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農林水産省

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(2)農地の集積・集約化に向けた農地中間管理機構の整備


(農地面積は年々減少)

農地は、長い年月をかけて整備された食料の生産基盤であり、貴重な社会資本です。しかしながら、農地面積の推移をみると、工場用地、道路、宅地等への転用や耕作放棄により耕作し得ない状態(荒廃農地(*1))になったこと等により減少傾向にあります。このような中、平成25(2013)年の農地面積は、東日本大震災による津波や九州等での豪雨被害等を受けた農地のうち4,170haが復旧しましたが、前年と比べて1万2千ha減少し、453万7千haとなっています(図2-1-4)。

また、耕地利用率の推移をみると、近年は92%前後で推移しており、平成24(2012)年の耕地利用率は前年と同じ91.9%となりました。

*1 [用語の解説]を参照。


(農地流動化は着実に進展)

農地の権利移動(流動化)については、「農地法」第3条に基づく所有権の移転等に加え、昭和50(1975)年の農用地利用増進事業の創設、昭和55(1980)年の「農用地利用増進法」の制定、平成5(1993)年の「農業経営基盤強化促進法」の制定(認定農業者制度の創設)等により、利用権(賃借権等)の設定を中心として、毎年着実に進展しています(図2-1-5)。



(農地面積の半分は担い手が利用)

このような中、農地面積に占める担い手の利用面積は着実に増加しています。平成22(2010)年における担い手の利用面積は226万haとなっており、農地面積の5割を利用している状況にあります(図2-1-6)。

今後、高齢農業者のリタイアが見込まれる中、我が国の農地の維持保全を図り、農業を成長産業化していくためには、担い手に農地を集積していく必要があり、今後10年間で担い手が利用する面積が全農地面積の8割を占める農業構造を目指すこととしています。


 

(農地は面的な集約が重要)

農地流動化の進展により、経営規模を拡大しても、農地が複数の場所に分散している場合があります(図2-1-7)。農地が多くの場所に分散していると、ほ場間の移動に費やす時間の増加や農業用機械の効率的な利用の妨げになるなど、一連の農作業の実施に支障が生ずるとともに、経営規模の拡大によるスケールメリットを十分に享受できないこととなります。このため、経営面積を拡大する場合には、面としてまとまった形での農地集約を進めることが重要です。


図2-1-7 農地分散化の平均的状況

(土地持ち非農家による耕作放棄地面積が拡大)

耕作放棄地(*1)の面積は、高齢農業者のリタイア等に伴い増加傾向にあります。平成22(2010)年の耕作放棄地面積をみると、農地所有者の意思に基づいたもの(主観ベース)は、滋賀県とほぼ同じ面積の39万6千haとなっています(図2-1-8)。また、耕作放棄地面積率も上昇しており、平成22(2010)年では10.6%となっています。

一方、市町村及び農業委員会が現状では耕作できないと判断した荒廃農地(*2)(客観ベース)の面積は、平成24(2012)年において27万2千haあり、そのうち再生利用可能なものが14万7千ha、再生利用困難なものが12万5千haとなっています(*3)。

このような中、特に、土地持ち非農家(*4)が所有する耕作放棄地面積が増加しており、平成22(2010)年では耕作放棄地面積全体の半分を占めています。土地持ち非農家の耕作放棄地面積が増加した背景には、高齢農業者のリタイアの増加に加え、複数の相続人により農地の所有権が細分化されてしまうなど、農地の権利調整を円滑に行うことが難しくなったこと等が考えられます。このほかに、不在村者所有の耕作放棄地もあるとみられます。

今後も、農業従事者の高齢化により、土地持ち非農家の耕作放棄地面積は増加すると見込まれているため、耕作放棄地の発生抑制と貸借による農地集積を図る観点から、農地の相続人に対して農地中間管理機構への農地の貸付けを促すなど、リタイアする農家から円滑に農地を継承するための取組を強化することが重要です。

