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農林水産省

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(3)総合的な食料安全保障の確立 ウ 国際的な食料の供給不安要因への対応

(他国の農地取得等の動きへの対応)

世界の食料需給に不安が高まっているなかで、一部の食料輸入国等は、開発途上国の農地の借受けや取得等により穀物等を生産し、自国への安定調達を図っています(表1-4)。平成21年(2009年)11月に開催されたFAO世界食料安全保障サミット等の国際的な議論の場においては、世界の食料生産の促進と農業投資の増加を図るとともに、被投資国における農地争奪の懸念の高まりを受けて、責任ある国際農業投資の行動原則等を策定するために国際機関等が取り組むことが合意されています。


表1-4 海外投資家による開発途上国における農地取得等の状況

我が国においては、平成21年(2009年)4月、「食料安全保障のための海外投資促進に関する会議」が、外務省や農林水産省を中心に設置されました。この会議では、国土条件の制約から必要な食料の輸入の安定化・多角化を図るとともに、世界全体の農業生産の増大、農業投資の拡大を図るため、大豆、とうもろこし等を対象として、中南米、中央アジア、東欧等において投資環境を整備するなどの指針を同年8月に取りまとめています。また、この指針では、海外農業投資を拡大するために、投資環境の整備、政府開発援助(ODA)(*1)との連携、公的金融の活用、農業技術支援等政府関係機関の支援ツールの総合的な活用等、具体的な取組が示されています。

さらに、海外農業投資は、被投資国における農業の持続可能性を確保しつつ、投資側・被投資側の双方が利益を得ることが重要であるため、我が国としても行動原則を示し、国際的な場における行動原則の策定の必要性について提案しています。


*1 ODAはOfficial Development Assistanceの略。開発途上国の経済や社会の発展等に協力するために行われる先進国等の経済協力

(国際協力を通じた世界全体の食料安全保障への貢献)

平成21年(2009年)11月に行われたFAO世界食料安全保障サミットでの宣言では、飢餓と貧困に苦しむ人口が10億人を超えると推定される事態を深刻に受け止め、各国が開発途上国に対して農業ODAの割合を増加させるなど各種支援を強化することとされています。

我が国においても、FAO、アフリカ開発会議(TICAD)、G8(*1)等の最近の議論や宣言に沿って、世界や我が国の食料安全保障・農業投資促進、地球規模の環境問題や越境性疫病への対応、自然災害からの復興等に向けた国際協力に重点的に取り組んでいくこととしています。その一例として、研究・人材開発等を通じてアフリカの米生産を大幅に増加させる「アフリカのコメ生産倍増に向けたイニシアティブ」が、関係機関との連携のもと進められています(図1-31)。


*1 米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、ロシア、日本の8か国


タンザニアの水稲栽培
タンザニアの水稲栽培
ネリカ(左側)と在来種の比較試験
ネリカ(左側)と在来種の比較試験
 
コラム:食料安全保障には関係省庁の連携が重要

平成19年(2007年)9月、英国では、首相の指示により、食料政策について健康、食品安全、経済及び環境といった広範な観点から検討するため、内閣府に「戦略ユニット」が設置され、政府一体となった総合的な取組が開始されました。「戦略ユニット」での検討の結果、食料政策に関する省庁横断的な課題が示されるとともに、各省庁の責任が明確化されています。さらに、環境・食料・農村地域省は、「戦略ユニット」からの指示を受け、食料政策の主管省として、英国の食料安全保障のレベルを評価する指標を開発し、指標ごとに客観的データに基づき、食料の供給不安要因の大きさを分析・評価した結果を発表しています。

食料安全保障の確立に向けたこのような英国の省横断的な取組は、食料安全保障について、その総合的な側面を考慮したFAOによる定義(1996年世界食料サミット行動計画)を基本として、供給面、需要面、アクセス面から複合的に行われていることを示しています。

我が国においては、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄とを適切に組み合わせることにより国民に対する食料の安定的な供給を確保することとしています。

他方、近年のグローバル化の進展、食品の生産流通過程の複雑化等により、フードチェーンにおいて食料の安定供給について様々な不安要因が生じています。

このような不安要因に的確に対応するためには、不測時のみならず平素から、食料の供給面、需要面、食料の物理的な入手可能性を考慮するアクセス面等を総合的に考慮し、関係府省との連携も検討しつつ、総合的な食料安全保障を確立していくことが必要となっています。

英国における事例は、食料安全保障を総合的に検討する一例として、参考となるものと考えられます。


英国の食料安全保障政策検討体制

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