このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

はじめに

  • 印刷

平成22(2010)年度は、我が国の農林水産業等に大きな被害を及ぼした自然災害に数多く見舞われた年度となりました。平成23(2011)年3月に発生した東日本大震災は、未曾有の規模の災害となり、国民生活や農林水産業生産に甚大な影響を及ぼしました。また、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故が周辺の農業等に大きな影響を与えています。さらに、10 年ぶりに国内で発生した口蹄疫、全国各地で発生した高病原性鳥インフルエンザ等の家畜の疾病により、各地域の畜産業は大きな被害に見舞われました。このほか、春以降の低温・長雨、夏の記録的な猛暑・台風、年末からの豪雪、年が明けてからは霧島山(新燃岳)の噴火による様々な被害もみられました。

このような状況のなかで、本報告では、冒頭に「東日本大震災」の特集章を設け、被害の状況、被災地域の農業等の復旧・復興に向けた取組等について報告することとしました。ただし、日々情勢に変化が生じていること、年次報告として毎年国会に提出することが義務付けられていることから、本報告では、5 月中旬までの状況を取り上げています。被災地域の農業の復旧・復興の歩みについては、引き続き来年度以降、報告してまいります。

口蹄疫、気候変動等による被害状況や対応等についても、第1 章や第2 章において記述しています。


また、平成22(2010)年10 月に愛知県名古屋市で生物多様性条約第10 回締約国会議(COP 10)等が開催され、地球環境問題に対して関心が高まっていることから、これら問題の解決に向けた食料・農業・農村分野での取組等について、トピックスとしてとりまとめました。


近年の食料・農業・農村分野の状況をみると、世界全体で食料需給の不安定性が継続し、穀物等の国際価格が上昇しているなか、我が国では、ここ20 年間で、食料自給率は49%から40%に低下するとともに、農業所得は半減、耕作放棄地は40 万ha に達しています。農業経営体とともに、農業就業者の数が引き続き減少し、高齢化も進行しています。農業の持続的な発展の基盤であり、多面的機能の発揮の場である農村地域でも、集落の機能が低下しています。「いのち」の源である「食」については、「品質」や「安全・安心」といった消費者ニーズが高まっています。第1章から第3章では、各分野におけるこのような状況や今後の課題について、最新のデータ、図表、事例等を交えつつ記述しました。


巻末においては、平成22(2010)年が、「農業に関する年次報告」が初めて出された昭和36(1961)年から数えて50 年目に当たることから、この間を中心とした食料・農業・農村分野での主な出来事、指標等をとりまとめました。


今後、人口増加や経済成長に伴う食料資源需要の一層の拡大が見込まれるなかで、「水と食料」をいかに確保していくか、そのためにどのような社会のあり方を次世代に伝えていくかを国民全体で考えていく必要があります。また、今回の震災は、安定的な食料の供給、そしてそれを支える農林水産業の大切さを再認識させるものとなりました。本報告を通じて、農業等に対する国民的な関心と理解が一層深まることを期待します。