このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

(2)農業経営の動向と農業生産を支える経営体・農地等をめぐる状況


○ 農業所得に当たる農業純生産は、ピーク時の平成2年度(1990年度)から半減し、平成19年度(2007年度)には3兆3千億円。これは、農産物価格の低下、生産量の減少、農業生産資材価格の上昇が主な要因。農業の交易条件指数は、平成5年度(1993年度)の128から平成21年(2009年)には86と大きく低下。

○ 農家1戸当たり総所得も減少傾向にあり、主業農家では、農業所得の減少等により、平成16年(2004年)の573万円から平成20年(2008年)には546万円に減少。農業所得が300万~500万円の販売農家は販売農家全体の7%(13万戸)、500万円以上の販売農家は同7%(12万戸)。


○ 稲作3ha以上層の農家においては、平成10年(1998年)と比べ米60kg当たり経営費を3.5%削減している一方、米価が21.3%低下したため、10年間で農業所得が4割減少。

○ また、営農類型別に経営状況をみても、多くの営農類型で農業所得が大きく減少するとともに、他産業と比べても家族農業労働時間1時間当たり農業所得が低い水準。



○ 販売農家の数、特に主業農家の数は大きく減少し、平成2年(1990年)の82万戸から平成21年(2009年)には35万戸と6割減少。この増減を事由別にみると、離農や準主業農家等への移動。

○ 主な品目別に、産出額に占める農家類型別の割合をみると、畑作物、野菜、果樹、畜産物では主業農家が大部分。一方、米では、主業農家の割合が4割弱であり、準主業農家等が過半。今後は、農業者の減少・高齢化等が進むなか、主業農家だけでなく兼業農家も含めた地域農業の担い手が規模拡大等に取り組める環境を整えていくことが重要。

3-19 農家類型別の農家数等の推移

3-20 主な品目別農業産出額の農家類型別割合(2008年)

○ 全国にある水田集落7万1千のうち、稲作中心の主業農家や集落営農が不在の集落は4割存在し、都市的地域や中山間地域、東海以西の地域で多い状況。

○ 地域農業(農地利用)の将来の見通しについては、「地域の全般または一部で耕作されない農地が増加」とする地域担い手協議会が86%ある一方、「心配なし」はわずか4%。地域における今後の担い手確保の方法については、「地域内に農業者組織を設立」とする協議会が最も多いほか、「農協・市町村主体の法人が耕作」や「地域内外企業が耕作」とする割合も多く、どの地域においても、将来に向けて多様な農業者の育成・確保が重要と考えている状況。



○ 家族農業経営は、我が国の農業経営体の大部分を占め、今後も地域農業の中心的存在。我が国よりも経営規模が大きい欧米諸国でも、家族農業経営の割合は、米国87%、フランス72%、ドイツ94%。今後、家族農業経営が一層発展できる方策・環境づくりが重要。

○ 集落営農は、高齢化や兼業化が進んだ地域等において、農地を維持・管理する、地域ぐるみで経営発展を目指す取組として全国的に展開され、平成22年(2010年)では1万3,600。集落営農の運営体制の整備状況、目的、経営状況等は様々であるが、さらなる経営改善に向けた活動を後押ししていくことが必要。

○ 農業生産法人数は、平成21年(2009年)には1万1千となり増加傾向。


○ 会社等が農地を利用して農業に参入する場合、農業生産法人の設立が求められていたが、平成21年(2009年)12月施行の改正農地法により、農地を適正に利用していない場合に貸借を解除するなど一定の条件を満たせば、農業生産法人以外でも貸借による農地の権利取得が可能。

○ 農業生産法人以外の法人等の農業への参入意向について、例えば、食品関連企業についてみると、平成22年(2010年)1月現在、農業に「既に参入している」11%、「参入を検討または計画している」6%、「参入への関心はあるが、検討していない」は28%と、いずれも3年前より増加し、農業への関心は高まっている状況。

 今後、これら農業生産法人以外の法人等も含め、多様な農業者の参入を促進していく必要。

3-26 新たな農地制度による農地の利用規制の見直し


○ 農家戸数の減少とともに、農業就業者数も減少傾向。この傾向は、欧米諸国等でも共通してみられるが、我が国の場合、減少と高齢化が同時に大きく進行しているのが特徴。

○ 我が国では、平成2年(1990年)から平成19年(2007年)にかけて、基幹的農業従事者の数は3割減少し202万人になるとともに、平均年齢は8歳上がり65歳。一方、例えば、ドイツの場合、農業就業者(農業経営者)の数は4割強減少しているが平均年齢はわずか1歳上昇の49歳。イタリアの場合、農業就業者(農業経営者)の数は4割弱減少しているが平均年齢はわずか3歳上昇の60歳。


○ 新規就農者は、近年6万~8万人で推移。平成20年(2008年)の新規就農者6万人のうち、農家子弟は5万1千人、非農家出身者は7千人等であり、年齢別にみると39歳以下の就農者は1万4千人。

