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農林水産省

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(3)農業所得増大のための取組 ア 農業所得増大に向けた様々な取組

(農業所得増大には販売価格の向上、販売量の増大、コストの縮減が必要)

ほぼすべての営農類型で農業所得が減少しているなか、国としても意欲ある農業者に戸別所得補償制度等の支援を行っていく必要がありますが、農業者や農協系統等関係機関自らも所得増大に向けた取組を積極的に行っていくことが重要です。

農業所得は、単純にいえば、農産物の販売価格(P:Price)と販売量(Q:Quantity)を掛け合わせた売上げの収入から、生産・販売に必要なコスト(C:Cost)を差し引いたものです。

したがって、農業所得を増大させるためには、販売価格(P)の向上、販売量(Q)の増大を通じた収入をふやす取組、コスト(C)を減らすといった取組を進めていくことが必要となります。

これら取組については、並行して行えるケースがある一方、例えば、販売量を増大させるために、販売価格を引き下げたり、包装等にコストをかけたりするケースがあるなど互いの取組が相反するケースもあります。このようなことから、農業所得増大に向けた取組は、それぞれの実情に応じて行っていく必要がありますが、主として、(1)販売価格の向上と販売量の増大の両方を目指すもの(経営内部における生産・加工・販売の一体化の取組、農産物直売所の取組)、(2)主として販売価格の向上を目指すもの(ブランド化の取組、産地での農産物の販売力強化に向けた取組)、(3)主として販売量の増大を目指すもの(加工・業務用需要への対応のための取組、輸出拡大への取組)、(4)コスト縮減のための取組(農業機械や農薬等生産コストの縮減、流通面でのコスト縮減の取組)に大別することができます。


(経営内部における生産・加工・販売の一体化の取組)

今後、農業所得を増大させていくためには、農村全体あるいは農業経営体で、農畜産物の生産(1次産業)のほかに、食品加工(2次産業)や流通・販売等(3次産業)への取組を進めていくことが一つの有効な手段となり得ます。

農業経営体における農業生産関連事業(*1)の取組状況をみると、販売農家196万戸強(平成17年(2005年))に対して、農産物の生産だけでなく、農産物を加工して付加価値をつけたり、直接販売する取組を行っている販売農家(1戸1法人を含む)は全体の2割弱にとどまっています(図3-83)。また、その多くは店や消費者への直接販売の取組であり、農産物の加工、観光農園、農家民宿、農家レストラン等の取組はごく一部となっています。他方、農業法人においては、これらの農業生産関連事業を行っている法人は5割、今後取り組む予定の法人を合わせると7割となっています。

これら取組には、(1)農業者自身が生産から加工、販売等まで行う場合、(2)農業者が加工業者や販売業者等地域の他事業者と連携して行う場合、(3)農業者が他地域の他事業者と連携して行う場合、(4)他事業者が農業に参入することで生産から販売等まで行う場合がありますが、今後、各地域や農業者の実情に応じて進めていくことが重要です。


*1 農業経営関与者が経営する農産物の加工、観光農園、農家民宿、農家レストラン等農業生産に関連した事業をいいます。


農業生産関連事業の取組が経営全体の効率性にどのような影響を及ぼし得るのか、稲作部門と果樹部門を主とする経営のうち、農業生産関連事業に取り組んでいる販売農家と取り組んでいない販売農家の平均的な経営効率性指標を試算し、比較分析しました(*1)。この経営効率性指標の値は、同一水準の生産要素(労働、土地、機械・建物等)からより多くの付加価値を創出した経営体ほど大きく、最も効率性の高い経営体では1.0となります。この分析の結果、試算対象とした平成16年(2004年)、平成18年(2006年)、平成20年(2008年)のいずれの年においても、取組農家の方が、取り組んでいない農家よりも経営効率性指標がおおむね高いという結果が得られています(*2)(図3-84)。このことは、農業生産関連事業の取組により、高い所得を得られる可能性が大きいことを示すものです。


*1 内閣府経済社会総合研究所の研究プロジェクト「サービス産業のアウトプット及びデフレータの計測に関する国際比較」の一環として実施された予備的分析結果
*2 もともと1次産業の経営効率が高い農家が農業生産関連事業に取り組んでいるのか、あるいは、農業生産関連事業に取り組んだ結果、経営効率が高くなったのかについては明らかにできない点に留意が必要


コラム:生産だけでなく加工・販売を一体化した場合の農家収入の比較(F県K市のそばの場合)

