このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

(1)食品産業の役割と動向

(食品産業に期待される役割)

食品産業は、農林水産業と、いわば「車の両輪」として国民に対し安定的に食料を供給する役割を担うとともに、成熟した今日の消費生活において、消費者ニーズに応じた多様な「食」を提供することによって、国民の豊かな生活の実現に貢献しています。

また、国内で生産される農水産物等の3分の2が食品産業向けであり、食品産業は国産農林水産物の最大の需要者として農林水産業を支えています(図2-16)。

このため、基本計画においては、「国民への食料の安定供給や国産農産物の最大の需要先として重要な役割を果たしている食品産業が持続的に発展し、国内外の原料の調達リスクの高まりや人口減少・高齢化等による国内市場の構造変化等の課題に対応することを通じて、引き続きその重要な役割を果たしていくことが求められている」としています。



食品製造業は、農林水産物を加工して多種多様な食料品を製造し、消費者に安定供給するとともに、地域の農林水産業にとって大きな需要先となるなどの役割を果たしています。また、特に農業が盛んな北海道、鹿児島県、沖縄県では、製造品出荷額の3~4割、雇用の面では全製造業の従業者の4~5割を占めるなど、地域経済の安定に重要な役割を果たしています(表2-6)。
 

(食品産業の国内生産額は減少傾向で推移)

食品産業の国内生産額は、食料品価格の値下げ等により1990年代後半をピークに減少傾向にあります(図2-17)。平成21(2009)年における国内生産額は79兆円で全経済活動(876兆円)の9%を占めています。なお、食品産業においては、食品産業を取り巻く競争環境が厳しさを増す中、規模拡大を通じた競争力の強化や海外市場への展開等を目的とした企業再編が進んでいます。



コラム:食品産業における企業再編等の動向

今後、少子高齢化や人口減少による国内市場の縮小が見込まれる中、東日本大震災の影響等も加わり、食品産業を取り巻く競争環境は一段と厳しさを増しています。このような中、合併等による規模拡大を通じた競争力の強化や海外市場への展開等を目的とした企業再編が進んでいます。

食品卸売業界においては、総合商社主導によるグループ内の再編が活発化しており、伊藤忠商事(株)は平成23(2011)年3月に、傘下の(株)日本アクセスを中心としたグループ4社の再編を行いました。また、三菱商事(株)も、同年7月に、傘下の(株)菱食を中心としたグループ4社を合併(社名を三菱食品(株)に変更)することにより、その売上規模は食品卸売業界第1位となることが見込まれています。

一方、外食業界においては、近年、経営効率化を目的とした企業合併・買収による企業再編の動きは落着きをみせていましたが、同年10月に、老舗外食企業である(株)すかいらーくは、米国の大手投資ファンド会社であるベインキャピタルに売却されました。今後は、買収先企業の下で、事業の見直しを通じた収益改善に取り組むこととされています。また、平成24(2012)年1月、(株)NTT docomoが、有機野菜等の会員制宅配サービス企業である(株)らでぃっしゅぼーやを子会社化するなど異業種間の再編もみられます。

他方、平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災の影響は、食品産業全体に広がりをみせており、東京商工リサーチの調査による飲食品製造業の倒産件数は、震災発生前の同年1~3月の対前年同期比が2%増であるのに対し、震災発生後の同年4~9月の対前年同期比は8%増となっています。

この傾向は、飲食業ではさらに顕著であり、飲食業の倒産件数は、震災発生前の同年1~3月の対前年同期比が10%減であるのに対し、同年4~9月の対前年同期比は15%増となっています。



(食品流通業の商品販売額は減少傾向)

食品流通業は、食品の品質と安全性を保ちつつ、安定的かつ効率的に食品を消費者に供給するとともに、消費者ニーズを生産者や食品製造業者に伝達する役割を担っています。食品卸売業の事業所数は、平成21(2009)年で7万6千(農畜産物・水産物卸売業3万4千、食料・飲料卸売業4万2千)となっており、近年、減少傾向にあります。これら卸売業の商品販売額(食品以外の販売額も含む)は、平成21(2009)年で82兆円(農畜産物・水産物卸売業38兆円、食品・飲料卸売業44兆円)となっており、近年、減少傾向にあります(図2-18)。



食品流通業のうち飲食料品小売業の事業所数は平成21(2009)年で37万8千、商品販売額は41兆円となっています(*1)。商品販売額は、食料品スーパーでは、13兆円(平成6(1994)年)から17兆円(平成19(2007)年)に増加し、また、コンビニエンスストアにおいても、4兆円(平成6(1994)年)から7兆円(平成19(2007)年)と大幅に増加しています(図2-19)。一方、食料品専門店・中心店では4割減少しており、食品小売業全体としても減少傾向にあります。


*1 総務省「平成21 年経済センサス- 基礎調査」


このような中、食品流通を安定的かつ効率的に行うためには、取引の適正化が重要となっており、公正取引委員会は、不公正な取引方法として独占禁止法(*1)で禁止する優越的地位の濫用行為に関して積極的かつ厳正な法執行を行うとともに、実態調査を実施するなどしてその未然防止に努めています。