○ 今後は、農家子弟だけでなく、非農家出身者の新規就農も促進することが重要。このためには、それぞれの事情に応じながら、就農時の情報提供、相談対応、技術習得等の研修機会の充実、農地確保に向けた情報提供や機械・施設等の導入に際しての負担軽減等の支援策を講じていく必要。

○ また、近年は、農業法人等に雇用される形で就農する者が増加傾向。この形態は、営農開始時のリスクや負担が少なく、今後、就農の主要ルートになっていくものと考えられるところ。平成20年度(2008年度)からは、農業法人等への就業を促進し、就農者の確保と育成を図ることを目的として、「農の雇用事業」を実施。平成20年度(2008年度)から平成21年度(2009年度)にかけて、3,597人(延べ2,747法人)を採択。


3-30 新規就農者に対する主な支援

○ 平成21年(2009年)12月の調査によると、自分の子どもに「農業を継いでもらいたい」と思う農業者は70%。その主な理由は、農業・農地の維持が多数。「農業を継いでもらいたい」とは思わない農業者は30%であるが、その理由は「農業では十分な収入が得られない」が8割強であり、今後、家族農業経営の後継者を確保していくためには、所得対策が重要。


○ 若い農業者育成には、農業経営や技術を十分習得させるための農業教育が重要。平成20年度(2008年度)には、農業関係の学校等からの就農は2千人であり、新規学卒就農の主要ルート。内訳は、農学系の学部を有する大学・短大、農業高校からそれぞれ600人弱、道府県農業大学校から900人弱等。今後、就農支援の強化に加え、実践研修や進路指導の充実等が重要。

○ このほか、就農までの各段階において教育支援を実施。例えば、農業に興味がある学生・社会人を対象に、農業就業体験を実施する農業インターンシップでは、平成20年度(2008年度)実施人数は365人(うち35人が就農)。

3-32 農業関係の学校等からの就農者数(2008年度)

農業インターンシップ
農業インターンシップ(山梨県 中央市(ちゅうおうし))

○ 耕地面積は、昭和36年(1961年)をピークに一貫して減少し続け、平成21年(2009年)には461万ha。また、耕作放棄地は、平成17年(2005年)には39万haに増加。

○ 農地の利用集積の状況を経営規模別にみると、都府県では2ha未満の層で譲渡面積が超過し、それ以上の層で譲受面積が超過。また、5ha以上層への純集積率は年々増加傾向にあり、平成19年(2007年)には39.0%。北海道では10ha以上層が分岐点となっており、20ha以上層への純集積率は51.6%となっているなど、大規模層への農地集積が一定程度進展。


○ 耕地利用率は、北海道では100%前後で横ばいで推移しているのに対し、都府県では128%から90%へと大幅に低下。これは、兼業化の進行や水稲作付けの早期化等により、多毛作が行われなくなったことが主な要因。農地資源が限られた我が国にとって、農地の有効活用は、食料自給率の向上にも重要であり、今後、各地における取組を促進していく必要。

○ 改正農地法等では、農地の貸借についての規制、農地の転用規制等が見直されるとともに、農地の利用集積を図る事業の創設等の措置がなされたところ。今後、農地の確保・有効利用等の取組をさらに進めていく必要。



○ 水田のほ場整備や畑地かんがい等の農業生産基盤の整備は、耕地利用率の向上、耕作放棄の抑止、麦・大豆等の生産拡大、営農の効率化等に寄与しているが、都道府県によって整備率に差がある状況。

○ 農業生産に必要不可欠な農業用水の利用を支える農業水利施設は、ダム等の基幹水利施設が7千か所、農業用水路は総延長40万km、うち基幹的水路は4万9千km。

○ しかし、基幹的施設の多くは、標準的な耐用年数が超過するなど老朽化が進行。こうしたなか、施設機能診断に基づき、補修や必要な部分からの更新整備といった効率的・効果的な対策を選択実施する「ストックマネジメント」の取組が進められている状況。

3-40 ストックマネジメントによる農業水利施設の機能保全対策(イメージ図)

○ 自然条件により生産が不安定等の農業の特性を踏まえ、様々な制度資金による融資を措置。農業生産全体が縮小するなか、農業経営向けの融資は全体的に減少傾向にあるが、「補助から融資へ」という政策転換の方向もあり、今後ますます重要。

○ 農業経営向け融資残高総額は平成20年度(2008年度)末には2兆2千億円であり、うち7割の1兆5千億円が制度資金。とりわけスーパーL資金は、平成19年度(2007年度)から平成21年度(2009年度)までの間、実質的な無利子化措置が実施されたことにより、貸付実績は大きく増加。

○ 今後は、意欲ある多様な農業者が、その特性に応じて必要となる資金を円滑に調達できるようにするための方策が必要。



お問合せ先

大臣官房広報評価課情報分析室
代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883
FAX:03-3593-9467