このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

1 「和食」のユネスコ無形文化遺産登録 ?次世代に伝える日本の食文化?


平成25(2013)年12月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、アゼルバイジャン共和国で開催した「無形文化遺産の保護に関する条約」の政府間委員会において、我が国が平成24(2012)年3月に申請した「和食;日本人の伝統的な食文化」をユネスコ無形文化遺産として登録することを決定しました。

この登録を契機として、多くの日本人が日本食文化を見つめ直すとともに、次世代に向けた保護・継承の動きにつながることが期待されています。


(「和食」のユネスコ無形文化遺産登録)

日本人は、四季のはっきりした変化や地理的な多様性を背景として、豊かな食材をもたらす自然を敬い、また、共に生きていく中で、独自の食文化である「和食」を育んできました。

ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」とは、「自然の尊重」という日本人の精神を体現した食に関する「社会的慣習」であり、以下の4つの特徴があります(図1-1)。

1つ目として、新鮮で多様な食材と素材を用い、また、その持ち味を尊重する工夫が施されている点が挙げられます。季節の移り変わりがはっきりした日本には、四季折々の新鮮で多様な海の幸や山の幸があり、これらの食材の味わいを活かすため、出汁を使用した調理技術等が発達しています。

2つ目は、栄養バランスに優れた、健康的な食生活を形成している点があります。米、魚、野菜や山菜といった地域で採れる様々な自然食材を用いるほか、出汁の「うま味」を上手に使うことにより、動物性油脂の少ない食生活を実現しています。

3つ目は、食事の場において自然の美しさや季節の移ろいを表現した盛りつけを行う点です。料理に花や葉等の自然の素材をあしらったり、飾り包丁で自然の事物を表すなどの美意識を根底に有し、旬の食材を好んで用いるほか、季節に合った調度品や器を利用することで季節感を楽しむこころが日本の食文化にはあります。

4つ目は、食が正月行事等の年中行事と密接な関わりを持っていることです。正月のおせち料理やお雑煮から始まり大晦日の年越しそばまで様々な年中行事において、食は欠かせないものです。また、お食い初め、七五三等人生の節目の儀礼においても食は密接な関わりを有しています。


図1-1 「 和食;日本人の伝統的な食文化」

(「和食」に対する消費者の意識)

株式会社日本政策金融公庫が消費者を対象に行った調査によると、ユネスコ無形文化遺産に「和食」が登録されたことを「知っている」と回答した消費者の割合は80%を超えており、消費者における関心の高さをうかがうことができます(図1-2)。

また、「和食」の魅力を感じる特徴をみると、「一汁三菜を基本としたバランスよい食事スタイル」や「多様で新鮮な山海の幸を使用」を回答した消費者の割合は、それぞれ26%、24%と高くなっているほか、素材の持ち味を引き出す技術や健康的な食事の割合がそれぞれ18%、13%となっており、消費者は様々な点に魅力を感じていることがうかがえます(図1-3)。

さらに、「和食」の保護したい点をみると、「和食」の有する食事マナーや地域に根差した食材という側面が重視されています(図1-4)。





(食生活が変化する中、食文化を保護・継承する取組が重要)

「和食」は、長年にわたり培われてきた日本の食文化といえますが、我が国の食生活は大きく変化しています。これを1人当たりの品目別消費量の推移でみると、昭和40(1965)年度を100とした場合、米は平成24(2012)年度には50まで半減している一方、肉類・鶏卵、牛乳・乳製品、油脂類は、それぞれ228、239、216まで大きく増加しています(図1-5)。



また、食料支出額に占める生鮮食品、調理食品、外食の割合をみると、外食、調理食品の割合は昭和40(1965)年以降一貫して増加する一方、生鮮食品の割合は一貫して減少しています(図1-6)。

このように、我が国の食生活は肉類や乳製品を多く取り入れた欧米化が進行するとともに、調理食品や外食を利用する機会が増加するなど家庭内で調理する機会が減少している傾向がうかがえます。



このような中、博報堂生活総合研究所が20歳から69歳の男女を対象に行った調査(*1)によると、正月におせち料理を食べた人の割合は平成4(1992)年の86.6%から平成24(2012)年には74.8%まで低下しています。正月は家族や親族が集まり、新年を祝う伝統的な慣習の一つであり、おせち料理は日本の食文化の中で培われてきた代表的なものと考えられますが、近年では、この日本の食文化の慣習が薄れつつあるといえます。

このため、各地域で日本食文化の保護・継承の取組が行われています。例えば、料理店の店主や調理学校関係者が設立したNPO法人(*2)日本料理アカデミーでは、日本食の素晴らしさを料理店の店主や調理学校関係者に直接伝え、体感してもらう食育事業や講演等を行うなど、各地域において特徴的な食文化を保護・継承する取組を行っています。また、「和食」のユネスコ無形文化遺産登録の申請を契機として設立された民間の団体「「和食」文化の保護・継承国民会議」では、食文化を次の世代につないでいくための取組やホームページ等を通じた情報発信を行っています。一方、国では、食文化を活かした地域活性化を支援するため、「日本食文化ナビ」を作成しました。

