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(1)世界の食料の需給動向と我が国の農産物貿易 ア 食料需給に影響を与える要因と今後の見通し


(食料需給に影響を与える構造的な要因)

国際的な食料需給は様々な要因によって影響を受けます(図1-1-1)。需要面においては、世界人口の増加、途上国の所得向上に伴う畜産物等の需要増加に加え、バイオ燃料需要の増加等の要因の影響を受けます。一方、供給面では、収穫面積の動向、単位面積当たり収量の増加に加え、近年の異常気象の頻発や砂漠化の進行、水資源の制約、家畜伝染病の発生等の要因の影響を受けます。また、食料の輸出国では、自国の需給や物価の安定を優先するため、輸出規制を行うことがあり、これらの要因により、穀物等の国際価格が高騰する可能性があります。

このため、今後ともこれらの需給変動要因の影響を十分に注視していく必要があります。


図1-1-1 食料需給に影響を与える構造的な要因

(世界の人口、GDPは増加する見通し)

世界人口は、開発途上国と中間国において大幅な増加が見込まれており、平成12(2000)年の60億人から平成62(2050)年の92億人まで1.5倍に増加する見通しです(図1-1-2)。また、世界の国内総生産(GDP)(*1)も大幅な増加が見込まれており、平成12(2000)年の29兆1,500億ドルから平成62(2050)年の110兆9,200億ドルまで3.8倍に増加する見通しです。このうち、開発途上国のGDPは、平成12(2000)年の7,600億ドルから平成62(2050)年の12兆1,300億ドルまで16.0倍、中間国のGDPは、同期間において5兆7,700億ドルから52兆5,100億ドルまで9.1倍に増加すると見込まれており、先進国の増加(2.0倍)に比べて大きく拡大する見通しです。


*1 [用語の解説]を参照。


(世界全体の食料需要は増加する見通し)

世界の食料需要は、平成12(2000)年の44.7億tから平成62(2050)年の69.3億tまで1.6倍に増加する見通しです(図1-1-3)。このうち、開発途上国は、平成12(2000)年の10.3億tから平成62(2050)年の21.3億tまで2.1倍と大きく増加すると見込まれており、次いで中間国の1.5倍、先進国の1.3倍の順となっています。

このような中、人口の増加や経済発展に伴い、中国等の新興国を中心に世界の肉類需要の増加が見込まれています(表1-1-1)。肉類需要の増加に伴う飼料穀物需要に加え、油糧種子の需要も大きく増加すると見込まれています。

例えば、中国では、飼料穀物を含めた穀物需要の増加に伴い、主食用の米、小麦については極力自給を目指すこととするものの、不足も想定されるようになっている飼料穀物等は適宜輸入する方針を示しています。このような中、中国における平成25(2013)年の大豆の輸入量は、世界全体の輸入量の66%を占める6,900万tとなる見込みです(図1-1-4)。

また、地球温暖化対策やエネルギー安全保障への意識の高まり等を背景に、とうもろこしやなたねといったバイオ燃料向け農産物の需要も増加しています。今後の世界全体のバイオ燃料の生産量は、平成24(2012)年から平成34(2022)年の間で、とうもろこしやさとうきびを主な原料とするバイオエタノールで1.9倍、なたね油や大豆油を主な原料とするバイオディーゼルで2.2倍増加すると見込まれています(図1-1-5)。


(穀物の収穫面積が横ばいの中、単収の伸びは鈍化)

これまで世界の穀物生産量の増加は、技術革新等による単収の向上で支えられてきましたが、今後の単収の伸びは、生産性の向上や農業投資の増加により一定の伸びが期待されているものの、鈍化する見通しとなっています(図1-1-6)。また、収穫面積は1960年代からほぼ横ばいで推移しており、中長期的には、地球温暖化、水資源の制約、土壌劣化等が不安要素となっています。




コラム:世界の食料のうち、3分の1が廃棄

国連食糧農業機関(FAO)の報告書によると、世界で生産された食料の約3分の1(約13億t)が食べられることなく廃棄されています。また、食料のロスと廃棄は、生産から貯蔵、流通、加工、販売、消費に至る一連の供給プロセス(フードサプライチェーン)全体を通して発生しています。

消費者1人当たりの食料ロスと廃棄量を地域別にみると、欧州、北米・オセアニア、アジア先進工業地域では消費段階の廃棄が3割以上を占めているのに対して、その他の地域では2割以下となっています。特にサハラ以南アフリカ、南・東南アジアでは消費段階で廃棄される食料は極めて少なくなっています。これは、サハラ以南アフリカ等の地域では、消費者はその時々で必要な食料品を少量買うのが一般的であるためと分析されています。

生産から小売の段階における消費者1人当たりの食料ロスと廃棄量は、南・東南アジアでやや少ないものの、他の全ての地域において160kg/人・年を上回っています。これは、低所得国は収穫技術、貯蔵施設、コールドチェーン(*)等が確立されていないための廃棄が多く、先進工業国では流通段階におけるサイズ、形等の基準を満たさないための廃棄が多いこと等によるものと分析されています。

このような現状を踏まえ、同報告書は具体的な解決策として、低所得国では収穫技術、農業者教育、貯蔵施設やコールドチェーンを改善すること、先進工業国では、現在の消費行動を改めること等フードサプライチェーン全体を考慮し、各段階における改善が重要としています。

*「用語の解説」を参照。



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