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農林水産省

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(19)飼料作物等


(濃厚飼料は輸入に依存)

家畜の飼料は、粗飼料と濃厚飼料とに大きく分類することができます。粗飼料には、乾草やサイレージ(飼料作物を乳酸発酵させ、保存性・嗜(し)好性を高めた飼料)、稲わら等があり、牛等の草食家畜に給与されます。一方、濃厚飼料には、とうもろこしを中心とする穀類、糠(ぬか)類、粕(かす)類等があり、豚や鶏のほか、肉用牛の肥育に多く使われています。

飼料の供給量は、家畜の飼養頭数の増加に伴い、昭和55(1980)年度の2,511万TDNt(*1)から平成2(1990)年度の2,852万TDNtまで14%(341万TDNt)増加しています(図3-5-86)。その後、家畜の飼養頭数が減少したことから、平成12(2000)年度以降は2,500万TDNt程度で推移しており、平成23(2011)年度の飼料供給量は2,476万TDNtとなっています。

飼料の供給量を粗飼料と濃厚飼料別にみると、粗飼料の供給量は昭和55(1980)年度の512万TDNtから平成2(1990)年度の624万TDNtまで増加しましたが、その後、減少傾向で推移しており、平成23(2011)年は527万TDNtとなっています。濃厚飼料は、輸入濃厚飼料の増加に伴い、昭和55(1980)年度の1,999万TDNtから平成2(1990)年度の2,228万TDNtまで増加し、平成12(2000)年度以降は2千万TDNt程度で推移しています。

このような中、飼料自給率は、昭和55(1980)年度の28%から平成2(1990)年度の26%まで2ポイント低下した後、横ばいで推移しており、平成23(2011)年度の飼料自給率は26%となっています(図3-5-87)。なお、粗飼料の自給率は77%と比較的高い水準ですが、濃厚飼料の自給率は12%と低くなっています。


*1 TDNとは、Total Digestible Nutritionの略で、可消化養分総量と呼ばれるもの。家畜が消化できる養分の総量であり、カロリーに近い概念。

図3-5-86 飼料の供給量の推移

(米国の干ばつにより飼料価格が高騰)

我が国の飼料自給率は26%程度となっており、特に飼料穀物については、その多くを輸入に依存していることから、配合飼料価格は、とうもろこし等の国際価格や輸送費(海上運賃)、為替レート等の影響を受け変動しやすい状況にあります。畜産物生産費の費用合計に占める飼料費の割合は、平成23(2011)年において去勢若齢肥育牛33%、子牛(肉専用種)35%、牛乳45%、肥育豚64%と高くなっています(図3-5-88)。また、ブロイラー養鶏経営と採卵養鶏経営において、現金支出額に相当する農業経営費に占める飼料費の割合は、それぞれ、65%、68%を占めています(*1)。このため、飼料価格が高騰した場合、畜産経営は大きな影響を受けます。

穀物等を調合した配合飼料の価格の推移をみると、平成18(2006)年1月は4万3千円/tでしたが、国際穀物価格の高騰に伴い、平成20(2008)年11月期には6万8千円/tまで56%上昇しています(図3-5-89)。その後、配合飼料価格はやや下落したものの、5万2千円/t以上の高い水準で推移しており、平成23(2011)年以降再び上昇傾向にあります。さらに、平成25(2013)年1月は、平成24(2012)年の上半期に米国で発生した干ばつ等により国際穀物価格が上昇した影響等を受け6万3千円/tまで上昇しています。

このような中、配合飼料価格の上昇が畜産経営に与える影響を緩和するため、生産者と配合飼料メーカーの自主的な積み立てによる通常補填制度に加え、異常な価格高騰に対応するために国の支援による異常補填制度が措置されています。

なお、平成24(2012)年度は、配合飼料価格の高騰が生産者の経営に及ぼす影響を緩和するため、異常補填の発動基準の引き下げや通常補填基金への無利子貸付け等の配合飼料価格安定制度の安定運用のための措置が行われました。


*1 農林水産省「農業経営統計調査 営農類型別経営統計(個別経営)」(平成23(2011)年)

(飼料作物の作付(栽培)面積は近年横ばい)

