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農林水産省

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(2)6次産業化に向けた政策的支援


6次産業化については、「農家による直売や加工」といった取組にとどまらず、生産・加工・販売・観光等が一体化したアグリビジネスの展開や、先端技術を活用した新産業の育成、再生可能エネルギーの導入等まで、農山漁村にイノベーションを起こし、付加価値を向上させ、雇用と所得を生み出し、農林漁業のさらなる成長産業化を目指す取組が進められています。

これらの取組について、農業経営の6次産業化を実現していくためには、付加価値の向上を目指した生産と加工・販売の一体化に向けた比較的小さな取組から、新商品・新サービスの開発や販路拡大等のノウハウを有する他産業と対等の立場で連携していく取組まで、その経営発展の段階に応じた多様な支援が不可欠です。

このような状況を踏まえ、平成23(2011)年9月、組織再編により、農林水産省に食料産業局が設置されました。新局においては、従来、総合食料局が担当してきた食品産業分野が任務の重要な一翼を占めることはいうまでもありませんが、農山漁村の資源を活用した新しい産業を創出・育成していくとともに、食や環境を通じて生産者と消費者の絆を強めるということも重要な課題です。


(六次産業化法に基づく総合化事業計画の認定)

平成23(2011)年3月、農山漁村の6次産業化を促進するため、農林漁業者等による農林水産物及びその副産物の生産及びその加工または販売を一体的に行う取組を創出することを目的とした六次産業化法が施行されました。

6次産業化に取り組む農林漁業者等は、六次産業化法に基づき、総合化事業計画(*1)の認定を受けることができます。認定を受けた農業者は、6次産業化プランナーによる総合的なサポート、日本公庫等による無利子資金(農業改良資金)の償還期限・据置期間の延長、低利の短期運転資金(新スーパーS資金)の貸付け、新商品開発・販路開拓等に対する補助、加工・販売等施設整備に対する補助等の支援措置を受けることができます。

初年度である平成23(2011)年度は、709件(うち農畜産物関係656件)が認定されました(図3-20)。これを地域別にみると、近畿が最も多く154件、次いで九州104件、中国四国99件となっています。このうち、近畿の和歌山県(認定件数は43件)については、みなべ町(ちょう)のうめ生産農家による産地一体となった6次産業化への取組、滋賀県(認定件数は31件)については、県の甲賀農業農村振興事務所による6次産業化案件の発掘に向けた精力的取組により、認定件数が特に多くなっています。

また、事業内容は、加工・直売が最も多く54%、次いで加工33%、加工・直売・レストラン7%となっています。このことから、事業計画認定者は、農産物の高付加価値化である加工に取り組む者が多いことがうかがえます。対象農林水産物は、野菜が最も多く33%、次いで果樹21%、畜産物13%となっています。

今後は、総合化事業計画に基づいて、6次産業化に取り組む事業体の傾向や課題等の分析を行い、6次産業化の取組に活かしていくことが重要です。


*1 農林漁業経営の改善を図るため、農林漁業者等が農林水産物及び副産物(バイオマス等)の生産及びその加工または販売を一体的に行う事業活動に関する計画


(6次産業化をサポートする人材・体制の整備)

6次産業化プランナーロゴマーク
6次産業化プランナーロゴマーク

6次産業化の推進を図るためには、6次産業化に取り組む農林漁業者の総合的なサポートを行う人材・体制の整備が重要です。

六次産業化法に基づく基本方針においては、6次産業化に取り組む農業者からの相談等に対応できる体制を整備するとともに、農林水産物の生産・加工、商品開発、マーケティングや経営管理、関連する法律制度等に関する知識・経験を有する者を「6次産業化プランナー」として全国に配置するとしています。また、これに併せ、6次産業化プランナーの活動内容等を定期的に評価することにより、サポート体制の充実に努めることとしています。

このことを踏まえ、平成23(2011)年度に全都道府県に「6次産業化サポートセンター」が設置され、223人の6次産業化プランナーが配置されています。民間コンサルタントや中小企業診断士のほか、知的財産保護・特許流通や広告・デザインの専門家等、幅広い分野から選ばれた6次産業化プランナーは、農林漁業者等の6次産業化の取組につながる案件の発掘や新商品開発・販路拡大のアドバイス、六次産業化法に基づく事業計画の認定申請から認定後のフォローアップまでを一貫してサポートしています。

