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農林水産省

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(2)農林水産物・食品の輸出拡大の取組


(農林水産物・食品の輸出の動向)

我が国では、少子高齢化等により国内の農林水産物・食品市場が減少傾向にあります。一方、世界に目を向けると、世界の食市場は、平成21(2009)年の340兆円から平成32(2020)年の680兆円まで倍増すると推計されています(*1)。特に、中国、インド、ASEAN(*2)諸国等のアジア全体の市場規模は、近年の所得水準の向上等に伴い、82兆円から229兆円まで3倍に増加すると推計されており、我が国の農林水産物・食品の輸出を拡大していくためには、この成長を取り込むことが重要です。

このような中、我が国の農林水産物・食品の輸出額は、平成23(2011)年3月の東日本大震災の影響等により減少傾向に転じましたが、平成25(2013)年においては増加に転じ、震災前の平成22(2010)年における輸出額(4,920億円)を超え、輸出額の統計を取り始めた昭和30(1955)年以降最高額の5,505億円となっています(図2-3-6)。農林水産物・食品の輸出先は、アジア7割、北米2割となっており、国・地域別には、1位香港、2位米国、3位台湾となっています(図2-3-7)。

また、農林水産物・食品の輸出額を品目別にみると、水産物(水産調製品を除く)と加工食品がそれぞれ3割を占めています。

*1 A.T. カーニー(株)の推計を基に農林水産省で算出。
*2 [用語の解説]を参照。



図2-3-7 農林水産物・食品の輸出額の主な内訳(平成25(2013)年)
データ(エクセル:40KB)                        データ(エクセル:38KB)

(FBI戦略に基づく輸出促進)

拡大が見込まれる世界の食市場獲得に向けては、日本の食文化の普及に取り組みつつ、日本の食産業の海外展開と日本の農林水産物・食品の輸出促進を一体的に展開していくことが重要です。具体的には、①日本の食文化・食産業の海外展開(Made BY Japan)、②日本の農林水産物・食品の輸出(Made IN Japan)をしつつ、さらに、③世界の料理界での日本食材の活用推進(Made FROM Japan)の取組を一体的に展開することとしており、この取組(FROM、BY、IN)の頭文字をとって、FBI戦略と呼んでいます(図2-3-8)。


図2-3-8 FBI戦略の概要

(農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略の公表)

農林水産省では、FBI戦略の具体化に向け、平成25(2013)年8月29日に「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」を公表しました(図2-3-9)。

この輸出戦略は、策定に当たって、素案段階から各地で意見交換会を行い、現場の意見を反映させたものとなっています。

また、同戦略では、輸出の重点国・地域と重点品目を設定し、集中的に支援していくこととしています。具体的には、海外における「日本食」人気の高さを背景とし、「日本食」を特徴付けるコンテンツである①水産物、②加工食品、③コメ・コメ加工品、④林産物、⑤花き、⑥青果物、⑦牛肉、⑧茶の8品目を重点品目として、それぞれの品目について、食市場の拡大が見込まれる国を重点国・地域と定め、重点的に輸出環境整備や商流の拡大を図っていくこととしています。


図2-3-9 農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略の概要

これまでの支援は、農林漁業者等に輸出の機会を提供することを目的として、輸出先国や輸出品目を問わず、国内外での商談会の実施や国際見本市への出展等、事業者の取組に対する支援を行ってきました。この結果、輸出しやすい地域・時期に事業者が集中することにより、輸出先国における国内の輸出事業者間、産地間での競合が生じていました。このような状況を踏まえ、オールジャパンの輸出促進の司令塔として「輸出戦略実行委員会(*1)」を設置し、輸出実績や取組の検証を行いつつ、輸出戦略を速やかに実行に移し、日本食文化の普及や輸出環境の整備等を進めることにより、農林水産物・食品の実効性のある輸出拡大に取り組むこととしています。

*1 農林水産団体、食品産業・流通関係団体、外食・観光関係団体、経済団体、47 都道府県知事、地域ブロック輸出促進協議会、関係省庁が参加する「農林水産物等輸出促進全国協議会」の下に設置する戦略実行委員会。


事例:産地間連携により品揃えと周年供給に対応した輸出を展開
福岡市
積込みの様子
積込みの様子

福岡県福岡市(ふくおかし)の福岡農産物通商(株)は、国内の産地間連携を図り、青果物等の周年輸出に取り組んでいます。

同社は、平成20(2008)年、福岡県や県内農協、地元企業等の出資により設立され、県内農協から集めた産品の輸出を開始しました。その後、更なる輸出の拡大を目指す中で、県産品だけでは品揃えや安定供給に限界があることから、平成23(2011)年よりオールジャパンの品目を取り扱うという戦略を展開しています。この展開により、同社の輸出が増えるばかりでなく、「あまおう」等の福岡県産品の輸出増加にもつながっています。

具体的には、周年供給を可能とするため、県外の各地域の商社と業務提携を行うとともに、各地域の市場も活用して全国の産品を調達しています。その上で、20フィートコンテナに50?60品目を混載し、香港、台湾、タイ、シンガポール等に輸出しています。

この取組により、平成24(2012)年の輸出額は会社設立当初の10倍以上まで拡大しています。

今後は、これまでの青果物等に加えて取扱品目を広げるとともに、単価の高い水産物等を混載することでコンテナの積載効率を上げて平均運賃を抑えることや、輸出先国を広げることにより、更なる輸出額の増加を目指すこととしています。


