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農林水産省

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(4)新品種・新技術の開発・保護・普及 ア 「強み」のある農畜産物の創出


農業の成長産業化のためには、我が国の「強み」である優れた品種や高度な生産技術を用いて消費者や実需者のニーズに的確に対応するとともに、戦略的に知的財産(*1)等を活用し、品質やブランド等の「強み」のある農畜産物を日本各地に生み出すことが必要です。このため、農林水産省では、品目別の推進の基本方向等を示した「新品種・新技術の開発・保護・普及の方針」を平成25(2013)年12月に公表しました。

*1 地域ブランド、食文化、動植物品種、遺伝資源、農林水産分野の研究成果等権利化(育成者権、特許権、商標権等)になじまないものも含め、経済的価値のある知的な資源全般を指す。遺伝資源については、[用語の解説]を参照。

(「強み」のある農畜産物づくり)

「強み」のある農畜産物づくりを進めるには、品種開発の段階から実需者や産地等と連携し、実需者のニーズを起点にした育種への転換を進めるとともに、DNAマーカー(*1)の活用により育種期間の短縮を図り、生産環境の変化に対応しつつ加工適性等の実需者や消費者のニーズに応えた優れた品種を生みだしていく必要があります。さらに、こうした取組を支えるため、海外遺伝資源の戦略的収集による育種素材の確保、埋もれている品種や技術の発掘とその利用、種苗輸出大国オランダの取組を参考とした種苗会社を支援する体制の整備等も進める必要があります。

また、「強み」のある農畜産物の産地を形成するためには、品質等を保持しブランド管理を進めることが重要であることから、新たな品種等の導入に加え、品種の潜在能力を発揮するための栽培技術の確立とその標準化、多様化するニーズに対応し需要先に応じた品目を管理・供給するための出荷体制の確立等に取り組む必要があります。

農林水産省では、こうした取組を進めるため、実需者、産地、研究機関等が連携して、品種開発から普及・産地形成まで一連の取組を戦略的に進めるコンソーシアムの形成を支援していくこととしています。

*1 遺伝子の染色体上の存在位置の目印となる塩基配列のこと。


事例:品種の開発・普及に向けた取組
(1)多収・良質・良食味の三拍子揃った水稲品種「あきだわら」の開発
倒伏耐性の比較(左:あきだわら 右:コシヒカリ)
倒伏耐性の比較(左:あきだわら 右:コシヒカリ)

主食用米の消費量は、食生活の多様化等を背景に減少する中、主食用米に占める中食・外食向けの割合は相対的に増加傾向にあります。このため、(独)農業・食品産業技術総合研究機構は、コシヒカリの食味に近く、かつ収量が3割程度多い品種「あきだわら」を開発しました。この品種は収穫期がコシヒカリより10日程度遅く、強い風雨においても倒れ難いという特性を有しているため、コシヒカリ普及地域の収穫時期の分散を図ることができるほか、品質や収穫時の効率の面でも優れており、普及に向けた取組が進められています。

(2)DNAマーカーを活用し、品種開発のスピードアップを実現
DNAマーカーによる選抜
DNAマーカーによる選抜

実需者等の多様なニーズに対応した品種を短期間で開発するため、病気に強い等の特性の目印となるDNAマーカーを活用して、その特性を有する個体を効率的に選抜する「DNAマーカー育種」の利用を推進しています。

この育種方法により、目的とする特性を持つ稲の品種の開発に要する期間を、平均12年程度から最短で4年程度に短縮させることが可能となりました。


 

(知的財産の保護・活用)

実需者や産地のニーズに対応した新たな品種の品質や特徴等の「強み」を守るためには、育成者権(*1)、商標権等を組み合わせるなど複数の知的財産を総合的・戦略的に活用していくことが重要です。

農林水産省では、適切な知的財産の保護・活用を進めていくため、知的財産のデータベース拡充や地域の知的財産情報の収集を行うとともに、戦略的知的財産活用マニュアルの作成、知的財産の活用に向けた地方相談会の開催等の支援を行っています。

また、長年培われた特別な生産方法等により、高い品質と評価を獲得するに至った地域特産品について、ブランドの価値を守り、生産者が本来得るべき利益を確保するためには、その名称に生産地を特定するようなつながりが認められる場合、これを「地理的表示」として登録し、保護する地理的表示保護制度を導入することが重要です。

このため、農林水産省では、本制度の導入に向け、関係各国の動向を踏まえ、国際的な調和にも配慮しつつ、有識者等による研究会の開催等の取組を進めています。

*1 「 種苗法」に基づき登録された新品種の種苗、収穫物及び一定の加工品の利用を専有することができる権利。

事例:「強み」を持つかんきつ新品種の開発と知的財産保護の取組
愛媛県
紅まどんな
紅まどんな

愛媛県の県農林水産研究所が開発したかんきつ新品種の知的財産を保護するため、県による品種の流出防止の取組やJA全農えひめによるブランド名の商標登録が行われています。

県農林水産研究所果樹研究センターは、平成17(2005)年にかんきつ新品種の「愛媛果試第28号」を品種登録するとともに、愛称を公募し、「紅まどんな」と名付けました。また、JA全農えひめはこの愛称を保護するため、上部団体である全国農業協同組合連合会が、平成19(2007)年に「紅まどんな」を商標登録し、ブランド名の保護に取り組みました。

JA全農えひめは、糖度やサイズ等の品質基準を満たした果実にのみ「紅(べに)まどんな」の名称での販売を認めており、これによりブランドの信頼性を確保しています。

また、「愛媛果試第28号」(紅まどんな)が県外に流出することを防ぐため、同県では苗木取扱者等へ品種保護に関する研修や苗木販売時に購入者の住所や本数の記入依頼等の取組を行っているほか、県外での栽培を発見した場合は、所有者に説明の上、焼却等による処分を実施しています。

これらの取組の結果、「紅まどんな」の販売価格は「いよかん」の約4倍となっており、生産者の所得向上にも貢献しているほか、年末の贈答用向けの需要が拡大しています。平成23(2011)年の「愛媛果試第28号」の栽培面積は101ha、生産量は773tまで増加しており、今後も更に増加していくことが期待されています。

 


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