このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

概説

1 施策の背景

生命の源である「食」を生み出す農業、その農業が営まれる農村は、私たちの「いのち」を支える基盤となるものです。また、農村は、食料を供給する役割を果たしているのみならず、水・緑・環境の保全等の多面的機能を発揮しているところでもあります。
しかしながら、我が国の食料・農業・農村をめぐる情勢は、第1部「平成21年度食料・農業・農村の動向」で詳しく述べているように、農業者の減少・高齢化、農業生産額や農業所得の激減、農地面積の減少が引き続いており、新たな参入も進まず、産業としての持続可能性が喪失する危機にあり、また、農村においても、過疎化や高齢化の進行、所得機会の減少が進んで疲弊し、地域コミュニティの維持すら困難となっているところもあります。
このような情勢のもと、既存の思考や手法の問題点を強い決意で改善し、意欲ある者の創意工夫を引き出し、農業・農村の秘める力が最大限発揮され、国民が将来に向けて明るい展望を描くことができるよう、農政を大転換させ、「食」と「地域」の早急な再生を図るため、22年3月に新たな「食料・農業・農村基本計画」(基本計画)を策定しました。
この基本計画では、今後10年程度を見通し、食料・農業・農村に関して講ずべき施策等を明らかにしています。これらの施策は、国民生活や我が国の経済社会の在り方と深く結び付いており、政府は、本基本計画を、農業を通じて国民の命と健康を守り、さらには我が国の経済、環境、伝統文化等を含めた国民の生活を豊かなものとするための指針として位置付けたうえで、各般の施策を関係府省の連携のもとで、総合的かつ計画的に推進していく必要があります。
本篇は、以上の基本認識のもと、21年度における食料・農業・農村の動向を考慮して、基本計画の構成に沿って22年度において講じようとする施策を取りまとめたものです。

2 施策の重点

新たに策定した基本計画の目標の達成及びその課題等の克服に向けて、食料自給率向上に向けた施策、食料の安定供給の確保に関する施策、農業の持続的な発展に関する施策、農村の振興に関する施策及び食料・農業・農村に横断的に関係する施策等を総合的かつ計画的に展開します。特に、戸別所得補償制度に関するモデル対策の実施、農業・農村の6次産業化等による所得の増大等、以下の諸施策に重点的に取り組むこととしています。

(1)食料自給率向上に向けた施策

国際情勢、農業・農村の状況、課題克服のための関係者の最大限の努力を前提として定められた食料自給率目標の達成に向け、水田をはじめとする生産資源を最大限活用することを第一歩として、主要品目ごとの生産数量目標の実現に向けた施策を推進します。

(2)食料の安定供給の確保に関する施策

国民の食生活を支える農林水産物や食品の生産から消費に至るフードチェーン全体において、様々な問題が生じてきているなか、安全な食料を安定供給し、国民が安心を実感できる食生活の実現に向けた政策を確立する必要があり、食の安全と消費者の信頼を確保するため、食品の安全性の向上、フードチェーンにおける取組の拡大、食品に対する消費者の信頼の確保を図る施策を推進します。
また、国産農産物を軸とした食と農の結び付きの強化、食品産業の持続的な発展と新たな展開、総合的な食料安全保障の確立、輸入国としての食料安定供給の重要性を踏まえた国際交渉への対応に向けた施策を推進します。

(3)農業の持続的な発展に関する施策

農業が、国民が求める食料の安定供給等の役割を持続的に果たしていくためには、農業者が希望を持って農業に従事し、収益を上げることができる環境を整えていくことが必要不可欠であり、農産物の販売価格と生産費の差額を国から直接交付金として支払うことを基本とする戸別所得補償制度を創設するとともに、生産・経営関係施策の実施と再整理を推進します。
また、農山漁村において、その地域の特性を活かした農林水産物を生産し、それらを素材として加工することにより付加価値を創出し、それを流通・販売するなど、地域の第1次産業としての農林水産業とこれに関連する第2次・第3次産業にかかる事業を融合させることにより、総合的かつ一体的な産業化を進め、これを通じ、農業者の所得の増大を図る農業・農村の6次産業化等を推進します。
さらに、意欲ある多様な農業者による農業経営の推進、優良農地の確保と有効利用の促進、農業災害による損失の補てん、農作業安全対策、農業生産力強化に向けた農業生産基盤整備の抜本見直し及び持続可能な農業生産を支える取組を推進します。

(4)農村の振興に関する施策

我が国の農村は、意欲ある多様な農業者が営農にいそしむことで、地域経済の活力を支えつつ、地域の環境や伝統文化の保全に貢献する一方、都市部に対しては、食料を安定的に供給することはもちろん、青壮年の労働力の提供や経済不況時における雇用の受け皿としての役割を担うなど、多面的な機能を備えています。こうした農村の有する機能を今後とも十分に発揮していくためには、国と地方の適切な役割分担のもと、これらの地域が抱える不利な農業生産条件を補正し、生活条件の整備を含めた集落機能の維持と生態系や景観を含む農村環境の保全等を支援していくことが必要であり、地域資源を活用した産業の創造やバイオマスを基軸とする新たな産業の振興等による農業・農村の6次産業化を推進します。
また、新たな交流需要の創造等による都市と農村の交流、都市及びその周辺の地域における農業の振興、集落機能の維持と地域資源・環境の保全、農山漁村活性化ビジョンの策定を推進します。

