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農林水産省

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(6)持続可能な農業生産を支える取組 ウ 生物多様性を重視した農業の取組状況

(農林水産業と生物多様性)

農林水産業は、自然の多様な生物がかかわる循環機能を利用した活動です。また、特に我が国においては、その持続的な営みを通じて、里地・里山・里海といった特有の自然環境を形成・維持し、生物多様性保全に貢献しています。

しかし、近年、担い手の減少等による農林水産業の活動の停滞に伴い、従来身近にみられた種の減少や、野生鳥獣による農作物被害が深刻化しています。

このため、「農林水産省生物多様性戦略」(平成19年(2007年)7月策定)及び「生物多様性国家戦略2010」(平成22年(2010年)3月閣議決定)に基づき、有機農業をはじめとする環境保全型農業の推進や、水田魚道の設置等生物多様性に配慮した生産基盤整備の推進、野生鳥獣被害対策の推進等により、生物多様性保全を重視した農林水産業を一層推進していくことが必要です(図3-124)。


図3-124 農林水産省生物多様性戦略の概要

(生物多様性条約第10回締約国会議等の開催)

平成22年(2010年)10月には、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10(コップテン))(*1)が愛知県名古屋市で開催されます。COP10では、「生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」という2010年目標に代わる新たな国際目標(ポスト2010年目標)や、遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)(*2)が主要議題となっています。このような重要な節目となる会議が国内で開催されることに伴い、生物多様性への関心が国内外で飛躍的に高まることから、我が国の生物多様性保全に貢献する農林水産業について積極的に国内外に発信していくことが必要です。


*1 COPは、Conference of the Partiesの略
*2 Access and Benefit‐sharingの略。ABSの国際枠組みについては、COP10までに検討作業を終了させることとされています。

また、COP10に先だって開催されるカルタヘナ議定書第5回締約国会議(MOP5(モップファイブ))(*1)においては、遺伝子組換え生物の国境を越える移動から生ずる損害の「責任と救済」に関する国際ルール(*2)が主要議題となっており、遺伝子組換え生物等に対する様々な立場をもつ各国にとって実効性のあるバランスのとれた制度となるよう、我が国は議長国としてリーダーシップを発揮することが求められています。


*1 MOPは、Meeting of the Partiesの略
*2 MOP5においてカルタヘナ議定書の補足議定書として採択される予定です。

(「生物多様性指標」の開発)

我が国における生物多様性関連の施策をより効果的に推進するため、農林水産業と生物多様性の関係を科学的根拠に基づき定量的に計る「生物多様性指標」を平成20年度(2008年度)から5か年で開発することとしています。このため、平成21年度(2009年度)だけでも延べ274地点の水田や畑において、200万個体以上に上る生物が調査の対象となりました。

「生物多様性指標」については、今後現場で活用されることを踏まえ、農法や農業技術の変化をわかりやすく反映し、国民にとって親しみやすいものとすることが重要です。


(広がる生きものマークの取組)

全国各地で、農林水産業の持続的な営みを通じて、多くの生きものが暮らせる豊かな環境を支える取組が始まっています。生物多様性に配慮した農林水産業の実施と、そのようにして生産された農林水産物を活用して発信するものを総称して「生きものマーク」と呼んでいます(図3-125)。滋賀県高島市の「たかしま生きもの田んぼ米」や兵庫県豊岡市の「コウノトリ育む米」等、様々な地域で「生きものマーク」の取組は広がりつつあります。


図3-125 生きものマーク

「生きものマーク」は、日々の食べものを通じて、国民が、それが生産されている豊かな自然環境に思いをめぐらせ、生物多様性と調和して営まれる農林水産業の重要性に理解を深めるきっかけとなるものです。また、消費者が生きものマークの付いた商品を購入することは、こうした農林水産業を支える活動に参加することでもあります。

平成22年(2010年)3月には、「生きものマーク」についての取組事例集やその活用のための手引きである「生きものマークガイドブック」(*1)がとりまとめられたところであり、今後、これらの活用を通じて、生きものマークの取組がより多くの地域で行われるよう推進していく必要があります。



事例:COP10に向けた取組
愛知県安城市(あんじょうし)

愛知県安城市(あんじょうし)の榎前(えのきまえ)町内会(榎前環境保全会)では、平成22年(2010年)10月に愛知県名古屋市で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に向けて生物多様性の意識を高めるために、愛知県が県民との協働により実施した取組のなかで、県が開発した「水田魚道」を設置しました。この水田魚道は、水田と水路を魚等が自由に行き来できるようにするものですが、水田魚道を設置した水田で魚毒性の低い農薬の使用や減農薬栽培等、環境に配慮した栽培を行ったこともあり、水田を中心とした多様な生態系が回復しました。

なお、県では水田魚道の取組について、生物多様性に貢献する日本の農林水産業としてCOP10の関連行事で情報発信することとしています。

 
水田と水路をつなぐ水田魚道
水田と水路をつなぐ水田魚道
水田に生息する生きもの
水田に生息する生きもの
 

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