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農林水産省

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(2)食料安全保障の確立に向けた取組 ア 飼肥料等の調達の安定化・多元化の取組


(飼料穀物の安定供給の確保)

我が国は、飼料穀物(とうもろこし、こうりゃん等)の多くを輸入に依存しており、その主な調達先は、米国、ブラジル、アルゼンチンとなっています。平成23(2011)年度まではとうもろこしの輸入量の9割を米国が占めていましたが、平成24(2012)年度の米国における高温・乾燥の影響に伴う生産量の減少により、とうもろこしの調達先は米国から南米諸国やウクライナ等に急速に移行しました(図1-1-11)。平成25(2013)年度においては、調達先の移行がさらに進行し、南米諸国の割合が上昇しています。特にアルゼンチンは6.0%から16.8%まで10.8ポイントと大きく上昇する一方、他の輸入相手国(米国、ブラジル)の割合は低下しています。しかしながら、南米諸国等における調達先においては、脆弱な輸出インフラ等に起因する輸送遅延等のリスクが懸念されています。



(肥料の安定供給の確保)

肥料は、農業生産に不可欠な生産資材であり、肥料の安定調達は重要な課題です。

我が国は化学肥料の原料となる尿素、りん鉱石や塩化加里のほぼ全てを輸入に依存しており、その調達先は特定の国に依存している状況にあります(図1-1-12)。

一方、尿素、りん鉱石や塩化加里の輸入単価は、平成19(2007)年度から平成20(2008)年度にかけて原料の需給が逼迫(ひっぱく)したことから、一時的に価格が高騰し、その後は下落に転じましたが、近年の水準は、平成19(2007)年以前に比べて高い傾向にあります(図1-1-13)。将来的には、世界人口の増加に対応するため、農業生産の拡大等が必要であり、肥料需要がさらに増大すると見込まれており、肥料原料の安定供給の確保に加えて適正かつ効率的な施肥が重要と考えられます。このため、国内の未利用又は低利用資源を肥料に有効利用する取組、施肥の改善に向けた取組を推進しています。


(農業投資に向けた取組)

平成19(2007)年から平成20(2008)年の世界的な食料価格高騰を契機として、開発途上国への大規模な国際農業投資が急増し、一部が「農地争奪」等として報じられたことから、国際社会の注目を集めました。これに対し、我が国は、平成21(2009)年7月のG8ラクイラ・サミット(イタリア)において、被投資国、小農を含めた現地の人々、投資家の3者が利益を得られるよう、責任ある農業投資の促進を提案し、この提案を受けFAO、国際農業開発基金(IFAD)、国連貿易開発会議(UNCTAD)、世界銀行の4つの国際機関により、「責任ある農業投資原則(PRAI(*1))」が策定されました(図1-1-14)。また、FAO、国連世界食糧計画(WFP)、IFADの3つの国際機関が運営する世界食料安全保障委員会(CFS)において、特に途上国における脆弱(ぜいじゃく)な土地所有管理が社会的不安をもたらし、投資や経済成長の抑制を招いていることを踏まえ、その改善を図るため、平成24(2012)年5月に「国家の食料安全保障の文脈における土地所有、漁業、森林に関する責任あるガバナンスのための任意ガイドライン(VGGT(*2))」が策定されました。平成24(2012)年10月からは、CFSにおいて、PRAIとVGGTを踏まえ、より広範な関係者の合意を得た責任ある農業投資のための原則を策定する議論が開始されています。

我が国は、食料輸入の多角化・安定化を図るため、民間企業の海外投資の促進のための支援を実施しており、本邦企業による穀物等の集荷・販売能力の強化や現地での農業生産に取り組む動きがみられます。適切な農業投資が行われるためにも、CFSでの議論に積極的に参加するとともに、PRAIを策定した4つの国際機関が平成25(2013)年から実施している「責任ある農業投資に関する未来志向の調査研究」への財政支援を行うなど、責任ある農業投資に関する取組に引き続き積極的な貢献を行っています。

*1 PRAI は、Principles for Responsible Agricultural Investment の略。
*2 VGGT は、Voluntary Guidelines on the Responsible Governance of Tenure of Land, Fisheries and Forests in the Context of National Food Security の略。

図1-1-14 PRAIの7つの原則

(農林水産分野における国際協力)

今後、世界人口の増加等により、中長期的には食料需給の逼迫(ひっぱく)が見込まれる中、平成23(2011)年6月のG20農業大臣会合(フランス)や平成24(2012)年5月の第2回APEC食料安全保障担当大臣会合(ロシア)等で、持続可能な農業生産の拡大や多様な環境条件への配慮等、食料安全保障の確保に関する合意がなされました。

このような中、我が国は、飢餓・貧困対策への貢献や気候変動や越境性感染症等地球的規模の課題への適切な対応を重点分野として、開発途上国における農業等に関する基礎的調査や技術開発・人材育成、農林水産分野の国際機関への拠出等を通じた国際協力を進めています。具体的な取組の一つとして、アフリカにおける食料・栄養不足の改善及び農家・加工業者・消費者の生活水準の向上に貢献するため、豆類・いも類の生産性向上を目指した研究開発やその成果の普及に向けた取組に対する支援を行っています。ブルキナファソの中央部で行っていたササゲ(豆類)新品種の普及支援を、環境の異なる同国北部、南部地域も対象に大規模化を図り進めることとしており、同国国民の栄養不足や貧困等の解決の糸口につながることが期待されます。

また、東アジア地域における大規模災害等の緊急時に備えるため、平成24(2012)年7月に発効した「東南アジア諸国連合及び協力3か国における緊急事態のための米の備蓄制度に関する協定(APTERR(*1)協定)」に基づき、ASEAN+3(*2)による緊急米備蓄体制の確立に向けた取組を行っています。同協定に基づく現物備蓄事業において、我が国が拠出を行いラオス国内に先行的に備蓄していた現物備蓄米400tを活用し、平成25(2013)年10月には、干ばつ等被害に対して177tの放出、平成26(2014)年1月には、洪水被害に対して223tの放出による支援措置をそれぞれ行いました。

また、平成25(2013)年11月には、同協定に基づく現物備蓄事業において、フィリピン中部のレイテ島付近において発生した台風被害に対し、我が国が拠出した現物備蓄事業の拠出金を活用し、フィリピン政府に50万ドル相当の米の現物支援を決定しました。

*1 APTERR は、ASEAN Plus Three Emergency Rice Reserve の略。
*2 参加国はASEAN 及び日本、中国、韓国。ASEAN については、[用語の解説]を参照。


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