そば生産農家が玄そばをそのままで販売した場合には、販売額は玄そば1kg当たり333円となっています。しかし、玄そばを自らそば粉に製粉し販売した場合には、販売額は玄そば1kg当たり900円となります。さらに、そば粉でそばを打って販売した場合には、玄そば1kg当たり4千円が得られます。このように、収穫した玄そばをそのまま販売するよりも、そば粉にしたり、そばを打って販売する取組により、得られる額が2~10倍以上になるといったことは、生産だけでなく加工・販売を一体化した場合のメリットを示す一例となります。

玄そば1kgをそのまま販売した場合
(歩留まり60%)
玄そば1 k g をそば粉(600g)にして販売した場合

そば粉600g(玄そば1kg相当) を打って、そば(5人前)を販売した場合
333円
玄そば
玄そば
900円
そば粉
そば粉
4千円
手打ちそば
手打ちそば
 
注:そば粉への製粉、そば打ち、販路の確保等のための手間・コストがかかることに注意する必要があります。

事例:生産・加工・販売の一体化の取組
(1)赤米・黒米等による米粉パンの製造・販売の取組
店舗で販売している米粉パン
店舗で販売している米粉パン
福島県南会津町(みなみあいづまち)

福島県南会津町(みなみあいづまち)のM稲作農家は、ひとめぼれを生産・販売していましたが、米の販売収入が減少したことから、自ら農産物に付加価値を付け販売することを考え、白米よりも栄養豊富な赤米・黒米の加工品として米粉パンを作りました。

様々な米粉パンを試食したり、自ら試作したりするなど試行錯誤した後、米粉パンに取り組んでいる他県の農事組合法人の指導を受け、平成20年(2008年)2月にお米のパン屋を開店しました。

自家製粉したひとめぼれや赤米・黒米の米粉でつくった各種調理パンを店舗や県内の「道の駅」等で販売しており、「おいしい」と好評でリピーターも増加しています。

(2)自家製鶏卵を利用した洋菓子の製造・販売の取組
店舗で販売している洋菓子
店舗で販売している洋菓子
新潟県糸魚川市(いといがわし)

新潟県糸魚川市(いといがわし)のW養鶏農家は、昭和63年(1988年)に有限会社化し、4万羽の採卵鶏を飼養しています。鳥インフルエンザの発生による鶏卵価格の低迷や飼料価格の高騰等で経営に大きな影響を受けたことから、自らが適正な価格を設定し、販売を行うことによって経営の安定化を図るため、鶏卵の生産に加え、加工・販売までを手がけることとしました。当初は加工・販売の経験が全くなかったため、同業者への視察や女性起業セミナーへの参加を重ねるとともに、地元の商工会議所や卸問屋等の協力を得ながら商品の開発も行い、4年の準備期間を経て、平成18年(2006年)に洋菓子店を開店しました。

加工用として使用する鶏卵は、洋菓子に適するよう、飼料メーカーから購入した飼料に乳酸菌等を調合した自社配合飼料を使用して開発しました。

また、鶏卵以外の素材もすべて国産の材料を使用したり、店舗には洋菓子・鶏卵の販売スペースの他、雑貨等の販売、喫茶スペースを併設したりするなど、他の業者とは違った経営にも心がけています。

(3)自社店舗での豚肉の加工・販売の取組
店舗で販売している豚肉加工品
店舗で販売している豚肉加工品
愛知県半田市(はんだし)

愛知県半田市(はんだし)のI養豚農家は、稲作と複合の形で養豚を始め、その後、繁殖から肥育までの一貫経営に取り組み、現在年間1万2千頭を食肉市場に出荷しています。養豚を始めた当初から考えていた「自ら生産した自信のある豚肉を自ら販売したい」という考えに賛同したスーパーマーケットと直接取引を始め、その後販路拡大のため、加工・販売・飲食施設を立ち上げました。

現在、出荷した豚の枝肉の5~7割を買い戻して、地元スーパーマーケットへの直接販売や自社店舗での生鮮肉、加工肉、そう菜の販売を行っており、安定的な経営を行っています。また、自ら加工・販売を行うことで、消費者に販売する豚肉の特徴等を伝えることができ好評を博しています。

今後は買い戻し割合を高めることにより、さらなる経営の安定と所得の増大を図りたいと考えています。

 

(農産物直売所の取組)

農産物直売所は、平成17年(2005年)には全国で1万3千強が設置され(*1)、各地で様々な工夫のもと取り組まれています。

農産物直売所への取組は、農業者自身が販売価格を設定することができること、従来の大規模流通では販売できないような特色ある農産物、小ロット品、規格外品の販売ができること等から、農業者の農業所得を増大させる一つの手段となっています。