このように、畜産経営は、穀物の国際価格等の影響を大きく受けることから、畜産経営の安定を図るため、飼料自給率を向上させることが重要な課題となっています。

飼料作物の作付(栽培)面積の推移をみると、昭和40年代における草地の開発、既耕地への作付けの拡大や昭和50年代以降における水田の転作に伴う作付けの拡大等により、平成2(1990)年の109万6千haまで増加しました(図3-5-90)。その後、畜産農家戸数の減少に伴い、草地(離農跡地)が畜産経営に円滑に継承されなかったこと等により、飼料作物の作付(栽培)面積は平成21(2009)年に90万2千haまで減少したものの、草地基盤の整備や地域に適した優良品種の導入、飼料用米や稲発酵粗飼料(稲WCS)(*1)の作付け拡大によって、平成24(2012)年は93万2千haに増加しています。また、作付(栽培)面積を地域別にみると、近年は都府県において作付(栽培)面積が増加しています。

平成24(2012)年の飼料作物の収穫量は、天候不順の影響や原発事故による給与自粛に伴う廃棄が発生したこと等により、前年に比べて11万TDNt減少し340万TDNtとなっています。

なお、東電福島第一原発の事故の影響を受け、岩手県、宮城県、福島県、栃木県、群馬県の5県において、都府県の飼料作物作付面積の1割に当たる3万9千haの牧草地について放射性物質の移行低減対策等の実施が必要となりました。しかしながら、急傾斜地にある牧草地では作土層が薄い場合が多く、また、作業機が転倒する危険性もあるため、一般的な農地で行われる表土の削り取りや反転耕等の実施が困難であり、作業が遅延する状況にあります。このため、急傾斜牧草地に対応した移行低減対策の実施方法の検討が進められています。


*1 [用語の解説]を参照。


国産粗飼料の生産拡大を図るため、飼料生産組織(コントラクター等)による飼料生産作業の外部化を進め、畜産農家の労働負担の軽減及び飼料生産作業の効率化・低コスト化を促進することが重要となっています。また、自給飼料を活用した高品質な混合飼料の供給を可能とするとともに、畜産農家の飼料調製の労力やサイロ等の施設費の低減を図るため、粗飼料と濃厚飼料を適切な割合に混合した完全混合飼料(TMR)を畜産農家に提供するTMRセンターの整備も求められています。

このような中、コントラクターの育成を図るため、飼料生産等に必要な機械の導入や飼料の保管・調整施設の整備等に対する支援措置を講じており、コントラクターの組織数は、平成15(2003)年度の317組織から平成24(2012)年度の605組織まで増加しています(表3-5-12)。また、TMRセンターの設置数は、平成15(2003)年度の32か所から平成24(2012)年度の109か所まで増加しています。


(飼料用米・稲発酵粗飼料の作付面積が増加)

近年、水田を有効に活用する観点から、飼料用米や稲WCSの生産・利用の拡大が進められています。

飼料用米は、栽培体系が通常の稲作と同じであり、農機具等の新規投資が不要であることから稲作農家における導入の拡大が期待されています。飼料用米の作付面積は、平成22(2010)年度から戸別所得補償制度の対象となり8万円/10aの交付金が交付されたこと等により、平成17(2005)年産の45haから平成24(2012)年産の3万5千haまで大幅に増加しています(図3-5-91)。

また、WCS用稲の生産においては、専用の機械の導入が必要であるものの、稲の栽培技術を活用できることから、その導入の拡大が期待されています。WCS用稲は、飼料用米と同様に平成22(2010)年度から戸別所得補償制度の対象となり8万円/10aの交付金が交付されたこと等により、作付面積は平成17(2005)年の4,600haから平成24(2012)年の2万6千haまで増加しています。


(食品残さの飼料利用を推進)

食品産業における食品残さは、平成22(2010)年度で年間2,086万t発生しており、そのうち1,471万tが飼料や肥料等に再生利用されているものの、355万tは焼却や埋立て等により廃棄処分されています(表3-5-13)。食品残さの再生利用率(*1)を業種別にみると、食品製造業では81%と高く、うち飼料への仕向け割合も75%を占めていますが、食品小売業や外食産業では、再生利用率、飼料への仕向け割合は共に食品製造業に比べて低くなっています。

廃棄物として処理されているものや肥料等に再生利用されているものの中には、品質的には飼料として再利用することが可能なものが多く含まれていると考えられるため、資源を有効に利用する点から食品残さを飼料化したエコフィードの更なる普及が期待されます。

このような中、エコフィードの普及に向けて、食品関連事業者、飼料化業者、畜産農家等の関係者が地域的又は広域的な連携を図るとともに、量的・質的に安定したエコフィードの生産・供給体制の構築が課題となっています。


*1 再生利用率=再生利用量/食品廃棄物の年間発生量×100



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