*1、2 [用語の解説]を参照。
*3 農林水産省「平成24 年の荒廃農地の面積について」
*4 [用語の解説]を参照。

(「人・農地プラン」の作成と定期的な見直しの推進)

平成24(2012)年度から、集落や地域における徹底した話合いを通じて、今後の中心となる経営体と、その経営体への農地集積方法や、中心となる経営体とそれ以外の農業者を含めた地域農業の在り方等を定めた「人・農地プラン」の作成を推進しています。

平成26(2014)年3月末現在における同プランの作成状況をみると、作成予定の市町村(1,576市町村)のうち、作成に至っている市町村数は1,498市町村、作成済みの地域数は11,812地域(作成予定の地域の82%)となっています(表2-1-1)。

同プランの作成に至っていない市町村においては、引き続き話合いを進めるとともに、作成済みの市町村においては、地域の実情に応じて定期的な見直しを行うことにより、農地の流動化を進めることが重要です。

また、同プランの中心経営体に位置付けられると、スーパーL資金(*1)の貸付当初5年間実質無利子化等の様々な支援を受けることができます。


*1 農業経営基盤強化資金の略称。(株)日本政策金融公庫が、認定農業者を対象に農地取得、施設整備等に必要な長期資金を低利で融通する制度資金であり、「人・農地プラン」に地域の中心経営体等として位置付けられた認定農業者が借り入れた場合、貸付当初5年間の金利負担が軽減される。


事例:「人・農地プラン」に基づき農地集積を進める取組
出雲市
地域での話合い(人・農地プラン座談会)の様子
地域での話合い(人・農地プラン座談会)の様子

島根県出雲市斐川(いずもしひかわ)地域(旧斐川町(ひかわちょう))は、市の東部に位置する平地水田地帯です。同地域では、水稲、麦、大豆の2年3作の作付体系を推進しており、平成25(2013)年度の耕地利用率は117%に達しています。

同地域では、平成15(2003)年に策定した「斐川町農業再生プラン」を基に、平成24(2012)年12月に旧町全域を対象とする「人・農地プラン」を策定しました。プランの作成に当たっては、地域の課題を話し合う絶好の機会と捉え、担い手がいない地域を重点地区に設定し、話合い(人・農地プラン座談会)を進めました。また、地域の全農家を対象とする農地管理の意向を一筆ごとに調査するアンケートや、全13回に及ぶ事務局の定期プロジェクト会議等を実施しました。同地域のプランは、平成25(2013)年度末までに3回の見直しを行っていますが、今後も農業経営の意向の変化に対応するため、地域での話合いを継続し、随時プランを見直していくこととしています。

同地域のプランでは、地区の農地を一つの農場と捉える「一町一農場構想」に基づき、農地の所有権と利用権を分離し、面的集積を進めていくこととしています。具体的には、貸出(離農)希望農家から白紙委任(*)を受け、(公財)斐川町農業公社経由で担い手に面的集積を行うだけでなく、農地を面的にまとめるため、既存の経営地を含めて農地調整(入替)も実施します。なお、農地集積に当たっては、農地集積に特化した地図システムを導入し、農作業の効率性を考慮した農地のあっせん先のシミュレーション等に活用しています。また、同地域には昭和35(1960)年から続く「農業振興区」制度があり、地域内の農家が存在する約200集落を61の振興区に分け、各区長が各種農業振興事業の調査及び実施、生産調整の取りまとめ、近年は「人・農地プラン」に関する地元調整役を担うことにより統一的な農業振興策を進めることが可能となっています。

このような取組の結果、同地域では担い手への農地集積率が66%に達し、耕作放棄地面積は6.7ha(0.2%)にとどまっています。

一方、農地集積の拡大に伴い、農家数が減少し、農業によって支えられてきた集落・地域社会のつながりが希薄になるという課題が生じています。このため、離農した農家(地権者)においても草刈りは参加してもらうといった形で地域との関わりを残していくことが重要と考えており、地権者と担い手の協力体制を構築していくこととしています。

