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農林水産省

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(4)女性の経営・社会参画のための取組

(女性農業者による起業が進展)

女性農業者による起業活動は平成19年(2007年)には9,533件となり、その数は年々増加しています(図3-99)。取組主体別にみると、グループ経営が59%、個人経営が41%となっており、近年では個人経営の伸び率が大きくなっています。また、売上金額300万円以上の活動の数は、6年間で約1千件増加しています。

この活動のなかで、食品加工が全体の74%、農産物や食品等の販売・流通が全体の43%で取り組まれており、女性ならではの「地域の味づくり」や、地元農産物の販売等に向けた取組が多くみられています。女性自らが、店の内装や机・棚の配置から商品の包装に至るまで携わったり、最近では食育等に関する資格を取得したりするなど、様々な場面での活躍もみられます。



事例:農業と家事・育児を両立している若手女性グループ
春果風のメンバー
春果風のメンバー
熊本県熊本市(くまもとし)

熊本県熊本市(くまもとし)で活動する果樹生産・加工グループ「春果風(はるかぜ)」は、果物栽培に携わる農家の女性11人で構成されています(平均年齢37歳)。このグループは、平成18年(2006年)、「女性の感性を活かして、農業を振興するとともに地域に貢献したい」との思いから結成されました。地元の果物(デコポン等)を使用した手づくりデザートを、イベント等で販売しています。地元の菓子業者や、農協、様々な業種の組織とも積極的に連携しています。また、消費者に地域の農業や農産物、生産農家をより知ってもらうために、ももの花見会、みかん収穫祭、すいか祭り、地域の農業・歴史・文化等を学ぶイベント等を開催しています。このグループは、メンバーにとって、家事・育児等の悩みを共有し、サポートし合える心のよりどころにもなっています。

 

(農業・農村における女性の位置付け)

平成21年(2009年)において、農業就業人口(290万人)の53%、基幹的農業従事者(191万人)の44%を女性が占めています。このように女性については我が国の農業のなかで重要な役割を果たしていますが、農業委員(平成20年(2008年)で3万7千人)、農協役員(平成19年(2007年)で2万1千人)等に占める割合は、増加はしているものの依然として低い状況で推移しています(図3-100)。女性農業者の現在の報酬のあり方に対する意識をみると、「報酬を受け取っており、満足している」という回答が26%ある一方、「受け取っているが、満足していない」、「受け取っておらず、不満」という回答は合わせて36%となっており、女性の経営への参画をより進める必要があります(図3-101)。


(家族経営協定の締結を推進する必要)

また、家族で取り組む農業経営について、経営の方針、家族それぞれの役割、就業条件・環境等を取り決める家族経営協定(*1)の締結数は、平成20年度(2008年度)では40,663件と平成12年(2000年)の3倍程度に増加しています(*2)。女性の83%が「経営主の配偶者」として締結していますが、家族経営協定により役割分担等を明らかにすることは、女性の農業経営上の位置付けの明確化につながっています。家族経営協定の具体的な取決め内容は、農業経営の方針決定、労働時間・休日の設定、農業面の役割分担(作業分担、簿記記帳等)、労働報酬(日給、月給)の設定、収益(日給、月給以外の利益)の配分等が多くなっています。

家族経営協定の締結には、認定農業者の共同申請や農業者年金の助成等、制度上のメリットもあります。このようなことから、女性の経営参画や地位向上に向け、締結の取組を今後さらに進めていく必要があります。


*1 [用語の解説]を参照
*2 農林水産省「家族経営協定に関する実態調査の結果について」(平成21年(2009年)5月公表)

(女性の一層の社会参画に向けた意識醸成や環境整備が必要)

女性の社会参画の効果については、例えば、農協で女性役員が登用された場合には、「男性役員や組合員の男女共同参画への意識が向上する」、「起業活動に関する意見が出る」、「従来にない視点の意見が出る」等といった変化が生じているとされています(図3-102)。一方、全国農業協同組合中央会では、平成21年(2009年)10月に行われた第25回JA全国大会において、女性の参画について「JAの運営参画目標を、正組合員の25%以上、総代の10%以上、理事等は2人以上とし、JAとしての方針を明らかにして取り組む。」と決議されたことを受け、具体的な目標を決め、取り組むこととしています。



今後、農業生産だけでなく、農業・農村の6次産業化を推進するに当たっては、既に述べた起業活動における女性の活躍にみられるように、農業面、地域活動面等で女性の力をさらに活かしていくことが重要と考えられます。農業経営に女性が参画する環境を整えるうえで必要なこととしては、男女ともに「農業技術・経営等に関する知識習得」、「家事・育児・介護等の負担軽減」等を多くあげています(*1)。また、バランスのとれた仕事や地域活動、家庭生活を実現するに当たっては、「夫や家族の協力」、「固定的役割分担の意識の打破」、「保育・介護等の外部サービスの利用」等が多くなっています(図3-103)。

このため、女性のさらなる農業経営や社会参画に向けて、農業技術・経営等に関する知識の習得、夫や家族の協力、家事・育児等の負担軽減、家事・育児等は女性の仕事という意識の変革等により、女性が活動しやすい環境づくりを図っていくことが重要です。また、各地域の組織運営や活動においても、女性の意見を踏まえつつ行っていくなど、地域全体で女性の参画を支える仕組みづくりが重要です。


*1 農林水産省「農家における男女共同参画に関する意向調査」(平成21年(2009年)3月公表)


事例:女性グループによる農産物直売所、地元農産物を使ったレストランの取組
昼食時のバイキング
昼食時のバイキング
三重県多気町(たきちょう)

(1)三重県多気町(たきちょう)で、地元農家35人が共同出資して設立されたM農業法人では、農家女性を中心に老若男女60人が従事し、地元農産物を使用した農村料理を昼食時にバイキング形式で提供しています。また、レストラン内で地元の農産物や加工食品の販売を行っているほか、豆腐・油揚げ等の大豆加工食品を学校給食や社会福祉協議会に提供しています。

従事する20~70歳代の女性が、農作業や家事、子育ての両立ができるように仕事のシフトを組み、田植時の農繁期休業期間や年末年始休みを設けるなど、働き方を工夫しています。

 
女性農業者によるそば料理づくり
女性農業者によるそば料理づくり
山形県金山町(かねやままち)

(2)山形県金山町(かねやままち)では、平成9年(1997年)に廃校された学校の校舎を維持していくため、谷口地区の住民や農協職員等からなる「四季の学校・谷口運営委員会」が設立され、そのなかの女性農業者グループが、農村レストランの営業を開始しました。

100%地元産のそばを提供したいとの思いのもと、平成13年(2001年)に水田高度利用組合が結成され、町内のそばの作付面積が大幅に増加しましたが、このレストランでも地元産のそばを使った料理を多数出しており、好評を博しています。

 

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