(5)食料・農業・農村に横断的に関係する施策

農業生産コストの低減や6次産業化の基礎となる革新的技術の開発、生産から消費に至るフードチェーン全体における安全性を確保するための技術の開発、バイオテクノロジー等最先端技術の産業化、地球環境問題への貢献や世界の食料問題解決に向けた技術面による国際貢献、低炭素型の産業構造への転換等を実現するためには、中長期的な視点、国際競争力の観点を踏まえた政策を立案し、実行する必要があります。このため、農林水産分野の変革を実現するための包括的な技術・環境戦略を策定し、これに基づき総合的・体系的に政策を推進します。あわせて、知的財産の保護や積極的な活用に向けた取組を推進します。
また、消費者、生産者、事業者等が主体的に農業・農村を支える「絆」の形成と強化を図るため、「農」を支える多様な連携軸の構築を推進します。

3 財政措置

農林水産業を立て直し、食と地域の再生を図るため、「コンクリートから人へ」の理念に立って、農業者を直接支援する事業に予算を重点的に配分し、22年度農業関係一般会計当初予算額として、総額1兆8,325億円及び農山漁村地域整備交付金として1,500億円を計上しています。これにより、(1)戸別所得補償制度モデル対策、(2)食料供給力の向上対策、(3)農山漁村の活性化対策、(4)食の安全の確保対策、(5)農山漁村の6次産業化対策を推進します。
また、22年度の農林水産省関係の財政投融資計画額は1,862億円を計上しています。このうち主要なものは、(株)日本政策金融公庫への1,720億円となっています。

4 立法措置

重点施策をはじめとする施策の総合的な推進を図るため、第174回国会に以下の法案等を提出します。

  • 「農業経営に関する金融上の措置の改善のための農業改良資金助成法等の一部を改正する法律案」
  • 「農林水産省設置法の一部を改正する法律案」
  • 「農林漁業者等による農林漁業の六次産業化の促進に関する法律案」
  • 「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律案」

5 税制上の措置

重点施策をはじめとする施策の総合的な推進を図るため、以下をはじめとする税制措置を講じます。

(1)農業者等の経営の直接支援

ハウス栽培等で使用する農林漁業用A重油に係る免税・還付措置の適用期限を1年延長(石油石炭税)
中小企業者等である農林漁業者等が機械等を取得した場合の特別償却制度(30%)または税額控除制度(7%)の適用期限を2年延長(所得税・法人税)

(2)循環型社会構築の推進

「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」に基づく管理施設に係る課税標準の特例措置について、その適用期限を2年延長したうえ、廃止。なお、23年4月1日から24年3月31日までの間に取得したものに係る課税標準を最初の5年間価格の4分の3(現行3分の2)(固定資産税)バイオ燃料製造設備に係る課税標準の特例措置(3年間価格の2分の1)の適用期限を2年延長(固定資産税)

(3)農山漁村の活性化

中核的地方卸売市場に係る課税標準の特例措置(5年間価格の3分の2)について、その適用期限を1年延長したうえ、廃止(固定資産税)
食品製造業者等が研究開発を行った場合の試験研究費の増加額等に係る税額控除制度について、その適用期限を2年延長(所得税・法人税、法人住民税)

6 金融措置

各種の金融支援措置について、農業施策の見直しに合わせて、無利子資金・低利資金・一般金利資金のそれぞれが役割に応じて活用されるよう、多様な経営体の特性に応じた金融支援策を構築します。

ア (株)日本政策金融公庫

主業農家の生産・加工・販売分野におけるチャレンジを支援する無利子資金である農業改良資金の貸付主体を都道府県から(株)日本政策金融公庫に変更するほか、22年度に借り入れる農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)について、資金繰りに余裕がない貸付当初5年間の金利負担を軽減する措置を講じます。
また、大規模災害等に対応する民間資金を円滑に供給する危機対応円滑化業務の実施に必要な措置を講じるほか、(株)日本政策金融公庫の円滑な業務に資するため、貸付けにより生じるコストについて、一般会計から補給金・補助金を交付します。

イ 農業近代化資金

22年度に認定農業者が借り入れる農業近代化資金について、スーパーL資金と同様に、資金繰りに余裕がない貸付当初5年間の金利負担を軽減する措置を講じます。

ウ 農業改良資金

農業改良資金が農業者にとって使いやすいものとなるよう、貸付主体を都道府県から農業金融のノウハウを有する(株)日本政策金融公庫等に変更するとともに、貸付原資について特別会計から無利子で供給する方式を、一般会計からの利子補給方式に変更します。

エ 農業信用保証保険

農業者への資金の円滑な供給が図られるよう、(1)(独)農林漁業信用基金による融資保険の対象融資機関に銀行等を追加、(2)経営意欲のある農業者の資金繰り支援のため運転資金について無担保無保証人の特別保証枠を設定、(3)農業信用基金協会及び(独)農林漁業信用基金に対して、保証引受及び保険引受に必要な財務基盤の強化を図るなどの措置を講じます。

7 政策評価

効果的かつ効率的な行政の推進、行政の説明責任の徹底を図る観点から、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づき事前評価(政策を決定する前に行う政策評価)、事後評価(政策を決定した後に行う政策評価)を推進します。

お問合せ先

大臣官房広報評価課情報分析室
代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883
FAX:03-3593-9467