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農林水産省

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(10)畜産物


(大規模化が進展、乳用牛・肉用牛は生産基盤の維持が課題)

平成25(2013)年の主要畜種の飼養戸数は10年前の平成15(2003)年と比べると、全ての畜種において減少しています。特に乳用牛(都府県)、肉用牛(子取り用めす牛)、豚、採卵鶏では4割程度減少しています(表2-4-4)。

また、飼養頭羽数は、乳用牛(都府県)で3割減少していますが、肉用牛(肥育用牛)で1割、ブロイラーで3割増加しています。

このような中、1戸当たりの飼養頭羽数は、全ての畜種で増加しており、大規模な経営体に生産の集積が進んでいます。特に、豚、ブロイラー、採卵鶏については、他畜種に比べ大規模経営体が占める割合が高くなっています。

一方、酪農や肉用牛経営については、生産者の高齢化や後継者不足等もあり、生産基盤の弱体化が懸念されています。このため、畜種ごとの経営安定対策の着実な実施に加え、後継者や多様な担い手への経営継承の円滑化や新規参入の促進、ヘルパー組織等の各種支援組織の強化・活用促進等により、生産基盤の維持・強化に取り組んでいくことが重要です。



(牛乳・乳製品の生産量は減少傾向、牛肉の生産量はほぼ横ばい)

畜産物の需給動向をみると、牛乳・乳製品の生産量は平成14(2002)年から平成24(2012)年にかけて9%減少する中、消費量も4%減少しています(表2-4-5)。一方で、チーズの消費量は同期間で21%増加しており(*1)、チーズ向け生乳の安定的な供給の拡大に向けた支援を実施するとともに、酪農家による特色のあるチーズ作り等の取組を支援しています。

また、牛肉の生産量はほぼ横ばいで推移する一方、米国におけるBSE(*2)の発生等の影響により輸入量が減少し、これに応じて消費量も減少したものの、近年はやや回復傾向で推移しています。

豚肉と鶏肉については、景気低迷、BSEの発生等による牛肉からの需要シフト等により消費量が増加傾向で推移し、これに伴い、生産量、輸入量ともに増加傾向で推移しています。

鶏卵については、生産量、輸入量、消費量ともにほぼ横ばいで推移しています。

 
*1 農林水産省「チーズの需給表」
*2 [用語の解説]を参照。

(特徴ある畜産物の生産と訴求点を明確化する動き)

畜産物の多くは、全国的に同じ品種を用いて生産され、牛肉の脂肪交雑(いわゆる「サシ」)や豚肉の脂肪の厚さ等に重点を置く傾向があります。一方で、健康志向等の多様な消費者ニーズを踏まえた差別化に取り組む動きがみられます(図2-4-21)。

例えば、牛肉では脂肪が少なく赤身が多い肉質の「褐毛和種(あかげわしゅ)」、牛乳・乳製品では乳タンパク率が高く濃厚でチーズの製造に適した原乳を生産する「ブラウンスイス種」、豚肉では肉質がきめ細かく柔らかい「バークシャー種(黒豚)」、鶏卵では卵黄含量が多い卵を産む「岡崎おうはん」等特徴のある品種の利用のほか、食肉に含まれるオレイン酸等の特定の成分に着目した差別化や特徴ある飼料を給与するなど飼養管理技術の改善による品質の向上等の取組があります。

このような取組による特徴を消費者や実需者に伝達するため、食感や風味等の新たな指標を数値化・基準化して訴求点を明確化するとともに、これらの基準を満たす畜産物を生産するための飼養管理方法の改善や家畜の改良を行い、畜産物の需要を拡大させることが重要です。


図2-4-21 消費者に対する訴求点明確化の例

(国産飼料の生産・利用の拡大を推進)

家畜の飼料には、乾牧草、サイレージ(*1)、稲わら等の粗飼料と穀類、糠(ぬか)類、粕(かす)類、食品残さ(エコフィード)等の濃厚飼料があり、草食性の牛等の家畜には粗飼料と濃厚飼料が給与される一方、雑食性の豚や鶏には濃厚飼料が主に給与されています。

畜産経営は飼料価格の影響を受けやすくなっており、近年における畜産物の生産費や農業経営費に占める飼料費の割合は、牛では4割から5割、豚や鶏では6割から7割となっています(図2-4-22)。

特に我が国は濃厚飼料の原料の9割を海外からの輸入に依存しているため、新興国等の穀物需要の増大、異常気象等による価格上昇や供給の不安定化等の影響を受けやすい状況にあることから、畜種ごとの特性に応じた経営安定対策を実施しています。

