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農林水産省

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第5節 研究・技術開発の推進


我が国の農林水産業の成長産業化を推進するためには、研究開発による技術革新等により、農山漁村の有する資源や潜在力を最大限に活用することが重要です。

このため、農林水産分野における研究・技術開発を加速することが求められており、基礎研究の成果を着実に実用化につなげていく研究開発のほか、産学官等が連携し研究・技術開発を推進する取組が進められています。


(基礎から実用化まで研究開発を継ぎ目なく推進)

農林水産業の成長を支えていくためには、研究開発の発展が不可欠であり、また、研究の成果が着実に実用化される体制づくりが重要です。このため、産学の研究機関における有望な革新的技術(シーズ)を創出する基礎研究段階から多様なニーズに対応した技術の実用化に向けた研究開発まで一体的に推進することとしています(図2-5-1)。

農林水産省では、実需者のニーズ等を踏まえた重点研究分野を設定するとともに、優れた研究課題を基礎から実用化まで継ぎ目なく支援しています。


図2-5-1 研究開発を基礎から実用化段階まで継ぎ目なく推進するイメージ

近年の研究成果として、基礎研究段階においては、新品種開発の加速化に結び付く革新的な技術について、農作物・家畜等の持つ遺伝子の機能を解明する研究が進められています。また、実用化に向けた研究段階では、食品産業等のニーズに対応した技術について、基礎研究を活かした装置の開発等の取組が進められています。


事例:注目される研究・技術開発の成果
(1)花きの遺伝子を解読する革新的技術の開発
ゲノムを解読した品種 「フランセスコ」
ゲノムを解読した品種
「フランセスコ」

カーネーションは、きくやばらと並び広く栽培されており、その普及に合わせて、花持ちを向上させた品種や、高い病害抵抗性を持つ品種等が開発されています。しかしながら、これらの品種が持つ特性の原因遺伝子が特定できていないため、有効な品種の選抜とその評価に多くの時間を要しています。

このため、(独)農業・食品産業技術総合研究機構・花き研究所、(公財)かずさDNA研究所、東京農工大学及びサントリーグローバルイノベーションセンター(株)は共同してカーネーションの全ゲノム(*)情報の解読に着手し、その解読に成功しました。

この研究により、多数の遺伝子の機能解明が大きく進み、新しい花色や、香りが良いなどの新たな価値を持った品種の開発に大きく貢献することが期待されています。

また、カーネーションのゲノム情報の解読に世界で初めて成功したことにより、花きのゲノム研究を大きく前進させる契機となることが期待されます。

*[用語の解説]を参照。
(2)食品の殺菌技術の開発と同技術を活用した殺菌装置の開発・実用化

従来の加熱による殺菌方法は、熱に弱い食品素材の色・香りの劣化や、栄養・機能成分の減少等を生じさせるため、食品の安全性を維持しながら、より高い品質を維持できる殺菌方法が求められてきました。

このため、(独)農業・食品産業技術総合研究機構・食品総合研究所は、果汁等の液体食品に高い電圧をかけることによって、食品自体の発熱と電気的な殺菌作用を生じさせ、食品中に混入した微生物を迅速かつ効率的に殺菌する技術(HEF-AC技術:交流高電界殺菌技術)を開発しました。

また、同技術を実用化するため、食品企業等と連携し、殺菌試験、製品の品質検査、殺菌装置の耐久性試験、製造コスト等の検討を重ね、果汁製造ライン用の殺菌装置を開発しました。

同装置の殺菌方法は、従来の加熱のみによる方法に比べて、熱による変色(褐変度)を5分の1、ビタミンCの減少を10分の1に抑制することが可能となり、果汁製品の製造過程への導入が決定しています。


 

 殺菌が果汁製品の品質に与える影響の比較
 


(産学官連携による研究・技術開発の推進)

産学官の連携の強化のため、農林水産省では、独立行政法人等の研究機関や大学等の持つ革新的な技術の紹介や産学官のマッチングの場の提供等を通じ、協力体制の構築を支援しています。

具体的には、農林水産・食品産業分野の専門家を産学官連携事業コーディネーターとして全国に配置し、研究シーズの収集や共同研究グループの形成を支援しているほか、全国の産学官の各機関が、農林水産・食品産業分野等における最新技術や研究成果を分かりやすく展示し、研究成果の活用を希望する生産者や事業者との新たな連携を促す場として「アグリビジネス創出フェア」を開催しています。平成25(2013)年10月に開催された同フェアでは全国の173機関が最新技術やニーズを紹介し、3日間の参加者数は過去最高の3万5千人となりました。また、同フェアにおいて、同年12月までに126件のマッチングが行われました。


(異分野融合研究の推進に関する指針の策定)

農林水産・食品産業は、食を通じて人の生命や健康の維持に直結し、人が自然環境に手を加えることにより継続する産業であるため、その研究には、医学、工学、理学等の異分野との関わりが深いものがあります。

近年、我が国の農林水産・食品産業分野における異分野との融合研究としては、医学、薬学等との連携がみられます。しかしながら、一般的には自らの研究機関のみ、又は同一分野内の研究機関が基礎研究から実用化研究までを分担して実施する垂直統合型の研究が中心となっています。一方、欧米においては、異分野が連携して研究ネットワークを構築しており、それぞれの研究機関等が保有するアイディアを持ち寄ることで革新的な技術やシステムの開発を進め、国際的な競争力を高めています。

このような状況を踏まえ、農林水産省は、今後、異分野と連携した研究を有効に進めていくため、平成25(2013)年8月に異分野との融合研究の推進に向けた戦略の指針となる「異分野融合研究の推進について」を策定・公表しました。この指針では、医学、薬学との連携による機能性食品研究や、理学、工学との連携による抵抗性作物の開発等といった有望な研究領域を掲示するとともに、各連携分野を所管する省庁との連携・調整を目的とした「府省横断ガバニングボード」を設置し、研究推進、事業化に係る方針の調整等を実施することとしており、異分野との連携による国際競争力の強化等が期待されます(図2-5-2)。


図2-5-2 異分野融合研究(理農連携)の推進のイメージ

 



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