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農林水産省

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1 技術・環境政策等の総合的な推進


(1)革新的な技術開発の推進

様々な農政の課題に技術面で的確に対応するため、「農林水産研究基本計画」(22年3月策定)に基づき、以下の施策を推進します。


ア 食料供給力の強化を図る研究開発

(ア)
食用米と識別性のある超多収飼料用米品種、飼料用米の調製・給与による畜産物の高付加価値化技術等の開発を推進します。
(イ)
パン・中華めん用の小麦等の高品質品種、大豆等の多収・機械化適性品種、米粉用加工適性を持つ品種、広域水田群への安定した水供給技術の開発を推進します。
(ウ)
農作業負担を軽減する農業自動化、軽労化、省力化技術、農作業を支援するアシストスーツ、農作業技術の継承システムの開発を推進します。
(エ)
家畜の遺伝子の網羅的解析等により、優良な形質を持つ家畜を育成し、効率よく増やし、健康に育てるための技術を開発します。
(オ)
稲、麦、大豆、園芸作物等の農業上有用な遺伝子を同定し、DNAマーカーを開発するとともに、稲のDNAマーカー選抜育種を全国の育種機関で展開するための支援システムを構築します。また、ゲノム情報を活用した新しい育種技術や、遺伝資源等から有用遺伝子を効率よく発掘する技術を開発します。

イ 新需要を創出する付加価値の高い農産物、食品、新素材、医薬品等の開発

(ア)
農林水産物・食品の機能性成分が有する疾病予防機能の科学的根拠の獲得手法や機能性成分を多く含む品種の開発等を行います。
(イ)
LED等の人工光源や波長等の光質制御が可能な被覆(ひふく)資材等により、野菜の品質向上や花きの生育・開花及び品質をコントロールする技術の開発を推進します。
(ウ)
遺伝子組換えカイコによる人工血管・軟骨再生素材等の医療用素材の動物での安全性・有効性の確認を推進します。
(エ)
密閉型植物工場において、遺伝子組換え植物を活用したワクチン・機能性食品等有用物質生産の実用化のために使用エネルギー効率の高い生産技術、品質管理技術を開発します。
(オ)
農産物とその加工品の多様な品質を生産現場で迅速に推測する新しい農産物評価法の開発を推進します。

ウ 地球温暖化等環境問題に対応する技術の開発

(ア)
農林水産分野における温暖化緩和技術として、温室効果ガスの発生・吸収メカニズムの解明、温室効果ガスの排出削減技術、森林や農地土壌等の吸収機能向上技術の開発を推進します。
(イ)
有機資源の循環利用や微生物を利用した化学肥料や農薬の削減技術、養分利用効率の高い施肥体系、土壌に蓄積された養分を有効活用する管理体系等の確立を推進します。
(ウ)
農林水産分野における温暖化適応技術として、精度の高い収量・品質予測モデル等の開発を推進し、気候変動の農林水産物への影響評価を行うとともに、温暖化の進行に適応した栽培・飼養管理技術や害虫防除システムの開発を推進します。
(エ)
ゲノム情報を最大限に活用して、高温や乾燥等に適応する品種の開発を推進します。
(オ)
野菜の新品種の開発を民間企業と試験研究機関等の共同開発等を通じて推進します。
(カ)
農山漁村の自立・分散型エネルギーシステムの形成に向けて、バイオ燃料や熱エネルギーを効率的に生産・利用するための技術の開発を推進します。