また、8割近くを自給している粗飼料については、濃厚飼料の利用削減を含めた国産飼料の生産・利用の拡大を図るため、草地基盤整備の推進や飼料作物の優良品種の開発・普及等を図るとともに、コントラクター(*2)やTMRセンター(*3)による飼料の省力的かつ効率的な生産・供給体制の構築が推進されています。

*1 青刈り作物や生の牧草を乳酸発酵させた飼料。
*2 飼料作物の収穫作業等の農作業を請け負う組織。
*3 粗飼料や濃厚飼料等を混合し、牛が必要としている全ての栄養素をバランスよく含んだTMR(Total Mixed Rations:完全混合飼料)を農家に供給する施設。TMR は栄養的に均一なため家畜が選び食いができないという特徴がある。

事例:地域の自給飼料を活用したTMRセンター
菊池市
大型バンカーサイロで稼動する自走式ミキサー
大型バンカーサイロで稼動する自走式ミキサー

熊本県菊池市(きくちし)の(株)アドバンスは、平成25(2013)年11月現在、同市旭志(きょくし)地区の酪農家25戸(乳牛約1千頭)に完全混合飼料(TMR)を提供しています。

従来、サイレージの品質は、酪農家によってばらつきがありましたが、同社の大型バンカーサイロ(*)でサイレージを一括調製することにより、高いレベルで均質化しています。また、同社において、サイレージに乾草、配合飼料、粕類を加えて調製した高品質のTMRを生産することにより、TMRを利用する酪農家では平均乳量が増加するなど生産性が向上しています。

サイレージの原料となるとうもろこしについては、同社が構成酪農家の農地を一元管理し、延べ240haで栽培しています。同社では耕起・播種作業を行う一方、収穫・運搬作業はコントラクターに委託することで、作業の集約化・効率化を図っています。また、酪農家においては、同社の取組によって日常の飼料調製作業や農地管理作業が軽減されることで、牛の飼養管理に専念できる環境が生まれています。

*サイレージを生産するための、水平型のサイロ(調製施設)。
 

 

さらに、水田フル活用を図るため生産振興を推進している飼料用米とWCS用稲については、近年、作付面積が大幅に増加しており、WCS専用品種「たちすずか」や飼料用多収性専用品種「モミロマン」等が開発されています。飼料用米の活用に際しては、単なる輸入とうもろこしの代替飼料として利用するだけでなく、その特徴を活かして畜産物の高付加価値化を図る取組もみられます。

また、食品製造副産物(食品工場で発生するパンの耳等)や余剰食品(スーパーマーケットの売れ残ったそう菜等)等の食品残さ等を活用した飼料(エコフィード)の生産・利用は、食品リサイクルにおける資源の有効利用だけでなく、輸入に依存している濃厚飼料の価格が不安定な情勢において、飼料費を削減する手段としても重要性が高まっており、現在、その生産・利用量は着実に増加しています。今後、エコフィードの生産・利用の推進に当たって、未だ活用されずに廃棄処分されている食品残さ等は、分別の手間が必要であるなど利用性の低いものが多いため、これらの適切な処理を図る必要があります。


コラム:畜産振興や社会福祉に貢献する競馬
放牧中の軽種馬
放牧中の軽種馬

競馬は、公営競技として開催されており、その開催に伴う売得金(ばいとくきん)*の一部が国庫や地方競馬全国協会に納付され、畜産の振興や社会福祉へ役立てられています。平成24(2012)年度においては、中央競馬から2,492億円、地方競馬から37億円がそれぞれ納付されました。

しかしながら、競馬の売得金は中央競馬でピーク時の60%、地方競馬で34%まで減少しており、特に地方競馬は近年、一部の主催者が競馬事業から撤退するなど厳しい経営状況が続いています。

一方、競馬に用いられる軽種馬は、そのほとんどが北海道で生産されており、地域の重要な産業の一つとなっていますが、平成24(2012)年における生産頭数は、地方競馬の廃止等を背景としてピーク時の5割の7千頭に減少しています。

畜産の振興等に貢献する競馬の持続的な運営のためには、軽種馬の安定的な生産が重要です。このため、競馬関連団体を中心として、軽種馬生産農家の経営改善・安定化、生産馬の質の向上、海外販路の拡大等に取り組んでいます。

* 勝馬投票券の発売金から返還金を引いたもの。


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