(輸出環境の整備)

農林水産物・食品の輸出拡大に当たっては、食品添加物使用許容量等の規格基準、HACCP(危害分析・重要管理点)(*1)等の製造工程認証の取得、動植物検疫等について輸出先国・地域の制度に適合させる必要があります。また、欧州を中心に流通・小売の大手企業の取引基準であるGLOBALG.A.P.(*2)の認証の取得を求められる場合もあります。

このような状況を踏まえ、農林水産省では輸出重点国・地域について、相手国政府が求める基準・認証等、輸出環境整備の課題の整理を行うとともに、関係省庁と連携した品質管理体制の確立、円滑な動植物検疫の実施、戦略的な検疫協議等に取り組んでいます。さらに、イスラム圏向けのハラール(*3)対応型食肉処理施設や、輸出青果物の長期保存が可能な低温貯蔵施設等を整備することも重要です。

また、平成25(2013)年10月から11月にかけて全国9か所で動植物検疫の制度や手続等に関する説明会を実施するなど、輸出可能な農畜産物や検疫条件に関する情報提供を通じて、輸出者への支援に取り組んでいます。

*1、2 [用語の解説]を参照。
*3 「許されたもの」を意味するアラビア語で、イスラムの教義に基づいて処理、加工された食品等を指す。

事例:EU等の植物検疫に対応した輸出の取組
北川市
ゆず梱包の様子
ゆず梱包の様子

高知県北川村(きたがわむら)の北川村ゆず王国(株)は、平成18(2006)年から、特産品であるゆずの加工品の製造・販売を行っており、平成21(2009)年からは大阪の商社を通じてフランスにゆず果汁等の加工品の輸出を行っています。また、同社では、ゆず果汁を利用するフランスのレストランから青果ゆずを使いたいとの要望を受け、青果ゆずの輸出にも取り組んでいます。

EU諸国へ青果ゆずを輸出する場合、ゆずを生産する園地・梱包施設は、特定の病害虫が発生していないことやEUの残留農薬基準に対応すること等の条件を満たす必要があります。このため、同社は他の樹園地から離れた山の上のゆず園と契約して、園内の梱包施設に消毒のための設備等を輸出用に整備し、平成24(2012)年にEU向け生産園地及び梱包施設として登録されました。

1年目の平成24(2012)年は3tの青果ゆずを輸出しましたが、現地の通関手続に時間がかかる等の問題が発生しました。2年目の平成25(2013)年も同じ量の青果ゆず輸出に取り組み、大きなトラブルもなく輸出することができました。

輸出された青果ゆずは、主にレストランや菓子職人等に利用されていますが、スーパーでの販売等に向けて輸出数量を増やしてほしいという要望を受けています。しかしながら、同社では梱包作業に手間がかかることや、輸出基準を満たす園地が他にないなどの課題があり、大幅な増加は難しい状況です。一方、輸出先からは、ゆずの加工品についても衛生管理等に関する様々な要請があることから、同社では、これらにきめ細かく応えることで、ゆず加工品の輸出を更に伸ばしていきたいと考えています。



(日本食・食文化の魅力を海外へ発信)

我が国の農林水産物・食品の輸出を拡大していくためには、日本食や日本の食文化というコンテンツも併せて海外に発信していくことが重要です。

近年、海外においては、健康志向等を背景とした日本食ブームにより、日本食レストランの店舗数が年々増加しており、平成25(2013)年には5万5千店と平成18(2006)年の2.3倍になっています(*1)。

農林水産省では、海外における日本食・食文化の普及推進の入り口として重要な役割を果たす海外の日本食レストラン等が連携し、日本食文化及び日本食材の輸出につながる料理の提供を行う取組や、海外の百貨店等において日本食のデモンストレーションを行う取組等を支援しています。

また、平成26(2014)年2月、日本の料理学校で調理師免許を取得した外国人留学生が引き続き日本で働きながら日本料理を学べるよう在留資格の要件を緩和したことにより、正しい日本食・食文化の知識を身に付けた外国人料理人が増加し、海外における正しい日本食と日本の食文化の普及や日本の農林水産物・食品の輸出促進につながることが期待されます。

*1 外務省・在外公館の調査協力の下、農林水産省で推計。



コラム:日本食・食文化の魅力を海外へ発信
日本の食材を紹介する安倍内閣総理大臣
日本の食材を紹介する
安倍内閣総理大臣
日本酒を提供する林農林水産大臣
日本酒を提供する
林農林水産大臣

我が国では、日本の農林水産物・食品の輸出を拡大するため、日本食や日本の食文化の魅力を海外に発信する日本食レセプションを各国で開催しています。

平成25(2013)年度においては、安倍内閣総理大臣がロシア、中東等を歴訪した際、レセプションにおいて各国要人や財界人等に日本産のぶどうやメロン等の果物のほか、寿司や日本酒等を提供しました。

また、林農林水産大臣がドイツを訪問した際には、日本の食材を使用したドイツ料理(Made From Japan)やドイツの食材を使用した日本料理(Made By Japan)のほか、日本酒や日本産ワイン等(Made in Japan)を提供する日本食レセプションを開催しました。

いずれのレセプションにおいても、日本食や日本の食材は各国要人等に驚きと関心をもって迎えられました。

このような取組を通じて、海外における日本食の人気が更に高まり、日本の農林水産物・食品の需要拡大につながることが期待されます。

 


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