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農林水産省

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(4)新品種・新技術の開発・保護・普及 イ 「強み」のある農畜産物づくりを支える研究・技術開発


我が国農業の「強み」を発揮する上では、ロボット技術やICT等を活用し、農業分野での技術革新を実現していくことも重要です。


(ロボット技術等の研究開発)

農業従事者の減少や高齢化が進行する中、作業を自動化するロボット技術の開発・実用化を進めることは、作業の省力化につながる重要な取組です。

また、農作業においては、長時間同じ姿勢を維持することが必要な作業や重量物の運搬等の重労働が多く、その負担軽減が求められています。

このため、農林水産省では、土地利用型農業や施設園芸の各種作業の自動化技術の開発や条件不利地域等の農作業を軽減する小型作業ロボット等の開発を行い、農作業の負担軽減や労働環境の改善を進めています。

事例:ロボット技術等の研究・開発
(1)畦畔(けいはん)の除草を自動で行うロボットの開発
畦畔除草ロボット
畦畔除草ロボット

水田を囲む畦畔は、急斜面で足場が不安定なため、定期的な草刈り作業は身体への負担が大きいことに加え、転倒・転落による怪我の危険も伴います。一方、乗用型草刈り機は身体への負担は少ないものの、機体が大きく、利用できる場所も限定的です。このため、リモコンによる遠隔操作で草刈りを行う畦畔除草ロボットの開発が進められています。この開発では実用化に向けて、機体の軽量化や、除草ロボットを導入しやすい条件の検討等が行われています。

(2)いちごの収穫作業を自動化する定置型ロボットの開発
定置型のいちご収穫ロボット
定置型のいちご収穫ロボット

いちごは年間約1,500億円産出され、単価も高値で安定していますが、栽培や収穫が手作業で行われているため、出荷までに多くの時間と労力を必要とします。このため、移動型のいちご収穫ロボット等が開発されてきましたが、画像処理で赤色果実を探索するため、光の影響を強く受け、昼間の収穫が困難でした。そこで、(独)農業・食品産業技術総合研究機構等は、いちごの栽培棚を移動する装置と組み合わせることで、定位置で自動収穫を行うロボットを開発しました。このロボットは定位置で収穫を行うため、部分的な遮光により昼間でも収穫を行うことができ、ロボットの稼働時間の拡大と低コスト化を実現しました。今後は、定植から栽培管理、防除、収穫作業をシステム化することで、いちごの大規模生産技術の構築に寄与することが期待されています。

 

(3)人力作業を補助するアシストスーツの開発
アシストスーツを活用した作業の様子
アシストスーツを活用した
作業の様子

園芸作地域や傾斜地等、農作業の機械化が困難な地域や工程において、人力作業を補助するアシストスーツの開発が進んでいます。現在は、長時間同じ体勢を維持することが必要な作業において、作業者の腕を支えることで負担を軽くするアシストスーツが開発されています。また、重量物の運搬等の重労働作業において、補助動力を用いて作業者の腰への負担を軽減するパワーアシストスーツについても、小型軽量化等の研究が行われており、果樹農家等における実用化が期待されています。

 

(農業分野におけるICTの導入)

農林水産省が農業者を対象に行った調査によると、農業経営におけるIT機器等の利用状況は、「インターネットによる栽培、防除、気象、市況等情報収集」や「経理事務や経営に関するデータ分析」の割合が7割と高くなっており、次いで「農作業履歴や出荷履歴の記録」が5割となっていますが、「農業技術や飼養管理技術のデータベース化」や「センサーやカメラ等を活用した圃場や畜舎の環境測定」の割合は1割以下となっています(図2-3-11)。

これらを今後の農業経営への利用目的と比べると、農作業履歴の記録や農業技術のデータベース化による作業の効率化のほか、商品情報の発信や需要情報の供給による販売力の強化等に利用したいとの割合が高くなっており、今後は更に幅広い分野での利用拡大が期待されています。

 

図2-3-12 ICT・クラウドのイメージ図

他方、農業経営におけるICTの利用法の一つとして、クラウドを活用した生産から流通までの一体管理が挙げられます(図2-3-12)。

具体的には、各種環境情報や経験豊富な農業者の持つ技術をICTによりデータ化し、品質・栽培・飼養管理技術に活用することができるほか、新規就農者への技術支援としての役割も期待されています。

また、農業者の大きな負担となっている農業生産工程管理(GAP)(*1)の記録・蓄積作業の負担を軽減し、GAPの取組の高度化を推進することも期待されます。

さらに、農畜産物の生産履歴や生育・収穫状況をデータ化することで、農場から食卓までのトレーサビリティ(*2)を確保することが容易になり、消費者の信頼確保につながることが期待されています。

*1、2 [用語の解説]を参照。


事例:ICTの活用により高糖度みかんの生産を拡大
有田市
スマートフォンの利用と園地に設置したセンサーの様子
スマートフォンの利用と園地に設置したセンサーの様子

和歌山県有田市(ありだし)の(株)早和(そうわ)果樹園は、ICTを試験的に導入することにより、糖度の高いみかんの生産拡大と園地ごとのコスト管理を進め、収益の向上を図る取組を行っています。

同社は、平成23(2011)年より、富士通(株)と県果樹試験場の協力を得て、スマートフォン(高機能携帯端末)による作業履歴の管理や園地に設置した気象センサー等による各種データの蓄積を通じて、樹木の状態や天候に合わせた適期作業を徹底することにより、「経験や勘」に頼っていた農業から「データ」に基づく「精密なみかん栽培」への改革を進めています。この取組により、同社が生産するみかんのうち糖度の高いみかんの占める割合は2割から5割に向上するとともに、コスト削減対象の把握や、高糖度みかんによる商品の差別化・高付加価値化を図る経営方針に転換することとしています。

今後の目標は、糖度の高いみかんの割合を7割まで向上させるとともに、ICT導入によるコスト管理の効果と差別化・高付加価値化による収益向上のバランスを綿密に検討し、最適なICTの活用方法を導き出すこととしています。

 


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