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農林水産省

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(1)都市と農山漁村の共生・対流


(都市と農村の交流の多様な形態)

都市と農村の交流の推進は、「人・もの・情報」の行き来を活発にし、都市と農山漁村それぞれに住む人々がお互いの地域の魅力を分かち合い、理解を深めるために重要な取組です。

その形態としては、グリーン・ツーリズム(農山漁村における滞在型の余暇活動)を中心とした一時滞在型のものから、二地域居住型、定住型まで、多様なものがあります(図4-3-1)。

このような都市と農村の交流は、都市住民に「ゆとり」や「やすらぎ」のある生活をもたらすほか、郷土食・伝統文化、棚田や里山等を通じた農村地域の魅力の再発見とその活用・利用により、農村地域の活性化にも重要な役割を果たしています。


図4-3-1 都市と農村の交流に関わる多様な形態

(都市住民の農村への関心の高まり)

農林水産省が都市住民を対象に行った調査によると、都市住民が持つ農村の良いイメージについては、「空気がきれい」、「住宅・土地の価格が安い」、「自然が多く安らぎが感じられる」、「子どもに自然をふれさせることができる」、「人が少なくのどかである」等の割合が高くなっています(図4-3-2)。

また、国土交通省が都市住民を対象に行った調査によると、ほぼ全ての回答者が農村地域を大切だと思っており、今後の農山漁村地域との関わりについては、約5割が「訪問・滞在」を、約3割が「居住や訪問以外」による関わりを希望しています。



このような中、集落活性化の取組により活性化している、又は、活性化が見込まれる集落に対するアンケート調査により、活性化の成果を農業地域類型別にみると、中山間地域(中間農業地域、山間農業地域)では、他の農業地域に比べて「交流人口等が増加」の占める割合が高くなっています。都市住民の農山漁村への関心が高まる中、特に、生産条件が不利な中山間地域では、都市と農村の交流により地域の活性化を図る傾向がみられます(図4-3-3)。

 

(グリーン・ツーリズムの取組)

農山漁村において、自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型余暇活動であるグリーン・ツーリズムは、都市住民の農業・農村への関心を高め、地域の活性化に大きな役割を果たしています。また、農村地域の特徴を活かした様々な取組が行われており、例えば、貸農園・体験農園は都市的地域に多く、観光農園は平地農業地域や中間農業地域で多く、農家民宿は山間農業地域で多く取り組まれているなどの特徴があります(表4-3-1)。

グリーン・ツーリズムに期待するポイントについて、観光庁が消費者に対して実施したアンケート調査によると、農業等の作業体験と食事、地元の人との交流に期待する傾向が高くなっています。特に女性(都市部・地方)は、作業体験への期待が極めて高くなっています。また、都市部の男性は、地元の人との交流への期待が高くなっています(図4-3-4)。


表4-3-1 グリーン・ツーリズムの取組事例


このような中、農家民宿を行っている農業経営体は、平成17(2005)年の1,492経営体から平成22(2010)年の2,006経営体まで増加しています(図4-3-5)。また、農家民宿等のグリーン・ツーリズム施設への宿泊者数も年々増加しており、平成23(2011)年度には886万人となっています。

一方、外国人に日本の農村の魅力を発信し、日本のグリーン・ツーリズムに関心を持ってもらうことも重要です。

観光庁が行ったアンケート調査によれば、訪日外国人旅行者は、伝統的な食文化体験、日本の農山漁村の風景の見学、伝統的な町並み巡りに対する興味が高い傾向があり、大都市だけでなく農山漁村についても高い興味を示しています(図4-3-6)。

 

また、訪日外国人旅行者にとっては、初訪日の際は、四季の体験、自然体験ツアー・農山漁村体験、スキー・スノーボード等の農山漁村地域における余暇活動の実施率は低いものの、次回訪日した際における体験希望が高くなっており、農山漁村を訪れる潜在的な可能性が高いと考えられます(図4-3-7)。


(定住を促進するなど農山漁村の活性化に向けた取組)

農村が人材不足等の構造的な問題を抱える一方で、都市においては農村に関心を持つ者が多く存在しています。

このような中、戸数が増加した集落(*1)を対象に行った調査をみると、戸数が増加した理由として、Uターン(*2)及びIJターンによるとした集落が44%を占めています(図4-3-8)。また、これを農業地域類型別にみると、Uターンによる世帯数の増加は平地農業地域で高く、IJターンによる世帯数の増加は山間農業地域で高くなっています。


*1 平成12(2000)年時点で集落総戸数が4戸以下の集落、又は5戸以上9戸以下で平成2(1990)年から平成12(2000)年の10年間で総戸数の減少率が30%水準以上である集落のうち、平成12(2000)年から平成22(2010)年にかけて総戸数が増加した集落に対して実施したアンケート調査。
*2 UJIターンは、大都市圏の居住者が地方に居住する動きの総称。Uターンは出身地に戻る形態。Iターンは出身地以外の地方へ移住する形態。Jターンは出身地近くの地方都市に移住する形態。


一方、国土交通省が都市住民を対象に行った調査によると、農山漁村地域で暮らしたいが現実的には難しいと考える理由として、移住希望者では、「実現するきっかけがない」(46%)、「働く場所が少なく、自分にあう仕事が選べない」(39%)、「住居などを確保する経済的なコストが大きい」(30%)の数値が高くなっています。また、二地域居住希望者では、「住居などを確保する経済的なコストが大きい」(55%)、「働く場所が少なく、自分にあう仕事が選べない」(42%)、「都市部との交通・移動のための経済的なコストが大きい」(32%)の数値が高く、これらが移住や二地域居住に係る課題となっています(図4-3-9)。



このような中、二地域居住を前提として、年に数か月程度農村に滞在し、農業体験を行う滞在型市民農園を整備する取組や、地域への定住を促進するため、新規就農支援、空き家情報の提供、定住後の地域活動への参画に向けた体制整備、雇用の創出や起業の促進に向けた施設整備等、様々な取組が全国各地で行われています。


事例:若者の就農・定住を促進し集落を活性化する取組
福井県若狭町
研修生による稲木づくり
研修生による稲木づくり

福井県若狭町(わかさちょう)では、担い手不足等による遊休農地の増加・過疎化に対応するため、平成13(2001)年に地域、行政、企業((株)類(るい)設計室)の三者の協力・出資の下、「都市からの若者の就農・定住を促進し、集落を活性化する」ことを目的とする「農業生産法人(有)かみなか農楽舎(のうがくしゃ)」を設立し、新規就農者の育成と定住に向けた研修事業を行っています。

(有)かみなか農楽舎では、1~2年の研修期間において、集落代表者による農業研修、(株)類設計室による経営研修、県や町による座学(簿記、町の歴史等)等、実践的な指導から定住に向けた準備を一体的に行っています。さらに、研修生は集落住民の一員として、消防活動や運動会、草刈り、伝統行事(放生祭等)等に参加し、農村の慣習を学ぶこととなっています。

また、卒業生が町内で就農し定住する際は、集落の農業者から「親方」となる指導者が付いて就農後の農業指導や集落との橋渡し等を行うほか、町からの住宅支援等も行われます。

この結果、卒業生34人のうち20人が町内に定住し、その後も定住者の結婚等により家族が増え、卒業生とその家族は平成25(2013)年4月現在で45人となりました。このほか、卒業生は町の審議会等においても活躍しており、町政の推進に寄与しています。

 


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