また、消費者にとっては新鮮な農産物を安価に入手できる、地域にとっては農産物直売所での雇用増も期待できるなどのメリットがあります。

農林水産省(農林水産政策研究所)が、農産物直売所の経済効果を「生産者所得増加」(手取り単価の上昇分×販売量を試算したもの)、「消費者可処分所得増加」(購入価格の減少分×購入量を試算したもの)、「雇用所得増加」(農産物直売所での雇用者に支払われる給与を試算したもの)に分けて試算したところ、規模の大きな農産物直売所では、総販売金額25億円に対して経済効果が全体で9億4千万円、そのうち「生産者所得増加」が3億7千万円、「消費者可処分所得増加」が4億7千万円、「雇用所得増加」が9千万円となった例があります(図3-85)。

農産物直売所の利用者が期待するものとしては、「新鮮で安全・安心にこだわりながら多種類を扱うこと」、「飲食サービスの提供」、「通信販売、メールなどの情報提供」等がありますが、今後、農産物直売所の生産者所得増加等の効果を高めていくためにも、利用者のニーズに対応するよう農産物直売所の機能を強化しつつ、効率的な開設等を進めていくことが必要です。


*1 農林水産省「農林業センサス」(平成17年(2005年))


事例:全国の主な農産物直売所の取組
全国の主な農産物直売所の取組 北海道札幌市 山梨県山梨市 大阪府八尾市 愛媛県松山市 福岡県うきは市

(ブランド化の取組)

農業所得の増大のためには、各地域で消費者ニーズにあった特色ある農産物をブランド化することで付加価値を高め、販売価格の維持・向上等に取り組むことも重要です。

「ブランド」については、ある商品等を他と区別するものといわれ、商品のほか、企業や地域等でも使われるようになってきていますが、商品の差別化のためには有力な手段となるものです。

例えば、地域で一体となってブランド化に取り組んでいる総合農協を対象にした調査によれば、地域ブランドに対して「期待する」ないし「やや期待する」効果としては、「地域の知名度と誇りの向上」が89%、「生産者の収入・雇用増加」が86%と非常に多くなっています(図3-86)。

農林水産物関係の地域団体商標の出願・査定件数が相当数みられるようになっていますが、近畿地方では全国的に有名な農林水産物が生産されており、その推進のための協議会を設置するなど、積極的な取組がなされていることから多くなっています(図3-87)。

その一方で、地域団体商標を取得したり、ブランドの認証を受けたものの、その後の管理が不十分だったり、販売方法がわからないこと等から、十分な取組ができず成功していないケースも多くみられます。

このため、農林水産物・地域食品の地域ブランド化を確立できるよう、生産・品質管理、名称管理、マーケティング力向上等の一貫した取組に対してアドバイスするプロデューサーや専門家による相談、情報提供・交換、交流等を行い、それぞれの連携を促進することによって個々の取組をさらに進展させる取組も行われています。




事例:ブランド地鶏生産による村の活性化の取組
ブランド地鶏
ブランド地鶏
高知県大川村(おおかわむら)

高知県大川村(おおかわむら)のM畜産農家は、平成20年(2008年)から、高知県が開発した地鶏をブランド化し、1万羽強を出荷しています。この地鶏の生産は平飼いで、人手を要することから、村での雇用の創出にもつながっています。今後、ブランド地鶏の生産により村の活性化も期待されます。

 

(産地での農産物の販売力強化に向けた取組)

農産物の「産地」には、同一作物を大ロットで安定した品質で供給する、価格交渉力を強化する、共同集荷・調整等によりコストを縮減するといった役割を果たすことにより、産地内の農業者の所得向上に寄与することが求められます。しかしながら、近年、食の外部化、低価格志向、顔の見える農産物へのニーズの高まりや、流通・小売業者の大規模化による農業者サイドの相対的な価格決定力低下等に対応しきれなかったため、栽培面積の減少や共販率(*1)の低下等が進み、産地としての機能の維持が困難な産地が増加してきています。

このような状況に対して、産地においては市場動向や地域資源等の分析を十分に行ったうえでの生産・販売戦略づくり、ニーズに合った新品種・生産技術の導入や生産管理の徹底、加工段階における売れる商品の開発、販売先の開拓・拡大等により、産地のもつ役割を果たすための戦略的な取組を進めていく必要があります(図3-88)。


*1 共同販売率。全出荷分に対して、組合員である農家が販売を農協に委託して、農協がまとめて市場等に出荷する(共販)分の割合。共販により高品質の農産物を安定的に大量に出荷できるため有利販売に結びつくと考えられます。

