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農林水産省

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(3)都市農業の現状と振興に向けた取組

(都市農業が有する多様な役割)

都市農業(都市及びその周辺の地域における農業)は、消費地に近いという利点を活かし、個人への直売や農産物直売所等を通じた新鮮な農産物の供給という重要な役割を果たしています。また、このような役割に加え、建築物の密集する都市における貴重な空き地として災害時の防災空間を確保する役割、農業体験・交流活動の場や心やすらぐ緑地空間を提供する役割、都市住民の農業への理解を醸成する役割等多様な役割を果たしています(図4-24)。


図4-24 都市農業の多様な役割

図4-25 都市農業・都市農地に対する都市住民の意向

このような都市農業について、基本計画においては、「都市農業の機能や効果が十分発揮できるよう、これらの機能・効果への都市住民の理解を促進しつつ、都市農業を守り、持続可能な振興を図るための取組を推進する」としています。

市街化区域を有する地方公共団体の都市計画担当者を対象としたアンケート調査によると、市街化区域内農地に期待される機能として重要だと思うものについては、「地域の人々への潤いややすらぎ」29%、「洪水の防止に貢献」28%、「ヒートアイランド現象の緩和」27%、「地域の景観形成」25%、「食育等子どもの教育」25%となっています(*1)。

また、東京都内に居住する者を対象としたアンケート調査によると、東京に農業・農地を残したいと思うという回答が85%にのぼっています(図4-25)。

さらに、東日本大震災を契機とする国民の防災意識の向上を背景に、人口が密集している都市部の農地のもつ防災機能についても国民の関心が高まっています。

こうした都市農業の果たす役割や都市住民の意識の変化を踏まえ、都市農地の保全や都市農業の振興に関する施策の在り方について幅広い視点で検討を進めるため、農林水産省では、平成23(2011)年10月より、有識者、関係者等からなる「都市農業の振興に関する検討会」を開催しているところです。


*1 国土交通省「国土政策関係研究支援事業研究成果報告書」(平成22(2010)年度)

(都市農業の現状)

平成22(2010)年の農林業センサスによると、都市的地域の農家数は全農家戸数253万戸のうち25%(63万6千戸)、耕地面積は全耕地面積457万haのうち14%(65万8千ha)を占めています。

また、これらの農家のうち、市街化区域内に農地を所有する農家に対して行ったアンケート調査によると、調査対象農家1戸当たりの経営耕地面積は75aであり、我が国農家全体の平均である1戸当たり133a(平成22(2010)年)の6割程度となっています。このうち、市街化区域内農地は36a(うち生産緑地16a)、市街化区域以外の農地は38aとなっています(表4-4)。

農作業を中心となって担う者の年齢構成については、「50歳未満」14%、「50~59歳」22%、「60~64歳」17%、「65歳以上」47%となっており(*1)、農林業センサスによる基幹的農業従事者に占める65歳以上の割合61%(*2)と比較すると、若い担い手により農業が営まれているといえます。


*1 表4-4の注釈参照(農業従事者における農作業の中心者の年齢についての回答農家数は2,533戸)
*2 農林水産省「2010年世界農林業センサス」


生産している農産物の作目については、「露地野菜」が最も多く、次いで「水稲、陸稲」、「雑穀・いも類・豆類」の順となっています(図4-26)。

このうち年間700万円以上を販売する層は「露地野菜」や「施設野菜」の生産を行う割合が多くなっています。



(都市部で進む市民農園の開設)

市民農園とは、主として、都市住民がレクリエーション等を目的として農作業を行う施設をいいます。その形態としては、利用者が小面積に区分けされた農地を借り受けて農作業を行うもののほかに、農地を借り受けずに、農園の開設者である農業者の指導を受けながら、植付けから収穫までの一連の農作業を体験するものがあり、初心者から経験者まで様々な人が利用しています。このように、都市住民が身近に農業を体験でき、健康増進や生きがいづくり、ふれあいの場等として利用できる市民農園についてニーズが高まってきています。

市民農園の開設数は、特に都市的地域において年々増加し、平成22(2010)年度末には全国で3,811か所と、過去10年間で1.5倍に増加しています(図4-27)。また、地域別にみると、関東が全体の過半数(1,991か所)を占め、次いで東海(449か所)、近畿(424か所)の順となっており、人口10万人当たりでは関東、東海、中国・四国で多くなっています(図4-28)。




市民農園の空き区画に対する応募率は、全国平均で1.3倍となっていますが、特に大都市で供給不足となっており、東京都特別区では2.6倍、川崎市4.5倍、名古屋市3.0倍、大阪市2.7倍となっています(*1)。このため、都市部においては、利用者を市区内に居住する住民に限定している市民農園が多くなっており、今後、さらなる開設に向けた取組を推進していくことが重要です。

また、市民農園の開設主体としては、地方公共団体が多くなっていますが、平成17(2005)年の特定農地貸付法(*2)の改正後は、地方公共団体や農業協同組合以外の多様な者による市民農園の開設が可能となり、農業者のほかNPOや企業によるものも増えてきています(表4-5)。


*1 農林水産省調べ(平成23(2011)年3月現在)
*2 正式名称は「特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律」


これら市民農園の中には、農作業を初めて経験する人や様々な農作業をしたい人向けに、開設者による指導、マニュアルの提供、収穫祭等のイベントの開催等、地域住民との交流を図るような農園も増加しています。

平成24(2012)年1~2月に農林水産省が消費者を対象に行ったアンケート調査によると、市民農園等の利用者の日常生活における認識の変化については、「作物への愛着が湧くようになった」が49%と最も多く、次いで「農業や野菜に興味をもった」45%、「野菜についての基礎知識が豊富になった」43%、「自然環境の大切さを実感した」39%、「農業の大切さを実感した」39%の順となっています(図4-29)。このように、市民農園等の利用は、利用者等の食や自然に対する意識を高め、農業や農作物に対する理解を深化させていることがうかがえます。



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