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農林水産省

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(2)地球温暖化対策への貢献


平成25(2013)年9月に公表された「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)(*1)」の第1作業部会報告書(*2)は、世界平均地上気温は明治13(1880)年から平成24(2012)年において0.85℃上昇しており、気候システムの温暖化については疑う余地がないとしています。また、平成26(2014)年3月に公表された第2作業部会報告書(*3)においては、複数の分野地域に及ぶ主要リスクの一つとして、気温上昇、干ばつ、洪水、降水量の変動や極端な降水により、特に貧しい人々の食料安全保障が脅かされるとともに、食料システムが崩壊するリスクがあげられています。このような中、地球温暖化対策については、全ての国が協力し、長期的に取り組むことが重要です。

地球温暖化の防止を図るため、平成9(1997)年に京都議定書(*4)が採択され、我が国は温室効果ガス(*5)の排出量を第一約束期間(平成20(2008)年から平成24(2012)年)の5か年平均で基準年(*6)に比べて6%削減する目標が課せられました。

我が国の平成24(2012)年度における温室効果ガスの合計排出量は13億4,300万t-CO2となり、基準年の12億6,100万t-CO2に比べて6.5%増加しました。

一方、森林による吸収量の目標達成等を加味すると、第一約束期間の5か年平均で基準年に比べてマイナス8.4%となり、京都議定書の目標を達成します。

また、京都議定書では、先進国のみに削減義務が課せられ、第一約束期間で削減義務を負う国の排出量は世界の約4分の1でした。そこで、現在全ての国が参加する平成32(2020)年以降の法的枠組みについて平成27(2015)年中に合意することを目標に国際交渉が行われています(図2-6-3)。我が国は、「全ての国が参加する公平で実効性のある新たな国際枠組みが必要」との観点から、第二約束期間(平成25(2013)年から平成32(2020)年)には参加せず、新たな法的枠組みの構築に向けた国際的な議論を主導するとともに、国内の温暖化対策も着実に進めることとしています。

なお、平成25(2013)年11月にポーランドで開催された気候変動枠組条約第19回締約国会議(COP19)において、我が国は、第一約束期間の削減目標を達成する見込みであること、平成32(2020)年の削減目標を平成17(2005)年と比べて3.8%減とすることを説明するとともに、「美しい星への行動(Actions for Cool Earth:ACE(エース))(*7)」に取り組むことを表明しました。

*1 IPCC は、Intergovernmental Panel on Climate Change の略。人為起源による気候変動・影響・適応・緩和方策に関し、科学的・技術的・社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、昭和63(1988)年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された組織。
*2 平成25(2013)年9月に公表されたのは「第5次評価報告書第1作業部会報告書政策決定者向け要約」。報告書本体は平成26(2014)年1月に公表された。
*3 平成26(2014)年3月に公表されたのは「第5次評価報告書第2作業部会報告書政策決定者向け要約」。
*4、5 [用語の解説]を参照。
*6 平成2(1990)年度。ただし、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFC)、六ふっ化硫黄(SF6)については平成7(1995)年。
*7 平成25(2013)年11 月に政府が掲げた攻めの地球温暖化外交戦略。温室効果ガスの排出量を2050 年までに世界全体で半減、先進国全体で80%削減を目指すとする目標を改めて掲げ、イノベーション(技術革新)、アプリケーション(応用)、パートナーシップ(連携)の三本柱におけるアクション(行動)をもって、「技術で世界に貢献していく、攻めの地球温暖化外交」を推進するもの。

図2-6-3 地球温暖化防止のための国際的枠組み

(農業分野における温室効果ガスの排出削減は着実に進展)

農林水産業(燃料の燃焼、家畜排せつ物の管理、肥料の施用等)における温室効果ガスの排出量は3,551万t-CO2となっており、我が国全体の総排出量の2.6%を占めています(図2-6-4)。農林水産業における温室効果ガスの排出量の推移をみると、長期的には減少傾向にありますが、農業は地球温暖化の影響を強く受ける分野であることから、木質バイオマス利用による加温設備やヒートポンプ等を用いた省エネ型施設園芸への転換、高速代かき機等の省エネ農業機械の普及等の地球温暖化対策に引き続き取り組む必要があります。



(地球温暖化適応技術の導入・普及の推進)