また、6次産業化プランナーの確保を図るため、各地域において6次産業化プランナーを目指す者を対象とした6次産業化プランナー等人材育成研修が実施されています。

このような6次産業化プランナーに加え、農林漁業者の身近に存在する先導的な6次産業化の実践者を「ボランタリー・プランナー」として農林水産大臣が任命し、サポート体制の充実が図られています。ボランタリー・プランナーは、6次産業化に取り組む事業者へのアドバイスのほか、フォーラム等イベントの講師、各種メディアへの情報発信等の活動を行っています。平成23(2011)年度は、加工や農家レストラン等の6次産業化で成果をあげている農業者、地元食材にこだわるレストラン経営者、地域活性化を支援する地元企業や食品企業の方等、556人が任命されています。

さらに、平成23(2011)年12月1日に、多様な産業の連携による6次産業化の流れを加速化し、農林漁業の成長産業化を実現するため、農林水産業界に加え、産業界、金融、消費者、シンクタンク、研究等の多様かつ広範な関係者の知恵を結集し、相互に連携する場として、「産業連携ネットワーク」が設立されました。平成24(2012)年3月30日現在で、717団体・企業・個人が同ネットワークに加入しています。今後は、会員への意向調査結果を基に活動方針の決定やプロジェクト内容が推進されることとなっていますが、会員間の連携・協働による新たな地域資源の活用や新商品の開発・生産等の取組が積極的に展開されることが期待されます。

 
事例:女性の視点を活かしたボランタリー・プランナーの取組
石川県(金沢市)
四十万谷直美氏
四十万谷直美氏

石川県金沢市(かなざわし)の漬物屋(株)四十萬谷本舗の四十万谷(しじまや)直美さんは、地元産の野菜や漬物を使ったジェラートの開発で規格外野菜の有効活用を図るなど、新製品の開発を積極的に進めています。また、シニア野菜ソムリエの資格を取得し、農政局等が行う地域の食や農業に関する各種イベントで講演を行うなどの活動をしています。

四十万谷さんは、平成23(2011)年5月に6次産業化ボランタリー・プランナーに任命され、11月には北陸農政局主催の「女性6次産業化実践セミナー及び相談会」において、6次産業化に取り組む農業者との意見交換や相談に対応しました。相談会では、6次産業化に取り組む女性の結婚、出産等、女性ならではの相談もあり、自身の経験を活かした助言を行いました。

四十万谷さんは、6次産業化が成功するためには、それぞれの地域や農家の強みを活かした独自の取組が必要と考えており、農業者から相談があった場合には、状況をよく聞いた上で、農業者が主体的に取り組めるようなアドバイスを行っています。

また、農村で新しいことを始めるには、女性たちの新しい感性と強い推進力が必要であると認識しており、女性農業者の取組を積極的に支援していきたいと考えています。

 

(官民共同ファンドの創設)

6次産業化の取組は、加工・販売施設の整備等、多額の資金を必要としますが、6次産業化に取り組む農林漁業者等の多くは資本力が弱く、大型投資や異業種との連携の障害となっています(表3-13)。また、事業規模や手許資金の制約等から、加工、流通、マーケティング、経営管理等のノウハウをもつ人材を確保することが困難となっています。



平成24(2012)年1~2月に農林水産省が農業者を対象に行ったアンケート調査においても、6次産業化に取り組む場合の課題については、「ノウハウ・技術をもっていない」が最も多く60%、次いで「資金が不足している」41%、「労働力が不足している」38%があげられています(図3-21)。



このような状況を踏まえ、再生基本方針においては、「農林漁業者等による農林水産物の加工・販売、農山漁村の環境・資源を活かした観光・商品化等に取り組む6次産業化事業者への成長資本の提供やハンズオン支援(経営支援)を一体的に実施するためのファンドの組成について具体的に検討し、平成23年度中に結論を得る」としたところです。

これを受け、農林水産省では、農林水産大臣の認可の下、国と民間の出資による株式会社農林漁業成長産業化支援機構(仮称)(以下「支援機構」という。)を創設するための「株式会社農林漁業成長産業化支援機構法案」を国会に提出したところです。支援機構は、食と農林漁業をめぐる産業の成長の源泉である1次産業が起点となって、2次・3次産業との融合を図る新たな事業分野を開拓するために、6次産業化事業者への資本提供やハンズオン支援等を一体的に実施し、1次産業と2次・3次産業が対等な立場での資本提携を促進することを目的としています。

このため、支援機構による支援対象者については、6次産業化プランナーによる販路支援や6次産業化施策の活用等のアドバイスやモニタリング、ボランタリー・プランナーによる経営判断・助言を実施することにより、6次産業化施策との連携によるサポート体制の実施を図ることとしています。

今後は、支援機構を利用した6次産業化事業の展開による農林漁業の成長産業化を通じて、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展、農山漁村の活性化が図られることが期待されます。


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