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農林水産省

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(3)生産・流通システムの高度化


攻めの農林水産業を推進するためには、需要構造の変化に対応した生産・流通体制を構築し、収益性の高い農業経営を実現することが重要です。このため、農業の生産・流通システムの高度化を進めるための様々な取組が行われています。


(次世代施設園芸の推進)

次世代施設園芸セミナーの様子
次世代施設園芸セミナーの様子

施設園芸は、野菜や果樹、花きの周年的な安定供給によって豊かな国民生活に貢献するとともに、収益性の高い農業経営の実現に向け大きな役割を果たす分野として期待されています。一方、冬に加温が必要な品目も多く、経営コスト削減や地球温暖化対策の面から化石燃料依存からの脱却が課題となっています。

このため、農林水産省は、我が国の施設園芸を次世代に向かって発展させるため、施設の大規模な集約によるコスト削減や、ICT(*1)を活用した高度な環境制御技術による周年・計画生産体制を構築し、木質バイオマス等の地域資源エネルギーの活用により化石燃料依存から脱却する次世代型の施設園芸を推進しています(図2-3-10)。平成25(2013)年10月には、園芸の先進国であるオランダの状況や国内の優良事例等について紹介するとともに、農業界から経済界まで幅広い参加者から意見を聴取し今後の施策へ反映させる「次世代施設園芸セミナー」を開催したほか、全国8か所において「地域セミナー」を開催し、民間企業や生産者、地方公共団体等の協力体制の構築と経済界が持つ最新技術やノウハウを活かす異業種連携を推進しました。

この次世代施設園芸の実現によって、地産地消エネルギーの利活用、高度な環境制御技術による周年・計画生産、出荷センターの併設による調製・出荷の効率化、コスト削減と地域雇用の創出等が期待されています。

*1 ICT は、Information and Communication Technology の略。情報や通信に関する技術の総称。

図2-3-10 次世代施設園芸拠点のイメージ

コラム:オランダの大規模施設園芸

オランダでは、施設園芸に関連する様々な業種が集積した拠点を設置することにより、効率的な生産と流通を実現しています。

この拠点は、「グリーンポート」と呼称され、生産者のみならず、集荷や物流、輸出等園芸産業に携わる事業者が集積し、大規模な施設園芸産業を形成しています。この拠点整備は、オランダ政府が平成16(2004)年に開始し、現在までにオランダ国内で5か所が重要な生産・流通拠点となっています。

また、同国の農業系研究機関である「ワーヘニンゲン大学研究センター」では、平成9(1997)年の発足以来、100名余りに上る研究者が、生産効率やエネルギー効率、経済性、食の安全等の課題に対応した最先端の研究を行っており、その研究成果は同国の園芸産業の強みとなっています。

同国では、このような取組の結果、日本の九州と同程度の国土面積でありながら、農業分野において高い輸出競争力を有し、世界第2位の農産物輸出額を実現しています。

施設園芸産業が集積したグリーンポート
施設園芸産業が集積したグリーンポート
自動化された出荷等の様子
自動化された出荷等の様子
 

(スマート農業の実現に向けた取組)

我が国の農業の現場では、農業従事者の高齢化や後継者不足が深刻となっているため、農作業の省力・軽労化の推進とともに、新規就農者への栽培技術の継承等が重要な課題となっています。一方、異業種ではロボット技術やクラウドシステム(*1)をはじめとしたICTの活用が進展しており、農業分野でも活用されつつあります。

このため、農林水産省では、ロボット技術やICT(*2)を活用した超省力・高品質生産を実現する新たな農業(スマート農業)を推進するため、ロボット技術利用で先行する企業やIT企業等の協力を得て、平成25(2013)年11月に「スマート農業の実現に向けた研究会」を立ち上げ、①スマート農業の将来像や実現に向けたロードマップのほか、②ロボット技術の安全性確保等について検討を進めているところです。

*1 ネットワーク上にあるサーバー群(雲)のこと。データ等をクラウドに保存することで、利用者は自分のコンピューターでデータを加工・保存することなく、どこからでも、必要な時に利用することができる。
*2 ロボット技術やICT の研究・技術開発の動向については、第2章第3節(4)「新品種・新技術の開発・保護・普及」を参照。

