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農林水産省

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(1)食料消費と食品産業の動向 イ 近年の経済動向と食料品価格の低下

(デフレ状況にある我が国経済)

我が国経済は、平成20年(2008年)9月のリーマンショック(*1)後に急速な景気悪化に陥りました。現状では、景気は着実に持ち直してきているものの、なお自律性は弱く、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にあります(*2)。

平成22年(2010年)1-3月期には、国内総生産(*3)の実質成長率は4四半期連続プラスの前期比1.2%増となりました(表2-2)。名目成長率でみても前期比1.2%増となっています。輸出は緩やかに増加しており、企業の生産動向も持ち直してきている一方、雇用関係の指標は低調なまま推移しています。


*1 、3 [用語の解説]を参照
*2 内閣府「月例経済報告」(平成22年(2010年)4月)


また、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は、平成21年(2009年)5月ごろから下落傾向で推移しており、持続的な物価下落という意味において緩やかなデフレ状況にあるといわれています(図2-7)。消費支出は、物価変動の影響を除いた実質では平成21年(2009年)8月ごろから増加が続いている一方、名目では直近に増加したものの、中長期的にみると減少または横ばいが続いています。



(食料品価格も下落が継続)

食料品においても、平成21年(2009年)秋ごろから消費者物価指数の緩やかな下落傾向が続き、デフレ傾向がうかがえます。調製食品(*1)の国内企業物価指数と調理食品等の消費者物価指数の動きをみると、企業物価指数の方が先行する傾向はあるものの、共に下落傾向がみられます(図2-8)。また、費目別に消費者物価指数の動向をみると、穀類、魚介類、肉類、果物、飲料、油脂・調味料、調理食品等多くの費目で下落が続いており、平成21年(2009年)末には大部分の費目で前年比2%以上減少しています(表2-3)。


*1 食用油脂、農産加工食品、肉製品、乳製品、水産加工食品、調味料、粉製品、菓子、その他(調理食品、レトルト食品等)の商品群



(健康志向の一方、低価格志向の高まり)

個別品目の消費動向をみると、価格に手ごろ感のあるもやし、価格が下落したカップめん等の購入金額の伸びがみられ、節約志向がうかがえます(図2-9)。また、調味料の伸びもみられることから、家庭内食もふえていることがうかがえます。さらに、調理食品、なかでも弁当の価格が下がる一方で購入金額が伸びていることや、外食では購入金額が全体として減っているなかで価格が低下しているハンバーガーの購入がふえているなどの動きがみられます。



食に対する消費者の意識をみると、経済性志向が平成20年(2008年)の27%から平成22年(2010年)には43%まで高まるとともに、手作り志向は35%から40%になっています(図2-10)。これらの動きから、近年の景気悪化を背景に節約意識が高まり、家庭内で食事をする内食傾向が強まっていることがうかがえます。一方、国産志向は平成20年(2008年)の18%から平成22年(2010年)には12%と低下傾向にあります。また、平成19年(2007年)末の冷凍食品の健康被害事案の発生等を背景として、平成20年(2008年)には安全志向が4割に達していましたが、その後の食品製造業者や流通業者等による安全確保の取組等により、平成22年(2010年)には2割を下回り、消費者の関心が低下している動きをみせています。ただし、健康志向については、3割強と根強いものとなっています。



(食料分野でもデフレスパイラルが懸念)

図2-11 食料分野のデフレスパイラルのイメージ

景気悪化や競争激化等により商品価格が下落し、売上げが伸びず利益が減少すると、企業等はコスト削減のために、従業員賃金の減額や雇用の調整、設備投資の抑制を行います。消費者でもある従業員は、賃金低下や雇用悪化によって価格のより安い商品を求め、商品を買い控えることになります。これにより、企業等はさらに商品価格を下げざるを得なくなり、市場規模が一層縮小することになります。このような現象が循環することを「デフレスパイラル」といいます。食料品価格が下落するなか、例えば、スーパーマーケットの売上高は16か月連続で前年同期を下回る(*1)など、食品関連企業の売上げが大きく減少するとともに収益の落込みもみられ、食料分野でもデフレスパイラルが懸念されます(図2-11)。農産物の価格決定権は川下の食品関連産業にあるとよくいわれますが、今後のデフレの状況によっては、農産物販売価格の低下や、食品関連企業に雇用されている農家世帯員の所得の減少をとおして、農家所得にも大きな影響を及ぼし得るものであり、その動向を十分注視していく必要があります。


*1 日本チェーンストア協会調べによる全国スーパーマーケット総販売額(平成22年(2010年)3月実績、店舗調整後) データ(エクセル:32KB)
 

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