このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

(5)共生・対流の促進を通じた農村地域の活性化 ウ 子どもの農作業や宿泊体験の重要性

(農業体験学習の実施率は小学校で8割、中学校で3割)

学校における農業体験学習は、小学校の80%、中学校の33%で行われている(*1)。そのねらいとして「自分でものをつくり、育てる喜びを教えたい」とする回答が小学校で90%、中学校で73%と最も多く、「農業の理解を深めることが必要だから」とする回答は小学校で61%、中学校で46%にとどまっている。
また、中学校の94%で職業体験学習が行われており、83%が農林業体験学習を重要としているものの、職業体験学習実施校の35%ではそのメニューに農林業体験が含まれていない状況にある。非農家出身の新規就農者がふえるなか、職業として農業を認識させるような取組が重要である。
*1 (社)全国農村青少年教育振興会「農業体験学習に関するアンケート結果等」(2009年3月公表)

(農村での宿泊体験が子どもの情緒の安定や積極性・自主性の向上に効果)

子どもの農林業体験には、自然や生き物、食について関心・興味をもつとともに、怒りや不安といった感情が低下するなどの効果がある。また、成人後、農地トラスト(*2)への参加や森林・農地の保全への募金・寄付の実施、農林業体験、市民農園への参画の割合が高くなるなど、子ども期における農業体験は成人後の農林業へのかかわりに大きく影響している(*3)。
特に、子どもが農村に出かけて宿泊体験を伴う農業体験を行うことは、情緒の安定や積極性・自主性の向上等につながるとされており、精神的側面の効果が高い(図2-150)。
*2 農地保全を目的に、会費の支払いや農産物の購入等により、地域の農業生産を支援する取組
*3 国土交通省「国土の国民的経営の推進に係る基礎調査」(2007年3月公表) データ(エクセル:14KB)

図2-150 農業体験学習の宿泊の有無と教育的効果

(子ども農山漁村交流プロジェクトで1万6千人の小学生が農村体験)

2008年度より、農山漁村での長期宿泊体験活動を推進する「子ども農山漁村交流プロジェクト」が開始されており、2008年度は、全国53か所の受入モデル地区において、1万6千人の小学生が、農家に宿泊し、農業体験を行うなどの農村体験を行っている。
また、子どもの長期宿泊体験活動の受入れを行う地域は拡大する傾向にある。市町村への調査によると、長期宿泊体験活動の受入れの実績がある市町村は17%であるが、半数以上の市町村が今後、受入れの意向があるとしている(図2-151)。


(学校と受入れ先を結ぶコーディネーターの役割が重要)

小学校の1つの学年全員が体験学習を行うには、農業体験等の受入れ先や宿泊する農家民宿が分散することも多く、実施前の下見や変更事項の連絡といった受入地域との調整や、宿泊する農家民宿への見回りが必要であるなど、学校教員の負担が大きい。また、体験学習は教育の一環として行うことから、子どもの発達段階と教育課程に応じた体験が求められる。子どもの体験学習を推進するうえで、学校側が受入地域に求めるものを熟知し、学校と、地域の農家等個々の受入主体との連絡調整を行うコーディネーターが重要であり、その育成が求められている。

(子どもの宿泊体験の受入れは、経済的効果だけでなく地域が元気になる波及効果も)

小・中・高校生の宿泊体験が受入地域に与える経済的波及効果について、年間1万6千人を受け入れた場合、農家への直接効果(収入)は1億2,800万円(農家1戸当たり平均32万円)に及び、受入地域全体でみると7億円の経済的効果がある(*1)。このほか、子どもの喜ぶ姿をみるとうれしく、受入農家だけでなく、地域が元気になるといった波及効果がみられる。修学旅行期間の制約のため直接効果は小さいが、実施期間を広げることでより大きな効果が期待されている。
*1 農林水産政策研究所「都市と農山漁村の共生・対流による農山漁村・国民経済への効果分析についての調査研究」(2007年11月公表)。長野県飯田市(いいだし)の南信州観光公社が受入機関となり、受入農家400戸に生徒4人1組で1泊2日し、1人当たり8千円を農家に支払うものとして試算。7億円の経済効果は、飯田市の試算で、昼食代、交通費、旅館への宿泊費(1泊)等を含めた効果
事例:農村での長期宿泊体験「セカンドスクール」の取組

稲刈り体験
稲刈り体験
東京都武蔵野市
東京都武蔵野市(むさしのし)は、1989年に学校経営検討委員会より小・中学校における長期宿泊体験活動(セカンドスクール)の必要性について提言を受けたことを契機として、その導入の検討を行った。その後の試行期間を経て、1995年より公立小学校の5年生全員、翌年より公立中学校の1年生全員でセカンドスクールを実施している。
小学校は7泊8日前後、中学校は4泊5日の期間で、実施地は各学校で決定している。セカンドスクール開始時は友好都市を中心に行っていたが、現地までの移動の制約から、最近は200km圏内での実施が多い。宿泊は農家民宿に分宿し、農家との交流を図っている。セカンドスクール体験後に子どもの成長がみられること、家庭の実費負担は1日当たり2千円の食費相当額のみであり、その他は武蔵野市が負担していることもあり、保護者の理解が得られている。なお、小学5年生でいきなり長期宿泊するのは親子ともに不安が大きいとの声を受け、2005年より公立小学校全校で4年生が2泊3日の宿泊体験を行う「プレセカンドスクール」も開始されている。
 

お問合せ先

大臣官房広報評価課情報分析室
代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883
FAX:03-3593-9467