(農業界と経済界との連携)

「攻めの農林水産業」の展開に当たっては、これまでの農業界の取組の枠にとらわれず、他産業の知識やノウハウも活用した新しい発想が必要であることから、これまで以上に農業界と経済界が、農業の生産・流通・経営管理等の各方面で連携した取組を進めることが重要です。このため、農林水産省では、①技術開発の推進方向の検討、②開発技術の現場での実証や生産モデルの確立、③生産現場への導入や実需とのマッチングの各段階において、農業界と経済界との連携を推進しています。

このような中で、一般社団法人日本経済団体連合会(以下「経団連」という。)とJAグループが連携して活力ある農業・地域づくりについて検討する「経済界と農業界の連携強化ワーキンググループ」が設置(平成25(2013)年11月)されたこと(*1)や、経団連会員企業等による農林漁業に関する取組をまとめた「農林漁業等の活性化に向けた取り組みに関する事例集」(*2)が公表されるなど、農業界と経済界の連携強化を目指す機運がうかがえます。

農林水産省としても、経団連の会員企業を対象とした会合において農林水産省の関連施策の説明・意見交換を平成25(2013)年11月と平成26(2014)年1月に実施し、今後も、多種多様な側面で、農業界と経済界の英知を結集し、生産性の向上や農業イノベーションにつながる取組を強力に進めていくこととしています。

*1 経団連とJA グループとの連携については、第2章第7節「農業を支える農業関連団体等」を参照。
*2 平成25(2013)年7月16 日公表。153 社・団体による合計292 件の事例を収録したものであり、平成23(2011)年3月公表版から163 件の事例を更新・再録し、129 件の新規事例を加えた改訂版。


事例:建設機械を製造するノウハウを活かした農業支援
小松市
こまつ・アグリウエイプロジェクト事例

石川県小松市(こまつし)のコマツは、平成25(2013)年7月に小松市とJA小松市との間で、6次産業化の促進、農業技術と農業人材の育成、里山の振興と保全等のテーマを掲げた連携協定を締結し、「こまつ・アグリウエイプロジェクト」を立ち上げました。このような製造業、農業団体、地方公共団体が一体となって農業振興や6次産業化の推進に向けた連携協定を結ぶのは全国で初めての取組となっています。

同プロジェクトは、農業の生産性向上、雇用創出による地域経済の活性化、地域人材の活用、新商品の開発等の取組を通じて、小松市の農業の活性化を図ることにより、日本の農業を元気にすることを目指しています。また、同プロジェクトは食品の製造・販売を手掛けるネピュレ(株)(東京都)からの助言も得て、野菜や果物を蒸気で加熱処理後、素材の栄養価やうま味を凝縮したピューレに加工する技術開発を行い、地元産のピューレを利用業者に供給する事業にも取り組んでいます。具体的には、JA小松市の施設内に設置した小型試験機により、小松市特産の大麦及び規格外品のトマト、ニンジンのピューレ商品を生産し、サンプル配付、地元小学校での試食会、離乳食への導入検討、市内介護施設・病院等を対象とした介護食導入のための説明会等を開催しています。あわせて、市場調査を行いながら販路拡大に努めています。

小松市は、農業が街を発展させる軸の1つであると考え、コマツから「ものづくり」のノウハウの支援を受けるとともに、JA小松市からは農産物や農業技術の提供等を受け、トマトや大麦等の地元農産物の集積・加工・販売を一元化した6次産業化の拠点づくりを目指しています。

コマツは「ものづくり」のノウハウを活かした支援として、農作業の効率化、安全性の向上のため、作業機械の研究・開発も行っており、鳥獣害対策の柵を設置する際の支柱の杭打ち機や法面(のりめん)の傾斜に対応した除草機械等の試作が行われています。

今後、同プロジェクトにより、農業の生産性や農業所得が向上するとともに、農業、農村の振興や里山の保全につながることが期待されます。

 


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