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農林水産省

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(2)プランを推進する新たな農業・農村政策?4つの改革? エ 日本型直接支払制度の創設


(農業・農村の多面的機能の維持・発揮のための地域活動や営農活動を支援)

農業を産業として強化していく産業政策と車の両輪を成す地域政策として、農業・農村の多面的機能の維持・発揮を促進するため、地域活動や営農活動に支援を行う日本型直接支払制度を創設することとしています(図2-9)。

具体的には、地域の農業者等による活動組織が取り組む農地法面(のりめん)の草刈りや水路の泥上げ、農道の路面維持等の地域資源の基礎的保全活動や農村の構造変化に対応した地域資源の保全管理構想の作成等の活動に対して支援を行う農地維持支払と、非農業者を含む活動組織が地域資源の質的向上を図る共同活動として取り組む水路・農道等の軽微な補修や、農村環境保全活動(植栽による景観形成等)、施設の長寿命化のための活動等に対して支援を行う資源向上支払から成る多面的機能支払を創設することとしています。

また、この多面的機能支払に加え、中山間地域等の条件不利地域と平地との生産費の格差を支援する中山間地域等直接支払1及び環境保全効果の高い営農活動を行うことに伴う追加的コストを支援する環境保全型農業直接支援2を合わせて、「日本型直接支払制度」として位置付け、農業の多面的機能の維持・発揮を促進する地域活動や営農活動を支援していくこととしています。

さらに、本制度の安定的な実施に資するよう、平成26(2014)年3月に「農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案」を国会に提出したところです。


図2-9 日本型直接支払制度の概要

(多面的機能支払を通じて農業の構造改革を後押し)

農村における水路や農道は、主に地域の農業者が中心となり補修等の保全管理を行ってきましたが、農村地域では高齢化や人口の減少等により、地域の共同活動によって支えられている多面的機能の発揮にも支障が生じる状況となっています。また、規模拡大に取り組む担い手においても、水路や農道の管理等の役務負担が増大するため、担い手への農地集積の遅滞が懸念されます。

多面的機能支払を導入することによって、水路や農道等の保全・補修を行う地域の共同活動を支援し、農地が農地として維持され将来にわたり多面的機能を維持・発揮することを確保するとともに、規模拡大に取り組む担い手の負担を軽減し農地集積が進展する環境を整備することによって、農業の構造改革を後押しすることとしています(図2-10)。

また、多面的機能支払を通じて、地域の担い手を支える集落の共同活動が活発化し、担い手以外の住民等も含めて6次産業化や都市との交流等の取組が発展することによって、地域の活性化も図られることが期待されています。


図2-10 多面的機能支払で構造改革を後押し


コラム:これまでの米政策の推移と今般の見直し

米は、アジアモンスーン地帯に位置する我が国の気候・風土に最も適した作物の一つであり、また、我が国の主食として国民生活に欠かせない作物となっています。また、稲作は、畜産、野菜と並ぶ我が国の農業の基幹部門の一つであるばかりでなく、国土の保全、水資源の涵(かん)養、伝統文化の継承等、多くの多面的機能の発揮を担う重要な役割を果たしています。

我が国の主食用米の1人当たりの消費量は、昭和37(1962)年をピーク(118kg/年・人)に、ほぼ一貫して減少傾向にあり、平成24(2012)年度ではピーク時の半分程度(56kg/年・人)となっています。また、主食用米の全国の需要量は、最近の傾向では毎年8万t程度ずつ減少しており、平成24(2012)年7月から平成25(2013)年6月までの1年間の需要量は781万tとなっています。

米については、戦後の大幅な不足の下で増産政策が取られましたが、昭和40年代、50年代に豊作が続いたことで余剰が生じました(図1)。そのため、生産を抑えることが急務となり、昭和46(1971)年度から生産調整が本格的に開始されました。生産調整の開始当初は、単純な休耕にも支援されるなど、主食用米の生産抑制を主眼とした対策が行われました。


 図1 米の需給動向

しかしながら、近年においては、水田という我が国の貴重な生産装置を有効活用していくなどの観点から、需要に即した主食用米の生産を進めるとともに、非主食用米である加工用米、米粉用米及び飼料用米、また、現状では大半を輸入に頼っている大豆や小麦等をバランスよく生産していくことが重要となっています(図2)。


 図2 水田の利用状況(イメージ)

このような中、平成20(2008)年産からは飼料用米等の新規需要米への助成が本格的に実施され、また、平成22(2010)年産以降は、生産調整の未達成に対する強制感を伴うペナルティを廃止することで経営の自由度を高めるとともに、主食用米に対するメリット措置により生産調整への参加を誘導するという、生産者の選択による仕組みに転換しました。

近年における水稲作付面積をみると、平成20(2008)年度から平成25(2013)年度までの作付面積は、164万ha程度で推移しています(図3)。主食用米については需要の減少に伴い作付面積が減少している一方で、その減少分は飼料用米等の非主食用米の作付けで補われています。このように、飼料用米等は主食用米の需要の減少に対応しながら水田を有効に活用する上で、有力な選択肢の一つとなっています。

 図3 水田の利用状況の推移

以上を踏まえ、平成25(2013)年の米政策の見直しにおいては、需要のある麦、大豆、飼料用米等の振興を図ることで、水田のフル活用を進めるとともに、5年後(平成30(2018)年産から)を目途に、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、生産者や集荷業者・団体が中心となって円滑に需要に応じた生産が行える状況になるよう環境整備を進めることとしています。具体的には、①飼料用米・米粉用米について数量払いを導入するなどにより、水田活用の直接支払交付金を充実させる、②産地交付金も充実し、地域の特色ある魅力的な産品の産地づくりに向け、地域で作成する「水田フル活用ビジョン」に基づいて行われる取組への支援を強化する、③主食用米の需要の約3割を占める中食・外食用等のニーズに応じた米の生産や、複数年、播種前等の事前契約等による安定取引の拡大を進める、④国はきめ細かい県レベルでの販売進捗や在庫情報、価格情報を毎月提供し、産地に対して米の売れ行き等がわかりやすい環境を整え、生産者の主体的経営判断や集荷業者・団体の販売戦略が的確に行われるようにする、等の環境整備を行うこととしています。

 


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