(2)研究開発から普及・産業化までの一貫支援

研究成果を確実に普及・実用化につなげていくため、民間等の幅広い分野の人材、情報等を活用し、研究マネジメント機能のさらなる強化を推進します。
研究段階に応じて人材、研究資金等を機動的かつ一体的に運用する視点に立って、農林水産業・食品産業等におけるイノベーションにつながる革新的な技術シーズを開発するための基礎研究及び開発された技術シーズを実用化に向けて発展させるための研究開発を推進します。
研究開発から産業化までを一貫して支援するため、大学、民間企業等の地域の関係者による技術開発から改良、開発実証試験までの取組を切れ目なく支援するとともに、公的研究機関の開発した新品種・新技術、民間企業における機能性農作物に関する研究結果や、地域特産物等の機能性を活かした新食品・新素材の事業化を支援します。
地域の大学、試験場、企業等に対し、コーディネーターが産学官の連携を支援するとともに、計画作成のための事前調査、セミナー等による最新の研究情報の共有などにより一体的に支援します。
農業技術に関する近年の研究成果のうち、早急に生産現場への普及を推進する重要な技術を「農業新技術2014」として選定し、関係機関相互の緊密な連携の下、生産現場への普及推進に取り組みます。
産地においては、普及指導センターと大学、企業、試験研究機関等が連携しつつ、技術指導を核に総合的な支援を展開するなど、研究成果の普及・実用化体制の強化を推進します。

(3)地球環境問題への貢献

ア 地球温暖化対策への貢献

(ア)
農林水産分野における温室効果ガス排出削減に貢献するため、施設園芸において燃油削減に資する省エネ設備の導入や施肥の適正化を推進します。
(イ)
農地からの温室効果ガスの排出・吸収量の国連への報告に必要な農地土壌中の炭素量等のデータを収集する調査を行うとともに、地球温暖化防止等に効果の高い営農活動に取り組む農業者に対する直接支援を実施します。
(ウ)
温室効果ガスのさらなる排出削減のため、排出削減量を認証しクレジットとして取引する制度について国内クレジット制度及びオフセット・クレジット(J-VER)制度を統合した新たな制度を開始し、農林水産分野における取組を推進するとともに、排出削減量を効果的に表示、活用する方法の検討等の新たな地球温暖化対策を推進します。
(エ)
近年の局地的な豪雨や極端な小雨による渇水などを契機とした水問題への関心の高まりを受け、農林水産業が持つ水源かん養等の多面的機能の評価手法策定等を実施します。
(オ)
バイオマスの変換・利用施設等の整備等を支援し、農山漁村地域におけるバイオマス等の再生可能エネルギーの利用を推進します。
(カ)
「地球温暖化対策研究戦略」(20年7月策定)に基づき、農林水産分野における地球温暖化防止技術・適応技術の開発等を推進します。
(キ)
世界的な温室効果ガスの排出削減や気候変動による影響への適応を進めるため、国際的な研究・技術協力を積極的に実施します。

イ 循環型社会形成への貢献

(ア)
バイオマスの活用の推進に関する施策についての基本的な方針、国が達成すべき目標等を定めた「バイオマス活用推進基本計画」(22年12月策定)に基づき施策を推進します。

また、技術とバイオマスの選択と集中等によるバイオマスを活用した事業化を重点的に推進するための指針である「バイオマス事業化戦略」(24年9月策定)に即して、地域のバイオマスを活用した産業化を推進し、地産地消型の再生可能エネルギーの強化と環境にやさしく災害に強いまちづくり・むらづくり(バイオマス産業都市)を支援します。特に、廃棄物系バイオマスについて、具体的な市町村等を選定して、メタン発酵施設を中心に、地域特性に応じた廃棄物系バイオマスの利活用システムの検討を実施します。

(イ)
バイオマスの効率的な収集・変換等の技術の開発、システムの構築を進めることとし、以下の取組を実施します。
a
農林漁業に由来するバイオマスのバイオ燃料向け利用の促進を図り、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大を推進するため、「農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律」(20年10月施行)に基づく「生産製造連携事業計画」の認定を行い新設されたバイオ燃料製造設備について、固定資産税の軽減措置を実施します。
b
農山漁村の自立・分散型エネルギーシステムの形成に向けて、バイオ燃料や熱エネルギーを効率的に生産・利用するための技術の開発を推進します。
c
下水道を核とした資源・エネルギーの循環のため、バイオマスである下水汚泥等の利活用を図り、下水汚泥等のエネルギー利用、りん回収・利用等を推進します。