我が国においても、温暖化が進行する傾向にあると考えられることから、その影響を軽減する対策が必要です。

このため、農林水産省では、地球温暖化の農業への影響と適応策の導入状況を把握するため、全国調査を行い、その結果をとりまとめて「地球温暖化影響調査レポート」として公表しているほか、平成25(2013)年2月に改定した「農業技術の基本指針」において、地球温暖化適応策や留意すべき技術的事項等を記述するとともに、その有効性等の理解促進を図ることとしています。

具体的には、立地条件や品種特性、需給動向等を考慮した高温耐性品種の選定、有機物等の投入や適切なかんがいによる土壌保水力の向上、適切なかん水や資材利用、適正管理による果実の着色不良の軽減等、今後の農業の発展に必要と考えられる技術をまとめており、都道府県をはじめとする関係機関における農業技術の関連施策の企画、立案、実施等に活用されています。

また、食料輸入国である我が国にとって、地球温暖化の進行による諸外国における食料生産・供給の不確実性の増大は大きな問題です。このため、生産基盤が脆弱(ぜいじゃく)な途上国に対して、①かんがい技術の普及、②気候変動要因により食料安全保障に影響が及ぶ地域を特定しうる「気候変動下での食料安全保障地図」の開発、③国際稲研究所(IRRI(*1))における水稲栽培システムの開発等、地球温暖化への適応技術の導入・普及等の支援に取り組んでいます。

*1 IRRI は、International Rice Research Institute の略。


事例:地球温暖化問題に対応する新技術の開発・普及
(1)高CO2濃度による増収効果と気温の関係を確認
高CO2 濃度による増収率と生育期間中の平均気温の関係

CO2濃度の上昇は気候の温暖化をもたらす一方、作物の光合成を促し収量を増加させることが知られています。このため、(独)農業環境技術研究所と(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター等の研究チームは、CO2濃度を400ppmから600ppmに高めた屋外水田で稲を栽培し、高CO2濃度による増収効果を確かめる実験(FACE:開放系大気二酸化炭素増加)を行いました。

この結果、CO2濃度を高めた場合においても、温暖化が進行すると増収効果は小さくなること、また、増収効果は稲の品種によっても大きく異なることが確認されました。

今後、この研究を活用することで、温暖化が米生産に及ぼす影響の予測精度の向上が期待できるほか、高CO2濃度の環境下においても効率的な生産が可能な品種の開発が期待されます。

 

(2)高温に強い水稲品種「みずかがみ」の開発・普及
みずかがみのほ場の様子
みずかがみのほ場の様子

稲の登熟期の高温による白未熟粒(しろみじゅくりゅう)の多発等、米の品質低下を防ぐため、滋賀県農業技術振興センターは、高温下でも品質の低下が少ない水稲品種「みずかがみ」を開発しました。「みずかがみ」は「コシヒカリ」と比べて、高温下でも白未熟粒率が低いことに加えて、食味は同等からやや優る極良食味であるため、今後の普及が期待されています。

 


(J-クレジット制度により、温室効果ガス排出削減等の取組を推進)

温室効果ガスの排出削減・吸収を促すため、温室効果ガスの排出削減量等をクレジットとして認証する制度の活用が進んでいます。

平成24(2012)年度までは、国内クレジット制度(*1)とオフセット・クレジット(J-VER)制度(*2)が併存していましたが、平成25(2013)年度からは、この2つの制度を発展的に統合し「J-クレジット制度」として開始しています(図2-6-5)。

本制度は、省エネルギー機器の導入や森林管理等の取組による温室効果ガスの排出削減・吸収量をクレジットとして国が認証する制度で、クレジットの創出者に省エネルギー機器による運営コストの低減やクレジット売却益、PR効果等のメリットがあるほか、クレジットを購入する側にも低炭素社会実行計画の目標達成、カーボン・オフセット(*3)、地域貢献等のメリットがあり、取組の拡大が期待されています。

*1 大企業等による資金提供等を通じて、中小企業や農林水産業者等が行った温室効果ガス排出削減量をクレジットとして第三者認証機関が認証し、大企業が削減目標の達成のために活用する制度。
*2 J-VER は、Japan-Verifi ed Emission Reduction の略。カーボン・オフセットの仕組みを活用して、国内における温室効果ガス排出削減・吸収を促進するため、国内で実施されるプロジェクトによる温室効果ガス排出削減・吸収量をオフセット用クレジット(J-VER)として認証する制度。
*3 自らの温室効果ガス排出量を他の場所の温室効果ガス排出削減量(クレジット等)で埋め合わせて相殺すること。

図2-6-5 J-クレジット制度の概要



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