定を図るとともに、消費者への安定供給に懸念が生じないよう、出荷の前倒しや後送り等的確な需給調整を実施する必要がある。需給調整対策は価格変動を小さくし、出荷量を安定させるが(図1-44)、ほ場廃棄については「もったいない」と指摘されていることから、学校給食や福祉施設へ無償提供するなど、有効利用を図る取組が行われている。


(果実の産地競争力を強化する政策を実施)

果実は、2008年度から産地自らが策定した「果樹産地構造改革計画」に基づき、担い手の経営安定、消費者ニーズに対応した産地の競争力の強化に向けた、果樹経営支援対策・果実需給安定対策が実施されている(図1-45)。産地では、産地計画の策定を契機として、新たな取組や積極的な活動が始まっている。
我が国の果物摂取目標量(200g)と実際の摂取量(112g)を比べると、すべての年齢層で目標値を下回っている(*1)。今後、果実の消費を拡大していくためには、量販店でも消費者への的確な情報提供を行うことに加え、生産者・流通業者が、消費者ニーズを踏まえた積極的な販売戦略を策定する必要がある。国産の果実缶詰の生産も、安価な輸入品や生食用の生産増加で減少傾向にあるが、福島県福島市(ふくしまし)の缶詰会社のように、レトルトパウチ食品の製造や、契約栽培による高品質の自社ブランドを開発するなど、消費者ニーズに応じた果実の消費拡大に取り組む例もみられる。
*1 果物のある食生活推進全国協議会「毎日くだもの200グラム運動指針」、厚生労働省「平成19年国民健康・栄養調査」

図1-45 果樹経営支援対策事業(整備事業)の概要

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