*1 正式名称は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」

コラム:食品流通にかかる取引の適正化の推進について

公正取引委員会が行った「食料品製造業者と卸売業者との取引に関する実態調査」によると、食料品卸売業者から、「返品」、「減額」、「協賛金等の負担の要請」といった優越的地位の濫用につながり得る行為を受けている食料品製造業者が存在していることが明らかになりました(図1)。

また、これらの行為の原因には、食料品卸売業者が自己の利益確保等のために行っているもののほか、食料品卸売業者が取引先小売業者から要請等を受けて食料品製造業者に不当な要請等を行っている場合があることが明らかになりました(図2)。

この調査結果を受け、農林水産省では関係団体に対し、コンプライアンスの徹底を図るなどの指導を行ったところです。



(卸売市場の機能強化等に向けた取組)

卸売市場は、野菜、果物、魚、肉等日々の食卓に欠かすことのできない生鮮食料品等を国民に円滑かつ安定的に供給するための基幹的なインフラとして、多種・大量の物品の効率的かつ継続的な集分荷、公正で透明性の高い価格形成等重要な機能を有しています(図2-20)。しかしながら、近年では加工品や輸入品等、卸売市場を経由することが少ない物品の流通割合が増加していること等により、市場経由率は低下傾向にありましたが、ここ数年は横ばいで推移しています(図2-21)。


卸売市場は国民生活の安定に資するものとして、その機能の十全な発揮が期待されていますが、卸売市場を取り巻く環境が変化し、生産者や実需者等が求める機能に卸売市場が対応しきれていない状況にあります。

このような中、卸売市場については、基本計画において、「「コールドチェーン(*1)システム」の確立等生産・消費ニーズへの的確な対応や公正かつ効率的な取引の推進等により、その機能強化を図る」としています。

このことを踏まえ、農林水産省は、平成22(2010)年10月、コールドチェーンシステムの確立をはじめとした生産者及び実需者のニーズへの的確な対応、経営戦略的な視点をもった市場運営の確保、中央拠点市場を中心とした効率的な流通ネットワークの構築等を内容とした「第9次卸売市場整備基本方針」を策定しました。

農林水産省では、この方針に沿い、通知等の見直しを行ったほか、コールドチェーン体制の整備支援や戦略的な経営展望の策定支援等、卸売市場の機能強化に向けた事業を展開しており、市場機能の十全な発揮を推進することを通じて、生鮮食料品等の需要に合った安定供給の確保を図っています。


*1 生鮮食料品等について、生産段階から消費段階まで所定の低温に保ちながら流通させる体系

(外食産業の市場規模は縮小する一方、中食市場は緩やかに拡大)

外食産業は、多様で安全な食事、快適な時間や空間を家庭の外で提供し、人々の豊かな食生活を実現する上で大きな役割を担っています。

平成22(2010)年においては、外食産業の市場規模は24兆円と推計されていますが、平成10(1998)年の29兆円をピークに近年減少傾向にあります(図2-22)。一方、持ち帰り弁当店やそう菜店、テイクアウト主体のファストフード店等の料理品小売業を中心とする中食(*1)の市場規模は、緩やかな増加傾向で推移しています。


*1 〔用語の解説〕を参照


外食産業の事業所数は平成21(2009)年で40万3千となっており、兵庫県、愛知県、大阪府、京都府では全産業に占める外食産業の事業所数の割合が8%を超えています(表2-7)。

外食産業は、従業者数317万7千人を数えるなど大きな雇用を創出していますが、常用雇用者に占めるパートやアルバイトの割合が高いのが特徴で、高齢者の雇用や外国人労働者の活用等を進めている店舗もみられます。



コラム:海外における日本食の高い評価

東電福島第一原発の事故の影響で、40を超える国・地域において、日本食品に対する輸入規制が強化されたとともに、当初は、風評被害による日本食離れが一部の地域でみられました。しかし、日本食は依然として高い評価を受けているようです。

我が国の外食産業においても、ラーメンチェーンや牛丼チェーン、定食屋、ファミリーレストラン、カレーハウス、回転寿司等、多岐にわたる外食産業の企業が、海外における店舗展開の拡大に、現在も引き続き取り組んでいます。また、海外にある日本食レストランは、外国人が経営するものも含め、3万店ともいわれています。

このように、高く評価されている日本食が世界中でさらに普及し、国内でも次世代に受け継がれるよう、政府として日本食のユネスコ無形文化遺産の登録に向けた取組を推進するとともに、農林水産省としては、海外のレストランにおける日本食の増加、日本産食材の利用拡大、日本の食文化の普及に貢献した料理人を顕彰する「料理マスターズ」顕彰制度の創設等、日本食の普及と伝承に取り組んでいます。


「料理マスターズ」授与式
「料理マスターズ」授与式
 

お問合せ先

大臣官房広報評価課情報分析室
代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883
FAX:03-6744-1526