図3-88 販売力強化に向けた産地の戦略的取組の例

事例:農協が量販店との直接取引を拡大するなどによる農業所得増大の取組
農産物の小分け作業
農産物の小分け作業
千葉県富里市(とみさとし)

千葉県富里市(とみさとし)は、東京から60km圏内に位置し、すいか、にんじん等の野菜が基幹作物となっています。これら作物については、農協を通じて市場に出荷していましたが、市場の価格が低迷したことから農家の所得が減少しました。

このため、JA富里市では、従来の市場流通のW他に、量販店への直接販売や外食・中食企業への加工・業務用の取引、農産物直売所での販売等新たな販路を開拓しました。また、量販店への直接販売向けには小分け、パッケージング処理を、加工・業務用向けには農家と企業の契約取引のとりまとめを行っています。

事前に価格が決まっている直接販売や加工・業務用取引は、現在、販売取扱高の4割を占めるまでになり、農家組合員の所得の安定に貢献しています。また、企業と農家が直接話をする機会をもつことにより、農業者の野菜生産に対する意識が変化し、地域の農業生産の活性化にもつながっています。

 

(加工・業務用需要への対応のための取組)

食の外部化が進むなか、野菜等の農産物の販売量をふやしていくためには、生食用だけでなく、加工・業務用需要への対応が不可欠です。加工・業務用野菜の取扱いについて、食品製造業や外食産業の意向をみると、「外国産との価格差が縮小されること」よりも、「中・長期的に安定した取扱量が確保できること」、「中・長期的に安定した価格で取引できること」、「年間を通して安定的に供給されること」等が重視されています(図3-89)。

しかし、食品製造業者等からは「現在の供給体制では量や価格、品質等の安定した供給等に対する不安やリスクがある」、「産地には加工品は、すそもの対策の一環という意識がいまだにある」、「国産の特徴を食品の高付加価値化にうまく活かせていない」等の意見も出されています。これに対して、農家や産地側においては、産地間で連携して周年で供給できる体制をとるなどの取組が一部で行われているにすぎません。

このため、全国の各産地において、実需者ニーズに対応した低コスト生産のための技術導入や施設整備への支援、産地内の人材育成や中間事業者の確保等を通じた安定供給のための流通体制(全国的なリレー出荷(*1)による周年供給体制等)の構築等を推進する必要があります。


*1 出荷時期の異なる複数の農産物産地が協調して、出荷時期の早い産地から順次出荷することで、農産物を途切れなく市場に出荷することです。


(輸出拡大への取組)

農産物や加工食品の輸出拡大は、販路拡大による販売・生産量の増加等を通じて、農業者・食品産業事業者の所得増大、経営の発展に資するものです。

我が国の農林水産物輸出額は、平成21年(2009年)においては4,454億円、うち農産物・食品では2,637億円となっていますが、主な国・地域への農林水産物輸出額をみると、香港へは粉乳、小麦粉、牛肉、台湾へはりんご、ながいも等、もも、ぶどう、EUへは緑茶、中国へは粉乳、米国へはごま油、緑茶、牛肉が多くなっています(図3-90)。



円高の継続や世界的な景気の後退等輸出環境が厳しいなか、輸出の維持・拡大を図るためには、輸出先国・地域のルールやニーズ等に応じた戦略的な取組を推進していく必要があります。このため、「我が国農林水産物・食品の総合的な輸出戦略」が平成21年(2009年)6月に改訂されました。改訂の主なポイントは、(1)既存の重点個別品目と重点国・地域に加え、支援事業をさらに集中的に実施する品目や地域を新たに設定し、新たな市場の開拓をすること(東アジア向けの米・野菜・果実・木材、東南アジア向けの食肉・水産物、北米向けの食肉・茶・水産物、中東向けの加工食品)、(2)現地商流ネットワークの構築により海外のさらなる需要開拓を図る「国際ニッポン食品フロンティア構想」を推進すること、について拡充・充実を図ることです。

また、輸出を進めるためには、海外、特に東アジアにおける知的財産権への対応を行う必要もあります。我が国の植物新品種を海外においても的確に保護するため、我が国の主な農産物輸出先である東アジア各国の共同で調和のとれた植物品種保護制度整備を目的とした「東アジア植物品種保護フォーラム」において、我が国から制度未整備国に対する技術協力・人材育成等の取組が提唱され、実施されているところです。また、近年問題となっている中国・台湾等における我が国の地名、品種名等の商標登録に対応するため、農林水産知的財産保護コンソーシアムが設立され、海外における商標出願状況の一元的な監視、農林水産物等の模倣品の販売状況に関する海外現地調査、知的財産侵害への相談対応等の取組がなされています。

