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農林水産省

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(1)食品の安全性の向上に向けた取組


(食品の安全性の向上のためには科学的根拠に基づいたリスク管理が重要)

消費者が求める「品質」と「安全」といったニーズに適(かな)った食品の生産体制への転換を図るためには、「後始末より未然防止」の考え方に基づき、生産から消費にわたる取組を進めることが重要です。このため、農林水産省では、科学的根拠に基づいてリスク管理を行っています(図1-5-1)

食品の安全性の向上に向けたリスク管理に当たっては、まず、食品安全に関する情報を収集・分析し、優先的にリスク管理の対象とする有害化学物質・有害微生物を決定した上で、農畜水産物・食品中の含有実態調査を行っています。その上で、これらの実態調査の結果を解析し、必要がある場合には、低減対策を検討することとしています。


図1-5-1 科学的根拠に基づくリスク管理

有害化学物質に関しては、食品の加工や調理中の高温加熱が原因となって、意図せずに生成され食品中に含まれる化学物質の一つであるアクリルアミド(*1)について、食品関連事業者が自主的に行う食品中のアクリルアミド低減の取組を支援するため、これまでの知見を整理した「食品中のアクリルアミドを低減するための指針」を平成25(2013)年11月に公表しました。また、主に食品の燻(いぶ)し加工や直火調理で意図せずに生成され食品に付着する化学物質である多環芳香族炭化水素(*2)について、業界団体の自主的な低減ガイドラインの作成に協力しました。

一方、有害微生物に関しては、生産農場への食中毒菌の侵入やまん延を防ぐ対策をまとめた、生産者と指導者向けの「鶏肉の生産衛生管理ハンドブック」と「牛肉の生産衛生管理ハンドブック」を平成25(2013)年11月に改定し、内容の充実を図りました。

透明性を確保しつつ、国民の意見をリスク管理施策に反映させるため、消費者、生産者、事業者等の間で情報と意見を相互に交換するリスクコミュニケーションを行っています。また、食品安全に関するセミナーの開催等により、食品安全に関する国際動向や国内での取組等についての基礎情報を提供しています。


*1 食品に天然に含まれるアミノ酸の一種であるアスパラギンと還元糖(ブドウ糖や果糖等)を、主に、焼く、揚げる、煎(い)るなど120℃を超える高温で加熱した場合にできる化学物質。
*2 ベンゼン環が、それぞれ六角形の1辺または複数の辺で接している化合物の総称であり、ベンゾ[a]ピレンが代表的な物質である。

(農業生産工程管理(GAP)の導入産地数は着実に増加)

食品の安全性を向上させるため、生産段階においては、農業生産工程管理(GAP)(*1)の取組を推進することが重要です。GAPを多くの農業者や産地が取り入れることにより、食品の安全性の向上のみならず、環境の保全、労働安全の確保、競争力の強化、品質の向上、農業経営の改善や効率化につながります。

我が国においては、農業者団体や地方公共団体、流通業者、民間団体等様々な主体が独自にGAPを策定して取組を推進してきたことから、取組内容が多岐にわたっていました。こうした実態を踏まえ、平成22(2010)年4月に、より高度なGAPへの取組を推進するため、食品安全、環境保全や労働安全に関して実践を推奨すべき取組を明確化した「農業生産工程管理(GAP)の共通基盤に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)を策定しました。

GAPを導入している産地(*2)は、平成25(2013)年3月末現在で、2,607産地(主要産地の60%)と増加していますが、ガイドラインに則したGAP導入産地数は980産地であり、産地におけるGAPの取組の更なる拡大と併せて、ガイドラインに則したGAPの導入を進めていくことが重要です(図1-5-2)。

*1 [用語の解説]を参照。
*2 野菜、米、麦、果樹、大豆の産地強化計画等を作成している産地を調査対象として集計。

図1-5-2 GAPの導入状況
データ(エクセル:35KB)                データ(エクセル:35KB)

(HACCPの段階的導入への支援を強化するためHACCP支援法を改正)

食品事業者による食品の安全性向上の取組は、国民に安全な食品を安定的に供給する観点から極めて重要です。特に、食品の製造段階においては、HACCP(危害分析・重要管理点)(*1)の導入の取組を推進することが重要です。

HACCPの導入は、科学的根拠に基づく製造過程の継続的な監視・記録により、異常時には速やかな対策を講じることが可能となることから、問題のある製品の出荷を未然に防ぐなど、衛生・品質管理に有効な手段です。食品事業者にとっては、食品の安全性の更なる向上や、企業の倒産にもつながりかねない食品事故の未然防止、企業の信用やイメージの向上にもつながります。

また、EUや米国をはじめ、HACCPを衛生基準として求める国際的な動きがある中、我が国の食品等の輸出を促進するためには、輸出先国が求める基準に対応していくことが重要です。さらに、6次産業化の推進に当たっては、食品の製造・加工に初めて取り組む6次産業事業者の増大が見込まれることから、食品の衛生・品質管理の取組に対する支援が求められています。

農林水産省が食品製造業等を対象に行った調査によると、HACCPを導入済みの割合は、食品販売金額50億円以上の大手企業では7割以上となっていますが、販売金額が小さい事業者のHACCP導入率が低い状況にあります(図1-5-3)。

中小事業者の導入率が低い背景には、HACCP導入で必要となる専門チームの編成や恒常的な監視・記録体制の構築のための従業員の確保が困難であること等が挙げられます。また、近年発生した食品事故のほとんどは、一般的な衛生管理の対応に漏れがあるなど、HACCP導入の前段階の洗浄・殺菌等の施設や体制の整備に十分な取組が行われていないことが原因で発生しています。

このような状況を踏まえ、中小事業者が、その経営実態に応じて着実に食品の安全性の向上に取り組むことができるよう、平成25(2013)年6月にHACCP支援法(*2)が改正されました。HACCP導入に必要な施設整備に対する長期低利融資措置の現行制度に加えて、HACCP導入まで一気に対応することが困難な中小事業者が、その導入に至る前段階の衛生・品質水準の確保や消費者の信頼確保のための施設や体制の整備(高度化基盤整備(*3))のみに取り組む場合についても、支援の対象とすることとしました(図1-5-4)。

また、同法の改正による支援強化に加え、HACCP導入の牽引役を担う現場責任者・指導者を養成するための実践的な研修や、専門家の派遣による現場の状況に即したHACCP導入支援のための助言・指導等の取組を実施しています。

これらの取組の着実な実施により、将来的にHACCPの導入を行う中小事業者を育成し、業界全体の裾野を広げることで、HACCPの導入が拡大していくと期待されます。

*1 [用語の解説]を参照。
*2 正式名称は「食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法」
*3 洗浄、殺菌等の製造環境の整備の仕方や、衛生の確保等、HACCP の導入に至る前段階の衛生・品質管理の基盤となる施設や体制を整備するに当たって必要な取組と、コンプライアンスの徹底や従業員教育の在り方等の取組を円滑に実施できるような食品事業者の在り方。

図1-5-4 改正HACCP支援法のイメージ



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