ウ 生物多様性保全への貢献

(ア)
有機農業や冬期湛水(たんすい)管理等、生物多様性保全に効果の高い農業生産活動等を推進します。
(イ)
土地改良事業における環境配慮手法の充実を図るため、各地の環境配慮事例について分析し、最新の知見を踏まえた生態系配慮等を計画・評価する手法を開発します。
(ウ)
水田魚道の設置等、生態系に配慮した水田や水路等の整備技術を開発し、普及を推進します。
(エ)
農林水産分野における生物多様性の経済的評価や、生物多様性保全活動への企業等による支援を促す仕組みについて実地検証を行い、実用性・普及性の高い支援の仕組みを検討し、ガイドラインとして取りまとめます。
(オ)
遺伝子組換え農作物に関する取組については、生物多様性に及ぼす影響についての科学的な評価、安全性未確認の遺伝子組換え農作物に対する輸入時検査、国内の生産状況、生態系への環境監視等の調査を実施します。
(カ)
農林水産分野における遺伝資源の持続的利用を推進するため、以下の取組を実施します。
a
国内の遺伝資源利用者が海外の遺伝資源を円滑に取得するために必要な情報の提供や、相手国等との意見調整の支援を行います。
b
途上国との遺伝資源の取引を円滑にするため、遺伝資源の取引・運用制度に関する理解促進や遺伝資源の探索及び機能解析等に関する能力向上を図ろうとする取組を支援します。

エ 国際会議等への参画

気候変動枠組条約第19回締約国会議(COP19)等の地球環境問題にかかる国際会議に参画し、農林水産分野における国際的な地球環境問題に対する取組を推進します。


(4)知的財産の保護・活用

知的財産発掘・活用全国協議会を設置し、大手流通業バイヤー等へのアンケート調査等により、知的財産の総合的なデータベースを構築するほか、地域協議会を設置し、地域情報の調査や知的財産の活用に向けた地方相談会の開催等を行います。

さらに、地理的表示保護制度の検討の基礎とするため、必要となる地域と産品の結び付きに係る認定スキーム等について、産地への現地調査等を行います。

育成者権や栽培ノウハウ等の知的財産を総合的に活用し、地域ブランド産品の国内外における価値を最大限に高め、これを活用した加工食品の開発、観光業の振興及び輸出の促進等により地域振興を図る新たなビジネスモデルを構築する取組において、地域における協議や市場調査、専門家への相談等の取組を支援します。
地域の生産者等と協働し、日本産食材の利用拡大や日本の食文化の海外への普及等に貢献した料理人を顕彰する制度である「料理マスターズ」を引き続き実施します。
「東アジア植物品種保護フォーラム」の下、東アジアにおける品種保護制度の整備・充実を促進するための協力活動を推進します。また、我が国育成者が共同して行う海外における権利侵害への対応に必要な調査等を実施します。
我が国種苗産業にとり生命線である野菜及び花き等の遺伝資源について、海外遺伝資源の収集、特性評価及び保存等のために必要な取組を実施します。
我が国の地名等が海外で第三者によって商標出願される問題に対し、「農林水産知的財産保護コンソーシアム」への支援を通じ、監視強化等を実施するとともに、育成者権や商標権等の知的財産をセットで保護することによりロイヤリティー収入を確保し、国際展開を目指す新たなビジネスの普及を推進します。

また、海外への輸出を図る農産物のDNA品種識別技術及び産地判別技術の実用化に取り組み、品種保護を図る取組を支援します。

和牛の遺伝資源の保護・活用を図るため、新たなDNA解析技術等を活用した家畜の育種技術の実用化等を支援します。
篤(とく)農家の技術の数値化・データベース化・可視化を可能にし、他の農業者の作業判断を支援できるシステム開発を推進し、「アグリプラットフォームコンソーシアム」におけるAI(アグリインフォマティクス)システムの開発・実用化に向けた取組を支援します。
我が国の高品質な農林水産物に対する信用を高め、適切な評価が得られるよう、地理的表示の保護制度について、関係各国の動向を踏まえ、国際的な調和にも配慮しつつ、我が国の実情にあった制度を導入すべく検討を進めます。


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