さらに、平成21年(2009年)12月に閣議決定された「新成長戦略(基本方針)」においては、農林水産物・食品の輸出の拡大に向け、特に潜在需要が高いと見込まれる品目・地域を中心に検疫協議や販売ルートの開拓に注力し、平成32年(2020年)までに農林水産物・食品の輸出額を1兆円水準とすることを目指すこととしています。


コラム:国際語となっている日本食・食材

海外では日本食がヘルシーな料理として認知され、日本食レストランが多く存在し、一部の日本食・食材は多くの方が知っている国際語として広く使われています。外国の辞典(オンラインのものも含む)に複数記載されているものを調べると、下の表にあるように、sake(酒)、sashimi(刺身)、sushi(寿司)、tempura(天ぷら)、tofu(豆腐)、umami(うま味)等があげられます。

一方で、我が国の食材に対する知識が十分に広まっているとは言い難い状況にあります。このため、今後、日本食材の調理方法等を含めて、多くの日本食・食材がより認知され、国際語として使われるようになることが期待されます。また、このような日本食・食材の認知は我が国農林水産物・食品の輸出の拡大にもつながっていくものと考えます。


国際語となっている日本食・食材

(生産コストの縮減のための取組)

農業所得の増大のためには、生産、流通コストの低減を図っていくことも重要です。

生産コストについては、水稲、小麦をはじめほとんどの品目において物財費が過半以上を占めています(図3-91)。



そのうち、農業機械にかかるコストに関しては、例えば、米については大規模層の方が小規模層に比べて10a当たりの農機具費が約半分と少ないことから、今後とも規模拡大、農機具の共同利用や農作業受託組織への作業集積等により、機械1台当たりの稼働率を高めていく必要があります。また、機械の汎用利用を進めるとともに、低価格農業機械の普及等を推進し、コスト低減を図っていく必要があります(図3-92)。



コラム:農業機械費の低減とレンタルについて

農業機械は年間を通じて利用される期間が短いにもかかわらず、農業者は取得(所有)して利用する場合が多く、その投資が負担という声をよく耳にします。このような声に関連して、コスト低減の有効な手段として、農業機械のレンタルが注目されています。

農業機械のレンタルについては、(1)農家の利用希望日が重なり、稼働日数が十分に確保できない可能性があること、(2)中古機の販売価格の相場がよくわからないため、レンタル機の売却(更新)を反映した料金設定が難しいこと等の事情から、農家向けに割高な料金が設定される可能性があります。しかし、農業者の使用の意向を十分に調査したうえ、高性能な機械を活用したり、作期の異なる農地をカバーした広域的なレンタルを行ったりするなどの工夫により、レンタルビジネスを展開しているところもあります。

ある農協のレンタル事業を利用すると、農業者は購入するよりも5条田植機の場合で年間約35万円、3条刈コンバインの場合で年間約64万円の節約になっているという事例もあります。


肥料コストについては、土壌診断(*1)に基づく適正施肥や局所施肥(*2)の推進により、化学肥料の施用量を抑制し、その低減を図っていく必要があります(図3-93)。農薬コストについては、適期防除、総合的病害虫・雑草管理(IPM)(*3)等による化学農薬の使用量抑制とともに、安価な大型包装農薬やジェネリック農薬(*4)等の普及を推進し、その低減を図っていく必要があります。


*1 、2、4 [用語の解説]を参照
*3 図3-123参照

図3-93 適正施肥による肥料コスト縮減の取組の例

(流通面でのコスト縮減の取組)

流通コストについては、例えば、平成16年(2004年)と平成19年(2007年)で青果物の集出荷・販売経費等コスト(平均)を比較すると、販売価格が低下するなかで、生産者受取価格は8%の減少となっているのに対し、集出荷団体の集出荷経費と販売経費との合計は、ほぼ横ばいとなっています(図3-94)。販売価格の低下分は、流通部分ではなく、農業者の受取価格に直接反映されるといった状況にあります。

今後、流通コストの縮減に向け、農業者・産地段階においては、価格の安い茶色の段ボール箱の使用やコンテナ出荷を進めたり、産地間連携による共同出荷等を進めるとともに、流通段階では通いコンテナ(*1)を使用するなど、生産から消費に至るフードチェーンの各段階の関係者が連携した取組を推進していく必要があります。


*1 プラスチック製で折りたたみが可能な農産物輸送用容器。プラスチック製のため繰り返し利用できることで使い捨ての段ボール箱の消費地での廃棄量を減らすことができます。また、底面のサイズは多くが一定に決まっており、折りたたむことで返送時の容積が少なくすみ、輸送コストの軽減にもなります。


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