これらの取組も通じて、日本食文化への関心を高めるとともに継続的な活動にすることにより、次世代に向けた保護・継承につなげていくことが重要です。

*1 博報堂生活総合研究所「生活定点1992-2012」。
*2 [用語の解説]を参照。

(日本食・食文化の発信の強化)

近年、海外における日本食ブームが高まっており、日本の食材や食文化を海外に広める好機となっています。このような中、平成27(2015)年5月から10月までの間、イタリアのミラノ市で「地球に食料を、生命にエネルギーを」をテーマにした「食」に関する「2015年ミラノ国際博覧会」が開催されるほか、平成32(2020)年には「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会」が開催される予定となっています。我が国は、これらの場も見据えて日本食・食文化の発信を強化し、国内外の食市場を積極的に開拓することとしています。


事例:各地域における日本食文化の保護・継承の取組
(1) ご当地もちサミットの開催等により地域を活性化
一関市
もち本膳
もち本膳

岩手県一関市(いちのせきし)の「一関もち食推進会議」は、古くから同地域に根付く「もち文化」の普及と継承を図るため、日本唯一の「もち本膳」の出前講座や学校給食を通じた理解増進等の活動に取り組んでいます。

同会議は、平成25(2013)年10月、同市において開催された「全国ご当地もちサミット」にも携わり、32,000人(同時開催イベントの来場者を含む)の来場者を得るとともに、同サミットを通じた「もち文化」の普及に努めました。

このほか、もちに関するイベントの企画や商品開発等を通じて、地域経済や観光分野等の発展にも寄与しています。

(2) 地元の食文化を伝承するプログラムの展開
小浜市
御食国若狭おばま食文化館
御食国若狭おばま食文化館

福井県小浜市(おばまし)は、飛鳥・奈良時代に御食国(みけつくに)として同地域の豊富な海産物や塩等を朝廷に献上した歴史を背景として、全ての世代を対象とした食育プログラムを展開し、食のまちづくりを行っています。

食のまちづくりの活動拠点となる「御食国若狭おばま食文化館」において、各世代のニーズを踏まえた体験学習、料理教室、食育講座等を行うとともに、隣接する市直営レストランにおいては、地元産の野菜や魚介類を活用した郷土料理を提供しています。また、体験学習等の食育プログラムを教育旅行として商品化した「食育ツーリズム」を展開し、食のまちづくりの成果を観光商品とした取組も行っています。


(3) 地元食材を用いた小皿料理を提供
西米良村
おがわ四季御膳
おがわ四季御膳

宮崎県西米良村(にしめらそん)の「おがわ作小屋村」は、地元で採れた四季折々の食材を用いて、16種類の地元料理を小皿に盛りつけた「おがわ四季御膳」を提供しています。また、昔の休憩小屋であった「作小屋」という伝統的な建物を活かし、郷土料理の提供、宿泊・研修施設の運営等を行うことで、集落の人々が中心となって地域づくりを展開しています。

これらの取組により、この御膳は地元の看板メニューの一つとなるとともに、観光客を誘致する目玉の一つになっています。


(4) 地域に伝わる精進料理の伝承
宮城県美里地域
農家の手作り精進料理を味わう会の様子
農家の手作り精進料理を
味わう会の様子

宮城県美里地域(みさとちいき)(大崎市(おおさきし)、美里町(みさとまち)、涌谷町(わくやちょう))で活動する「小牛田(こごた)地域精進料理の会」は、地域に伝わる精進料理を大切に受け継ぎ伝承するために、精進料理の調査・研究、材料の調達・保存方法の習得、精進料理の普及伝承活動等を行っています。

このような活動を通じて、膳・箸の配置等の特徴も含めた精進料理のレシピを「農家手づくり精進料理」としてまとめました。また、中学校の総合的学習での講義、地域の学習会への講師派遣、「精進料理大学」の開催等を通じて精進料理の普及に取り組んでいます。さらに、法事や通夜でも供養膳づくりの支援を行っています。

 

コラム:食品や食文化の大切さを考える記念日
「和食」の日の記念日登録証
「和食」の日の記念日登録証

「和食」文化の保護・継承国民会議(企業や団体、個人によって構成される民間の任意団体)は、ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」文化を次世代に向けて保護・継承していくため、11月24日(いいにほんしょく)を「和食」の日として(一社)日本記念日協会に申請し、認定されました。

同協会は平成3(1991)年4月の発足後、記念日の認定や記念日イベントのコンサルティング等の活動に取り組むとともに、ホームページ上で記念日情報を公開するなど、記念日にまつわる総合窓口の役割を果たしています。

食品・食文化に関する記念日には、「焼き肉の日」(8月29日)、「野菜の日」(8月31日)といった語呂合わせを基に認定された記念日のほか、国連食糧農業機関(FAO)の設立を記念して設定された「世界食料デー」(10月16日)や、FAOが「世界牛乳の日(World Milk Day)」(6月1日)を提唱したことから設定された「牛乳の日」(6月1日)等があります。

食品・食文化に関する記念日を通じて、日本の食品や食文化の大切さを再認識する日になることが期待されています。

 


 ご意見・ご感想について

農林水産省では、皆さまにとってより一層わかりやすい白書の作成を目指しています。

白書をお読みいただいた皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。

送信フォームはこちら


お問合せ先

大臣官房広報評価課情報分析室
代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883
FAX:03-6744-1526