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農林水産省

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(1)地域社会・農村地域の現状と課題 エ 鳥獣被害対策の取組

(特定の鳥獣の分布域が拡大し、有害鳥獣捕獲は大幅に増加)

農林水産業に被害を与える野生鳥獣の生息分布域が全国的に拡大しています。昭和53年(1978年)から平成15年(2003年)にかけて、ニホンジカで1.7倍、ニホンザルで1.5倍、イノシシ(イノブタを含む)では1.3倍等と大きく拡大しています(*1)。イノシシ、シカは従来から狩猟の対象とされ、その捕獲数は年々増加していますが、この10年の間、特に有害鳥獣捕獲等(*2)による捕獲数が大幅に増加しています(図4-21)。サルについても、有害鳥獣捕獲等による捕獲数が平成10年度(1998年度)に1万頭に達し、平成18年度(2006年度)には1万5千頭となっています。


*1 環境省「自然環境保全基礎調査哺乳類分布調査」(平成16年(2004年)12月公表)。統計に用いる標準地域メッシュの2次メッシュを4分割した5kmメッシュについて、野生鳥獣の生息が確認された区画数の比較
*2 「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」(鳥獣保護法)に基づく鳥獣による生活環境、農林水産業または生態系にかかる被害防止のための捕獲及び特定鳥獣保護管理計画に基づく数の調整のための捕獲


(鳥獣による農作物の被害額は200億円程度で推移)

野生鳥獣による農作物被害額は、全国で200億円程度で推移しています(図4-22)。その内訳をみると、7割が獣類、3割が鳥類によるもので、獣類ではシカ、イノシシ、サルによる被害が9割を占めています。

鳥獣被害は、収穫の被害を受けることで農業者の営農意欲を低下させること等により、耕作放棄地増加の一因ともなっていますが、同時に耕作放棄地の増加がさらなる鳥獣被害を招くという悪循環を生じさせており、被害額として数字に表れる以上に、農村の暮らしに深刻な影響を及ぼします。



(地域一体となった主体的・総合的な被害対策が進展)

今後、鳥獣被害の防止に向けては、人の日常の活動域に野生鳥獣が入り込まないよう、棲み分けを進める必要があります。そのためには、野生鳥獣の生息にも資する適切な森林施業とともに、ほ場に餌となるようなものを残さない取組、耕作放棄地の解消、緩衝地帯の設置等による生息環境の管理、捕獲による個体数の調整、侵入防止柵の設置等を総合的に行うことが重要です。平成20年(2008年)2月に施行された鳥獣被害防止特措法(*1)に基づき、これら取組を行うため、全国1,727市町村のうち933市町村が被害防止計画を作成しており、平成22年度(2010年度)中に、さらに122市町村が作成を予定しています(*2)。

一方、有害鳥獣捕獲の担い手である狩猟者は年々減少傾向にあるとともに、高齢化が進行しており、その育成・確保が課題となっています。また、捕獲鳥獣の処理の負担も課題となっていますが、捕獲鳥獣の肉等を地域資源として利活用する事例が全国的にみられます。


*1 正式名称は「鳥獣による農林水産業等にかかる被害の防止のための特別措置に関する法律」
*2 平成22年(2010年)3月末現在

事例:捕獲鳥獣を地域資源として利活用する取組
京都府京丹後市(きょうたんごし)

京都府京丹後市(きょうたんごし)は、日本海に面する丹後半島に位置し、市の7割以上を山林が占めています。特に中山間地域において、農業従事者の減少・高齢化と有害鳥獣による農作物被害の拡大により、耕作放棄地や不作付地が増加しています。

鳥獣被害の増加に伴って、猟友会への捕獲委託費用や、捕獲檻や電気柵等野生鳥獣の捕獲・防除施設の設置への補助等が増加するとともに、捕獲鳥獣の処分が課題となっていました。

捕獲檻で捕獲したイノシシ、ニホンジカは、数日放置すると死亡するため、商品価値がなくなってしまいますが、職業をもつ猟友会会員には、頻繁に檻を見回ることは困難となっていました。

有害鳥獣捕獲監視システムより発信された捕獲状況
有害鳥獣捕獲監視システムより発信された捕獲状況

そこで、平成21年度(2009年度)に、「ふるさとケイタイ事業」を活用して、捕獲檻に監視端末を設置し、動物が捕獲された場合にその状況を把握・撮影し、インターネットを通じて携帯端末にメールで連絡するという有害鳥獣捕獲監視システムを構築しました。このことにより、遠隔地でも即時に捕獲の状況が把握でき、必要に応じて行動できるため、見回り作業の負担が大幅に軽減されました。また、イノシシやニホンジカを、捕獲後すぐに処理できることから、良好な状態で食肉としての利用が可能となりました。

平成22年(2010年)3月には、食肉処理加工施設が整備されたことから、新鮮な食肉が新たな特産物となることが期待されます。

 

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