*貸付先の相手を指定しない委任契約。
 

 

(農地中間管理機構の整備)

「人・農地プラン」の作成過程等において、例えば、①高齢農業者がリタイアする場合、②地域の担い手間で分散錯綜(さくそう)している利用権を交換する場合、③新規就農に当たり農地を借りたいという場合等には、信頼できる農地の中間的受け皿があると、農地の集積・集約化が円滑に進むとの指摘があったことを踏まえて、農地中間管理機構が整備されることとなりました(図2-1-9)。


図2-1-9 農地中間管理機構のねらい

 

都道府県段階に公的な機関として農地中間管理機構を整備する「農地中間管理事業の推進に関する法律」が平成26(2014)年3月に施行され、各地で農地中間管理機構の設立が進められています(図2-1-10、図2-1-11)。

農地中間管理機構は、リース方式(農地中間管理機構が借り受けて、担い手に転貸する)を中心とし、地域の関係者の話合いによる、「人・農地プラン」の作成・見直しと併せて取り組み、財政支援も充実させることから、農地の集積・集約化に成果をあげられるものと考えられます。

また、担い手や借受希望者が不足している地域では、例えば、①他地域の法人やリースで参入したい企業の積極誘致等受け手の拡大、②放牧地としての活用、③都市住民の市民農園としての活用、④新規就農者の研修農場としての活用等、借受希望者の発掘に創意工夫をこらす必要があります。

貸付先決定ルールについては、農地中間管理機構が作成し、都道府県知事の認可を受けることとなっています。ルールの作成に当たっては、借受希望者のニーズを踏まえて公平・適正に調整するとともに、地域農業の発展に資するものとしていくことを基本としており、新規参入の希望に配慮することも当然ながら、既に効率的・安定的な経営を行っている担い手の経営発展を阻害しないようにすることも重要です。

このように、農地中間管理機構が農地の所有者と利用者の間に介在し、農地利用の再配分を適切に行うことにより、地域の農地利用を最適な状態に移行していくことが期待されます。


図2-1-10 農地中間管理機構の仕組み
図2-1-11 農地集積のイメージ
 

(遊休農地対策の強化)

平成21(2009)年の「農地法」改正以降、農業委員会(*1)は、毎年1回、管内にある全ての農地の利用状況を調査し、調査の結果、1年以上耕作されておらず、かつ今後も耕作される見込みがない農地等(遊休農地(*2))があるときは、その所有者等に対して、自ら耕作するか、誰かに貸し付けるか等を指導(*3)することとなりました。平成24(2012)年においては、全国で2万3千haを対象に15万5千件の指導が行われました(*4)。

このような中、農地中間管理機構を活用して遊休農地の発生防止・解消を円滑に進められるよう、平成25(2013)年12月に「農地法」が改正され対策が強化されました。具体的には、①耕作する者のいなくなった農地等について、耕作放棄地予備軍として遊休農地対策の対象とする、②農業委員会は、遊休農地所有者に対して、農地中間管理機構に貸す意思があるかどうかを含めて具体的な利用意向調査を行い、農地中間管理機構に貸し付ける方向に誘導する、③都道府県知事の裁定による利用権設定までのプロセスを簡素化した上で、④相続等により所有者不明となっている遊休農地については、都道府県知事の裁定により農地中間管理機構に利用権を設定することが可能となりました。

なお、耕作放棄地再生利用緊急対策交付金による荒廃農地の再生・利用に向けた取組等が行われており、平成24(2012)年において再生された荒廃農地の面積は1万4千haとなっています(*5)。

*1 農業委員会については第2 章第7 節「農業を支える農業関連団体等」を参照。
*2 [用語の解説]を参照。
*3 この「指導」は、平成26(2014)年度からは、農地中間管理機構へ貸し付けるかどうかの「意向調査」に変更となった。
*4 農林水産省調べ
*5 農林水産省「平成24 年の荒廃農地の面積について」



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